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「インフルエンザ」全国的な流行 46都道府県で流行開始目安超え、新型コロナとの同時流行も

 更新日:2023/03/27
インフルエンザ 46都道府県で流行開始目安超える

1月13日、厚生労働省は約5000の定点医療機関で報告された1月2~8日に報告された1週間のインフルエンザ患者の状況について発表し、山形県以外の46都道府県で流行開始の目安となる1人を超えたことがわかりました。このニュースについて郷医師に伺いました。

郷 正憲医師

監修医師
郷 正憲(医師)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。

インフルエンザの流行状況とは?

厚生労働省が発表したインフルエンザの流行状況について教えてください。

郷 正憲医師郷先生

厚生労働省が1月13日時点で発表した内容によると、約5000の定点医療機関で1月2~8日の1週間に報告されたインフルエンザの患者は2万3139人でした。これは前の週に比べて約2.3倍の規模です。都道府県別に見ると、報告患者数が最も多かったのは大阪府で2462人、次いで福岡県の1895人、東京都の1460人でした。報告患者数が少なかったのは、山形県で34人で最少、その次が秋田県の61人、次に島根県の80人でした。全国の定点医療機関あたりの患者報告数は4.73人と6週連続で増加し、山形県を除く46都道府県で流行開始の目安となる1人を超えました。特に、沖縄県、宮崎県、佐賀県では注意報の基準値である定点医療機関あたりの患者報告数10.0人を上回っている結果が示されました。

インフルエンザの流行時に気をつけることは?

インフルエンザの流行時に気をつけることを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染です。新型コロナウイルスと同じ感染経路であるため、この3年間ずっと言われ続けてきた感染対策が非常に有効となります。手指消毒、手洗い・うがいはもちろん、マスクの着用、他人との接触機会の減少が基本的な対策です。しかし、それだけ気をつけていても、流行期に入ってしまうと、感染するときは感染してしまうこともあるでしょう。一般的な風邪症状でも「インフルエンザかもしれない」と思って、他者に感染させないよう配慮する必要があります。体調が悪ければ自宅でしっかりと療養し、他者との接触をなるべく絶つ方がいいでしょう。医療機関に相談すれば抗インフルエンザ薬が処方されるので受診も選択肢に入りますが、地域によっては発熱患者が受け入れられる外来がかなり少なくなっている地域もあるので、無理をせず自宅で安静にして改善を待つのも選択肢となります。

新型コロナウイルスとの同時流行の懸念は?

現時点のインフルエンザの流行状況をみると、新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されますが、気をつけるべき点を教えてください。

郷 正憲医師郷先生

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行で懸念している点は2つあります。

1つ目は、発熱があった場合に何が原因で熱が出ているのか、考えなければならない病気が増えたということです。新型コロナウイルス流行前であれば、「インフルエンザ陽性なら抗インフルエンザ薬の処方」「インフルエンザ陰性であれば自宅安静」と、ある程度シンプルに診療することが可能でした。しかし、現在は新型コロナウイルスもあるため、鑑別疾患が増えた上に偽陰性の可能性もあるので、方針が非常に複雑化しました。

もう1つの懸念点は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時感染例が増加しているということです。新型コロナウイルスはワクチン接種によってかなり重症化率が減ったとはいえ、肺炎を起こすケースも時折あります。そんなときにインフルエンザも同時に感染してしまうと重篤になってしまい、治療が困難を極めてしまうことが報告されています。

これら2つによって、発熱患者を初療する外来や入院患者を管理するコロナ病床がひっ迫します。そして結果として、ほかの病気や怪我の診療もひっ迫されてしまうことが懸念されますし、既に現場では実際に起こっています。経済活動を止める必要まではないと考えますが、それでも最低限の感染対策であるマスク着用と手指消毒、可能な限りの接触回避が必要だと今一度啓蒙したいと思います。

まとめ

1月13日、厚生労働省が約5000の定点医療機関で1月2~8日に報告された1週間のインフルエンザ患者の状況を発表し、山形県以外の46都道府県で流行開始の目安となる1人を超えたことがわかりました。沖縄県、宮崎県、佐賀県では注意報の基準値も超えており、今後もインフルエンザの流行については注視が必要になりそうです。

この記事の監修医師