インプラント手術当日から食事が可能? 「オールオン4」のメリット・デメリット

歯を失った部分にインプラントを埋め込む従来の治療法とは異なり、わずか4本のインプラントで上下の歯全体をサポートする「オールオン4」。治療期間が短く、手術後すぐに仮歯が入ることから、40代、50代の方からご高齢の方まで多くの患者さんから注目を集めています。そこで、オールオン4の特徴やメリット・デメリット、さらに治療の流れや歯科医院選びのポイントなどを、クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院の永井先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
永井 伸人(クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院)
目次 -INDEX-
オールオン4とは? その特徴とメリット・デメリット

編集部
オールオン4の特徴は「少ないインプラントで多くの歯を支えられる」ということですが、従来のインプラントとの違いをもう少し詳しく教えてください。
永井先生
オールオン4は、下イメージ図のように片顎(上顎または下顎)に4~6本のインプラントを入れ、それを土台にして前歯から奥歯までつなげた人工歯を固定する方法です。従来の治療では1本の歯に対し1本のインプラントを埋入します。一方のオールオン4は、前方に2本のインプラントを縦に、その後方に2本のインプラントを斜めに入れることで、少ない本数でも顎全体をしっかり支えることができます。
編集部
従来のインプラントに比べて、オールオン4は患者さんにとってどのようなメリットがありますか?
永井先生
オールオン4の最大のメリットは、埋入するインプラントの本数が少ないため、従来のインプラントよりも治療期間が短く、手術の負担が少ないことです。また、手術後すぐに仮の歯を装着できるため、見た目や噛む機能を早く改善できるのも患者さんにとって大きな利点となっています。
編集部
オールオン4のデメリットやリスクにどのようなものがありますか?
永井先生
オールオン4治療では、残っている歯をすべて抜歯する必要があります。これはインプラントを適切な位置に埋入し、しっかりと固定するためです。また、少ないインプラントで多くの人工歯が入る分、通常のインプラントよりは費用が抑えられるものの、片側200万円以上はかかるため、費用面の負担は大きいといえます。くわえて、糖尿病で病状がコントロールできていないなど、全身の健康状態によっては治療が受けられない場合があります。
編集部
以上をふまえると、オールオン4はどのような患者さんにおすすめの治療といえますか?
永井先生
重度のむし歯や歯周病で自分の歯がほとんど残っておらず、食事に支障をきたしている方にはとくにおすすめです。また、入れ歯を使っているものの、「どうしても合わない」という方にもオールオン4は適しています。ほかには、重度の歯周病で治療と再発を繰り返している方や、何度治療しても改善が見られない方にもおすすめできる治療法です。
手術当日に歯が入る! オールオン4の治療の流れと治療後の注意点

編集部
オールオン4治療の流れを簡単に教えてください。
永井先生
はじめに、レントゲンやCT検査で口腔内の状態を詳しく検査し、治療計画を立てます。治療が可能なケースについては、手術当日に残っている歯を抜歯し、4~6本のインプラントを埋入します。同日に仮の歯を装着しますので、見た目や噛む機能はその日のうちに回復が可能です。その後、3~4か月かけてインプラントが骨に定着するのを待ち、最終的な人工歯を装着して治療が完了となります。
編集部
「当日から食事が可能」と言われていますが、実際のところどの程度の食事が可能なのでしょうか?
永井先生
手術当日から食事は可能ですが、最初はお粥やヨーグルト、豆腐など、あまり噛む必要のない軟らかい食品から始めていきます。とはいえ、お粥ばかりに偏ると栄養バランスが崩れてしまうほか、血糖値が不安定になって、インプラントの定着にも影響を及ぼしかねません。そのため、術後の食事指導が非常に重要で、当院でもタンパク質やビタミンをバランスよく摂れる食事を心がけるようアドバイスしています。
編集部
通常の食事に戻れるのは、どのぐらいの期間が必要でしょうか?
永井先生
1~2か月を目途に、徐々に食べ物の硬さを上げていきます。ただし、この時期はまだ仮歯を使用しているため、極端に硬いものや粘着性の強い食品は極力控えるようにしてください。インプラントが骨に定着しても仮歯が割れてしまうリスクがあるため、完全な通常食に戻れるのは、最終的な人工歯を装着してからになります。
編集部
治療後、オールオン4を長く使っていくためのポイントを教えてください。
永井先生
オールオン4を長くお使いいただくためには、ご自宅でのケアと歯科医院でのメンテナンスの両方が重要です。ご自宅では歯ブラシでのブラッシングにくわえ、洗口液(うがい薬)の使用が必須となります。とくに、仮歯を使用している期間は汚れがたまりやすい傾向があるため、歯ブラシで磨いたあとは洗口液で清掃する習慣をこの時期から身につけていきましょう。くわえて、治療後は3か月に1回の定期的な歯科医院のメンテナンスが必須です。毎日のセルフケアと定期メンテナンスを継続することで、長く快適にお使いいただけます。
オールオン4治療を安心して受けられる歯科医院選びのポイント

編集部
オールオン4のような大きな治療を受ける際、どこの歯科医院を選べばいいかわかりません。
永井先生
オールオン4のような大規模な治療では、費用面の相談や治療に対する不安など、歯科医師には直接伝えづらい相談も多くなります。したがって、専属のカウンセラーが在籍しているかどうかも、歯科医院選びのヒントにしていただければと思います。専属のカウンセラーがいることで、ドクターには聞きづらい疑問やお悩みなども、安心して相談する助けとなるでしょう。
編集部
確かに、カウンセラーの存在は心強いですね。そのほかに、チェックしておきたいポイントはありますか?
永井先生
症例数が豊富で、実際の治療例を写真等で示してくれる歯科医院を選ぶことをおすすめします。ご自身と似たような状態の患者さんがどのように治療を進め、どう改善していったのかを、写真を使って具体的かつ丁寧に説明してくれる医院であれば安心です。「先生が言うからそうなんだ」ではなく、患者さん自身が治療内容や進め方を十分に理解し、納得したうえで治療が受けられる歯科医院を選んでいただきたいと思います。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
永井先生
自身の歯の状態でお悩みの方、とくに複数の歯に問題を抱えている方で、オールオン4に少しでも関心をお持ちでしたら、まずは専門の歯科医院に足を運んでご相談いただければと思います。一人ひとりでお口の状態やライフスタイルは異なりますので、ご自身に適した治療法を歯科医にじっくりとご相談ください。その際、オールオン4だけでなく、ほかの治療法も含めて複数の選択肢を提示し、それぞれの治療法の特徴やメリット・デメリットを説明してくれる歯科医院が安心です。さまざまな可能性を検討したうえで、ご自身に最適な治療法を見つけていただきたいと願っています。
編集部まとめ
オールオン4はわずか4~6本のインプラントで上下の歯を支える革新的な治療法です。治療期間が短く手術の負担が少ないことや、手術当日から仮歯を装着できる点がメリットに挙げられます。一方で、治療費が片顎で200万円以上と高額なことや、健康状態によっては治療が受けられない場合もあるため、治療を検討する際は慎重な判断が必要です。「歯がボロボロで噛めない」「入れ歯が合わない」などでお悩みの方は、オールオン4の実績の豊富な歯科医院で一度相談してみましょう。
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