歯周病で歯を失わないために|残せる歯・残せない歯の見極め方と将来を見据えた治療戦略

歯周病は、30代以上の約80%が罹患するともされており、放置すれば歯を失う原因となります。しかし、すべての歯が抜歯対象になるわけではありません。現在の歯周組織の状態や骨吸収の程度、動揺の有無などを総合的に評価すれば、残せる可能性のある歯と残すことが難しい歯を見極めることができるそうです。
本記事では、歯周病の基本知識から残せる歯と残せない歯の判断基準、そして抜歯後の再建戦略まで、将来を見据えた治療選択について詳しく解説します。

監修歯科医師:
大島 崇史(大島歯科診療所)
同年 日本大学臨床研修医
2002年 日本大学歯科病院歯内療法科入局
2006年 歯学博士学位取得
2007年 神津島にて地域医療に従事
2008年 日本大学歯科病院歯内療法科退局
2008年 海岸歯科室勤務
2008年 大島歯科診療所副院長
目次 -INDEX-
歯周病について理解しよう

歯周病で残せる歯なのか残せない歯なのかを判断するにあたっては、歯周病について知る必要があります。まずは、歯周病の基礎知識を知っておきましょう。
歯周病ってどのような病気?
歯周病は、歯と歯茎の境目に細菌が侵入し、歯を支える組織に炎症を起こす病気です。
初期には歯茎の腫れや出血がみられますが、痛みが少ないため気づかないまま進行することがあります。炎症が歯茎にとどまる状態を歯肉炎、さらに進んで歯を支える骨まで破壊されると歯周炎と呼ばれます。
原因となる細菌はプラークのなかで増殖し、毒素によって歯周組織を破壊するため、歯周ポケットが深くなるほど汚れがたまりやすくなり、進行しやすくなるのが特徴です。
また、歯周病は糖尿病や心疾患など全身の健康にも影響する可能性が指摘されています。
初期〜進行期までの変化
歯周病は段階的に進行していきます。初期の歯肉炎では、歯茎が赤く腫れたり歯磨き時に出血しやすくなったりする程度で、自覚症状が乏しいことも少なくありません。この段階であれば、正しいセルフケアや歯科医院でのクリーニングによって改善が期待できます。
中等度に進行すると、歯周ポケットが深くなって歯を支える骨の吸収が始まり、歯茎の後退や軽度の動揺、冷たい物がしみるといった知覚過敏の症状がみられることがあります。
さらに重度になると歯のぐらつきが強くなり、膿や口臭、咀嚼時の痛みなど日常生活に影響する症状が現れる場合があり、この段階になると、歯を残せるかどうかの慎重な判断が求められます。
進行させないことが一番の治療
歯周病は進行すると歯周組織の回復が難しくなるため、できるだけ早い段階での対応が重要です。毎日のセルフケアとして、歯と歯茎の境目を意識した歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを活用してプラークを取り除くことが基本となります。
さらに、歯科医院での定期的な検査や専門的なクリーニングを受けることで、進行の兆候を早期に把握しやすくなります。喫煙習慣の見直しやバランスの取れた食生活、十分な睡眠といった生活習慣の改善も、歯周病の進行抑制に役立つでしょう。
「残せる歯」とは?歯周病でも助かる状態を見極める

歯周病が進行していても、すべての歯が抜歯になるわけではありません。歯周組織の状態や機能の残り具合を総合的に評価することで、保存できる歯かどうかを判断します。
歯周ポケットが浅い・出血が少ない
歯周ポケットが浅く、炎症がコントロールされている歯は保存できる可能性が高いと考えられます。一般的に3mm程度までであれば健康に近い状態とされ、4〜5mmでも適切な治療とセルフケアによって安定を目指せます。
出血が少ないことも重要な判断材料です。出血は炎症の活動性を示すサインであり、歯茎が引き締まり安定している歯は長期的に維持しやすくなります。基本的な歯石除去や歯根面の清掃を徹底することで、状態の改善が期待できます。
骨吸収が軽度で安定している
歯を支える骨量が十分に残っているかどうかは、保存可能性を判断するうえで重要な要素です。骨吸収が軽度で歯根の支持が保たれている場合、適切な歯周治療によって機能を維持できる可能性があります。
骨の状態はレントゲンや歯科用CTなどで確認され、吸収が進んでいる場合でも、再生療法が適応となるケースでは骨の回復を目指せることがあります。
動揺(グラつき)が軽度な歯
歯のグラつきが軽度で歯周組織の支持機能がまだ残っていると判断できる場合は、炎症の改善や噛み合わせの調整によって安定する可能性があります。
また、歯ぎしりや食いしばりなどの負担が原因となっている場合は、ナイトガードの使用などによって歯への過度な力を軽減することも重要です。
歯周病の外科的治療や再生療法によって歯を残せる可能性を検討する
基本治療だけでは改善が難しい場合でも、歯周病の外科的治療や再生療法によって歯を残せる可能性があります。例えば、歯茎を開いて感染組織を除去する治療や、薬剤を用いて骨や歯周組織の再生を促す治療が治療の選択肢として検討されるでしょう。
ただし、骨の状態や歯の形態、セルフケアの状況などによって適応は異なります。治療の効果やリスクを理解したうえで、歯科医師と相談しながら判断することが大切です。
「残せない歯」とは?抜歯が検討される状態

歯周病が重度まで進行した場合、口腔全体の機能や将来の治療計画を踏まえ、歯の保存が難しくなるケースがあります。
重度の骨吸収が進んだ状態
歯を支える歯槽骨の吸収が歯根の半分以上に及ぶと、歯の支持力は大きく低下します。このような状態では噛む力に十分耐えられず、歯としての機能を保てません。無理に保存を試みると周囲の骨吸収が進行し、将来的な治療の選択肢を狭めてしまう可能性があります。
特にインプラント治療を検討する場合、骨量が不足していると治療自体が困難になるでしょう。そのため、骨の状態や進行度を見極めながら、抜歯の適切なタイミングを判断することが重要です。
強い動揺(揺れ)がある
歯の動揺度が大きくなると、噛む力を支えることができません。食事の際に痛みや違和感が生じやすくなり、日常生活にも支障が出ることがあります。このような歯は歯周組織の支持が低下しており、治療による安定が期待できないケースも少なくありません。
また、動揺の強い歯を放置すると噛み合わせのバランスが崩れ、健康な歯に過剰な負担がかかる可能性があるため、骨の状態や歯周ポケットの深さなどを総合的に評価して抜歯の必要性が判断されます。
膿が溜まり、炎症が広範囲
歯周ポケットの深部に膿が溜まり、慢性的な炎症が続いている場合、感染のコントロールは容易ではありません。炎症が長期間持続すると骨吸収がさらに進み、隣接する歯や口腔全体の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
まずは炎症を抑える処置を行いますが、改善がみられない場合には感染源を取り除く目的で抜歯が検討されることもあります。抜歯後はブリッジやインプラントなどの再建治療を行い、失われた咀嚼機能の回復を目指します。
歯周病で歯を失った後の選択肢|5年後・10年後を見据えた再建戦略

歯周病で歯を失った場合、その後の治療方法は口腔の将来に大きく影響します。見た目や費用だけでなく、長期的な安定や残っている歯への負担も考えながら選択することが大切です。
抜歯後に考える治療は“今”ではなく“将来”基準で選ぶ
歯を失った直後は「早く噛めるようになりたい」と考えてしまいがちですが、治療法は5年後、10年後の状態を見据えて選ぶことが大切です。
歯を失った場合の再建方法にはブリッジや入れ歯、インプラントといった選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台として人工の歯を固定する方法です。ほかの方法に比べて短期間で治療が終わり違和感も抑えやすい一方、健康な歯を削る必要があります。長期的には土台となる歯に負担がかかり、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性がある点にも注意が必要です。
入れ歯は複数の歯を失った場合にも対応しやすく、費用を抑えやすい点がメリットですが、慣れるまで違和感が出る可能性や噛む力が弱くなる可能性、顎骨が痩せやすくなる可能性があるというデメリットがあります。
インプラントは、顎骨に人工の歯の根を埋め込んでその上に歯を作る方法で、周囲の歯を削る必要がなく、自然に近い噛み心地を得やすい点が特徴です。治療期間が長くなることや保険適用外のため費用負担が大きくなるなどのデメリットはありますが、長期的には残っている歯を守りながら機能を回復できる可能性があります。費用相場は1本あたり300,000〜600,000円(税込)程です。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、“今”だけではなく“将来”基準で選ぶ視点を持つのがポイントです。
ブリッジとインプラントの違い|周囲の歯への影響
ブリッジでは土台となる歯に負担が集中しやすく、将来的にその歯の寿命に影響することがあります。また、削った歯はむし歯や歯周病になりやすくなる傾向があるので注意が必要です。
一方、インプラントは独立して支えられるため、隣の歯に大きな負担をかけにくい特徴があります。顎骨に適度な刺激が伝わることで骨が痩せにくくなる可能性もありますが、外科的な処置が必要なので、全身状態や骨量によっては適応できない場合もあるでしょう。
治療方法は現在の状態だけでなく、歯周病の既往歴や将来のリスクも含めて総合的に検討することが重要です。
インプラントは“入れた後”が本当のスタート
インプラントは治療が終われば安心というものではありません。清掃が不十分な状態が続くと、インプラントの周囲に炎症が起こり、骨が吸収されてしまうことがあります。
天然歯に比べて自覚症状が出にくく、炎症の進行が早い傾向にあるため、日常の丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。専門的なクリーニングや噛み合わせの確認、必要に応じた画像検査などを継続することで長期的な安定につながります。
歯周病既往歴がある方ほどメンテナンスが重要
歯周病の既往歴がある方は、インプラント周囲炎のリスクが高いと考えられています。歯周病によって歯を失った方は口腔内に歯周病菌が残っている可能性があり、プラークコントロールが不十分だとインプラント周囲にも炎症が起こりやすくなるのです。
そのため、インプラント治療を行う前に歯周病の状態を安定させることが重要です。
また、治療後も継続的なメンテナンスが欠かせません。定期検診でインプラント周囲の状態をチェックし、プラークや歯石を除去します。歯科衛生士による専門的なクリーニングと、患者さん自身による日々のケアを継続して行うことが、インプラントを長持ちさせる秘訣です。さらに、禁煙や生活習慣の改善にも取り組み、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理などによって免疫力を保つことも、口腔の健康維持に役立ちます。
歯周病でお悩みの方は大島歯科診療所にご相談を

歯周病治療において大切なのは、現在の状態を的確に把握し、将来を見据えた治療計画を立てることです。
久喜市の大島歯科診療所は1976年の開院以来、地域の方の口腔の健康を支えてきた歯科医院です。ここからは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な歯科治療が提供されている大島歯科診療所の特長を紹介します。
精密検査で歯と骨の状態を総合的に評価
大島歯科診療所では歯周病の診断において、歯周ポケットの測定や出血の有無を確認するだけでなく、歯科用CTやパノラマレントゲンといった先進的な医療設備を活用して精密検査を行われています。骨吸収の程度や歯根の状態を詳細に評価することで、残せる歯と残せない歯を的確に見極め、患者さん一人ひとりに適切な治療方針を提案できるよう心がけているそうです。
歯科用CTによる三次元的な画像診断は、骨の厚みや形態を正確に把握するために欠かせません。特に、歯周組織再生療法やインプラント治療を検討する際には、骨の状態を詳しく知ることが治療の成否を左右します。大島歯科診療所では、こうした精密検査を通じて、患者さんの口腔内の状態を総合的に評価し、エビデンスに基づいた適切な診断に努められています。
また、マイクロスコープを用い、歯根面の細部まで確認しながら歯石除去や感染組織の除去を行うなど、より精密で質の高い治療が心がけられているのが特長です。
5年後・10年後を見据えた保存重視の治療方針

治療を進めるうえで大切なのは、患者さんとスタッフが会話を通して信頼関係を深めることだという考えのもと、大島歯科診療所は“明るい人間関係”をモットーに診療されています。患者さんの予算や悩み、希望をじっくりと聞き、無理のない治療計画を一緒に考えるそうです。
また、患者さんが口腔内の状態に満足し、ずっと健康で食べ続けられることを重視し、5年後、10年後を見据えた治療方針を立て、できる限り歯を保存するという治療方針を大切にされています。歯周病治療においても、抜歯を選択する前に歯周病の外科的治療や再生療法といった保存的な治療の可能性を検討し、歯を残せる可能性を探るそうです。
治療後のメンテナンス体制で長期安定を支える
歯周病治療は、治療が終わってからが本当のスタートだといえます。大島歯科診療所は治療後のメンテナンス体制を整え、定期的なクリーニングや歯磨き指導を通じて、患者さんの口腔の健康を長期的にサポートされています。
また、半個室の診療室と完全個室の診療室が用意されているので、明るく広々とした診察室でリラックスして治療を受けられるでしょう。院内は段差のないバリアフリー設計なので、車椅子やベビーカーを利用している方も安心感があるのではないでしょうか。
JR 久喜駅から徒歩7分、駐車場は9台完備されており、アクセスも良好です。歯周病でお悩みの方、歯の保存について相談したい方は、大島歯科診療所に相談してみてはいかがでしょうか?
大島歯科診療所の基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数
JR 久喜駅より徒歩7分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00~12:00 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | - | ⚫︎ | ⚫︎ | - | - |
| 14:00~18:00 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | - | ⚫︎ | ⚫︎ | - | - |
【費用(税込)】
歯周病
軽度 5,000〜10,000円
中等度 10,000〜50,000円
重度 症状による
インプラント 350,000〜600,000円
【治療期間】
歯周病
軽度 1〜2ヶ月
中等度 約3ヶ月〜半年
重度 半年〜1年
インプラント 3ヶ月〜1年
【治療回数】
歯周病 2〜15回
インプラント 5〜10回
※症例によっては治療期間や治療回数が増える可能性があります




