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大腸ポリープの症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

大腸ポリープ(読み方:だいちょうぽりーぷ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸の管の中にできた「できもの」のことをいいます。多くはイボのような丸い形、あるいは、平らな形をしています。ポリープ組織の種類によって「炎症性ポリープ」や「過形成性ポリープ」といったがんにならないポリープ(非腫瘍性ポリープ)と、「腺腫」といってがんになる可能性のあるポリープ(腫瘍性ポリープ)に分けられます。
大腸がんは、正常な粘膜から腺腫(良性腫瘍)が生じてそれが悪性化してがんになる場合と、腺腫の状態を経ずに一気にがんになる場合とがあります。前者は、腺腫のうちにそのポリープを取ってしまうことで大腸がんを予防することができます。

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
大腸にできる「いぼ」の様な隆起性の病変を大腸ポリープといいます。いろいろな形があり、大きさも1mm程度の小さいものから数cmまでと様々です。
ポリープの種類には、非腫瘍性のものと腫瘍性のものがあります。非腫瘍性のものには、炎症性や過形成性といわれるものがあります。腫瘍性のものには、大腸ポリープのうち8割以上を占めるとされる腺腫やいわゆる「がん」が含まれます(腫瘍性のものの中には、隆起性の病変だけでなく、陥没した腺腫や、陥凹型のがんも存在しています)。

大腸ポリープの症状

ほとんどの場合、自覚症状はありません。大きいポリープでは下血や出血、腸閉塞を起こすこと、ポリープ自体が肛門から飛び出すことがあります。

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
大腸ポリープの多くは無症状です。一般的に、腫瘍性ポリープ(腺腫)が数年間をかけて徐々に大きくなり、大腸がんに移行していくタイプが大腸がんの9割を占めるといわれています。また近年、過形成ポリープの中でも、サイズが10mmを超える場合などは、腺腫と同様に「がんへの移行リスクの高いポリープ」といわれています。いずれの場合もかなり進行した大腸がんにならないと、血便や腹痛などの自覚症状は出ません。

大腸ポリープの原因

大腸ポリープの原因は、明確にはなっていない部分もありますが、年齢(50歳以上)や大腸がんの家族歴があることは最大の危険因子といわれています。また、動物性たんぱく質や脂肪の摂り過ぎや、食物繊維の不足、肥満、過量のアルコール摂取、喫煙は原因になりうると考えられています。

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
大腸がんの危険因子として、以下のことが言われています。
・年齢(50歳以上)
・大腸がんの家族歴
・高カロリー摂取および肥満
・過量のアルコール、喫煙
特に、血の繋がった自身の親や兄弟、子供などにに大腸がんになった人がいると、そうでない人に比べて2~3倍大腸がんになりやすいといわれています。一方で、予防法としては、適度な運動以外には大腸がん予防に有効な方法はまだ証明されていません(ちなみに食物繊維・果物・野菜などは、予防する可能性があるとはいわれていますが、まだ証明はされていません)。そのため、特に40歳以上になられた方、また40歳以下の方でも親族が大腸がんと診断された方は、定期的に大腸の検査[特に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)]を行い、早期発見に努めることをおすすめしております。

大腸ポリープの検査法

まず、便に血液が混ざっているかどうかを検査して(便潜血検査)、陽性であれば内視鏡による精密検査を行います。また、家族歴や既往歴で大腸ポリープが疑われる場合、あるいはもともと血便や便が細い、腹痛などの症状のある患者さんに対しては内視鏡による精密検査を行います。

内視鏡検査は、内視鏡を肛門から入れて病変を直接観察して、形や大きさだけでなく、血管の模様などから病変の深さや治療が必要かどうかを判定することができます。ポリープが発見されたら、それが放置してよいもの(非腫瘍性)か、治療する必要があるもの(腺腫など)かを確認します。治療が必要と判断された場合は、次にその病変が良性の腺腫か、がんを含む病変(腺腫内がん)かを鑑別します。内視鏡で拡大観察することで見当はつきますが、原則的には病変を切除して、その組織を顕微鏡で確認する(病理組織検査)ことで診断が確定します。

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
大腸ポリープ・早期大腸がんはほとんど無症状です。そのため、無症状な大腸ポリープ・がんの検査法として、近年、便潜血検査や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が主に行われています。
便潜血検査(2日法)は便中の出血の有無をみる検査で、大腸がんに対する感度(がんがある場合に陽性になる確率)は80%程度ですが、簡便・低コストなこともあり、一般の検診において多く普及しています。しかし、ポリープ(腺腫)に対しては特に感度が低く(10%~50%と研究によってばらつきがあります)、便潜血が陰性でも、内視鏡検査でポリープや早期がんが発見されることが多くあります。一方、2-3年毎に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるようにすることで、いずれの病変も早期発見・治療ができる可能性が高いと考えられており、当院でも定期的な内視鏡検査を推奨しております。最低限、便潜血検査で陽性になった場合には、必ず大腸の精密検査【大腸内視鏡検査(大腸カメラ)】を受ける様にしてください。

大腸ポリープの治療方法

内視鏡による治療が多いのですが、ポリープの形や大きさによっては、腹腔鏡下手術や開腹手術になることもあります。

内視鏡の適応となる場合は、大きさが6mm以上の良性のポリープとリンパ節への転移の可能性がほとんどなく内視鏡を使って一括で切除できるがんと言われています。しかし、大きさが5mm以下の良性腫瘍でも、平坦あるいはへこんだ形のものや、がんとの区別が難しい場合には内視鏡治療の適応となります。

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
ほとんどの大腸ポリープは、大腸内視鏡検査中に切除することができます。外来における内視鏡での切除法は、病変の大きさや進行度に応じて、「ホットバイオプシー」「ポリペクトミー」「内視鏡下粘膜切除術」「内視鏡的粘膜下層剥離術」などの方法があります(ちなみに切除する時には痛みは全くありません)。また近年、主に10mm以下で比較的扁平なポリープに対して、熱を使わないコールドポリペクトミーという手術が行われ始めており、これは従来のポリープ切除に比べ、術後出血や穿孔(腸に穴が開く)などの合併症は比較的少ないと報告されています。
切除したポリープは回収し、顕微鏡検査によって種類を診断し、その後の治療方針の参考にします。ポリープが大腸がんであった場合は、顕微鏡検査の結果によっては、追加治療が必要な場合もあります。


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