むし歯の初期症状ってどんなもの? セルフチェック方法を教えて
何となくむし歯が気になりつつも、「痛みやしみる症状がない」という理由で歯医者さんに行くのを先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか? そんな方に知っておいてもらいたいのが、痛みを感じる頃にはかなり深いところまで進行している可能性が高いということ。むし歯はもう少し早い段階で治療を受けるほうが、負担も少なくすむようです。そこで、むし歯の初期症状や進行ごとの症状の変化、自分でできるセルフチェック法などを、アルファデンタルクリニックの松井先生に聞きました。
監修歯科医師:
松井 嵩昌(アルファデンタルクリニック)
目次 -INDEX-
むし歯の初期症状は? むし歯の進行ごとの症状の変化を歯科医が解説
編集部
むし歯の初期にはどのような症状がありますか?
松井先生
専門的に「CO(シーオー)」と呼ばれるむし歯の初期は自覚症状がほとんどなく、患者さんがそれに気づくのはかなり難しいでしょう。見た目もわずかに着色がみられる程度で穴もなく、痛みやしみるといった症状もみられません。
編集部
むし歯はその状態から、どのように進行していくのでしょうか?
松井先生
歯は表面からエナメル質、象牙質、歯髄の3層構造になっており、どの部分まで進行したかで「C1」「C2」「C3」「C4」と進行度を分類しています。先ほどご紹介した「CO」はエナメル質の表面がわずかに溶けた状態で、厳密にいうとむし歯ではありません。そこからさらにエナメル質が溶けて穴が空いてくるとC1となり、以後C2(象牙質)、C3(歯髄)へと進行していきます。
編集部
では、COからC1(エナメル質むし歯)へ進行すると、何らかの症状が表れるのでしょうか?
松井先生
C1はまだエナメル質が溶けている程度なので、この段階に至ってもまだ自覚症状はほとんどありません。仮に症状があったとしても、冷たいものや甘いものがたまにしみるか、噛んだ時に違和感が少しある程度です。
編集部
そうすると、歯がしみる・痛いといったむし歯特有の症状はどのぐらいの段階になって表れるのでしょうか?
松井先生
むし歯が象牙質まで進行したC2の段階です。ただ、C2でも序盤あたりではこれといった症状がなく、気づかないまま放置されてしまうことも少なくありません。むし歯はそこから歯の神経のある歯髄に近づくにつれ、冷たいものを飲んだり、食べたりしたときに「しみる」という症状が表れます。さらに歯髄に近づくと、冷たいものにくわえ熱いものがしみ始めます。
編集部
つまり、歯がしみたり痛みを感じたりするということは、むし歯がかなりの深さまで進んでいる可能性が高いわけですね?
松井先生
その可能性が高いでしょう。むし歯が歯髄まで達してしまうと、冷たいものよりも熱いもののほうがしみやすいほか、何もしない状態でもズキズキとした痛みを感じるようになります。また、歯質の破壊も大きくなるので、むし歯で空いた穴に物がつまって噛んだ時の痛みも強くなります。このような症状が出てくると手遅れに近く、神経を残せない可能性が高くなるため注意が必要です。
症状がでるまえにむし歯を見つける方法は? 自分でできるセルフチェック法が知りたい!
編集部
痛みやしみるといった症状が出るまえに、むし歯を見つけるセルフチェック法があれば教えてください。
松井先生
まずは鏡を見て、歯の色や性状に注目していただきたいと思います。歯に穴が空いていたり、噛む面が黒く着色していたりしたら、むし歯になっている可能性があります。また、舌で歯面を触った時に表面がザラザラするなど、これまでと違う感触がある場合も要注意です。
編集部
見た目や舌の感触以外に、むし歯を知る手がかりはありますか?
松井先生
歯間にデンタルフロスを入れた時に、フロスが引っかかったり、ほつれたりしないかもチェックしてみてください。ほかの部分は問題ないのに、特定の部位だけフロスに引っかかりを感じたら、むし歯になっている可能性があります。また、食事の際に食べ物が挟まりやすくなった場合も早めに受診するようにしてください。
むし歯は早期発見・早期治療が肝心 「むし歯かも?」と思ったらすぐに歯医者さんを受診したほうがいい理由
編集部
先ほどのセルフチェックで当てはまる項目がある場合、症状がなくてもすぐに歯医者さんを受診したほうがいいのでしょうか?
松井先生
時間を空けずに受診するのがベストです。先述のように、むし歯は象牙質の深いところに達するまで、これといった症状が表れません。症状がでてからでは治療で歯を削る量が多くなるほか、最悪のケースでは神経を取る治療が必要になります。反対に、痛みなどの症状が出る前に発見できると、歯を削る量も少なくすみますし、治療も短時間で終わります。場合によっては削らずにすむ場合もあるので、むし歯は早め早めの対処が得策といえるでしょう。
編集部
むし歯でも早期であれば削らずに済む場合もあるのでしょうか?
松井先生
先述の通り、厳密にいうとむし歯ではありませんが、ごく初期のCOは歯を削らずにブラッシングの徹底や生活習慣の改善などで治すことができます。この段階で歯科医から適切な指導を受ければ、これ以上むし歯が進行する心配もありません。また、C1のエナメル質むし歯で歯を削る必要がある場合でも、むし歯になった部分だけを削るだけで済むため、歯へのダメージも最小限に抑えられます。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
松井先生
ご自身で意識してセルフチェックをするのも大切ですが、COやC1のむし歯を自分で見つけるのはなかなか難しいでしょう。この段階でむし歯を見つける方法では、歯科の定期健診に勝るものはありません。むし歯はまず「ならないこと」が肝心ですが、万が一なった場合でも早期に発見・治療することが大切です。症状がなくても定期的な通院を続けることが、歯を守る一番の近道と言えるでしょう。
編集部まとめ
むし歯の症状では歯が「しみる」「痛い」といった症状が有名ですが、これらの症状が出る頃にはむし歯がかなりの深さまで進行している可能性が高くなります。そうすると治療も時間がかかるほか、歯の神経を残せない場合もあるため、むし歯は症状が出る前に見つけて治すほうがベストのようです。今回ご紹介したセルフチェックで気になることがあったら、時間をおかずに早めに歯科を受診しましょう。
医院情報
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診療科目 | 一般歯科、歯周病歯科、予防歯科、審美歯科 |