「子どもの歯並び」は何歳までに治すべき? 保護者必見“小児矯正のチェックポイント”を歯科医が解説!
子どもの歯並びについては「いつ頃・どんなところに気をつけるべき?」「矯正は早めに始めた方がいい?」など、保護者の疑問は尽きません。そこで、子どもの歯並びのチェックポイントや受診の目安、治療のタイミングなどを、「さくらぎファミリー歯科」の櫻木先生に解説していただきました。
監修歯科医師:
櫻木 慎也(さくらぎファミリー歯科)
所属は日本歯周病学会、日本先進医療機関JIADS(The Japan Institute for Advanced Dental Studies)ほか多数
目次 -INDEX-
子どもの歯並びは何歳頃・どんなところに注目すべき? 乳歯の時期にチェックしておきたいポイント
編集部
子どもの歯並びは、何歳頃から気にした方がいいのでしょうか?
櫻木先生
目安としては3歳頃、乳歯が全て生えそろった時期あたりから気にし始めるのが好ましいでしょう。この時期から定期的に歯科医院を受診し、レントゲンを撮りながら今後の成長の見通しや潜在的なリスクについて相談しておくことをおすすめします。
編集部
歯科医院では、具体的にどのようなことを確認するのでしょうか?
櫻木先生
永久歯の本数、歯の向きと位置が適切かなどを確認します。仮に治療が必要な場合、本格的に始めるのは6~7歳頃、前歯が永久歯に生え変わる時期です。そのため、遅くとも6歳までには一度歯科医院で診てもらいましょう。早期の確認と対応が、将来の歯並びの問題を予防するカギとなります。
編集部
「歯並びが悪い」と一口にいっても様々なパターンがありますが、乳歯の時期に気をつけたい歯並びはありますか?
櫻木先生
乳歯の段階で特に気をつけたいのは、骨格に関係する歯並びの問題です。例えば「出っ歯」や「受け口」のように上下の顎のバランスが崩れているケースや、下顎が片側にずれている「交叉咬合」などが挙げられます。
編集部
ほかにも、乳歯の時期に注意したい症状はありますか?
櫻木先生
前歯が噛み合わない「開咬」や、噛み合わせが深く下の歯が見えない「過蓋咬合」なども要注意です。これらは将来的に顔の形や噛み合わせに影響を与える可能性があるため、早期の発見が重要です。また、生まれつき本数が足りない「先天欠損」や、2本の歯がくっついている「癒合歯(ゆごうし)」なども、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
編集部
日常生活のなかで、気をつけておきたいポイントはありますか?
櫻木先生
子どもの歯並びに影響を与える、「悪習癖」にも注意が必要です。具体例として、指しゃぶりや口を開けたままの状態(ポカン口)、舌が低い位置にある状態(低位舌)、舌で歯を押す癖(舌癖)などがあります。これらの口腔習癖は、長期間続くと顎の形や歯の位置に影響を与え、将来的に歯並びや噛み合わせを悪くします。同様に、姿勢の悪さや、あまり噛まずに飲み込む習慣にも注意が必要です。
永久歯への生え変わりで保護者が注意したいポイントと将来的なリスク
編集部
乳歯から永久歯に生え変わる時期に、保護者が気をつけて観察しておきたい点はありますか?
櫻木先生
まずは、永久歯の生える順序や位置を注意深く観察してください。例えば、永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けず、歯列が二重になってしまうことがあります。自然に解消されることもありますが、長期間続くと歯並びに影響する可能性があるため注意が必要です。
編集部
そのほかに、注意すべき点はありますか?
櫻木先生
永久歯が生えるスペース(すき間)が足りない場合も要注意です。永久歯の生える位置がずれていたり、歯がねじれて生えてきたりする場合は、スペース不足の可能性があります。このような状態は、自然に改善しにくいので、歯列矯正でスペースを確保する必要があります。したがって、少しでも気になる点があれば、気づいた段階で歯科医に相談しましょう。
編集部
歯並びが悪いと、子どもの健康や発達にも何かしら影響が出てしまうのでしょうか?
櫻木先生
歯並びの悪さは、子どもの健康や発達に様々な影響を及ぼす可能性があります。最も分かりやすいのは、見た目への影響です。歯並びの良い子どもとそうでない子どもを比べた場合、やはり歯並びが良い子どもの方が見た目は整っているのは否めません。
編集部
見た目以外には、どのような影響が考えられますか?
櫻木先生
健康面においても、大きな影響があります。まず、歯並びが悪いと歯磨きが難しくなるため、将来的に歯周病やむし歯のリスクが高まるでしょう。その結果、大人になってから歯を失うリスクも相対的に上昇します。さらに、噛み合わせが悪くなってしまうと、食べ物を噛みにくくなったり、顎の関節に不調が出たりする可能性もあります。
子どもの矯正治療は何歳から? 子どものうちに矯正を始めるメリットとは?
編集部
子どもの歯並びは、何歳から治療できるのでしょうか?
櫻木先生
治療の内容によって開始年齢は異なります。例えば、受け口の治療であれば3歳から始めることもあります。受け口は舌の位置や呼吸の仕方などが影響するため、早い時期に対応することで、早期の改善が期待できます。
編集部
では、そのほかのケースはいつ頃始めるのがおすすめですか?
櫻木先生
歯列を広げて永久歯の生えるスペースを作る治療は、およそ7歳頃から始めるのが一般的です。主に「拡大床」と呼ばれる装置を使用して治療します。ただし、歯並びの状態や治療の種類によって適切な開始時期が異なるので、具体的な時期については詳しい検査を受けた後、保護者と相談しながら決定しています。
編集部
矯正治療が必要と判断された場合、子どものうちに治療しておく方がいいのでしょうか?
櫻木先生
可能であれば、子どものうちに矯正治療を始めた方がいいと考えます。子どもの時期は成長が著しいので、その成長を利用して治療できるメリットがあります。
編集部
具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか?
櫻木先生
子どものうちに矯正を始めると、将来的に大人の矯正が必要になっても、歯を抜かずに済むケースがほとんどです。仮に大人の矯正をしなかったとしても、重度の歯のガタつきを軽度で済ませられる可能性も高くなります。さらに、治療期間を短縮できたり、費用負担を抑えられたりするメリットもあります。ただし、経済的な面で難しい場合もあるので、ご家庭の状況に応じて検討することが重要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
櫻木先生
子どもの歯並びについて少しでも気になることがあれば、まずは歯科医院に相談することをおすすめします。子どもの現状や発達段階を知り、今後の対応を理解しておくことは非常に大切ですし、相談だけならそれほど費用もかかりません。専門家に相談することで、治療のタイミングや必要性をしっかりと見極めることができるでしょう。ぜひ本記事を参考に、子どもの健やかな成長のために、早めの相談と適切な対応を心がけていただければと思います。
編集部まとめ
子どもの歯並びについては、早ければ3歳頃から注意を払い、遅くとも6歳までには歯科医院で一度詳しい検査を受けておくことがおすすめとのことでした。歯並びの悪さは見た目だけでなく、将来的なむし歯や歯周病のリスク、さらには歯を失うリスクにつながります。子どもの健やかな成長のためにも、気になることがあれば躊躇せずに、早めに歯科医院を受診しましょう。
医院情報
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診療科目 | 歯科 |