

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
目次 -INDEX-
期外収縮の概要
期外収縮は不整脈の一種であり、不整脈の中で最も多いもののひとつです。 心臓で異常な興奮が生じ、心拍が本来のリズムよりも早く現れることで起こります。異常な興奮が生じる場所によって上室期外収縮と心室期外収縮に分かれており、正常な心拍の間にときどき発生します。単発のこともあれば、何回か連続したり、発生頻度が高いこともあります。 上室期外収縮は健康な人の9割以上に認められると言われており、健常者でも1日100拍程度は出現していると言われています。。頻繁に起こっても、血液の流れに問題や異常が生じることはありません。 心室期外収縮も、心疾患を伴わずに連続して起こらない場合、特別な治療を行わずに経過観察することが多いでしょう。 期外収縮自体は健康な人にも認められ、年齢と共に発生する頻度は増えていきます。30歳よりも上の年齢ではほとんどの人で発生しますが、自覚がないことも珍しくありません。 病気とは関係ない場合が多いですが、一部は原因に心疾患が隠れていることがありますので、健診などで期外収縮を指摘された方は一度検査を受けましょう。原因となる病気のほか、期外収縮から危険な不整脈に移行する可能性の有無を確認するためです。高リスクの期外収縮
期外収縮は予後が良い場合が多いですが、高リスクの期外収縮として以下の要因が存在します。 上室期外収縮では、- 1日100拍以上
- 塞栓源不明の脳塞栓症の既往歴
- 単形性期外収縮の頻度が1時間に30回以上
- 多形性
- 3連発以上
- R on T型
- 連結期の短いもの
期外収縮の原因
本来、心臓は洞房結節と呼ばれる場所で興奮が起こります。心房と心室に伝わることで、一定リズムの収縮と拡張を繰り返しているのです。 洞房結節以外の場所で異常な興奮が起こると、本来のリズムよりも早く心臓が収縮します。これが期外収縮となり、左右の心房や房室接合部調律(心臓の上側)で起こった異常な興奮が原因となる不整脈は「上室期外収縮」、左右の心室で起こった異常な興奮が原因であれば「心室性期外収縮」と呼ばれています。期外収縮の前兆や初期症状について
期外収縮は、患者さん本人が症状に気がつかないこともよくあります。これといった前兆は特に報告されていません。 個人差が大きいですが、初期症状に限らずよく見られる症状として- のど、胸の不快感
- 一瞬の胸の痛み
- 動悸
- 倦怠感
- 一時的な血圧低下
- めまい
期外収縮の検査・診断
期外収縮なのかを調べるための検査として、以下のものがあります。心電図検査
心臓の検査の中でも最も基本的なもので、心臓の電気的な動きを捉えて波形とする検査です。不整脈や心筋障害の有無などを調べます。 健診では、自覚症状がないのにたまたま期外収縮が発見されることがあります。頻発している場合、他に心疾患がないかどうか精査します。ホルター(24時間)心電図検査
日常生活での心電図を24時間記録して日常動作での心臓の様子を調べ、もし症状が起こった場合は心臓の動きがどのように変化するか解析する検査です。 患者さんには小型の心電計を24時間装着し、「○時に○○した」というように行動記録をつけてもらって解析を行います。心臓超音波検査
期外収縮の原因として心臓の病気が疑われる場合に行われることがあります。超音波ビームを身体の表面から当て、跳ね返ってきた超音波を画像化して検査します。 心臓の大きさ、形、動く様子をリアルタイムで観察できる検査です。期外収縮の治療
期外収縮では治療を必要としないケースが大半で、症状がそれほど強くなければ生活習慣の改善のみで経過観察することも多い傾向です。症状の頻度や患者さんのQOL、安全性とのバランスを考慮して治療が行われることもあります。薬物治療
期外収縮の治療に使われる薬物は、主に抗不整脈薬またはβ遮断薬です。 上室期外収縮の場合、日中に発生頻度が増加するタイプで効果が期待されます。心筋梗塞や心機能低下が認められる認められる場合、Ⅰ群抗不整脈薬は予後を悪化させる可能性があるため、使用は推奨されません。 心室期外収縮の場合、自覚症状があり、さまざまな場所で異常興奮が起こる多源性の期外収縮であればβ遮断薬、Ca拮抗薬による治療が考慮されることもあります。 以下は、不整脈薬物治療ガイドライン内で推奨されている薬物治療です。 上室期外収縮に対するライフスタイルと薬物治療との推奨クラス- カフェイン・アルコール摂取を制限する:推奨クラスⅠ(推奨される)
- 症候性上室期外収縮患者さんにβ遮断薬を使用する:推奨クラスⅡ(弱く推奨される)
- 無症候性上室期外収縮患者さんに抗不整脈薬を使用する:推奨クラスⅡ
- 心筋梗塞を合併する上室期外収縮患者さんにI群抗不整脈薬を使用する:推奨クラスⅢ(推奨されない)
- 器質的心疾患のない症候性心室期外収縮患者さんに対するQOL改善を目的としたβ遮断薬やCa拮抗薬の投与:推奨クラスⅡa(弱く推奨される、エビデンスや見解から有効な可能性が高い)
- 心室期外収縮頻発による心筋症患者さんに症状や左室機能改善を目的としたβ遮断薬やアミオダロンの投与:推奨クラスⅡa(弱く推奨される、エビデンスや見解から有効な可能性が高い)
- 心筋梗塞後の心室期外収縮患者さんに対してI群抗不整脈薬の投与:推奨クラスⅢ(推奨されない)
カテーテルアブレーション
足の付け根や肘の血管から体内にカテーテルを入れ、心臓の異常興奮している場所を高周波電流で焼灼する治療法です。局所麻酔を行った状態で実施されます。 心室期外収縮では、頻発していて心機能が低下している場合に適応となります。期外収縮になりやすい人・予防の方法
期外収縮は健康な人でも発生しますが、発生しやすくなる要因があると考えられています。期外収縮になりやすい人
期外収縮においては、頻度が増加する要因として- カフェイン
- アルコール
- ストレス
- 疲労
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 心臓弁膜症
- 心筋症
期外収縮の予防法
期外収縮を指摘されても、1日のうちに頻回発生するとわかっていたり、自覚症状があったりしなければ、日常生活を普段通り続けて問題ありません。 前述の通り、期外収縮の頻度増加には生活習慣とストレスが大きく関わっています。- カフェインやアルコールの摂取回数を減らす
- 早寝早起きを心がける
- 適度な運動をする
- ストレス発散できることを見つける(アロマテラピー、ヨガ、深呼吸など)
参考文献




