腸炎ビブリオ食中毒の症状や原因、治療方法とは?
腸炎ビブリオ食中毒(読み方:ちょうえんびぶりおしょくちゅうどく)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
春名 令子 医師 (はるなクリニック副院長)
腸炎ビブリオ食中毒とは
海(特に沿岸部)に生息する細菌で塩分(3%)を好みます。海水温度の高くなる夏場に、魚介類に付着して市場などにはいってきます。室温でも速やかに増殖し、食中毒を起こします。4℃以下では、ほとんど増殖しません。このため、過去には食中毒を起こす件数が、もっとも多い時期がありましたが、冷蔵庫や保冷車等の普及に伴い、近年発生件数は急激に減少しています。
引用:公益社団法人日本食品衛生協会
http://n-shokuei.jp/eisei/sfs_index_s04.html
腸炎ビブリオ食中毒の症状
原因となる食品を食べてから、平均12時間程度で発症します。
激しい腹痛・水様性の下痢、発熱、嘔吐を起こします。引用:公益社団法人日本食品衛生協会
http://n-shokuei.jp/eisei/sfs_index_s04.html
腸炎ビブリオ食中毒の原因
魚介類の刺身やすし類が代表的なものです。また、生の魚介類を調理した後、調理器具や手指などを介して二次汚染された食品でも食中毒が発生しています。
引用:東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/tyouen.html
腸炎ビブリオ食中毒の検査法
できる限り抗菌薬投与前に、排便直後の新鮮便の一部を直接TCBS寒天培地に塗抹し、37℃一夜培養する。腸炎ビブリオはTCBS寒天上で、白糖非分解 性の中心部が濃緑色ないし青緑色の集落を形成する。腸炎ビブリオが疑われる集落はさらに各確認培地に接種し、その性状を調べ同定する。その最小限の性状は (オキシダーゼ・リシン脱炭酸・インドール・ブドウ糖の発酵・マンニットの分解・3および8%NaCl加ブロスでの発育)‐陽性、(ブドウ糖からのガス産 生・白糖の分解・0および10%NaCl加ブロスでの発育)‐陰性である。同定された菌株は、O、K抗原を調べて血清型を決定する。必要に応じて、tdh、trh 遺伝子を調べる。
引用:国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/examination/392-encyclopedia/438-vibrio-enteritis.html
腸炎ビブリオ食中毒の治療方法
感染性胃腸炎の治療としては対症療法が優先されるが、腸炎ビブリオでは特に抗菌薬治療を行わなくても数日で回復する。ぜん動抑制をするような強力な止瀉薬 は、菌の体外排除を遅らせるので使用しない。下痢による脱水症状に対しては輸液を行う。解熱剤は脱水を増悪させることがあり、またニューキノロン薬と併用 できないものがあるので、慎重に選択すべきであ る。病原体の定着阻止を目的に、乳酸菌などの生菌整腸剤を使用する。抗菌薬を使用する場合は、ニューキノロン薬あるいはホスホマイシンを3日間投与する。
引用:国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/examination/392-encyclopedia/438-vibrio-enteritis.html