根管治療の流れ|根管治療の目的や治療回数・治療期間についても解説
根管治療は、歯の疾患で歯髄の炎症や壊死が発生した場合に行われる、歯髄を除去する神経治療です。不可逆性歯髄炎・歯髄壊死・根尖性歯周炎などの際に必要とされます。
根管治療は、歯髄の炎症・壊死による歯の喪失を防ぐために重要ですが、一体どのような治療なのでしょうか。また、治療完了までにかかる期間や回数はどのくらいになるのでしょう。
本記事では、根管治療の流れや根管治療の目的、治療回数、治療期間など、根管治療について詳しく解説します。
監修歯科医師:
米澤 佳翁(よねざわ矯正・歯科医院)
1986年 森崎歯科医院 勤務
1988年 加納歯科医院 勤務
1990年 長谷部歯科医院 勤務
1990~1991年 ソフィアオーソドンティツクアカデミー矯正2年コース終了
1992年 ツイン歯科クリニック(院長) 勤務
1993年 西村 清先生と運命の出会い
1993~1994年 Holisutic dental institute イニシヤルコース終了
1994~1995年 Holisutic dental institute Participate Corse Lebel1終了
1995年 よねざわ歯科医院(院長) 開業
1996年~ アイオス矯正研究会(東京医科歯科教授監督)在籍
1999年~ GC,富士フイルム主催 顎関節症・オクルーザー講師
目次 -INDEX-
根管治療の目的
根管治療の目的は、炎症・壊死を起こした歯髄を取り除くことだけではありません。まずは、根管治療を行う目的を確認していきましょう。
歯の中を無菌にする
根管治療を行う目的として第一に挙げられるのは、歯の中を無菌状態にすることです。根管治療が必要となる歯の疾患は、歯髄が細菌に侵されることで発生します。仮に炎症や壊死を起こした歯髄をすべて除去したとしても、原因となった細菌が残ったままでは、再発・再治療のリスクが出てしまい意味がありません。
したがって、根管治療を行う際は歯髄だけでなく、歯髄の炎症・壊死を引き起こした細菌も取り除く必要があります。そこで重要視されるのが、歯の無菌化です。歯の中を無菌にして治療を行うことで、歯髄の除去とともに、根管治療の原因となった細菌もなくすことができます。
根管治療では、炎症・壊死を起こした歯髄を取り除く際に歯の中を無菌状態にすることが重要です。
よい状態を維持して歯を保存する
歯のよい状態を維持して歯を保存することも、根管治療の目的になります。
歯は、日々の食事や会話に欠かせない存在であり、口腔内全体の健康にも大きな影響を与えます。
根管治療は、細菌感染に侵された歯髄を取り除いて、今ある歯を長く保つ治療です。根管治療を怠る、あるいは不完全な状態で終えることは、歯髄感染の再発や歯の喪失につながります。
歯髄感染を起こした細菌をなくし、口腔内をよい状態にして今ある歯を保存することも、根管治療を行う大きな目的です。
根管治療の流れ
根管治療は、歯を長く機能させ、口腔内の健康を維持する目的があります。適切な手順を踏むことで、自然な歯を可能な限り長く保つことが可能です。ここでは、根管治療の流れを解説します。
診察・検査を行い状態を確認する
治療を始める前に、歯の診察・検査を行い、歯や口腔内の状態を確認します。
根管治療では、歯の神経や血管を含む歯髄に焦点をあて、炎症・壊死を起こした歯髄や感染の原因となった細菌を除去することが重要です。
歯の状態や歯髄感染の状況をきちんと把握したうえで治療を行わないと、歯髄が再感染を起こし、再治療または歯の喪失を招いてしまいます。したがって、今の歯・歯髄の状態を理解しておくためにも、治療を始める前に現在の歯の状況(痛み・腫れなど)確認やX線、細菌感染の検査が必要です。
歯髄を除去する
根管治療では、はじめにむし歯部分を削り取り、歯髄部分まで穴を開けた後、細菌感染を起こした歯髄の除去を行います。
炎症・壊死を起こした歯髄が残っていると、細菌が歯の中に残存し再感染・再治療のリスクが上がるため、しっかり取り除くことが重要です。
根管治療の原因となった歯髄を除去した後、歯および口腔内の状態を改善する工程に入ります。
歯根内を清掃・消毒する
細菌感染を起こした歯髄を取り除いた後は、歯根内の清掃および消毒です。歯髄を除去した後の歯髄腔と根管を清掃・消毒し、歯根内の汚れや残った細菌を取り除きます。
再発・再治療のリスクとなる細菌を歯根内に残さないためにも、清掃・消毒作業は重要な工程の1つです。機械的清掃だけでなく、適切な薬剤を用いた化学的清掃も併せて行われます。
薬剤を入れる
歯髄腔や根管は歯のなかでも複雑で細かい構造になっており、機械的・物理的清掃では十分に汚れや細菌を取り除くことはできません。したがって、歯根内の清掃・消毒では薬剤も用いられます。
歯根内の洗浄に用いられる主な薬剤は、次亜塩素酸ナトリウム溶液と過酸化水素水です。また、これら2つの薬剤以外に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム)が用いられることもあります。
薬剤による化学的清掃で除菌・消毒を行い、歯根内および口腔内をよい状態に改善していきます。
根管充填剤を詰める
歯根内の洗浄を終えたら、歯髄の除去によって空洞となった根管内に根管充填剤を詰めます。根管充填剤として主に用いられるのは、ガッタパーチャというゴムのような素材です。
根管充填は、歯根内の清掃・消毒で無菌状態にした根管に再度細菌が侵入することを防ぐために行われるので、隙間なくきっちりと詰めることが求められます。また、歯根内の洗浄で排除しきれなかった細菌の再活性を防止することも、根管充填における目的の1つです。
根管充填の後はレントゲン撮影を行い、歯根内に隙間なく根管充填剤が詰め込まれているかを確認します。
被せ物を装着する
根管充填剤の詰め込みを終えた後は、被せ物による保護の工程です。
根管治療では歯髄の除去を行うため歯根内に空洞ができ、噛んだ際のちょっとした力でも歯が割れやすくなります。
噛み合わせによる歯の破損を防ぐため、歯に合った被せ物を作製して装着し、根管治療が終了となります。
根管治療の治療回数や治療期間の目安
根管治療は神経治療の一種であり、複雑で細かい構造の処置を行うことから、1回の通院で治療が完了できるわけではありません。歯の状態や個人差にもよりますが、通常は約2~5回、状態が悪い場合は約4~10回の治療が必要になります。
通院の間隔は1週間に1回程度が目安です。したがって、根管治療が完了するまで少なくとも約2~3週間の期間を要します。
また、根管治療後に装着する被せ物の作製に5~10日程の期間が必要になることもあるため、すべての工程が完了するまでに1〜2ヶ月程度の期間を見込んでおくのがよいでしょう。
根管治療で痛みを感じる原因
根管治療では、治療中や治療後に歯の痛みを感じることがあります。治療の際に一時的に発生する痛みであるケースもありますが、場合によっては歯科医師の経過観察が必要になるため、注意が必要です。
ここからは、根管治療中および治療後の痛みの原因について解説していきます。
治療中の痛み
治療中および治療期間中に発生する痛みの原因として考えられる要因は、以下の3つです。
- 麻酔切れ
- フレアーアップ
- 噛んだときの力による痛み
根管治療の際は麻酔を用いるため、麻酔切れによる痛みが発生することがあります。麻酔切れの場合は、鎮痛剤による痛みの軽減が一般的な対処法です。
また、治療期間中に発生する痛みのなかには、一時的に細菌が体内に入ることによる免疫反応が原因になるものもあります。軽度の症状(歯が浮いたような感覚・歯肉の軽度な腫れ)であれば1週間程度で落ち着くケースがほとんどです。しかし、歯肉の重度な腫れやフレアーアップと呼ばれるズキズキとした痛みが現れるケースもあります。治療期間中にひどく歯肉が腫れる、あるいはズキズキとした痛みが続く場合は、歯科医師に相談して鎮痛剤の投与や歯の洗浄を行ってもらいましょう。
ほかにも、根管治療の期間中は歯根内に空洞ができているため、少しの噛む力でも痛みや歯の欠損が発生する可能性があります。治療が完了するまでは、固いものの食事などにも注意が必要です。
治療後の痛み
治療後に発生する痛みの原因として考えられるのは、歯の周りの神経過敏です。
根管治療は細菌感染を起こした歯髄を取り除くため、歯根内にある神経は除去されます。したがって、歯根内の神経が痛みを訴えることはありません。しかし、歯の周りにある神経は残っているため、この神経が根管治療後に痛みを感じやすくなるケースがあります。
歯の周りの神経過敏による痛みは一時的なものが多いですが、治療前から痛みが続いていた場合は注意が必要です。治療後も長い期間痛みが続く可能性があるため、歯科医師と相談のうえ経過観察をしてもらいましょう。
根管治療のことならよねざわ矯正・歯科医院にご相談を
説明してきたように、根管治療は歯や口腔内の健康を維持するための重要な歯科治療です。しかし、歯の神経に関わる治療であり、歯根内の複雑で細かい構造にアプローチする必要があることからとても高度な技術が求められます。
「根管治療を受けたいけれど、どの歯科医院に相談すればよいかわからない」という方は、よねざわ矯正・歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。よねざわ矯正・歯科医院は、神経治療・根管治療を丁寧に行える環境が整っており、安心感を持って治療を受けることができます。また、歯のことで歯科医師に相談したいとき、電話やメールで気軽に連絡することが可能です。
ここからは、よねざわ矯正・歯科医院について紹介していきます。
ラバーダム防湿法による精密根管治療
よねざわ矯正・歯科医院では、根管治療においてラバーダム防湿法を採用しています。
根管治療は、口腔内の唾液による細菌の流入も防がなければなりません。治療中の唾液の流入を防ぐために一般的に行われるのは、歯の周りに唾液を吸収するためのロール綿を入れる方法ですが、奥歯など唾液が流入しやすい箇所の防湿には不向きです。
よねざわ矯正・歯科医院で用いられているラバーダム防湿法は、ラバーダムと呼ばれるゴムを口腔に取り付ける方法です。従来のロール綿による防湿法よりもしっかりと唾液の流入を抑えられるうえ、清掃・消毒用の薬剤が口腔内に流れ込むのも防止してくれます。
根管治療の際に重要な無菌状態を作りやすい方法であるため、よねざわ矯正・歯科医院ではラバーダム防湿法を用いた精密根管治療を提供しています。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を導入した質の高い治療
よねざわ矯正・歯科医院では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)による根管治療を提供しています。歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を導入することで、0.1mmから30ミクロンまでの細かい部分をしっかりと視認しながら治療することが可能だそうです。
根管治療は、歯根内という歯のなかでも特に細かく複雑な部分を取り扱うため、マイクロスコープの導入によってより質の高い治療が行えるようになりました。患部をスポットライトで照らしながら拡大し、視認した状態で丁寧かつ高度な技術による根管治療を受けていただけます。
院内感染予防やプライバシーに考慮した個室で安心感のある診療
よねざわ矯正・歯科医院では、院内感染を防ぐためにすべての診察台を個室にしています。また、プライバシーの観点から見ても、安心感を持って治療を受けることができるでしょう。
家族を迎えるように患者さんを迎えているというよねざわ矯正・歯科医院は、清潔な医療環境と安心の治療を提供するよう努めています。
院内感染のリスクを抑え、ほかの人の目を気にすることなくリラックスして歯科治療を受けられるよねざわ矯正・歯科医院で、根管治療を受けてみてはいかがでしょうか。
よねざわ矯正・歯科医院の基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・治療期間
小田急線 相模大野駅より徒歩1分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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14:30~19:30 | ▲ | ● | - | ● | ● | ◼️ | ★ | - |
▲:第1・第3月曜日は休診
■:土曜午後の診療は17:00まで
★:第1・第3日曜日は10:00~12:30、14:30~17:00で診療
【費用(税込)】1本:50,000〜150,000円
【治療期間】1〜2ヶ月
【治療回数】2〜8回
参考文献