「肝臓がん」は進行しないと”痛み”が出ない?沈黙の内臓を蝕むがんの特徴を医師が解説!

肝臓がんで痛みを感じる時期はいつ?メディカルドック監修医が、初期には痛みが出にくい理由や、進行に伴って現れる右上腹部・背中・右肩への痛みの特徴を詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『沈黙の臓器「肝臓がん」が進行すると『どんな痛み』が現れるかご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
肝臓がんとは
肝臓がんとは肝臓の細胞ががん化した状態であり、肝がんとも呼ばれます。肝臓は成人では約800〜1200グラムと体重の約50分の1を占める大きな臓器であり、以下のような働きをしています。
- 蛋白の合成
- 栄養の貯蔵
- 有害物質の解毒・分解
- 食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌
肝臓が体内で重要な役割を担っていることがわかるでしょう。肝臓がんになるとこれらの働きが機能しなくなり、適切な治療をしなければ死亡リスクがあります。2020年度のがん死亡予測では、年間約2万5000人が肝臓がんで亡くなっていると考えられています。がんのなかでは5番目に多い数字です。
肝臓にできるがんの総称
肝臓がんとは肝臓にできるがんの総称であり、がん細胞の出どころによって2種類に大別されます。原発性肝がんと転移性肝がんの2種類です。
原発性肝がんとは肝臓の細胞ががん化した肝臓から発生するがんで、転移性肝がんとはほかの臓器のがんが転移したがんです。原発性肝臓がんの約90%が肝細胞がんとなります。原発性肝がん・転移性肝がん以外には小児の肝臓がんである肝細胞芽腫などがあります。
沈黙の臓器と呼ばれる自覚症状の乏しいがん
肝臓は疾患があっても自覚症状が現れにくい特徴がある臓器です。肝臓がんになった場合も、症状を手がかりにがんを見つけることは困難です。肝臓がんの初期症状は、目立つ症状はほとんどないといわれています。しかし進行すると以下のような症状が見られます。
- 腹部のしこり・圧迫感・痛み
- 腹水・むくみ
- 黄疸
- 肝性脳症
肝臓がんは患者さんが異変に気が付くケースよりも、発症リスクの高い患者さんに対する検査で見つかるケース・定期的な検診やほかの病気の検査で見つかるケースの方が多いです。
肝炎や肝硬変が関わりやすい
肝臓がんの主な原因はB型肝炎ウイルス(HBV)・C型肝炎ウイルス(HCV)への感染です。肝炎ウイルスが肝臓内に長期間にわたって留まると、肝細胞で炎症が起こります。
その後、肝臓に炎症が拡がって慢性肝炎・肝臓が硬くなって肝硬変(かんこうへん)と進行し、やがて肝臓がんとなります。これらウイルス感染に起因するケースのほかには、多量飲酒によるアルコール性肝障害や、メタボリックシンドロームに起因するNASH(非アルコール性肝硬変)があります。
肝臓がんの痛みの特徴
肝臓がんの初期ではほとんど痛みを感じないといいます。サイズも大きく、重要な役割を持つ肝臓に痛みを感じないのはなぜでしょうか。また進行した肝臓がんに現れる痛みとはどのようなものでしょうか。
臓器に神経がないため痛みが生じない
肝臓には痛みを感じる神経がありません。そのため肝臓の異変が、痛みを感じられる組織に拡がるまでは、患者さんが痛みを感じることはありません。また痛み以外の症状から、肝臓の異変をキャッチすることも困難です。
その原因は肝臓の大きさにあります。肝臓は大きな臓器であるがゆえに、広範囲まで疾患が拡がらなければ機能が低下せず症状も現れません。
進行すると痛みが現れることも
肝臓がんが進行すると、患者さんは痛みを感じられるようになります。痛みは右上腹部に現れるケースが多いです。痛むのは肝臓ではなく、肝臓の周辺組織です。
肝臓がんは初期では鈍痛・圧迫感が感じられますが、症状が進行すると持続的な痛みとなり日常生活が困難になります。この痛みは背中・右肩に拡散しやすいといいます。
肝臓がんの痛みについてよくある質問
ここまで肝臓の痛みの原因や早期発見についてを紹介しました。ここでは「肝臓の痛み」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
肝臓の痛みは内服などで抑えることはできますか?
がん治療では初期段階でも痛みを抑えるために内服薬を処方します。ただし鎮痛剤のなかには非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のように、副作用として消化管出血や腎障害などを引き起こすものもあり危険です。肝臓がんと診断されたならば、患者さんの自己判断で鎮痛剤を飲むことはやめましょう。
痛み以外の目立つ症状はありますか?
患者さんも目視で確認できる症状には黄疸があります。黄疸は肝機能が低下し、本来は対外に排出されるビリルビンが体内で増加するため引き起こされます。代表的な症状は皮膚・眼球の白い部分が黄色くなる症状です。
編集部まとめ
肝臓がんとは体内の浄化・消化の補助・栄養の貯蔵など、重要な役割を担う肝臓に発症するがんです。
肝臓は痛みを感じる神経がなく、障害を受けてもすぐには機能が落ちない特徴から、病気になっても症状が現れにくくなっています。
肝臓がんの症状として痛みが現れるのは、がんが進行してからです。
肝臓が炎症・がん化で膨れ上がったために周辺組織が圧迫される場合・肝機能が落ちて溜まった水分が腹水・むくみとして現れた場合などに痛みが現れます。
肝臓がんの原因は複数ありますが、多いケースが肝炎ウイルスへの感染です。
日常生活を送っていれば誰にでも感染リスクがあるため、検査で多くの人が感染の有無を知ることが重要です。
肝炎ウイルス感染を早くに発見できれば、肝臓がんを発症する前に治療を開始できます。生活習慣の改善で丈夫な身体を作りながら、定期検査で健康を守りましょう。
肝臓がんと関連する病気
「肝臓がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 肝炎ウイルス
- 慢性肝炎
- 肝硬変
多く見られる肝臓がんは、肝炎ウイルス感染・慢性肝炎・肝硬変と段階を踏んで発症します。早期発見は難しいため、まずは肝炎ウイルスに感染しているかを検査することをおすすめします。
肝臓がんと関連する症状
「肝臓がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- だるさ
- むくみ
- 腹水
- 黄疸
肝臓がんは「沈黙の臓器」と呼ばれ、障害を受けても症状が出づらい臓器です。上記のような症状が続く場合は肝臓の不調を疑い、医師に相談しましょう。
参考文献




