目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「パニック障害になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や治療法も解説!

「パニック障害になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や治療法も解説!

 公開日:2025/02/13
「パニック障害になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や治療法も解説!

パニック障害は、突然の強い不安や恐怖を伴う発作が特徴的な精神疾患ですが、一部の性格傾向や生活環境を持つ方はより発症しやすいとされています。

本記事では、パニック障害になりやすい人の特徴について以下の点を中心にご紹介します。

・パニック障害になりやすい人の特徴
・パニック障害の症状や治療法
・パニック障害の人と関わる上で気をつけること

パニック障害になりやすい人の特徴について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

舘野 歩

監修医師
舘野 歩(東京慈恵会医科大学附属病院)

プロフィールをもっと見る
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。現在は「東京慈恵会医科大学附属病院」勤務。専門は精神神経科。日本精神神経学会専門医・精神科指導医、日本森田療法学会認定医、精神保健指定医。東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授。

パニック障害になりやすい人の特徴や原因について

パニック障害になりやすい人の特徴や原因について

パニック障害について詳しく教えてください

パニック障害とは、突然理由もなく激しい不安や恐怖を感じ、動悸や息切れ、めまい、発汗、震えといった身体症状が現れる精神的な疾患です。

これらの症状は「パニック発作」と呼ばれ、発作が起こると「このまま死んでしまうのではないか」と感じる程強烈なものです。

発作は数分から長くても30分程度でおさまりますが、再び発作が起こるのではないかという「予期不安」が生じることで、外出や特定の場所へ行くことを避けるようになります。

パニック障害になりやすい人の特徴を教えてください

パニック障害になりやすい方には、いくつかの特徴や性格傾向が見られることがあります。

真面目で責任感が強い方は、日常のストレスや緊張を抱え込みやすく、心身の負担が大きくなりがちです。
また、完璧主義や周囲の期待に応えようと無理をしてしまう傾向のある人も、過剰なプレッシャーによって不安が高まりやすくなります。

さらに、感受性が豊かで繊細な性格の方は、ストレスや環境の変化に敏感で、心のバランスを崩しやすい傾向があります。
加えて、心配性で不安を感じやすい人や、過去に強いストレスやトラウマを経験した方も、パニック障害を引き起こしやすいとされています。

生活習慣では、睡眠不足や過労、過度なカフェインやアルコール摂取も症状を悪化させる要因になります。

これらの特徴はあくまで傾向ですが、ご自身の心身の状態に目を向け、ストレスを適切に発散することが予防につながります。

パニック障害になりやすい人の原因を教えてください

パニック障害の原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

主な原因としては、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンのバランスが崩れることで、不安や緊張をコントロールしにくくなることが挙げられます。
神経の働きの乱れは、ストレスや過労、睡眠不足といった生活習慣の影響を受けやすく、心身への負担が続くと発症リスクが高まります。

また、遺伝的要因も関係しており、家族にパニック障害を経験した方がいる場合、発症しやすい傾向があるとされています。
性格的には、完璧主義や責任感が強い方、感受性が豊かでストレスを感じやすい方が発症しやすいとされています。
さらに、過去のトラウマや環境の変化、大きなプレッシャーを感じるできごとがきっかけとなり、パニック発作を引き起こすケースもあります。

不安や違和感を感じたら早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

パニック障害の症状や治療法について

パニック障害の症状や治療法について

パニック障害の症状について教えてください

パニック障害の症状は、突然理由もなく強い不安や恐怖を感じる「パニック発作」が特徴です。発作は突然起こり、動悸や息切れ、胸の痛み、窒息感、めまい、手足の震え、大量の発汗などの身体症状が現れます。
同時に、「このまま死んでしまうのではないか」「気が狂うのではないか」という強い恐怖感に襲われることもあります。

これらの症状は数分から30分程度で治まることが多いとされていますが、発作がいつ起こるかわからないことから「予期不安」が生じるようになります。

また、発作が起こった場所や状況を避けるようになる「広場恐怖」が見られることもあり、電車やエレベーター、混雑した場所など逃げ場のない状況に強い不安を感じることが増えます。
発作を繰り返すことで日常生活に支障が出たり、人間関係や仕事に影響を与えることも少なくありません。

パニック障害の治療法を教えてください

パニック障害の治療法は主に、薬物療法との二つが中心となります。

薬物療法では、抗不安薬や抗うつ薬などを使用して脳内の神経伝達物質のバランスを整え、不安やパニック発作の症状を抑えます。

一方、認知行動療法では、不安や恐怖を引き起こす考え方や行動パターンを見直し、パニック発作への過剰な恐怖感を和らげることを目指します。
例えば、発作が起きやすい場所や状況に少しずつ慣れる曝露療法や、不安を感じた際の呼吸法やリラクゼーション法を学ぶことで、発作への対処能力を高めます。

これらの治療法を組み合わせ、症状や生活環境に合わせた対策を行うことで、症状の改善が期待できます。

パニック障害は適切な治療を継続することで、日常生活への支障を軽減し、社会復帰も可能とされているため、症状を一人で抱え込まないことが大切です。

パニック障害の診断基準を教えてください

パニック障害は、予測できない突然のパニック発作が繰り返し起こる精神疾患です。
精神科や心療内科では身体的な病気(心臓や呼吸器の疾患など)が原因ではないことを確認し、詳しい評価が行われます。

パニック発作では、以下の13項目の症状のうち4つ以上が同時に現れ、10分以内にピークを迎えることが診断基準となります。

1. 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
2. 発汗
3. 身震いまたは震え
4. 息切れ感または息苦しさ
5. 窒息感
6. 胸痛または胸部不快感
7.嘔気または腹部の不快感
8. めまい、ふらつき、頭が軽くなる、または気が遠くなる感じ
9. 現実でない感じ(現実感消失)、または離人症状(自身が自身でない感じ)
10. コントロールを失う恐怖、または気が狂う恐怖
11. 死ぬのではないかという恐怖
12. 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
13. 冷感または熱感

これらの発作が繰り返し起こるだけでなく、「また発作が起きるのではないか」という強い不安や、発作を誘発しそうな状況を避ける行動(回避行動)が1ヶ月以上続く場合、アメリカ精神医学会のDSM-5診断基準に基づき、パニック障害と診断されます。

これらは一過性のストレスとは異なり、医師による詳細な問診と適切な治療が必要です。

パニック障害の人と関わる上で気をつけること

パニック障害の人と関わる上で気をつけること

パニック障害の人に言ってはいけない言葉はありますか?

パニック障害の方に対しては、無意識のうちに心を傷つけてしまう言葉があるため、注意が必要です。

例えば、「気の持ちようだよ」「甘えているだけじゃない?」といった言葉は、本人の努力や苦しみを否定することになり、不安をさらに強めてしまいます。

また、「大丈夫、大丈夫」「そんなことでどうするの?」と軽く励ますつもりで言った言葉も、相手には症状を軽く扱われていると受け取られ、孤立感を感じることがあります。

パニック障害は、本人の意志や気持ちの問題ではなく、脳内の神経伝達物質の乱れによって起こる病気であるため、「頑張れ」という言葉も、逆にプレッシャーとなり、症状を悪化させることがあります。

さらに、「早く治してよ」「いつになったら良くなるの?」といった言葉も、焦りや罪悪感を生むため避けるべきです。

したがって、パニック障害の方には、安心感を与えることが大切です。無理に言葉で励ますのではなく、「何かあったらいつでも話してね」「そばにいるから安心して」といった寄り添う姿勢を示すことが、支えとなり、症状の改善につながります。

パニック障害の人にやってはいけないことを教えてください

パニック障害の方に接する際、強引に苦手な場所や状況に連れ出すことは控えましょう。人混みや密閉空間などは発作の引き金になるため、本人の不安を一層強くしてしまいます。
また、発作が起きた際に、過剰に騒いだり慌てたりするのも避けるべきです。周囲の不自然な対応は、本人をさらに追い詰めることがあります。

パニック障害は、症状への理解を示し、安心できる環境を提供することが重要なため、無理に改善を求めるのではなく、本人のペースを尊重する姿勢を示しましょう。

家族がパニック障害になったときの支え方を教えてください

家族がパニック障害になったときは、まず本人の症状や苦しみを理解し、安心感を与えることが大切です。
発作が起きた際には、過剰に騒ぐことなく、そばにいることで安心感を与え、落ち着くのを待ちましょう。
また、日常生活では、発作の引き金となる場所や状況を無理に避けさせるのではなく、本人のペースを尊重しながら少しずつ慣れていくサポートが必要です。

治療には継続的な通院が欠かせないため、治療方針についても一緒に理解を深めるよう心がけましょう。家族自身も適度に休息を取り、必要に応じて医師に相談することも大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

パニック障害は誰にでも起こりうる病気ですが、決して「弱いからなるもの」ではなく、心と身体が一時的にバランスを崩してしまった結果であるため、一人で抱え込まずに周囲に相談し、医療機関への受診が大切です。
そして、パニック障害は焦らず向き合うことで、心のバランスを取り戻せる日が来ることを忘れないでください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでパニック障害になりやすい人の特徴についてお伝えしてきました。
パニック障害になりやすい人の要点をまとめると以下のとおりです。

・パニック障害になりやすい人の特徴として、完璧主義や不安傾向が強い性格、ストレスを感じる生活環境、過去のトラウマ体験などが挙げられる
・パニック障害は突然の強い不安や恐怖を伴う発作が特徴で、動悸や息切れ、めまいなどの症状が現れる病気だが、薬物療法や認知行動療法などの治療法が用いられる
・パニック障害の方には、励ましや否定的な言葉を避け、安心感を与えることが大切

これらの情報が、パニック障害になりやすい方の助けになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師