「胃がんの予防法」はご存知ですか?医師が徹底解説!

Medical DOC監修医が胃がんの予防法・早期発見方法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「胃がんの手遅れとなる自覚症状」はご存知ですか?初期症状も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃がんとは、胃の内側の粘膜から発生する悪性の腫瘍(しゅよう)のことです。胃がんは現在、臓器別の死因の3位で、罹患数は大腸がん、肺がんに次いで3番目に多いがんです。胃がんの進展には「直接浸潤」と「遠隔転移」の2種類があります。「直接浸潤」では粘膜に発生した胃がんは、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。胃がんが一番外側の漿膜まで達すると、隣接する大腸や膵臓、肝臓や横隔膜に直接浸潤をきたすことがあります。また、がん細胞がおなかの中にばらまかれることもあり、これが腹膜播種(ふくまくはしゅ)というものです。「遠隔転移」ではがん細胞が血液やリンパの流れに乗って離れた臓器に転移を起こすことを指します。遠隔転移には肝臓、肺、脳転移などがあります。
胃がんの予防法・早期発見方法
ピロリ菌の除菌
ピロリ菌の除菌によって胃がん罹患リスクはほぼ半減することが示されています。[1まずは胃カメラを行って、ピロリ菌の感染が疑われる胃炎があれば、呼気試験や血液検査などで感染の有無を調べ、感染していた場合は内服治療でピロリ菌の除菌を検討します。40歳以上の方は、胃がん検診や胃カメラの検査を受けてみてはいかがでしょうか。
塩分を控える
前述のように、日本の伝統的な食べ物である漬物や味噌汁などに代表される塩分濃度の高い食事によって、胃がんのリスクが上昇してしまいます。胃がん予防のために塩分を控えることが重要です。普段から減塩を意識して、薄味の味付けにするよう工夫しましょう。塩分の多い食材を食べる頻度は週1〜2回程度に抑えるのがおすすめです。塩分の排出を促す野菜やフルーツの摂取もおすすめです。また塩分を制限することで高血圧や脳卒中、心筋梗塞の発症率も下げられます。
禁煙する
前述のように喫煙は胃がんのリスクです。がんを予防するためには、たばこを吸わないことが理想的です。現在喫煙中の方も、禁煙することによってがんになるリスクを下げられ、周りの人の健康への影響も少なくできます。自分で禁煙が難しいときは禁煙外来を受診しましょう。
節酒する
飲酒は缶ビール500 mL 1本または日本酒1合までが適量です。それより多い飲酒は胃がんのリスクを高める可能性があるので、胃がんの予防のためにも普段からの節酒や休肝日を作ることを心がけましょう。
「胃がんの手遅れとなる自覚症状」についてよくある質問
ここまで胃がんの手遅れとなる自覚症状などを紹介しました。ここでは「胃がんの手遅れとなる自覚症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
女性が胃がんを発症している場合、どのような初期症状が現れますか?
齋藤 雄佑 医師
胃がんにおいて、女性だけにでる特有の症状はありません。初期症状は胃もたれや胃部不快感、胃痛、貧血などです。ただし、女性の場合は月経によって、もともと貧血の方が多いため、発見が遅れることがあります。また、注意したいのが「スキルス胃がん」といって胃がんの中でも進行が早く、予後が悪いものがあります。男女比は胃がん全体では高齢の男性が多いのに対し、スキルス胃がんは若年の女性に多いです。スキルス胃がんの原因は現段階では特定されておらず、初期症状は通常の胃がんと変わりませんが、健診のバリウムで発見されるケースもあるため、健診は毎年受けることをおすすめします。
胃がんの末期症状について教えてください。
齋藤 雄佑 医師
胃がんの末期症状とは前述のように、食べ物がつかえる、お腹が張る、マヒや呂律が回らない、重度の貧血症状などがあります。ただし、胃痛や胃の不快感などの軽い症状しかない場合でも詳しく検査をしてみると末期の胃がんであったという場合もあります。特に前述のスキルス胃がんなどでは早期の発見が難しい場合が多いです。気になることがあれば、近くの内科を受診しましょう。
編集部まとめ
ここまで胃がんの手遅れになる症状について説明しました。ただし、症状だけに着目してしまうと良性の疾患なのに過度の心配をしてしまうことにもなりかねません。まずは胃がんのリスクが高くなる生活習慣を避けて、症状に注意しながら健診などで身体の異常にいち早く気づくことが重要です。また症状がある方や40歳以上の方は胃カメラや胃がん健診を受けて、ピロリ菌の感染があれば除菌しましょう。またピロリ菌の除菌が終わってもすぐに萎縮性胃炎が良くなるわけではないので、胃がんが発生しないか注意深く経過観察が必要です。定期的な健診と検査が受けられるようにかかりつけの消化器科をつくるのもおすすめです。
「胃がんの手遅れとなる自覚症状」と関連する病気
「胃がんの手遅れとなる自覚症状」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
脳神経内科の病気
血液科の病気
胃がんの手遅れになる症状について説明しましたが、そのような症状があっても、胃胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎などの良性の疾患の場合もあります。また、血便や便に血が混ざる場合にも胃がんだけでなく、他の消化管からの出血や痔の出血の可能性もあります。まずは気になる症状があれば内科を受診しましょう。特に胃カメラや大腸カメラができる消化器内科の受診がおすすめです。
「胃がんの手遅れとなる自覚症状」と関連する症状
「胃がんの手遅れとなる自覚症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
上記の症状だけでは病気を断定できません。症状がある場合には、まず内科を受診しましょう。血液検査で貧血があるかどうかなど調べることができます。また血液検査ではわからない消化管の疾患には消化器内科を受診して、胃カメラ、大腸カメラを受けましょう。40歳以上の方は胃がん検診や大腸がん検診なども積極的に受けてみてはいかがでしょうか。