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インプラント治療の期間はどのくらい?治療期間の目安や治療の流れ・仮歯の期間も詳しく解説します

 更新日:2023/08/16
インプラント

インプラント治療は、歯を失った人々にとって、 自信と快適さを取り戻すための効果的な方法です。

しかし実際に手術を受けるとなると、具体的なプロセスのイメージがないため不安になる方は多いと思います。

不安を解消するためにも治療の具体的な内容について知っておくことは非常に重要です。

この記事ではインプラントの期間・治療の流れ・手術後のケアなどについて解説します。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

インプラント治療の期間はどのくらい?

アジア人女性
ここではインプラント治療実際の期間について解説します。

インプラントとは

歯科衛生士
インプラントとは、人工の歯根を顎骨に埋め込み、欠けた歯を補うことを目的とした治療法です。
チタンなど金属製のインプラントは、顎骨に固定するために使用されます。顎骨に結合されるまでの期間は数ヶ月で、その後人工の歯を取り付けます。
この治療法では周囲の歯を削らず自然な噛み合わせを手に入れられるため、歯の欠損を補う効果的な方法です。
ただし自分の状態に合った最適な治療を行うためには、手術によるリスクや合併症を正しく理解した上で治療法を選択することが重要です。

手術は1日で終わる

時計
歯科インプラントの手術は、1日で終わる場合と2日以上かけて行う場合に分かれます。
手術が1日で終わる場合、患者は手術室で局所麻酔の上歯茎を切開し、顎骨に穴を開けてインプラントを挿入します。
手術後に痛みや腫れが起こる可能性がありますが、数日で回復するのが一般的です。一方、手術を複数回に分けて行う場合は綿密な準備と治療が必要です。
自分の口内の状態や治療計画に応じて最適な方法を歯科医師と相談しましょう。

手術後の治療が長い

白衣を着た男性
歯科インプラント手術後の治療期間には個人差があります。インプラントと骨が結合するまで数ヶ月を要するため、その間に人工歯を取り付ける準備が進められます。
人工歯を取り付ける工程はインプラントと骨の結合後に移るのが一般的です。人口歯を取り付ける工程では歯肉の形成・人工歯の試着・調整などが含まれます。
人工歯を装着後は、定期的な検診やメンテナンスが必要になります。歯科医師と相談して、自分の状態や治療法に合わせた最適な治療プランを立てましょう。

インプラント治療にかかる期間の目安は?

時計とカレンダー
インプラント治療にかかる期間には個人差があります。ただし患部の位置によっても目安はさまざまです。
以下、一般的な目安を部位ごとに紹介します。

上顎の場合

入れ歯上顎
インプラント治療にかかる期間は患者の状態や治療法によって異なります。また、同じ患者でも下顎より上顎の場合の方が治療期間が比較的長くなりがちです。
上顎は骨量の少なさと質のやわらかさからインプラントを施すための地盤が基本的に脆弱です。その場合、まずは骨移植などで地盤を整える必要があります。
地盤が整って初めてインプラントを挿入する手術が行われます。ただしインプラントと骨が結合するまで数ヶ月から半年以上かかることに留意しましょう。
結合が完了した後、人工歯の取り付けに進みます。一般的に上顎の治療期間は半年から1年以上かかります。
ただし患者の状態によっては短期間で治療が完了する場合もあります。歯科医師と事前に相談して期間や予算に応じた準備を進めましょう。

下顎の場合

入れ歯
個人差はありますが、下顎のインプラント治療は上顎の場合よりも比較的短い期間で終了します。
下顎はインプラントを施すための骨の地盤がしっかりしている傾向にあり、施術後に比較的早く人工歯を取り付けられます。
しかし上顎と同様、インプラントと骨が結合するまでに数ヶ月の結合期間が必要です。結合が完了してから人工歯の取り付けが行われます。
下顎の治療期間は、長くても半年から1年以内で終了するケースが多いです。
ただし個別の状態に応じた治療が必要なため、こちらも医師と事前に綿密な相談・準備を進めましょう。

抜歯からインプラントまでの期間はどのくらい?

抜歯イメージ
続いて抜歯をしてから実際にインプラント手術を行うまでの期間について解説します。

抜歯後即時埋入法

歯の模型
抜歯後すぐにインプラントを埋め込む手法を「抜歯後即時埋入法」といいます。この手法では抜歯とインプラント挿入を同時に行うため、治療期間の大幅な短縮につながります。
ただしこの手法でもインプラントが骨に結合するまで一定期間必要なため、トータルの治療期間は3〜6ヶ月程度です。
結合する期間をしっかり設けて組織再生を促し、治療の成功率を上げることが大切です。

早期埋入

歯の模型
早期埋入とは、抜歯後にできるだけ早くインプラントを埋める手法です。通常のインプラント治療よりも治療期間を短縮できます。
早期埋入の場合、抜歯から2〜4週間程度でインプラントに移行可能です。インプラントが骨に十分な接着性を持つまでの時間を考慮して施術が進められます。
ただし早期埋入を行う場合でも十分な事前相談が必須です。事前に口内環境などを詳しく調べ、インプラントの形状・素材・埋入の深さなどを調整します。
早期埋入は治療期間が短縮されるため、患者にとってはストレスが軽減される治療です。ただし正確な診断や手順の実施が必要なため、適切な治療医の選定が重要です。

抜歯後待時埋入法

抜けた歯
抜歯後待時埋入法は、抜歯後2〜6ヶ月程度経ってからインプラントを埋入する手法です。
この方法では抜歯後の骨を再生する期間が取れるので、より安定したインプラントが可能となります。
この期間中、患者は抜歯部位の再生を促進するために適切なケアを行う必要があります。また、骨を再生するために適切な栄養素の摂取も大切です。
事前の相談で口内や骨の状態の検査が行われます。また、口内状態に合ったインプラントの形状・素材・埋入の深さなどを適切に設定することも重要です。
抜歯後待時埋入法は安定したインプラントを実現するには適した方法です。しかし治療期間が長くなるため、患者は治療期間中のケアや管理が重要になります。
なお治療には専門的な知識や技術を持つ歯科医師の指導が必須です。

インプラント治療の流れ

ステップアップ
ここではインプラント治療具体的な手順について解説します。

治療計画

診察する女性医師
インプラント治療のプロセスは治療計画の策定から始まります。主に患者の口腔状態を検査し、患者の希望や好みに応じて治療戦略を決定する段階です。
検査ではレントゲンやCTスキャンなどの画像検査を実施して骨密度・歯の配置・咬み合わせの状態・歯肉の状態などを評価します。
さらに咀嚼機能や咀嚼による力の分布も評価し、最適なインプラントの形状・材質・数・配置を決定します。
また、患者の歯科歴・健康状態・喫煙などのライフスタイルも考慮した上で治療期間や費用の見積もりを提示するのが一般的です。
きちんとした治療計画を立てることで患者の懸念や質問に対処し、治療プロセスをスムーズに進められます。

事前治療

歯科治療中
次に事前治療が行われます。事前治療はインプラント手術前に口内の健康状態を整えるためのプロセスです。
主に歯周病や虫歯の治療が行われ、歯を抜く必要がある場合もあります。さらに、骨造成や骨移植などの追加的な治療が必要なケースもあります。
事前治療はインプラント治療の成功率を高め、治療期間を短縮するために有効です。
ただし事前治療には治療費用や治療期間などの加算による追加費用が発生することもあるため、事前に確認することが重要です。

人工歯根埋入手術

インプラント
インプラント治療では人工歯根埋入手術が行われます。歯肉を切開し、穴を開けた骨に人工歯根を挿入する手法です。
手術後、人工歯根が骨に完全に結合するまでに数ヶ月間必要です。このプロセスをオッセオインテグレーションと呼びます。
手術自体は数時間程度で完了しますが、オッセオインテグレーションの期間を含めると、通常は2〜6ヶ月かかります。
治療計画の立案では患者の口腔内の状態や骨の状態を慎重に評価するため、口腔内の検査・レントゲン撮影・CTスキャンなどが必要です。

定着期間

中高年の女性
人工歯根埋入手術後、定着期間を経て人工歯を取り付けるための治療が行われます。定着期間中は人工歯根が骨に確実に結合するように注意する必要があります。
定着期間は患者によって異なりますが、通常は2~6ヶ月程度必要です。骨と人口歯の結合度合いは治療の成功率上昇につながります。
治療の詳細は患者の状態や治療計画によって異なるので、手順・治療期間・費用などを事前に確認することが重要です。

人工歯のセット

歯とインプラント
インプラント治療の最後のステップは人工歯の取り付けです。
定着期間が終了した後、インプラント上にアバットメントと呼ばれる部品を取り付け、それに合わせて形状や大きさを選択します。
アバットメントは人口歯とインプラントをつなぐ中間にある部品です。
次に患者の咬合(かみあわせ)や口腔内状態に合わせて人工歯を作成し、最後にアバットメントに取り付けて治療が完了します。
治療後は適切な口腔ケアを行うことが必要です。また、定期的に歯科医院を受診し、歯科医師の指導の下、適切なメンテナンスを行うことが大切です。

特殊な治療が必要な場合は治療期間が長くなる

注意
ここでは特殊な治療が必要なケースとその場合の治療期間について解説します。

歯茎を移植するケース

歯の模型
歯茎移植はインプラントを施すための地盤が十分でない場合に行われます。
この手術は定着期間が必要であり、通常のインプラント治療よりも長くなるケースがほとんどです。
手術後は歯肉の結合を促進させるため、患者はやわらかい食べ物などを中心とした食生活を心がけなければなりません。歯茎移植後もきちんとしたメンテナンスが必要です。
具体的な手術方法・治療期間などについては歯科医師と相談することが重要です。

顎の骨を増やすケース

骨格模型
顎の骨増強手術は歯科治療で必要な骨の量や質が不十分な場合に実施されます。骨増強手術はインプラント治療の期間より長くなるのが一般的です。
骨増強手術には、人工骨や骨粉末などの材料が使用され、骨が十分に癒着するまで数ヶ月かかることがあります。
手術後は骨が完全に癒着するまで、特別な食事制限や咬合圧の制限が必要な場合があります。
顎の骨増強手術を受ける場合は歯科医師と十分に相談し、手術方法・治療期間について詳しく説明を受けることが大切です。

骨誘導再生をするケース

包帯を巻く女性
骨誘導再生は骨が不足している場合に自分自身の骨を増やす方法の1つです。人工的な材料を使わずに自分の骨を使うため生着率が高く、より安全な治療法です。
この手術では骨成長因子を手術部位に注入することで骨の再生を促します。手術後は骨が十分に成長するまで時間を要する場合があります。
骨誘導再生は顎の骨を増やすだけでなく、顔の形や咬合を調整するためにも使用可能です。歯科医師との事前相談で患者の状態や治療目的に応じた最適な治療法を選択することが大切です。

インプラント治療中の仮歯の期間はどのくらい?

プロビジョナルレストレーション
インプラント治療では、本来の人工歯を装着するまでに仮歯が必要になることがあります。
人工歯根埋入手術後から本来の人工歯を装着するまでの期間で一時的に使用する場合などです。
仮歯は欠損した歯の代わりとして機能し、患者の咀嚼や話す能力を助けます。治療期間は一般的に数週間から数ヶ月程度です。
特にインプラント治療後には、骨と人工歯根の結合・定着に必要な期間があるため、仮歯を装着するまでに1〜2ヶ月程度の期間が必要なケースもあります。
治療前には患者の状態・治療目的に合わせて、最適な治療計画の立案が重要です。

インプラント治療中に歯がない期間はある?

歯の模型
インプラント治療では人工歯を装着するまでに歯がない期間のあるケースも存在します。主に骨との結合や定着に必要な期間がある場合などです。
仮歯を装着することもできますが、必要とするかどうかは患者によってケースバイケースです。
ただし治療計画によっては歯を失う前から人工歯を装着することが可能なケースもあり、その場合は人口歯の装着までスムーズに移行できます。
一時的に歯がない期間が生じる場合でも咀嚼や話す能力などに影響がないよう歯科医師と綿密に治療計画を相談することが重要です。

インプラントにかかる期間は個人差がある

老夫婦
インプラント治療の期間は骨の状態・歯肉病の有無・患者の体質や健康状態などによって異なります。
通常、人工歯根埋入後は骨との結合を促進するために2〜6ヶ月の期間が必要です。その後、人工歯を装着するための治療が施されます。
また、治療には追加的な手順が必要な場合があります。例えば骨量の不足や歯肉病がある場合はそれらを改善するための追加治療が必要です。
したがって、治療にかかる期間は患者ごとに異なります。治療計画・期間については歯科医師と相談の上、適切な治療を選択することが大切です。

インプラント治療にかかる期間に疑問や不安があるときは

パソコンを使う女性
もしもインプラント治療の期間について疑問・不安がある場合は、まずは治療を行う歯科医院の医師やスタッフに相談することが大切です。
治療の流れや期間について丁寧に説明してくれるほか、治療に関する疑問や不安も解消してくれるでしょう。
また、治療中に疑問や不安が生じた場合は、随時質問して確認するようにしましょう。治療の進捗とともに自分の理解が深まり、不安が解消されるはずです。
なお、治療開始後に治療計画の変更が必要になることがあります。その場合も医師やスタッフに相談し、適切な治療プランを検討してもらいましょう。

編集部まとめ

歯磨き
この記事ではインプラント治療の期間について、具体的な治療の流れや部位ごとの特徴を紹介しながら解説しました。

インプラント治療を施す場合、上顎と下顎で期間の長さが変わってきます。上顎の方が長く、下顎の方が短い期間で終了するのが一般的です。

また、インプラント治療は口腔内の手術であるため個人間での手術方法はさまざまです。

抜歯後にすぐ人口歯を埋め込む場合・一定期間をおいてインプラントと骨が結合するまで待つ場合などでトータルの治療期間は変わってきます。

さらに人によっては歯茎を移植するなどの特殊な治療が必要になるケースもあります。

通院している歯科医院の歯科医師と事前に綿密な治療計画を立て、自分に合ったインプラント治療を実施しましょう。

この記事の監修歯科医師