「胃がんになりやすい人の特徴」はご存知ですか?医師が徹底解説!
胃がんの初期症状とは?Medical DOC監修医が胃がんの初期症状・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「胃がんの前兆となる5つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃がんは、胃の壁の内側をおおっている正常な粘膜細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増殖していく病気です。早期の段階では、がんは粘膜にとどまっていますが、胃の壁の深くまで進行すると、胃の外側にも達し、胃の近くにある大腸や膵臓、肝臓、横隔膜などの他の臓器にも直接浸潤(しんじゅん)していきます。
がんが漿膜を超えていくと、お腹の中にもがん細胞が散らばってしまう、腹膜播種(はしゅ)が起こってしまうこともあります。そして、がん細胞がリンパの流れに乗って、胃の近くのリンパ節や大動脈の周りのリンパ節、また遠く離れた左の鎖骨の上のリンパ節にも転移がみられることがあります(リンパ節転移)。さらに、がん細胞が血流に乗って、肝臓や肺などの別の臓器に転移することもあります(遠隔転移)。
胃がんの原因としては、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染が挙げられます。このヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると、胃の炎症や胃潰瘍ができることがあり、胃がんになる可能性が高くなってしまうことがわかっています。
胃がんの初期症状については、後ほど詳しく解説していきます。進行した胃がんの場合には、体重が減少する、食事がつかえる感じがする、といった症状が現れます。また、皮膚に激しいかゆみを伴う色素沈着が生じる、黒色表皮種という病気を合併することもあります。この黒色表皮種は、悪性腫瘍に伴う悪性型や、その他の良性型・仮性型といったタイプがありますが、悪性腫瘍の場合には胃がんの頻度が高いとされています。
胃がんになりやすい人の特徴
それでは、胃がんのリスクを高めるような特徴を解説していきますので、チェックしましょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している
胃がんの発生には、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が大きな要因となっています。そのため、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているとわかった場合には、除菌治療を受けるようにしましょう。
近年、簡便な方法で胃がんのリスクを判定できる「ABC検診」がすすめられてきています。
ABC検診は、胃粘膜の萎縮の程度を調べるペプシノゲンの量を調べる「ペプシノゲン法」と、ピロリ菌の感染の有無を調べる検査を組み合わせた方法です。これによって、AからDまでのリスクに分類され、推奨される検診の頻度や方法などがわかります。
塩分が多いものをよく食べる
その他にも、食塩・高塩分食品を摂ることで、胃がんの発生率が高くなることも報告されています。
日本の4地域に住む40〜59歳の男女について、食生活や喫煙などの生活習慣と、その後の10年年間の胃がん発生率との関係を調べた結果、食塩が多い食事を摂ると、特に男性で胃がんのリスクが上がることがわかっています。塩分濃度が高いものとしては、イクラや塩辛、練りウニなどがあったそうです。
タバコを吸う
胃がんの発生には、喫煙も関連しています。
先ほどの塩分の項でご紹介した研究で、喫煙と胃がんの関係についても解析されています。その結果、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて2倍胃がんになりやすいことがわかりました。
大量飲酒
日本人の胃がんとお酒の関係について調べた研究の解析によると、男性の方で、お酒を大量に飲むと胃がんのリスクが高まることが報告されています。そして、お酒をたくさん飲む人は噴門部という胃の入り口あたりにできるがんが多くなります。
家族に胃がんの人がいる
親や兄弟といった第一親等の家族の方が胃がんになったことがある場合には、自分も胃がんになるリスクが高まる可能性がある、という報告があります。また、がん家族歴がある人とない人でのがん罹患リスクを調べた報告では、胃がんについて統計学的にリスクが上昇したとの結果が出ています。
しかし、がんの発生に対しては、家族歴の他にもさまざまな要因が関わってきますので、がんリスクをさげるような生活習慣や、がん検診を受けることが望まれます。
「胃がんの初期症状」についてよくある質問
ここまで胃がんの初期症状を紹介しました。ここでは「胃がんの初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃がんの手遅れとなる末期症状を教えて下さい。
木村 香菜(医師)
胃がん末期の症状としては、胃ががんによって正常に機能しなくなり、胃からの栄養吸収や消化ができなくなることにより体重が減ってきます。また、末期に腹水が溜まり、足のむくみや排尿障害もでてきます。そして、胃以外の臓器にも転移します。胃がんでは肝臓への転移が起こりやすく、その際には腹痛・背部痛や倦怠感、黄疸などが現れます。
編集部まとめ
今回は、胃がんの初期症状について解説しました。
早期の段階では、胃がんではほとんど症状が出ない場合が多いですが、胸焼けなどの症状が出現することもあります。気になる症状があれば、早めに消化器内科を受診しましょう。
「胃がんの初期症状」と関連する病気
「胃がんの初期症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
胃がんの初期症状と同じような症状を呈する可能性のある病気にはいくつかあります。胸焼けや吐き気、胃の痛みといった症状が続く場合には、消化器内科を受診するようにしましょう。
「胃がんの初期症状」と関連する症状
「胃がんの初期症状」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
胃の痛みや不快感があり、市販薬の胃薬などを飲んでも良くならないといった場合には、消化器内科を受診するようにしましょう。