1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「パーキンソン病」の原因・治療法はご存知ですか?医師が解説!

「パーキンソン病」の原因・治療法はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/02/25

Medical DOC監修医がパーキンソン病の原因・治療法などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「パーキンソン病になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や原因も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「パーキンソン病」とは?

パーキンソン病とは、振戦(身体の震え)、動作緩慢、筋固縮(筋肉が固まって身体が動かしにくくなる)、姿勢保持障害(転びやすくなる)などの症状が特徴的な病気で、難病に指定されています。人口10万人に対して100−180人程度の患者さんがいると言われています。50歳以上での発症が多く、40歳以下で見られる場合は若年性パーキンソン病と呼ばれます。

パーキンソン病の主な原因

ドーパミンの減少

パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる部位にあるドーパミン神経細胞が減少することによって起こります。ドーパミン神経細胞が減ると大脳からの指令が伝わりにくくなり、前述の運動症状や非運動症状を引き起こします。このドーパミン神経細胞が減少する理由は定かではありませんが、ドーパミン神経細胞内にαシヌクレインと呼ばれるタンパク質の蓄積が関わっていると考えられています。
パーキンソン病が疑われる場合は脳神経内科で相談してください。

遺伝

ほとんどのパーキンソン病に遺伝性はありませんが、若年性パーキンソン病を発症する方の中には家族の中に同じくパーキンソン病の方がいる場合があり、病気の原因となる遺伝子が確認されることがあります。家族内での発症が起こる割合は5~10%とされています。

消化管の慢性炎症

パーキンソン病の患者の多くに便秘症状が見られることから、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているとの仮説が立てられています。パーキンソン病患者の腸内環境を調べた結果、特有の腸内細菌叢が見られました。αシヌクレインの増加との関係が指摘され、原因の一つとして有力視されています。

受診・予防の目安となる「パーキンソン病」のセルフチェック法

  • ・手足のふるえ症状がある場合
  • ・体の動きが鈍くなってきた場合
  • ・転びやすい、転びそうになる症状がある場合

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の診断や治療は基本的には脳神経内科で行われます。外科的治療については脳神経外科が担当し、リハビリテーションについてはリハビリテーション科や脳神経内科が担当します。

薬物療法

パーキンソン病の症状により、生活に支障が出ている場合は速やかに薬物による治療を行います。使用する薬は主にL-ドパやドパミンアゴニストといったドパミン補充薬と、モノアミン酸化酵素阻害薬などの非ドパミン系治療薬です。
副作用として薬が切れた際の手足の震えや不随意運動(ジスキネジア)を伴うことがあり、他にも眠気や食欲不振といった副作用が出る場合があります。また、薬の効く時間がだんだん短くなり、次の薬を飲む前に効果が切れる「ウェアリングオフ」と呼ばれる現象が存在します。パーキンソン病の薬物治療は定期的に医師と相談しながら薬の量を調整していく必要があります。

外科治療

パーキンソン病の薬物療法を長く続けてウェアリングオフやジスキネジアが見られるようになった患者に対しては、症状改善・緩和目的に手術を行うことがあります。パーキンソン病そのものを治すためのものではなく、ドーパミン補充薬が効く患者が対象です。
手術内容としては脳深部刺激療法(DBS)という方法が主流です。これは脳に電極を埋め込み、電気による刺激で神経回路のバランスを取り戻す目的で行われます。

運動療法

運動量が減ることでドーパミンの分泌が減り、パーキンソン病の進行が加速することが考えられるため、適度な運動が必要となります。リハビリテーションを行うことで筋力の低下を防ぎ、生活の質を保つ目的もあります。
パーキンソン病で行われるリハビリには、体力維持のための有酸素運動、筋肉や関節の柔軟性を維持するための運動、筋力を維持するための運動、姿勢、歩行の改善と動作の練習、呼吸の訓練などがあります。

「パーキンソン病になりやすい人」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病になりやすい人などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

パーキンソン病を発症しやすい性格はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

いいえ。これまでさまざまな検討がされていますが、パーキンソン病の発症と性格との因果関係は明確に証明されていません。

編集部まとめ

パーキンソン病は、運動機能の障害や精神的な症状などを通じて日常生活に影響を与えます。近年は有効性の高い薬も投与することができるため、発症早期から良い状態を維持することができる可能性があります。もし疑われる症状がある場合は、早めに脳神経内科を受診し相談することをお勧めします。

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する病気

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

  • 進行性核上性麻痺
  • 多系統萎縮症
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 薬剤性パーキンソン症候群
  • 慢性硬膜下血腫
  • 正常圧水頭症

運動症状が出る前に便秘や立ちくらみといった非運動症状が出る場合もあります。各症状の治療をしても改善しない場合、パーキンソン病が隠れている可能性があります。

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する症状

「パーキンソン病になりやすい人」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

手足のふるえの他に、これらの症状がある場合でもパーキンソン病もしくはパーキンソン症候群の可能性があります。手足のふるえが悪くなってきている場合や転びやすくなってきている場合は早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

注目記事