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犬歯を削るとどうなるの?犬歯の役割・失った場合の対処法・八重歯との違いについて解説

 公開日:2023/06/08
斜め下から見た笑顔の女性

他の歯よりも尖っていることの多い犬歯は、食べ物を噛み切るだけではなく他に重要な役割を担っている歯です。

尖っていることにも理由がありますが、人によっては尖りすぎていると感じてコンプレックスになっていることもあります。

尖りすぎている犬歯を削った場合には、どのような影響があるのでしょうか。

今回は犬歯を尖った時の影響や犬歯の役割などをご紹介します。

古田 博久

監修歯科医師
古田 博久(歯科医師)

犬歯を削るとどうなる?

歯のレントゲンを説明する医師
食べ物を噛み切る役割を担っている犬歯は、歯の先が他の歯よりも尖っている傾向にあります。
詳しくは後述しますが、犬歯は顎の動きをコントロールして奥歯を守る役割も担っている歯であり、顎や歯の健康を守るために重要な歯でもあります。
しかし噛み合わせや遺伝などの影響から犬歯が尖っていることが目立つ場合もあり、尖った犬歯が気になるという方もいることでしょう。
犬歯を削ると、犬歯が本来持っている力が弱まってしまう他に、別のトラブルが起こる可能性もあります。
例えば、犬歯と隣の歯の間を削ることで歯そのものの幅が小さくなるため、隣り合う歯との間に隙間ができます。
この隙間に食べ物が挟まりやすくなり、虫歯や歯周病などのリスクができてしまうでしょう。
その他にも犬歯を削った場合特有の影響もさまざまにあります。

犬歯を削った時の影響

顎を押さえる女性
犬歯は噛み合わせの悪さや顎の成長不足などのさまざまな要因で尖ったままになっている可能性があります。
その尖ってしまった犬歯を削るとどのような影響があるのでしょうか。
続いては犬歯を削った時に考えられる影響を解説します。

上下の歯がこすれるようになる

犬歯を削った場合、上下の歯がこすれやすくなるという影響があります。
犬歯は他の歯よりも強い力で噛むことができるため、食べ物を噛み切る際に重要な役割を担っています。
犬歯は他の歯へ負担がかからないよう、縦方向に顎を動かすように顎をコントロールしていますが、平らにするとそのコントロールが十分に働かなくなってしまうのです。
それによって、下アゴを動かしたときに犬歯以外の上下の歯がこすれるようになり、歯全体に負担がかかってしまうことが考えられます。

顎の動きが不安定になる

犬歯を削ることで、顎の動きが不安定になってしまうことも考えられます。
犬歯は顎の動きをコントロールする役割を担っていますが、特に下顎が横方向にずれないようにする働きをもっています。
これは他の歯が横方向の力に弱いことが理由です。
歯を噛み合わせた際に、横方向に動かそうとすると犬歯がひっかかる感覚を感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
これは犬歯が顎の横方向の動きを制御しているからであり、削ってしまうとこの働きがなくなってしまいます。
それによって顎が左右に動きやすくなってしまい、顎の動きが不安定になってしまうと考えられます。

見た目への影響がある

犬歯は「八重歯」と表現されることもあり、笑った際に口角に尖った犬歯が見えることをかわいいといわれることもあります。
削ることで犬歯が尖っている部分が見えなくなるため、見た目の印象が変わることが考えられます。
ただし、後述しますが八重歯として犬歯が見えている場合は歯並びの悪いことが原因だと考えられるため、矯正治療などが必要な場合もあるでしょう。

犬歯の役割

白い歯を指差す女性
ここまで犬歯を削った際に考えられる影響を解説してきました。
犬歯は本来どのような役割を担っている歯なのでしょうか。続いては犬歯の役割をご紹介します。

食べ物を噛み切る

サラダを食べる女性犬歯の役割の1つが食べ物を噛み切ることです。
犬歯は他の歯よりも歯根部分の強度が強く、強い力で食べ物を噛み切ることができます。
奥歯は食べ物をすり潰す動きをしますが、犬歯は食べ物を切り裂く動きをします。
この両者の動きがあることで食べ物を効率よく噛むことができるのです。

奥歯を守る

奥歯を守ることも犬歯の役割の1つです。
前述したように、犬歯は強い力で食べ物を噛み切ります。
食べ物を噛み切る際には、それぞれの歯には縦方向に働く力と左右に動かして食べ物をすり切る力が働きます。
奥歯はこの左右に働く力に弱い歯です。そのため、左右に動かして噛み切る際には犬歯のみが噛み合い、奥歯にその力がかかりすぎないように守っているのです。

顎がずれるのを防ぐ

奥歯を守ることも犬歯の役割の1つです。
犬歯は顎がずれるのを防ぐ役割も担っています。
下顎骨は筋肉や靱帯によって頭蓋骨につながっています。
その不安定になっている下顎を支え、顎の位置がずれることを犬歯が防いでいるのです。
犬歯は他の歯よりも歯根部分が長く、強度が強い歯です。
強く噛み切る力が犬歯にかかると顎の筋肉へ緊張が伝わり、下顎が縦方向に動くように誘導します。
これによって顎の動きが正常になり、顎がずれることを防いでいるのです。

噛み合わせをよくする

犬歯は噛み合わせをよくする役割も担っている歯です。
犬歯は前歯と奥歯のちょうど中間に位置する歯であり、噛み合わせの目印となっています。
そのため、犬歯が正しい位置にあることで全体の噛み合わせが整いやすくなるのです。
食べ物を噛み切る際、顎は縦方向と横方向に動きます。
ただし奥歯が左右の力に弱いように、歯は横方向からの力には弱い傾向があります。
犬歯が下顎の動きを誘導する働きをしていることで、他の歯に横方向の力が過度にかかるのを避けているのです。

犬歯を失った場合の対処法

歯の治療風景
犬歯は重要な役割を担っているため、犬歯を失った場合には噛み合わせなどに影響がでます。
そのため犬歯を失った場合にはそれを補完する治療を受けることがおすすめです。
続いては犬歯を失った場合の対処法について解説します。

部分入れ歯

歯の模型と治療器具
犬歯を失った場合の対処法の1つが、部分入れ歯を入れる方法です。
部分入れ歯はその名の通り部分的に失った歯を人工歯によって補うものです。
装着部分には食べ物が間に挟まりやすい傾向があるため、歯磨きなどを丁寧に行う必要がありますが、取り外しが簡単に行えるため、歯磨きなどの際には取り外してきれいに磨けます。
それによってきれいな状態を保つことができるため、歯周病などの別のリスクを回避できるでしょう。
ただし部分入れ歯は噛む力があまりに強くかかると壊れてしまう場合があります。

ブリッジ

犬歯を失った際には、ブリッジという固定式の人工歯で対処する方法もあります。
支えとなる歯は残したままでその上に人工歯を被せる治療方法であり、症例によっては保険適用での治療が受けられる対処法です。
部分入れ歯は取り外しが可能ですが、ブリッジは固定式のため一度装着したらあとは他の正常な歯と同様に歯磨きなどでメンテナンスを行います。
毎回取り外して洗う必要のある部分入れ歯より手間がかからないでしょう。ただし、ブリッジの装着時には装着する部分の左右の歯を削る必要があります。
また、支えとなる歯に負担がかかる場合もあるため注意が必要です

インプラント

インプラントは歯根から人工のものを使用した対処法です。
ブリッジの場合は本来の歯を残して支えとし、その上に人工歯を被せます。
インプラントでは歯のない部分に、人工歯根を埋め込んだ上に人工歯を被せる治療方法です。
ブリッジのように周囲の歯を削る必要がない治療であり、また人工歯根が支えとなるため根元への負担がかからずしっかりと噛むことができるでしょう。
ただしインプラントの場合は自由診療となるため、治療費が高額になる傾向にあります。
また、治療では歯根の埋め込みのため手術を行う必要があることにも注意しましょう。

犬歯と八重歯の違いは?

笑顔の女性の正面
犬歯と八重歯は、歯としては同じものを指しており、犬歯が外側に飛び出している歯並びのことを八重歯といいます。
犬歯は前歯から数えて3番目に当たる永久歯のことを指しており、ちょうど笑った時には口角のあたりに見える位置にある歯です。
それが外側に飛び出している、いわゆる叢生の状態になっていると八重歯と表現されます。
「八重歯がかわいい」といわれることもありますが、歯並びとしては正常ではない状態であり、噛み合わせが悪いなどの問題を抱えている場合があります。
叢生の程度によっては矯正治療を行ったほうが良いケースもあるため、犬歯の歯並びが気になる場合は歯科医に相談しましょう。

尖った犬歯が気になるなら整えてもらうことも可能

歯の模型を指差す女性医師
尖った犬歯が気になる場合には、犬歯を削って整えてもらうことは可能です。
その際には尖っている歯の先を削り、平らな形へと調整します。この際、削るのは歯の表面のエナメル質の部分のみです。
ただしエナメル質は歯を守っている組織であり、人体においてもっとも固い組織でもあります。
エナメル質の下にある象牙質が露出すると知覚過敏などの症状を引き起こす可能性があります。
そのため削れる範囲には限りがあり、必ずしも理想通りの形に整えられるわけではありません。
尖った犬歯が気になる場合には、歯科医に相談して削るリスクも把握しておきましょう。

犬歯を削る影響について詳しく知りたいなら

カルテへの記入
前述したように、犬歯の尖っている部分を削ることは可能です。
しかし、削って象牙質が露出した場合には別のリスクが発生することがあります。
犬歯を削る際にはエナメル質のみを削って形を整える必要がありますが、それでは思っていたほど平らにならないケースもあるでしょう。
その場合は、犬歯を大きく削って人工歯を被せる補綴治療セラミッククラウン等)を検討する方法もあります。
ただしこれは健康な状態の歯を削ることになります。
また、補綴治療にもメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴を理解した上で検討しましょう。
こうした犬歯を削る影響や削る場合の治療方法が知りたい場合は、専門の歯科医へ相談することをおすすめします。
犬歯の状態によっては希望する治療が受けられなかったり、別の治療方法の方が有効だったりする場合もあります。
専門の歯科医へ相談した上で、さまざまな選択肢の中から治療方法を選びましょう。

編集部まとめ

座って歯を指す女性
犬歯は噛み合わせや他の歯を守るために重要な役割を担っている歯です。

そのため、歯並びが悪かったり欠損してしまっていたりする場合には、犬歯の役割を補うための治療が必要となります。

犬歯の先が尖っているのは食べ物を縦方向に噛み切るためではありますが、場合によっては尖りすぎているとコンプレックスを感じてしまう方もいることでしょう。

犬歯についてお悩みなら専門の歯科医へご相談ください。犬歯を削る方法の他にも、お悩みを解決できる可能性があります。

犬歯を削ることによる影響も考慮した上で治療方法を検討してみましょう。

この記事の監修歯科医師