「膵臓がんの検査・治療法」はご存知ですか?医師が徹底解説!

Medical DOC監修医が膵臓がんの検査・治療法などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「膵臓がん」を発症するとどんな「下痢」を催す?初期症状も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。
目次 -INDEX-
「膵臓がん」とは?
膵臓は胃の後ろにある長さ約20cmの臓器で、消化酵素とホルモンを分泌する重要な役割を担っています。膵臓がんは、この膵臓にできる悪性腫瘍です。早期発見が難しく、進行すると黄疸や腹痛、背中の痛みなどを引き起こします。
膵臓がんの検査法
血液検査
人間ドックや臨床症状や他の検査で膵臓がんが疑われた場合に血液検査で膵臓がんに関連する腫瘍マーカー(CA19-9など)を測定します。ただし、腫瘍マーカーは他の病気でも上昇することがあるため、確定診断の補助的な役割を担います。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は痛みや放射線被曝のない低侵襲な検査で、膵臓がんの診断の一助になる検査です。健康診断でも行われることもあります。検査科で行う検査で入院は必要ありません。
腹部造影CT検査
膵臓がんの診断と病期診断、手術法の決定に重要な役割を果たすのが腹部造影CT検査です。点滴で造影剤を投与しながら行う検査です。放射線科で検査を行います。通常は、入院は不要な検査です。
腹部造影MRI検査
膵管と胆管を観察するためにMRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)検査を行います。MRCP検査は膵臓がんの診断の一助になります。点滴で造影剤を投与しながら行う検査です。放射線科で検査を行います。通常は、入院は不要な検査です。
内視鏡検査
内視鏡検査では、細い管を口や鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。必要に応じて、胆管や膵管に造影剤を注入し、X線撮影を行うERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)検査を行います。ERCPは通常数日の入院が必要です。
超音波内視鏡検査
内視鏡と超音波を組み合わせた超音波内視鏡検査で細い針を腫瘍に刺して、組織検査をすることで膵臓がんの確定診断に至ります。通常、数日の入院で行います。
膵臓がんの治療法
膵臓がんの治療法は、がんの進行度や患者の状態によって異なります。主な治療法には、手術療法、放射線療法、化学療法などがあります。
手術療法
がんが膵臓に限局している場合は、手術でがんを切除します。手術のみもしくは、手術と化学療法の組み合わせた治療(術前・術後補助化学療法)を行う場合もあります。消化器外科で手術を行います。2-3週間の入院が必要です。
化学療法
化学療法は、抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃する治療法です。手術の前後の補助化学療法と、手術ができない場合、再発・転移した場合の全身化学療法に分けられます。消化器外科や腫瘍内科で加療を行います。全身化学療法の初回は入院で行うこともありますが、外来で加療することが多い治療です。
放射線療法
膵臓がんの放射線治療には、化学療法と組み合わせた放射線療法と症状緩和を目的とした放射線治療の2つがあります。放射線治療は放射線科にて入院・外来で加療することが多い治療です。
「膵臓がんの下痢」についてよくある質問
ここまで膵臓がんの下痢などを紹介しました。ここでは「膵臓がんの下痢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膵臓が悪くなると、便にどんな特徴が現れますか?
齋藤 雄佑 医師
前述の通り、膵臓が悪くなると、消化吸収機能が低下し、便に様々な変化が現れることがあります。特徴的なものは脂肪便で便に脂肪が混ざり、白っぽく、光沢があり、水に浮くような便になります。また消化不良により下痢になることがあります。これらの症状は、膵臓がん以外にもさまざまな原因で起こる可能性があります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
編集部まとめ 膵臓がんの症状を疑ったら、早めに消化器内科を受診しよう!
この記事では、膵臓がんの下痢の特徴やその他の初期症状、原因、検査法、治療法などについて解説しました。膵臓がんは早期発見が難しいがんですが、下痢などの症状に気づくことで早期発見・治療につながる可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。
「膵臓がん」と関連する病気
「膵臓がん」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内分泌科の病気
膵臓がんと似たような症状がみられる病気、膵臓がんを合併しやすい病気を挙げました。これらの病気がある方では、膵臓がんの発症に気をつけましょう。膵臓がんは初期では症状が出にくい病気です。このため、気になる症状がある場合には主治医と相談したり、消化器内科を受診して相談すると良いでしょう。
「膵臓がん」と関連する症状
「膵臓がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 黄疸
- 体重減少
- 食欲不振
- 貧血
- 倦怠感
- 心窩部痛
- 下痢
膵臓がんでは初期では症状が分かりづらいです。しかし、初期で早めに病気を見つけるためにも気になる症状がある場合には消化器内科を受診して相談してみることが大切です。