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起立性低血圧症の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

起立性低血圧症(読み方:きりつせいていけつあつしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
平野 圭 医師(平野医院 院長)

起立性低血圧症とは

起立性(体位性)低血圧は,立位をとった際に生じる過度の血圧低下である。コンセンサスに基づく定義は,20mmHgを上回る収縮期血圧の低下,10mmHgを上回る拡張期血圧の低下,またはその両方である。症状としては意識の遠のき,ふらつき,めまい,錯乱,霧視などが,起立後数秒から数分以内に起こり,臥位により速やかに消失する。患者によっては,転倒,失神( 失神),さらには全身痙攣を起こす場合もある。運動または大食が症状を増悪させることもある。その他に併発する症状および徴候のほとんどは原因に関連したものである。起立性低血圧は様々な病態に起因する血圧調節異常の表れであり,特定の疾患ではない。

引用:MSDマニュアル プロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/04-心血管疾患/心血管疾患の症状/起立性低血圧

平野医院 平野 圭 院長監修ドクターのコメント
起立性低血圧症は、急に立ち上がった時に頭の血が一気に下がることによって起こります。貧血と混同している人も多いようですが、別のものです。医学的に「脳虚血」と呼ばれるものが低血圧に当たり、これは貧血ではありません。

貧血とは、血圧は正常であっても血液自体の濃度が薄くなっている状態を言います。一方、血液の濃度は正常であっても脳に送る血液が足りなくなっている状態を低血圧(脳虚血)と言います。

起立性低血圧症の中でも、思春期など若い世代にも多く見られる朝礼などで倒れたり立ちくらみを起こすという症状は、厳密に言うと起立性調節障害に当たります。これらは自律神経失調症の一つと考えられます。

起立性低血圧症の症状

・立ちくらみ
・寝起きの悪さ
・失神
・耳鳴り
・衣紋掛け痛(コートハンガー・ペイン)
・緊張性頭痛

引用:北神経内科クリニック
https://www.kitashinkei.com/shinryou/teiketsuatsu

平野医院 平野 圭 院長監修ドクターのコメント
常時性低血圧症とは異なり、立った時だけに起こる起立性低血圧症は自律神経の調節障害ととらえていいでしょう。

立ち上がった時、通常は足の血管が自動的に締まることで血液が身体の下部分に降りてしまわないように調節できるわけですが、その調節機能がうまく働かないと、血を留めておくことができず、血圧が一気に下がってしまいます。

その調節機能を司るのが自律神経ですが、何らかの原因で自律神経の働きが悪くなり、立ったタイミングで足の血管収縮が遅れてしまうと、本来頭にあるはずの血液が一気に下がり、立ちくらみを起こしたり、首筋や肩が凝ったり、最悪の場合は失神するといったさまざまな症状が現れます。

このような症状がない場合は、低血圧であっても特に心配する必要はありません。

起立性低血圧症の原因

立ちくらみは、「脳貧血(のうひんけつ)」とも呼ばれますが、血液に何らかの異常のある「貧血」とは別のもので、血圧の低下によります。
急に立ち上がると、血液は下半身に集まります。通常は自律神経(じりつしんけい)が下半身の血管を縮めて血液を押し上げ、上半身の血液を保つように働きますが、自律神経が乱れると、血管を縮める反応ができなくなってしまいます。そうすると上半身の血液が不足し、脳の血液の流れが一時的に少なくなり、立ちくらみが起こります。

引用:エーザイ
http://www.eisai.jp/diseases-and-symptoms/detail/pbaid_3_nodeid_149_faqid_239_detail.html

平野医院 平野 圭 院長監修ドクターのコメント
起立性低血圧症は食後、胃腸に血液が集中することによって起こる場合もありますが、実際は食事がひどい症状を引き起こす原因になるケースはあまり多くありません。

アルコールも起立性低血圧症を引き起こす原因になることは少ないと思います。

そのため、食事に関してはあくまで常識的な範囲でバランスを意識し、節度のある食事を心がければ問題ないでしょう。

起立性低血圧症の場合、食後より心配なのは、むしろ風呂上がりです。

お風呂に入ると全身の血管が拡がりますので、やはり立ち上がったタイミングでうまく足の血管が収縮しないと立ちくらみなどが起こりやすくなります。

お風呂は滑りやすくなっていますので、フラついたはずみで転ぶこともあり危険です。ケガをしないためにも注意が必要です。

起立性低血圧症の検査法

鉄欠乏性貧血など、血液の異常で「貧血」になっていないかなど、ほかの要因を調べます。内科や、女性ならば婦人科も適しています。ほかの病気がなく起立性低血圧と判明したら、その原因を調べます。

引用:エーザイ
http://www.eisai.jp/diseases-and-symptoms/detail/pbaid_3_nodeid_149_faqid_239_detail.html

起立性低血圧症の治療方法

立ちくらみを起こしやすい人は、立ち上がるとき、起き上がるときになるべくゆっくりと動くことを心がけます。とくに、入浴中、湯船から上がるときには気をつけてください。疲れやストレスは自律神経の乱れにつながります。規則正しい生活と疲労をためないことも大切です。弾性(だんせい)ストッキングで、下半身の血液が押し上げられるのを助けるのも有効です。

引用:エーザイ
http://www.eisai.jp/diseases-and-symptoms/detail/pbaid_3_nodeid_149_faqid_239_detail.html

平野医院 平野 圭 院長監修ドクターのコメント
立ち上がってフラフラしたり、立ちくらみが起こったら、無理して歩いたりせず、周囲の安全に注意して、なるべくすぐにその場にしゃがんでください。

しゃがむことで血液が体の下のほうへ下がるのを防いでくれます。

横になる場合は、足を上げて寝ると症状が早く治まります。食事に関しては、さほど神経質にならなくてもよいでしょう。

自律神経の乱れから来ることが多いので血圧だけでは判断できず、同じ食事をしていても起立性低血圧症になる人もいれば、血圧が低くても何の症状も出ない人もいます。

低血圧であっても無症状であれば特に食事やアルコールに関して気にする必要はありません。

風呂上がりに起立性低血圧症を起こさないためには、お風呂から出るときに膝から下に水をかけるのをおすすめします。

そうすることによって、自律神経の働きがうまく機能しなくても足の血管を収縮させることができ、起立性低血圧症を予防できます。

起立性低血圧症は自律神経の乱れが主な原因ですので、普段から自律神経を鍛えておくといいでしょう。

一番効果的なのは運動の習慣をつけることです。軽くジョギングをしたり、筋トレをおこなうのも自律神経を鍛えるのに有効です。

激しい運動が難しい人はウォーキングでもいいでしょう。昔からの健康法として知られる乾布摩擦も効果的です。

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