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奥歯がない場合の治療法のメリット・デメリットや選び方のポイントを詳しく解説!

 公開日:2026/02/07
奥歯がない場合の治療法のメリット・デメリットや選び方のポイントを詳しく解説!

むし歯や歯周病など、何かしらの理由で奥歯がない状態になってしまった場合でも、さまざまな治療法で噛み合わせを回復させることができます。
この記事においては、奥歯がないことがどのようなリスクにつながるのかや、奥歯の噛み合わせを補う治療法それぞれの特徴などについて、詳しく解説します。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

奥歯がないまま放置するリスク

奥歯がないまま放置するリスク
奥歯は、歯磨きが届きにくいことや直接目視で状態を確認しにくいことなどからむし歯などのトラブルが生じやすい歯です。むし歯の状態が見えにくいため、気が付いたらむし歯が重症になってしまうこともあります。
また、前歯よりも噛む力が強いことから歯や歯茎に負担がかかりやすく、歯の破折などが引き起こされることもあります。
こういった原因で奥歯が抜歯になる場合、基本的には後述するような奥歯の噛み合わせを補う治療が提案されますが、治療を受けずに放置していると、下記のようなリスクがあります。

噛み合わせの悪化による影響

歯は、上下の向かい合う歯が揃ってはじめて噛むという機能を果たすことができます。上下のどちらかでも奥歯が抜けた状態になると、当たり前のことではありますが、その部分でものを噛むことができなくなります。
これだけでも噛み合わせの悪化による影響が生じますが、奥歯がなくなってスペースが空いてしまうと、周囲の歯が空いたスペースに移動したり、倒れこんだりしてしまう可能性もあります。そのため、連鎖的に周囲の歯の噛み合わせまで悪化していき、歯全体の噛み合わせ不良へとつながります。

ほかの歯への負担増加による影響

奥歯は、ヒトの歯のなかでも特に強い咬合力を発揮する歯です。その奥歯が欠損してしまうと、本来であればなくなってしまった歯も含めて分散していた力が、残っているほかの歯にかかるようになってしまい、過剰な負担がかかりやすくなります。
歯にかかる負担が増大すると、歯茎へのダメージから歯周病が進行しやすくなったり、歯の破折が生じやすくなったりする可能性があります。

咀嚼不良による消化機能への影響

奥歯は、咀嚼で食べ物を細かくすりつぶし、消化や吸収をしやすくするための機能を持ちます。奥歯がない状態の場合は咀嚼でしっかりと食べ物を細かくできないため、食事による消化がしにくくなり、胃や腸といった消化器官に負担がかかりやすくなります。
消化や吸収がしにくくなることで食事による栄養摂取が不十分になり、全身の代謝低下などにつながる可能性があります。

見た目や発音への影響

奥歯はお口を開いたときに見えにくい部位ではありますが、大きくお口を開いた場合などに、奥歯がないことが目立ってしまう可能性があります。
また、奥歯がないことで歯並びの変化などが生じると、顔貌も変化する場合があります。歯がない場所の骨は痩せてしまいやすいため、骨がやせることで老けてみえることもあります。
さらに、奥歯がない部分から空気が漏れるなどして、発音にも影響が生じる場合があります。

奥歯がない場合の治療法

奥歯がない場合の治療法
奥歯がない場合に行われる治療法は、大きくわけて入れ歯、ブリッジ、インプラント、そして歯の移植という4種類です。
ここでは、それぞれの治療法について、特徴やメリット・デメリットを紹介します。

入れ歯治療

入れ歯は任意でつけ外しが可能な人工の歯(義歯)で、一部の歯の欠損を補うための部分入れ歯と、全体の歯がなくなってしまっている場合に対応する総入れ歯があります。
ほかの歯が残っていて奥歯がない場合は部分入れ歯による治療が行われ、食事の際や会話の際などに入れ歯をはめることで、奥歯の機能を一時的に回復させることができます。

治療の特徴

入れ歯は保険診療で受けることができる治療法の一つで、奥歯がない場合の治療として、症例や患者さんの状態などによらずに利用しやすい方法です。
保険診療で作成する場合、白い人工の歯に床と呼ばれる歯茎のようなパーツと、残っているほかの歯に引っかけて入れ歯を安定させる金具がついた構造の入れ歯を作成します。
なお、保険診療の入れ歯は金具の存在により見た目が不自然になりやすいことや、安定感が弱く強い噛み心地が得にくいことなどから、自費診療でより品質にこだわった入れ歯を作成することがあります。自費診療の場合は金具がなく見た目が自然なものや、より安定感が高い入れ歯を作ることもできます。

メリット・デメリット

入れ歯のメリットは、治療による負担が小さいことです。奥歯がない場合に行うほかの治療法は歯を削ったり、手術をしたりといった対応が必要ですが、入れ歯はこういった治療による負担がありません。
そのため、手術による負担が心配なご高齢の方などでも治療を受けやすく、保険診療で費用も抑えることができるため、手軽に利用しやすい治療法といえます。

その一方で、入れ歯はほかの治療法よりも安定感が得にくく、噛む力が弱くなりやすい点がデメリットです。また、入れ歯は天然の歯と一緒に歯磨きでのケアが行えず、専用のブラシや洗浄剤で掃除を行うなど、お手入れの手間が増える点もデメリットと感じる可能性があります。

ブリッジ

ブリッジは歯が欠損している箇所の両隣にある歯を土台として固定する人工の歯で、歯がない部分に橋をかけるような治療法であることからブリッジと呼ばれます。

治療の特徴

ブリッジは入れ歯と同様に保険適用が可能な治療法で、歯の欠損が1本または2本連続している場合に利用可能です。欠損している歯の両隣にある歯に固定するという性質から、隣り合う歯がない一番奥の歯の治療には利用できません。
従来、ブリッジは銀歯と硬質レジン前装冠と呼ばれるタイプのみが保険適用でしたが、2018年から高強度硬質レジンブリッジが保険適用になり、白い歯の治療を受けやすくなりました。
入れ歯のように任意でつけたり外したりすることはできず、歯科医院で歯にしっかり固定されるため、しっかりとした噛み心地を実現しやすい点が特徴の治療法です。

メリット・デメリット

ブリッジは、隣り合う歯に接着して固定するため、歯の安定感があり強い噛み心地を実現しやすい点がメリットの治療法です。
保険適用で作る入れ歯のような金具もなく、白い歯の治療が可能であることから、見た目も自然な治療を行えます。
保険診療で受けることができるため、経済的な負担が小さい点もブリッジのメリットといえるでしょう。

ただし、ブリッジは隣り合う歯がしっかりと残っていなければ治療を行うことができないため、欠損している歯の位置や歯の健康状態によってはそもそも受けることができません。
また、治療の際に両隣の歯を削る必要があり、健康な歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。
ブリッジの治療を行った部分は天然の歯と同じように歯磨きでケアすることができますが、天然の歯と違ってブリッジは歯茎との間に隙間が生じるため、汚れが蓄積されやすく、歯周病などのトラブルにつながりやすい点もデメリットといえるでしょう。

インプラント治療

インプラント治療は、歯を支えている歯槽骨にチタンなどで作られた人工歯根を埋め込み、それを土台として被せ物を行う治療法です。

治療の特徴

インプラント治療は金属製の人工歯根を歯槽骨に固定して土台にするため、天然の歯と近い噛み心地を実現しやすく、奥歯がない場合を含めてどの部分の歯で合っても対応可能な治療法です。
基本的に保険適用とならず、自費診療で受ける必要があるうえに、人工歯根を埋入する手術が必要になるため費用面の負担が大きくなりやすいという特徴があります。
一方で、そもそもが自費診療であるため見た目にもこだわりやすく、天然の歯と近い自然な見た目を実現しやすい点も、インプラント治療の特徴です。
なお、インプラント治療は顎骨の量が十分にないと行うことができず、歯周病で歯槽骨が減少して歯が抜けてしまったような場合は、骨造成などの対応を行わないと治療を受けることができません。

メリット・デメリット

インプラント治療は、天然の歯に近い噛み心地と見た目を実現しやすい点が大きなメリットです。天然の歯と同じように歯槽骨に対して歯を固定するため、強く噛みやすいだけではなく、噛んだ際の刺激が顎骨に伝わり、自然な感覚で食事を楽しむことができます。
1本1本独立した歯として治療が行えるため、どの歯の欠損でも対応できる点もメリットといえるでしょう。

デメリットは費用面や手術によるさまざまな負担の大きさで、自費診療かつ大がかりな手術が必要なため、経済的にも身体的にも負担が大きい治療です。また、手術で埋め込んだ人工歯根がしっかりと固定されるまでに数ヶ月待つ必要があるため、治療に時間がかかる点もデメリットといえます。

歯の移植

奥歯がない場合の治療法の一つに、自分自身の歯を移植する、自家歯牙移植というものがあります。

治療の特徴

自家歯牙移植は、主に親知らずの歯を奥歯がない部分に移植する治療法です。
親知らずは噛む機能として働いていないことが多く、健康な状態で残っていれば移植して使用することができる場合があります。
自家歯牙移植は保険適用で行える治療法です。

メリット・デメリット

自家歯牙移植における最大のメリットは、天然の歯をそのまま使い続けることができる点です。天然の歯であるため見た目が自然であることはもちろん、再石灰化の機能などがあるため、しっかりケアを続ければ長期的に良好な状態を保ちやすいといえます。
また、歯と歯槽骨の間に歯根膜のクッションがあるため、インプラントよりもさらに自然な噛み心地を実現できます。
保険適用で受けることができるため費用負担も抑えることが可能で、必要に応じて移植後に歯列矯正を行うこともできます。

デメリットはそもそも治療が難しいことや、移植に適している歯が残っていないと治療を行えない点です。親知らずが残っていればできるという単純なものではなく、歯の形が移植したい場所に合っている必要がありますし、移植する歯に歯根膜が残っている必要があるため、歯周病にかかっていないことなどの条件をクリアする必要があります。
また、移植を行うためには抜歯と再植という2つの手術を行うため、ご高齢の方など治療による身体への負担が心配なケースでは治療を行えない可能性があります。

奥歯がない場合の治療法選びのポイント

奥歯がない場合の治療法選びのポイント
奥歯がない場合にはさまざまな治療法の選択肢がありますが、自分に合った治療法を選択するためのポイントを紹介します。

口腔内の状態

むし歯や歯周病があるなど、口腔内の状態が悪い場合にはインプラントや歯の移植などを行うことが難しいため、治療の前に口腔環境を整える必要が生じます。
口腔内の状態が悪い方が早く嚙み合わせを回復させたい場合は、ひとまず入れ歯を作成して、口腔環境を改善してからほかの治療を受けるといった流れが考えられます。

失ってしまった歯の位置

奥歯がない位置が一番奥にある歯の場合、隣り合う歯がないためブリッジの治療を行うことができません。また、歯が3本以上連続で抜けている場合もブリッジを行うことができないため、ほかの治療法を選択する必要があります。
ただし、インプラントとブリッジを組み合わせることで、失ってしまった歯が多い場合もインプラント治療の本数を抑えながら治療できる場合があります。

顎骨の量

インプラント治療は顎骨に人工歯根を固定するため、顎骨の量が少ない場合は適切な治療が行えません。同様に、歯の移植も顎骨の量が少ないと難しい可能性が高くなります。
ただし、顎骨の量は骨造成などの治療で回復できる可能性があり、骨の量が少なくて治療が難しいといわれた場合も、骨造成に対応している歯科医院で相談すれば治療を受けられる場合があります。

費用の違いと長期的なコスト

奥歯がない場合の治療法は、それぞれ治療にかかる費用に大きな違いがあります。
保険診療で受けることができる入れ歯やブリッジは費用負担が小さく数千円から数万円で受けることができますが、自費診療のインプラント治療は数十万円がかかる場合もあります。
ただし、入れ歯やブリッジも品質にこだわるなら自費診療で高額になる可能性があり、入れ歯の場合は定期的な調整や作り直しで長期的にはコストが大きくなる場合もあります。
いずれの治療法も、良好な状態を維持するためには定期的なメンテナンスが必要になるため、長期的なコストも加味して無理のない治療法を選択するとよいでしょう。

生活スタイルとケアのしやすさ

奥歯がない場合の治療法のうち、入れ歯は使用するたびに取り外して清掃する必要があるなど、通常の歯磨きに加えて対応しなければいけないという側面があります。
日常的なケアをしっかり行うことが治療後の良好な状態を維持するためのポイントの一つなので、ご自身の生活スタイルに合わせて、無理なくケアを行える治療法を選びましょう。

治療期間と身体的負担

インプラント治療は、埋入した人工歯根が骨に結合するまで、数ヶ月間は時間を置く必要がある治療法です。そのため、すぐに治療を終えたい方や、引っ越しなどを控えていて治療に通える期間が短い方には適していません。
また、インプラント治療や歯の移植は身体に負担がかかる手術を伴う治療であるため、ご高齢の方などの場合は治療が難しい場合があります。

まとめ

まとめ

奥歯がない状態を回復するための治療法には、入れ歯やブリッジ、インプラント、歯の移植といったものがあり、それぞれメリットやデメリットがあります。
奥歯がない状態を放置してしまうと、噛み合わせをはじめさまざまなトラブルの可能性があるため、しっかりと治療を行うことが大切です。
どの治療法が適切かは口腔内の状態や歯並び、生活スタイルなどによっても異なるため、まずは信頼できる歯科医院で相談して、自分に合った治療法を見つけてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修歯科医師

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