小児矯正でおすすめの方法は?口腔機能発達不全症にも有効なマイオブレースについて解説
歯並びは見た目だけではなく、子どもの健康にも大きく関わります。子どもの歯並びを治したいけれど、いくつも種類のある矯正方法の中からどれを選べば良いか迷っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では小児矯正でおすすめの方法や、子どもだからこそ気をつけたい口腔機能発達不全症の特徴などを解説します。子どもの歯列矯正を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
監修歯科医師:
鈴木 丈夫(医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科)
日本大学松戸歯学部卒業
2003年5月−2005年9月
ヒロ・ヤマダデンタルオフィス青山
ヒロ・ヤマダデンタルクリニック川崎勤務
2005年9月−2009年3月
アメリカ留学 カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
ワイントロープ骨インプラントサイエンスチーム客員研究員
プリセプタープログラムアドバンスドインプラントロジー1年間コース修了
UCLAインプラントセンターディレクター Dr.Moyに師事
2008年4月
愛知学院大学口腔病理学教室研究員
2009年4月
ヒロ・ヤマダデンタルオフィス青山
ヒロ・ヤマダデンタルクリニック川崎勤務
2013年11月
たけお歯科 開業
2014年3月
歯学博士取得 愛知学院大学歯学部口腔病理学講座
2014年4月
愛知学院大学歯学部口腔病理学講座 非常勤助教
2020年4月
愛知学院大学歯学部口腔病理学講座 非常勤講師
医療法人社団幸育会たけお歯科 開業
2020年6月
にじいろ保育園 西六郷 園医
2021年7月
雑色駅前に移転、医院名変更
雑色駅前おとなこども・たけお歯科開業
2021年10月
ポピンズナーサリースクール西六郷 園医
目次 -INDEX-
不正咬合になる原因は?
不正咬合には様々な種類があります。小児矯正をするにあたって、まず知っておくべき不正咬合の原因を解説します。
口呼吸
人は正常な状態では鼻呼吸が行われています。しかし、口呼吸になることで舌が低く位置し、お顔周りの筋肉(表情筋)を使った間違った飲み込み方に繋がり、上顎の発育が妨げられてしまいます。これにより、顎が狭くなり、大人の歯のスペースが足りない状態となります。つまり上下の歯並びがガタガタになったり、上顎に舌が位置しないことで上顎が小さくなり、相対的に下顎が前に突き出ている「受け口」の状態が生じるなど、歯並びや噛み合わせに様々な影響が及ぶ可能性があります。
舌・唇の癖
舌・唇の癖は不正咬合の原因になります。口腔内において、舌が適切な位置にあることはとても重要です。正確な舌の位置は、舌先が上の前歯の付け根よりも少し手前に位置することです。この位置が維持されないと、舌の圧力によって歯の配置が乱れる可能性があります。
また、上下の唇が離れていて口が開いているのは、正しい状態ではありません。適切な状態は、上下の唇が程よく接触していることで、これが鼻呼吸や嚥下の正確な動作をサポートします。
誤った離乳食
誤った離乳食の与え方も不正咬合の原因になります。赤ちゃんに食事を与えるうえでの重要なポイントは、スプーンで無理に押し込まず、自分の唇で適量を摂るようにすることです。柔らかい食物を選んで、唇を閉じた状態で飲み込みを待ってから次の一口を与えることも大切です。
姿勢の悪さ
姿勢の悪さも不正咬合の原因です。睡眠時にうつ伏せ、横向きで寝ると歯並びに悪い影響を及ぼす可能性があります。
うつ伏せで寝ると、頬骨や下顎に強い圧力がかかり、これが顎や歯の歪みを引き起こすことがあります。また座っている際に頬杖をつくことも歯並びを悪くする代表的な原因の一つです。頬杖をつくことで片側の顎に偏った力がかかり、成長期の顎の形状が変化し、頬杖をついた反対側の顎が圧迫される可能性があります。
3歳以降の指しゃぶり
指しゃぶりの習慣により、上顎の歯列が狭まり、上下の顎の噛み合わせがずれ、出っ歯や開咬(前歯に上下方向の隙間ができる不正咬合)が発生する可能性があります。
この習慣が持続すると、歯や口蓋の正常な成長が妨げられ、不正咬合の進行の原因になります。
遺伝
遺伝も不正咬合の原因にありますが、遺伝の歯並びに対する影響は約2割程で8割は子どもの生活環境(環境要因)が歯並びに影響を与えていると言われています。
口腔機能発達不全症に注意が必要!
子どものお口の健康を考える際には、口腔機能発達不全症に注意が必要です。しかし、口腔機能発達不全症がどのようなものか分からないという方もいるのではないでしょうか。続いて、口腔機能発達不全症の特徴を解説します。
歯並びが悪い
歯並びが悪い場合、歯本来の食物を噛む機能が十分に機能しません。歯並びが悪いと噛み合わせも悪くなり、食べ物を噛み砕けなくなります。ガタガタな歯並びや出っ歯、受け口などの不正咬合がある場合は歯列矯正による治療が必要です。
いびきをかいている
子どもがいびきをかいている場合、口腔機能発達不全症の可能性があります。これは呼吸機能が十分に働いておらず、口呼吸をしているために起きるものです。
口呼吸は歯並びやむし歯などにも影響する可能性があり、口腔内の健康を保つためには鼻呼吸が正しい呼吸方法とされています。しかし、鼻腔の通りが悪く鼻詰まりや鼻炎がある場合には口呼吸が常態化し、いびきをかくことにもつながります。
鼻づまりや鼻炎などの鼻閉がない状態でいびきをかいている場合は、口呼吸が常態化している可能性が高いため、口呼吸を改善する治療が必要です。
ポカンと口を開けている
子どもがポカンと口を開けている場合も、口腔機能発達不全症の可能性があります。常に口が開いているポカン口は口唇閉鎖不全といい、口周りの筋肉が十分に発達していない状態です。口周りの筋肉が弱いと、口呼吸や食べこぼしをしやすくなるといった問題があります。
また、舌の筋力も弱い場合は正しい発音がしにくくなり、特にパ・タ・カ・ラ・サ行がうまく言えないなどの問題が発生します。ポカンと口を開けている場合は口周りの筋肉を鍛えるトレーニングや滑舌を良くするトレーニングを行うことで改善を目指しましょう。
食べるのが早い(噛んでいない)
食べ物を十分に噛んでおらず、食べるのが早い場合も口腔機能発達不全症が関係している可能性があります。歯並びが悪かったりむし歯があったりして歯の機能が損なわれている場合や、口周りの筋肉が弱く噛む力が十分に備わっていない場合、食べ物を十分に噛まずに飲み込んでしまいます。
十分に咀嚼ができていないと、喉に詰まりやすくなったり消化器官に負担がかかったりします。食べ物を十分に噛んでいない場合は、まずは歯の成長や機能に問題がないかを確認し、問題があれば治療を行います。
また、歯科医師の指導のもとよく噛んで食べるように心がけ、改善を目指しましょう。
食べるのが遅い(飲み込めない)
食べるのが遅い場合も、口腔機能発達不全症の可能性があります。食べ物がなかなか飲み込めない場合、咀嚼が十分にできない、飲み込む力が弱い、飲み込む際に舌を前に押し出す癖があるなどの原因が考えられます。
まずは子どもが食べるのが遅い原因を特定し、歯の治療や嚥下訓練など原因にあった治療を受けましょう。また、場合によっては全身疾患が関係しているケースもあります。専門の医師に相談のうえ、適切な治療を受けることが大切です。
鼻詰まりが治らない
口腔機能発達不全症には、鼻づまりが治らないことが関係しているケースもあります。先述したように正しい呼吸方法は鼻呼吸とされていますが、鼻詰まりがあると口呼吸をせざるを得なくなります。鼻詰まりが治らない状態が続けば、口呼吸が定着してしまう可能性は高くなるでしょう。
鼻づまりが治らない場合、上顎(うわあご)の発育が不十分な可能性と鼻に疾患がある可能性があります。鼻腔は上顎骨に囲まれており、上顎の発育が不十分だと、鼻腔が狭くなり鼻腔の通りが悪くなるため口呼吸となっていることもあります。その場合は、上顎の発育を正しく促してあげる必要があります。また、鼻疾患で鼻腔の通りが悪く口呼吸を行っている場合は、耳鼻科での治療が必要です。
ぼーっとしている
子どもがぼーっとしていることが多い点も、口腔機能発達不全症の特徴です。
口呼吸をしている場合、口腔内が乾燥してむし歯になりやすくなるなどの問題のほかに、眠りが浅くなったり集中力や注意力が低下したりする傾向が見られるようになります。
日中ぼーっとしていることが増えてしまい、就学児の場合は勉強に集中できずに成績不振に陥ってしまうケースもあるでしょう。
口腔機能発達不全症を放置するとどうなるの?
口腔機能発達不全症は歯並びなどの口周りだけの問題ではなく、子どもの成長や体全体の問題にも深く関係しているため早めの治療が必要です。続いて、口腔機能発達不全症を放置した場合に考えられる問題をみてみましょう。
栄養が行き届かない
口腔機能発達不全症を放置した場合、栄養が行き届かなくなる可能性があります。食事の際にしっかりと噛んで食べていれば、食べ物を小さく噛み砕くだけでなく、唾液に含まれているアミラーゼが糖の分解を助けてくれます。しかし、十分な咀嚼をしないまま食べ物を飲み込むと唾液の作用が十分に働きません。
また、噛み砕かれていない食物の消化は胃腸に負担がかかるため、十分に消化できない可能性も高まってしまいます。これにより栄養の吸収率が悪くなってしまい、栄養が行き届かなくなってしまうのです。
栄養が行き届いていない場合、体重が増えず痩せぎみになったり逆に肥満になったりします。食事の内容は問題ないのに体の発育に問題が見られる場合は、口腔機能発達不全症が関係しているケースもあるため注意が必要です。
姿勢が悪くなる
口腔機能発達不全症を放置すると、姿勢が悪くなる可能性もあります。口呼吸や歯並びが悪い状態を放置していると、顔周りの筋力が落ちてしまい顎のバランスが悪くなったり、頭を十分に支えられなくなったりします。また、口呼吸で顎が小さくなることで気道が狭くなります。それによって、無意識に気道を広げ呼吸をしやすくする姿勢をとります。これにより猫背など姿勢が悪くなってしまうのです。
また、しっかりと噛むことには口周りの筋肉を鍛えるだけでなく、足のヒラメ筋や前脛骨筋肉の伸張反射を高める作用もあります。これにより安定した姿勢を保ちやすくなるため、日頃からしっかりと噛んで食べることを意識しましょう。
集中力が続かなくなる
口腔機能発達不全症を放置すると、集中力が続かなくなる可能性もあります。先述したように、口呼吸をしていると眠りが浅くなり日中ぼーっとしていることが増えてしまいます。
また、噛むことは脳の活性化にもつながっている重要な動作です。しっかり噛んでいないと脳が活性化されず、学習能力や記憶力にも影響が出てしまいます。
風邪をひきやすくなる
風邪をひきやすくなることも、口腔機能発達不全症を放置することで考えられる問題の一つです。唾液には食物の消化を助ける作用のほかにも、ウイルスなどから体を守る抗菌・抗ウイルス作用も持っています。口呼吸をしていると口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の作用が十分に働かなくなってしまうのです。
さらに、口呼吸では鼻呼吸のように鼻毛のフィルターがないため、ウイルスや細菌が直接、喉から侵入してしまい、風邪をひきやすくなってしまいます。
また、栄養が十分に行き渡らなくなると体全体の免疫機能が低下してしまいます。これらの理由により風邪を引きやすい状態になってしまいます。
小児の歯並び改善に有効なマイオブレースとは?
小児の歯並びを改善するには、口腔機能発達不全症も意識した治療を行うことが大切です。マイオブレースは、歯並びと口腔機能発達不全症のどちらも改善が期待できます。
マイオブレースとはどのような治療方法なのかみてみましょう。
オーストラリアで誕生した矯正方法
マイオブレースは、オーストラリアで誕生した矯正方法です。従来の悪くなった歯並びに対して行う矯正方法ではなく、歯並びに影響する原因を取り除くことを目指します。
口呼吸や舌の癖、飲み込みの癖など、歯並びに影響する原因を取り除き、悪くなってしまった歯並びを改善する治療方法です。
全身の健康に良い影響を与えることや、抜歯やワイヤー矯正の必要がないこと、矯正後に後戻りしにくいことなどがメリットで、デメリットとしては、自宅で行う内容が多いため子どものやる気・家族の協力が必要となることや、毎日トレーニングを行う必要があることなどが挙げられます。
約2年間のプログラムとなっていて、日中1〜2時間と就寝時にマイオブレースを装着し、呼吸や舌、飲み込みのトレーニングなども行います。
費用相場は440,000〜495,000円(税込)程で、基本的に月1回の来院で、治療期間は2~3年、治療回数は24~36回となります。
マウスピースとトレーニングを活用した矯正方法
マイオブレースは、マウスピースと口腔に関するトレーニングを組み合わせて矯正を行います。口呼吸を改善するための口周りの筋肉を鍛えるトレーニングのほか、舌を前に押し出すなどの癖の改善を目指します。
それと並行してマウスピースにより、口腔環境全体を改善するのです。マイオブレースでのマウスピースの装着時間は通常のマウスピース型矯正よりも短く、矯正装置による負担が軽減されます。
小児矯正なら医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科に相談を
子どもの歯や体全体の健康を保つには、口呼吸や舌の癖なども考慮することが大切です。
医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科ではマイオブレースによる矯正治療が受けられます。子どもの歯列矯正を考えている方は、ぜひ雑色駅前おとなこども・たけお歯科へご相談ください。
オーストラリア発の矯正方法であるマイオブレースを導入
医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科では、マイオブレースでの矯正治療を行っています。マウスピースとトレーニングによって歯並びを矯正するだけでなく、口呼吸や舌の癖、飲み込みの癖などを改善していきます。
トレーニングは、日頃から継続して取り組むことが大切です。口腔内の状態や癖に合わせてトレーニングメニューを設計しており、マウスピースと組み合わせることで口腔機能の強化や歯並びの改善を目指します。またMyobrace® Member 加盟歯科医院であり、マイオブレースを行うための適切な環境が整っています。
マイオブレース治療専用のトレーニングルームを完備!
医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科は、マイオブレース専用のトレーニングルームやキッズルームを完備しており、専門のトレーナーが毎日の治療に対応します。
小児矯正以外にも、むし歯治療や予防治療などを行う小児歯科や口育にも取り組んでいます。
子どもの成長や健康を守るためにも、ぜひ一度医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科へご相談ください。
医療法人社団 幸育会 雑色駅前おとなこども・たけお歯科の基本情報
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