「若年性アルツハイマーになりやすい人の特徴」はご存知ですか?医師が解説!

若年性アルツハイマーになりやすい人の特徴とは?
※この記事はMedical DOCにて『「若年性アルツハイマーの初期症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
目次 -INDEX-
「若年性アルツハイマー」とは?
若年性アルツハイマー病とは65歳未満で発症するアルツハイマー病のことで、アルツハイマー病全体の5~6%を占めます。アルツハイマー病の多くは物忘れ(記憶障害)を主体とする認知症です。しかし、若年性アルツハイマー病では22~64%で言葉が出てこない、単語をうまく言えないなどの失語症、目で見たものがわからない、見えているのに位置が理解できないなどの視覚認知の異常など、記憶障害以外の症状が目立つことがあり診断に時間がかかってしまうことがあります。また、子育てや仕事などの社会的な面でも問題が生じることが多く、高齢で発症するアルツハイマー病に比べて心理社会的なストレスも大きなものとなります。
現時点ではアルツハイマー病を完治させる方法は確立していませんが、近年では進行を抑えられる可能性のある新規薬剤(レカネマブ)が日本でも保険適応となるなど、治療の選択肢が増えてきており、早期診断の重要性も増しています。今回はどのような症状の時に若年性アルツハイマー病が疑われるかについてご紹介いたします。
若年性アルツハイマーになりやすい人の特徴
若年性アルツハイマー病は外傷性脳挫傷との関連が大きく、遺伝的な関与も指摘されています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の関与は高齢発症のアルツハイマー病では多数報告されていますが、若年性アルツハイマー病では生活習慣病の関与は小さいとされています。
頭部外傷歴のある人・接触スポーツのプレーヤー
交通事故などで脳挫傷を発症したことのある人や、ボクシングやアメリカンフットボールなど頭部に強い衝撃を受けやすいスポーツをしている人は、若年性アルツハイマー病の発症リスクが高くなります。ヘッドギアなどの防護具をつけることも重要ですが、十分に衝撃を防ぐことは困難であるため、アルツハイマー病の予防の観点からは頭部に強い衝撃がかかるような行為は避ける方が望ましいでしょう。
血縁者にアルツハイマー病の発症者が多い人
アルツハイマー病全体で遺伝子の関与は5%未満と少ないですが、関連する遺伝子変異のある方は早期に発症しやすいとの報告があります。アルツハイマー病は遺伝的要因と環境要因が合わさって発症するため、遺伝子変異がある場合にはバランスの取れた食事をするなど健康的な生活を心がけましょう。
すぐに病院へ行くべき「若年性アルツハイマーの初期症状」
ここまでは若年性アルツハイマーの初期症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
短期的にできないことが増えた場合は、脳神経内科へ
若年性アルツハイマー病では症状は進行性ですが、数か月~数年かけて症状が悪化するため、急激に症状が進んだ場合には脳梗塞や脳炎などの可能性があります。数分~数日と短い期間でできないことが増える、性格が変わるなどの変化が見られた場合には、すぐに医療機関を受診してください。また突然症状が出現・悪化した場合には、救急要請をしましょう。
受診・予防の目安となる「若年性アルツハイマーの初期症状」のセルフチェック法
- ・物忘れが目立つ場合
- ・新しい事柄や仕事などを覚えることが難しくなった場合
- ・話し方がおかしくなった場合
- ・眼で物がわからなくなった、眼で距離をうまく測れなくなった場合
「若年性アルツハイマーの初期症状」についてよくある質問
ここまで若年性アルツハイマーの初期症状などを紹介しました。ここでは「若年性アルツハイマーの初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
若年性アルツハイマーと高齢者が発症するアルツハイマーに違いはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
若年性アルツハイマー病では22~64%で、アルツハイマー病としてよく知られている認知機能低下以外の症状が主体となると報告されています。また、子育てや仕事をしている年齢で発症するため、社会的な面での問題も大きく、うつ病などの精神疾患を併発する頻度も高くなります。
若年性アルツハイマーの初期症状にめまいや頭痛はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
めまいや頭痛が初期症状となることはなく、それらの症状が目立つ場合には脳出血など別の疾患を疑います。
若年性アルツハイマーを発症すると嗅覚障害を引き起こすのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
アルツハイマー病の方の半数以上で嗅覚障害がみられるため、若年性アルツハイマー病の方で嗅覚障害となりやすい可能性はあります。しかし、若年性アルツハイマー病で嗅覚障害が多いかどうかはわかっておりません。
編集部まとめ
アルツハイマー病はまだ完治させる方法の確立していない病気であり、若年性アルツハイマー病の診断を受けること自体が本人にとって負担となることもあります。一方で、治療薬の研究は世界中で行われ、現在でも様々な治験が行われています。本邦でも近年、新規薬剤(レカネマブ)が保険適応となるなど、治療の選択肢が増えています。診断を受けることで利用できる社会サービスも多く、早期の診断で得られる利点も多いことから、若年性アルツハイマー病を疑った場合には、早めに脳神経内科を受診するのが望ましいと思われます。
「若年性アルツハイマーの初期症状」と関連する病気
「若年性アルツハイマーの初期症状」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
まずは認知機能低下の原因を探ることが重要です。初期症状かもしれないと思った場合は早めに医療機関を受診しましょう。
「若年性アルツハイマーの初期症状」と関連する症状
「若年性アルツハイマーの初期症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 物忘れ
- うまく話せない
- 単語が思い出せない
- 眼で見たものの名前がわからない
- 眼でみて距離が測れず、ものがうまくつかめない
- 新しいことができない
一時的なものであればストレスや疲れなども原因として考えられるかもしれませんが、それを軽減させても改善しない場合には早めに治療介入をすることをお勧めいたします。