「常に眠い」のはどんな原因が考えられる?男女別の原因も医師が徹底解説!
常に眠い時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
白井 沙良子(医師)
「常に眠い」症状で考えられる病気と対処法
日中も強い眠気で、生活に支障をきたしている。眠気が強く、やる気が出ない。常に眠いと、なにかと困りますよね。単なる寝不足ではなく、病気と関連していることも。対応や、受診した方が良い目安などを解説します。
だるくて常に眠い症状で考えられる原因と治し方
日中の眠気を引き起こす病気として最も多いのは、睡眠時無呼吸症候群です。様々な原因によって気道(空気の通り道)が狭くなり、睡眠中に無呼吸の時間が長くなる病気です。肥満、扁桃や舌が大きい、顎が小さい、鼻炎などが主な原因です。
日中の眠気以外にも、いびき、夜間に頻尿で起きる、朝起きた時の頭痛などもみられます。日中の眠気のせいで仕事の効率が下がったり、居眠り運転から交通事故につながったりするなどの懸念もあります。
肥満の場合は、食生活や運動に注意をして減量することで症状が改善することもあります。また飲酒によって睡眠の質が低下し、さらに無呼吸が増加しうるので、晩酌は控えることが大切です。
さらに専門的な治療としては、重症度に応じて、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)というマスクや、マウスピースなどを使って気道を広げる治療があります。無呼吸が続くと、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高くなりますが、適切に治療を行うことでリスクを下げることができます。
日中の眠気がひどく、仕事に支障が出る場合や、家族からいびきの大きさを指摘されている場合などは、呼吸器内科や睡眠外来などを受診しましょう。
やる気が出なく常に眠い症状で考えられる原因と治し方
単に睡眠不足というだけでも日中のやる気に影響を及ぼしますが、気分障害(うつ病)では、さらに生活や仕事に支障が出るほど、やる気が出ないことがあります。他に精神疾患としては、幻聴などの症状がある場合は統合失調症の可能性も検討されます。また身体症状症といって、特に検査をしても異常が見つからないものの、体が思うように動かなかったり、体の感覚がおかしく感じられたりといった様々な異常が生じる病気もあります。これらは単にやる気がない、というよりも、病気の治療をしなければ改善が見込めないものです。日常生活に支障をきたすほどのやる気の無さであれば、内科や精神科、心療内科を受診しましょう。
男性で常に眠い症状で考えられる原因と治し方
日中の眠気やいびきの代表格である睡眠時無呼吸症候群は、女性に比べると、特に40〜50歳代の男性にやや多いと言われています。また女性に比べると、男性に多い肝硬変などから重症化して、脳の機能にも影響を及ぼす肝性脳症、眠い症状を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群については、肥満の場合はまずは減量ですが、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)というマスクや、マウスピースなどを使って気道を広げる治療が必要なケースも多いです。また肝硬変や肝性脳症は、必ず治療が必要な病気です。もともと肝臓の数値や病気で指摘されている場合は特に、眠気の程度がどんどんひどくなる場合は内科、特に消化器内科の受診を検討しましょう。
女性で常に眠い症状で考えられる原因と治し方
睡眠時無呼吸症候群は一般的には男性にやや多いのですが、閉経後は女性がやや増加します。閉経に伴うホルモンバランスの変化によって、睡眠時無呼吸症候群が増加すると考えられています。
またむずむず脚症候群によって、夜間に十分な睡眠が確保できないことも、日中の眠気に影響します。むずむず脚症候群は鉄欠乏性貧血や妊娠など、鉄が不足する状況で生じやすいことから、女性が特に発症しやすい時期があります。
甲状腺機能低下症(橋本病など)でも疲れやすさや眠気が生じます。女性は、男性に比べて20〜30倍ほどかかりやすい病気です。
いずれもホルモン治療や、鉄補充、また甲状腺ホルモンを補う薬などによって、症状が改善する可能性があります。内科や婦人科の受診をおすすめします。
ストレスで常に眠い症状で考えられる原因と治し方
心理的なストレスも、身体的な症状に結びつくことは非常によくあります。気分障害(うつ病)では、さらに生活や仕事に支障が出るほど、やる気が出ないことがあります。また身体症状症といって、特に検査をしても異常が見つからないものの、体が思うように動かなかったり、体の感覚がおかしく感じられたりといった様々な異常が生じる病気も、ストレスによって引き起こされることがあります。これらは単にやる気がない、というよりも、病気の治療をしなければ改善が見込めないものです。日常生活に支障をきたすほどのやる気の無さであれば、内科や精神科、心療内科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「常に眠い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
日常生活支障が出るほどの症状の場合は、内科、呼吸器内科、睡眠外来へ
日中の眠気がひどくなり、仕事など日常生活に支障をきたすほどであれば、受診しましょう。原因として最も多い睡眠時無呼吸症候群については、呼吸器内科のほか、睡眠外来などの専門外来がおすすめです。また睡眠というよりは、うつ病や甲状腺機能など、精神科や内分泌科などに関わる病気が原因のこともあるので、やはり症状がひどくなる、続く場合は受診しましょう。
受診・予防の目安となる「常に眠い」ときのセルフチェック法
- ・常に眠い以外に眠気のせいで日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合
- ・常に眠い以外に気分の落ち込みややる気の無さが、日常生活に支障を及ぼすほどの場合
- ・常に眠い以外に特に女性で経血量が多かったりふらつきが見られたりする場合
「常に眠い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「常に眠い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
月経関連過眠症
月経開始前など、月経周期に伴って生じる反復性の眠気です。月経が開始すると急速に眠気が消失するなど、月経の周期に大きく症状が左右されます。治療の一つにピル(経口避妊薬)があります。婦人科や、ピル処方が可能な内科などに相談しましょう。
過眠症
日中に過剰な眠気を生じる病気をまとめて、過眠症と呼びます。夜に適切な睡眠が取れていないことによるもの以外にも、ナルコレプシーや特発性過眠症など、(夜中の睡眠状況には関係なく)脳の覚醒がうまく保たれないことで日中に眠くなってしまう病気があります。
生活習慣などに気をつけて、夜間の睡眠時間等を確保してもなお日中の眠気がひどくつづく場合などは、内科や睡眠外来を受診しましょう。また夜間に適切な睡眠時間や睡眠環境を整えることが難しい場合も、相談しましょう。
ナルコレプシー
過眠症のうち、夜間の睡眠状況にかかわらず、脳の覚醒メカニズムがうまく機能しないために、日中に過剰な眠気が生じる病気です。15歳から25歳ほどに後発し、情動脱力発作という、大笑いしたあとなどに膝の力が抜けるような発作も特徴的です。有病率は0.1%ほどと稀で、診断には特殊な検査が必要です。疑った場合は、内科や睡眠外来で相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群
日中の眠気を引き起こす病気として最も多いのが、睡眠時無呼吸症候群です。日中の眠気以外にも、いびき、夜間に頻尿で起きる、朝起きた時の頭痛などもみられます。肥満に対して減量することも大切ですが、重症度に応じて、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)というマスクや、マウスピースなどを使って気道を広げる治療を受けることも大切です。日中の眠気のせいで仕事の効率が下がったり、居眠り運転から交通事故につながったりするなどの懸念もあります。疑った場合は、内科や睡眠外来を受診しましょう。
特発性過眠症
過眠症のうち、夜間の睡眠時間や質はしっかりと確保できているにもかかわらず、熟眠感が得られなかったり、日中の眠気が生じたりする病気です。ほかに過眠症をきたす病気などを全て除外したあとに診断できるものなので、詳しい検査が必要になります。内科や睡眠外来を受診しましょう。
「常に眠い」の正しい対処法は?
まずは夜間の睡眠について、休日も含めて規則正しい時間に就寝することなど、適切な時間と質を確保できるように心がけます。市販の睡眠薬は、主に最初の寝付きをよくするための作用があります。用法用量を守って適切に使用するぶんには良いでしょう。
ただし市販薬で様子を見すぎないことも大切です。
日中の眠気で多くみられるのは睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時間は確保できていても、いびきや睡眠の浅さなどで、睡眠の質が確保できず、日中の眠気につながってしまう病気です。肥満に対して減量を試みることは良いですが、いきすぎたダイエットや間違った減量方法では、かえって健康を損ねます。CPAPやマウスピースなどの治療法が必要なこともあるので、あまり自宅で無理をしすぎず、受診して相談しましょう。
女性であれば月経関連過眠症も考えられるので、月経前後は特に睡眠を意識して取れると良いでしょう。ただしホルモンバランスのせいでどうしても睡眠の質が確保しづらいので、婦人科に相談することも大切です。甲状腺機能低下症やむずむず脚症候群なども、自宅のケアで治るものではないので、内科も含めた適切な受診が大事です。
男女問わずストレスも睡眠に影響するもの。日常生活に支障が出るほどの落ち込みや、やる気の無さなどは、気分障害(うつ病)も考えられるため、心療内科や精神科への相談も大切です。
その他ナルコレプシーなど稀な病気の可能性もあります。あまりホームケアで頑張りすぎず、医師の診断や指示をあおぐようにしましょう。
「常に眠い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「常に眠い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
常に眠い原因は何が考えられますか?
白井 沙良子(医師)
男女ともに、日中の眠気で多くみられる原因は、睡眠時無呼吸症候群です。
女性であれば月経関連過眠症、甲状腺機能低下症、むずむず脚症候群などもメジャーな原因です。
女性と比べると男性に多い病気として肝硬変がありますが、肝硬変がさらに進行し、肝性脳症などから眠気が引き起こされているケースもあります。
男女問わずストレスも睡眠に影響するもの。日常生活に支障が出るほどの落ち込みや、やる気の無さなどは、気分障害(うつ病)も考えられます。
その他かなり稀ですが、ナルコレプシーなど稀な病気の可能性もあります。
また検査をしても異常はないけれども、体の様々な症状を引き起こす身体症状症というものもあります。
常に眠くて何もしたくないのはどんな原因が考えられますか?
白井 沙良子(医師)
単に寝不足というだけでもやる気がわかないことはありますが、日常生活に支障が出るほどのやる気の無さは、気分障害(うつ病)なども考えられます。
常に眠い症状の場合、病気の可能性はありますか?
白井 沙良子(医師)
単に夜間の睡眠時間や質の確保ができていないという可能性もありますが、睡眠時無呼吸症候群などの病気がある可能性もあります。女性であれば月経関連過眠症、甲状腺機能低下症、むずむず脚症候群などもメジャーな原因です。女性と比べると男性に多い病気として肝硬変がありますが、肝硬変がさらに進行し、肝性脳症などから眠気が引き起こされているケースもあります。その他かなり稀ですが、ナルコレプシーなど稀な病気の可能性もあります。
まとめ 常に眠い症状が気になる時は睡眠外来で相談!
夜間の睡眠が確保できていないと、誰でも日中の眠気は感じるものです。一方で、睡眠の時間や質を確保しているつもりなのに、日中の眠気が改善しない、悪くなる場合は、なんらかの病気が隠れている可能性があります。
いびきがひどいことを指摘されたり、肥満を指摘されていたり、あるいは日常生活に支障をきたすほどやる気が出ない・気分の落ち込みがあったり、といった場合は、無理をしすぎず呼吸器内科や睡眠外来を受診しましょう。
特に女性の場合は、月経に関連して睡眠が取りづらい場合や、甲状腺の病気から眠気が生じていることもあるので、婦人科や内科の受診も大切です。
「常に眠い」で考えられる病気と特徴
「常に眠い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
男性に多い病気
- 肝硬変、肝性脳症
精神科・心療内科系の病気
- 気分障害
- 身体症状症
「常に眠い」と関連のある症状
「常に眠い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 日中も眠い、昼間も眠い
- やる気が出ない
- だるい
- 気分が落ち込む
- 体が思うように動かない
体調がすぐれない理由に睡眠が関連していることが多く見受けられます。