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ステージ4になると「腹膜播種」になりやすい”3つのがん”は?症状と治療も医師が解説!

 更新日:2026/04/02
腹膜播種になりやすいがん

腹膜に転移したステージ4のがんの状態とは?メディカルドック監修医が、胃・大腸・卵巣がん別の典型的症状や、化学療法・腹腔内投与・緩和ケアなど生活の質を重視した治療法を解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「腹膜にがんが見られるステージ4の余命」はどれくらいかご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)について

そもそも腹膜腫とはどのような状態のことなのでしょうか?以下で詳しく解説します。

腹膜播種とは

腹膜播種とは、がん細胞が内臓と腹壁の間に存在する薄いまくである腹膜に達し、広範囲に散らばった状態のことで、まるで種が播かれるようにがん細胞が腹部内に広がるため腹膜播種と称されています。
また、腹膜播種は、がんの転移パターンの中でも特に予後を悪化させる要因とされており、早期発見と治療が患者さんの生存率向上につながります。

腹膜播種の症状

初期段階では、症状が現れにくく、超音波検査やCT検査でも発見が難しいとされています。しかし、がん細胞が腹膜に付着し、成長して目に見える大きさの腫瘍になって来ると、腹部の膨満感、便秘、腹痛、吐き気、嘔吐などの自覚症状が現れはじめます。
さらに進行すると、腸閉塞、黄疸、水腎症、大量の腹水の蓄積など、深刻な症状が現れ、これらはがん性腹膜炎へとつながり、治療が難しくなります。また、腹痛、体重減少、食欲不振などの症状も腹膜播種に関連してみられます。

疾患別のステージ4の状態

ここでは、腹膜に転移しやすい胃がんや大腸がん、卵巣がんのステージ4の状態について詳しく解説します。

胃がん

胃がんがステージ4に進行すると、がん細胞が他の臓器に広がり、腹膜播種などの転移がみられるようになります。腹膜播種は胃の漿膜を破り、腹膜にがんが散らばる状態であり、腹部の膨満感や足のむくみ、排尿障害などの症状を引き起こします。この状態では、体の組織の水分調節機能が低下し、腹水が溜まりやすくなります。
また腹水の増加により、腹部の不快感や圧迫感が生じ、排尿にも影響を及ぼすことがあります。
治療方法は患者さんの状況に応じて決められます。

大腸がん

大腸がんがステージ4に進行すると、肝臓や肺への血行性転移や腹膜播種がみられます。腹膜播種は、大腸の外側の腹膜にがんが散らばり、腹水や水腎症、激しい腹痛などの症状を引き起こします。この状態では、大腸の浸潤が進み、腸管からの出血が起こり、重度の貧血につながることもあります。
さらに、腹腔内にばらまかれたがん組織が腹膜に転移すると、腹水が溜まり、激しい腹痛や腸閉塞の症状が現れます。大腸がんのステージ4では、これらの症状の管理が重要となります。

卵巣がん

卵巣がんのステージ4では、がん細胞は卵巣だけでなく、腹膜にも広がり、腹膜播種を引き起こす場合があります。腹膜播種は、がん細胞が腹膜全体に散らばり、重大な合併症をもたらす状態を指します。
特に、腹水の貯留はステージ4における典型的な症状であり、ほかにも腹部の膨満感、痛み、さらには食欲不振や息切れを引き起こす場合もあります。
これらの症状は、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼし、急速な体力の低下を招くことがあります。

進行したがんの治療

がんが進行してしまった場合どのような治療を行うのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。

胃がんの場合

胃がんが腹膜へ転移した場合、治療方針は患者さんの生活の質(QOL)を考慮しながら選択されます。この段階での主な目的は、症状の緩和と生存期間の延長です。腹膜播種の治療には複数の方法があり、それぞれにメリットとリスクが伴います。
主な治療法としては、全身を対象とした化学療法があります。これには、点滴静脈注射や内服薬を用いた方法が含まれ、患者さんの全身状態を維持しながらがん細胞の活動を抑えることを目的としています。
さらに、腹腔内化学療法や腹腔内温熱化学療法などのより専門的な治療法も選択肢として存在します。これらは、抗がん剤を直接腹腔内に注入することで、より標的となる腫瘍に対して直接作用させる方法です。ただし、これらは新しい治療法であるため、専門施設でのみ実施される臨床研究の範囲で行われています。
このように腹膜播種が発生した胃がんの治療は困難を伴いますが、症状の管理と生活の質の維持を優先に考えた治療が推奨されます。

大腸がんの場合

進行した大腸がんの主な治療法は、化学療法であり、がんの成長を遅らせ、症状を緩和することを目指します。しかし腹膜への広がりを持つがんに対しては、除去は難しいのが現実です。
そのため、腹膜転移がある大腸がんの治療においては、新しい治療法が検討される場合があり、例えば、特定の薬剤感受性がある場合は、ターゲットを絞った治療や免疫療法が選択肢となることもあります。

卵巣がんの場合

進行した卵巣がんの治療は、病状の進行度や患者さんの全体的な健康状態を考慮して決定されます。治療の主な目的はがんの進行を抑え、患者さんの生活の質をできるだけ高めることにあります。この段階での治療方法は、手術、化学療法、放射線治療が挙げられます。
手術はできるのであれば行われ、がんの一部を取り除くことで症状の緩和やがんの進行を遅らせる目的があります。ただし、全てのがんを除去することは難しく、手術後や手術が適応できない場合には化学療法が中心となります。
また、放射線治療は卵巣がんでは一般的な治療法ではありませんが、がんが脳や骨など特定の場所に転移した場合には、これらの症状を和らげるために用いられることがあります。

「腹膜播種」についてよくある質問

ここまで腹膜播種を紹介しました。ここでは「腹膜播種」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

腹膜播種とがん性腹膜炎の関連性について教えてください。

中路 幸之助中路 幸之助 医師

がん細胞が原発部位から腹腔内に転移し、腹膜に広がることを腹膜播種といいます。この状態は、特に大腸、胃などのがんが進行し、がん細胞が腹膜を破って腹腔内に散らばることによって起こります。腹膜播種が進行すると、がん性腹膜炎を引き起こし、患者さんは腹部の痛みや腹水の蓄積、腸閉塞、水腎症といった深刻な症状に直面する場合があります。

腹膜播種の治療法はありますか?

中路 幸之助中路 幸之助 医師

腹膜播種の治療法は、がんの種類や進行度、患者さんの健康状態に応じて慎重に選択されます。主に、原因となるがんへの化学療法や手術が優先されますが、腹膜播種自体への直接的な治療は難しく、そのため、症状緩和を目的とした対症療法が中心となります。例えば、痛みの管理のために鎮痛薬が用いられたり、腹水が溜まり腹部が膨らんだりすることに対しては腹水穿刺による除去が行われます。

編集部まとめ

ここまで腹膜に転移したがん疾患のステージ4の余命についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・腹膜播種とは、がん細胞が内臓と腹壁の間に存在する薄いまくである腹膜に達し、広範囲に散らばった状態のこと
  • ・腹膜に転移しやすいがんとして、胃がんや大腸がん、卵巣がんが挙げられる
  • ・腹膜播種は、がんの転移パターンの中でも特に予後を悪化させる要因とされており、早期発見と治療が患者さんの生存率向上には重要

「腹膜播種」と関連する病気

「腹膜播種」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器内科,婦人科,泌尿器科

「腹膜播種の症状」と関連する症状

「腹膜播種の症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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参考文献

この記事の監修医師

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