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根管治療の自費治療と保険治療の違いは?それぞれのメリット・デメリットも詳しく解説

 公開日:2025/02/27
根管治療の自費治療と保険治療の違いは?それぞれのメリット・デメリットも詳しく解説

根管治療は、むし歯や外傷により歯髄に感染が起こった場合に行う治療です。根管治療には保険診療と自費診療があるため、どちらを選ぶべきなのか悩む方もいるのではないでしょうか。

今回は、根管治療の保険診療・自費診療それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介します。

根管治療が必要といわれた方や、むし歯になった場合の治療について気になる方はぜひ参考にしてください。

小林 健二

監修歯科医師
小林 健二(小林歯科医院)

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小林健二先生は、松本歯科大学を卒業後、同大学病院および医療法人弘仁会 鴨居歯科医院で臨床研修を行いました。
その後、松本市の望月デンタルクリニックにて保険診療を中心に歯科診療の基礎を学び、マイクロスコープを主軸とした精密治療や審美治療、インプラント治療などの自費治療も幅広く経験しました。
2022年5月に小林歯科医院を継承し、リニューアル開業を行い、現在に至っています。

根管治療について

根管治療とは、むし歯治療の一種です。では、一般的にいうむし歯治療とはどこが違うのでしょうか。
最初に、根管治療とはどのようなものなのか、どのような状態のむし歯になると根管治療が必要なのか解説します。

根管治療とは?

根管治療とは
治療方法について触れる前に、簡単に歯の構造についてお話します。
歯の表面はエナメル質という硬くて白い組織に覆われています。これが、普段私たちが見ている歯の表面です。その中に、エナメル質よりやわらかい象牙質と呼ばれる層があります。そして、その中心部に血管や神経が通っていて、これを歯髄といいます。この歯髄を囲む管状の空間が、根管です。
むし歯は歯の表面であるエナメル質から始まり、下記の5段階で歯の中心部に向かって進行していきます。

  • C0:歯の溝に着色がみられる
  • C1:エナメル質がむし歯になる
  • C2:エナメル質を超えて象牙質までむし歯が広がる
  • C3:むし歯の感染が歯髄に達する
  • C4:感染により歯髄が壊死する

このうち、C0の場合は定期的な歯面清掃を行い経過観察します。また、C1~C2ではむし歯になった部分のみを削って詰め物をする治療が必要です。根管治療が必要なのはC3以上の状態で、感染した歯髄を取り除き、根管内を清潔な状態にします。
この治療の目的は、根管を洗浄・消毒した後、薬剤を詰めて密閉し細菌が再感染しないようにすることです。根管治療を行うことで、進行したむし歯でも抜歯せずに歯を残せる可能性が高まります。
ただし、根管はとても細く複雑な構造をしているため、精密な処置が必要になります。

根管治療が必要になる症状

まず、むし歯が神経まで達していない状態のC2でも、冷たいものや甘いものがしみると感じる場合があります。この症状だけでは根管治療が必要と言い切れませんが、感染が歯髄まで広がり歯髄炎を起こしている場合にも同様の症状を自覚する場合があるため注意が必要です。
まずは、状態を確認するためにも歯科医院の受診をおすすめします。さらに、根管治療が必要なC3以上の状態になると、むし歯が神経にまで広がり何もしなくても痛みを感じることもあるでしょう。さらに、歯の内部だけでなく歯を支えている骨にまで感染が広がった根尖性歯周炎と呼ばれる状態になると、歯茎が腫れたりがたまったりすることもあります。
なお「前は痛かったけれど痛みが治まった」という理由で受診を先延ばしにしてしまうケースもありますが、感染が広がり神経が壊死すると、炎症を起こしても痛みを感じなくなる場合があるため注意が必要です。

根管治療の成功率

根管治療の成功率は治療前の歯の状態に左右され、歯髄炎や歯髄壊死の段階で治療を行った場合は95%以上、歯の根元を通じて炎症が骨まで広がった段階では86%程度といわれています。
このデータから、同じ根管治療でも炎症の範囲が広がる前に治療を行った方がよいことがわかるでしょう。ただし、この数字はスウェーデンで行われた研究で、専門の歯科医師の指導のもとで使用が望ましいとされる器具をしっかりと使った場合の成功率です。
一方、日本国内での現状は厳しいもので、東京医科歯科大学による研究では1年間に行った根管治療のうち60%程度の割合で再発がみられたといわれています。つまり、この場合の成功率は40%程度であり、国外で行われた研究よりも日本国内での成功率は低いことがわかります。
なお、この研究結果が発表されたのは2005年であり、それ以降に根管治療に使用される器具にも大幅な改良・進歩がみられています。しかし、保険診療の範囲内では使用が困難な器具もあるなど、こうした現状も根管治療の成功率に影響していると考えられます。

根管治療の自費治療と保険治療の違い

根管治療の自費治療と保険治療の違い
根管治療には、医療保険を使用した保険治療と、医療保険適用外となる自費診療があります。歯科医院では、どちらの治療も選択できる場合にどちらを選ぶか患者さんに確認をしますが、2つの治療方法にはどのような違いがあるのでしょうか。使用する機器や治療回数、費用の面から確認していきます。

検査・診断

保険診療では、X線検査で診断を行うことが多いでしょう。
X線検査でも、むし歯の広がりや根尖病変、歯を支えている歯槽骨の変化など目視で観察するより多くの情報が得られます。
一方、自費診療では歯科用CTを併用することが多いでしょう。歯科用CTを使うと、歯の根の形や感染の広がりを立体的に確認できます。また、根管内の神経や血管の位置も確認できるため、より正確な診断が可能になり、治療の成功率も向上します。

使用する設備や機器

保険診療で使用する器具に加えて、自費診療では高性能なマイクロスコープ歯科用顕微鏡やニッケルチタンファイルなどを使用します。
保険診療では、治療する歯を肉眼的に観察して感染を起こしている組織を取り除きますが、マイクロスコープを使えばより細かく確認ができるため、感染組織の取り残すリスクが下がるでしょう。
ファイルとは、根管内から感染組織を除去したり根管を内側から削って拡大したりするための器具です。保険診療で使用するのは従来からのステンレス製が多いのに対して、自費診療ではより弾力があり作業効率の高いニッケルチタン製のものが主流となります。

成功率

前述のように、根管治療の成功率は治療前の歯の状態や治療環境により40~90%と大きな差があります。ここまで紹介したとおり、使用する器具や検査機器の差によって自費診療ではより精密な診断・治療が行えるため、成功率も高くなるでしょう。

治療回数

保険診療では、1回の治療で行える処置が制限されているため治療回数が多くなることがあります。一方で、自費診療では1回の治療内容に制限がなく時間も長く取れるため、回数を減らせる可能性があるでしょう。
具体的には、保険診療だと4〜8回程度かかることが多いですが、自費診療では2〜6回で終わることもあります。ただし、治療の費用や通院の回数はむし歯の状況や治療内容によって異なります。具体的な通院回数については、診察を受けたうえで歯科医師に確認しましょう。

費用

保険診療の根管治療では、1本あたり5,000〜10,000円程度で根管治療が受けられます。しかし、自費診療では50,000〜150,000円(税込)程度と保険診療より高額となり、費用の幅も大きくなります。
これは、使用する機器や材料の違い、技術料の差によるものです。

【根管治療】自費治療のメリット・デメリット

【根管治療】自費治療のメリット・デメリット
ここまで、自費診療と保険診療の根管治療についてさまざまな面から比較してきました。そのうえで、ここからは自費診療のメリット・デメリットについてまとめていきます。

メリット

自費診療の一番のメリットは、精密な機器による検査・治療ができるため成功率が高く再発のリスクが低いことでしょう。
また、通院は患者さんの負担になることもあるため、保険診療よりも通院回数が少ない傾向にあるのもメリットといえます。

デメリット

治療においてメリットの多い自費診療ですが、多くの患者さんが保険診療とどちらがよいか迷うのは、費用によるところが大きいのではないでしょうか。
診療費の1〜3割を負担する保険診療と比べて、自費診療では治療費が10割負担になります。また、前述したように保険診療では使用が難しい器具や材料も選択できるため、さらに費用がかかることがあります。しかし、保険診療を選択すると再発により再び治療が必要になることなどを総合的に考えて、自費診療を選択する患者さんも少なくありません。
その他のデメリットは、自費診療での根管治療に対応していない歯科医院もあることが挙げられます。これは、自費診療で使用される歯科用CTやマイクロスコープといった設備が揃っていない歯科医院もあるため、もともとかかりつけとして通っていた歯科医院では希望する内容の自費診療が受けられない場合もあるでしょう。

【根管治療】保険治療のメリット・デメリット

【根管治療】保険治療のメリット・デメリット

では、保険診療のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット

保険診療で根管治療を受ける一番のメリットは、自己負担額が少なく経済的な負担が軽いことです。また、保険適用の診療費には一般的な医療保険以外にも、条件を満たせば高額療養費制度や都道府県ごとに定められた医療費助成制度が適用できる場合があります。
さらに、保険適用の根管治療はほとんどの歯科医院で対応可能なため、かかりつけや通いやすい歯科医院で治療を受けられるのもメリットといえるでしょう。

デメリット

保険診療のデメリットは、使用できる機器に制限があることです。自費診療と比較すると精密な検査や治療が難しいため、再発のリスクが高いといえるでしょう。
また、1回の処置や治療時間が制限されるため、通院回数が増える可能性があります。

根管治療のことなら小林歯科医院にご相談を

小林歯科医院
ここまで、根管治療の概要や保険診療と自費診療の違いについて解説してきました。今回の記事でも紹介したとおり、根管治療の成功率を上げるためには専門的な機器や技術が重要です。また、根管治療は費用の負担も大きな治療であることから、安心感を持って治療を受けるためには特に歯科医師からの丁寧な説明が重要となります。

最後に、根管治療を受けたいと考えている方に、山梨県韮崎市にある小林歯科医院を紹介します。

マイクロスコープを使用した精密根管治療

小林歯科医院
小林歯科医院の小林院長は、マイクロスコープを使用した治療を得意としています。
マイクロスコープを使用することで感染を起こした根管部をより詳細に見られるため、感染組織の取り残しや健康な組織の削りすぎといったリスクを減らし、良好な予後につながりやすくなるでしょう。

一口腔単位での治療で患者さんのお口の健康をサポート

歯科治療では従来、むし歯や歯周病など問題の起こった歯に対する治療が行われてきました。しかし、小林歯科医院では歯だけではなくお口全体を一単位として捉え、たとえ受診のきっかけが1本のむし歯であっても口腔全体の検査・資料採りを行っているそうです。
これにより、治療する歯だけでなく全体の経過を長期にわたり観察・管理でき、お口の健康寿命を延ばすことにもつながるでしょう。

コミュニケーションを大切にしたインフォームドコンセントを徹底

小林歯科医院では、コミュニケーションを大切にしたインフォームドコンセントを心がけているそうです。
インフォームドコンセントとは、治療内容や現状について十分な説明を受けたうえで、患者さん自身が納得して治療に同意することを指します。
患者さんの疑問や不安の解消に努める歯科医院を選ぶことで、安心感を持って治療に臨めるのではないでしょうか。

小林歯科医院の基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数

JR中央本線 韮崎駅 徒歩5分

山梨県韮崎市富士見1-5-14

診療時間
9:00〜13:00
14:30〜18:00

★:17:00まで

【費用(税込)】
歯髄炎(抜髄)
 前歯:77,000円
 小臼歯:99,000円
 大臼歯:132,000円
根尖性歯周炎(再治療)
 前歯:99,000円
 小臼歯:121,000円
 大臼歯:154,000円
破折器具の除去(1根管) 55,000円
歯髄保存(MTAによる覆髄・断髄) 44,000円
【治療期間】
歯髄炎(抜髄) 2〜3ヶ月
根尖性歯周炎(再治療) 2〜3ヶ月
破折器具の除去(1根管) 1〜2ヶ月
歯髄保存(MTAによる覆髄・断髄) 1〜2ヶ月
【治療回数】
歯髄炎(抜髄) 4回
根尖性歯周炎(再治療) 6回
破折器具の除去(1根管) 4回
歯髄保存(MTAによる覆髄・断髄) 2回

この記事の監修歯科医師