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「夏バテを疑う3つの症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

「夏バテを疑う3つの症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

夏バテの症状とは?Medical DOC監修医が夏バテの症状・原因・セルフチェック法・考えられる病気・予防する食べ物や対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

大人の夏バテの症状

夏バテとは、高温多湿の環境や室内外の気温差によって自律神経系のバランスが崩れることで起こる身体の不調の総称です。暑気あたりなどと称されることもあります。
自律神経とは何でしょう?自律神経とは、体の生命維持に必要な機能を調整する神経です。交感神経と副交感神経があり、それぞれが相反して作用し、『アクセル』と『ブレーキ』のように働いているのです。交感神経は、活動時に働き、血圧や脈拍をあげ、胃腸の動きを抑制します。副交感神経はリラックスしているときに優位となり、血圧や脈拍を下げ、消化管運動を活発にさせます。この二つの神経がバランスを取りながら働き、体調を整えますが、精神的なストレス、気温や湿度の急激な変化によって体に負担がかかるとバランスを崩すことがあるのです。
自立神経の不調に伴う夏バテの症状は以下に挙げる通り、全身のだるさや疲労感、頭痛、めまいなどがあります。
その場の疲れだけならまだ良いですが、疲労感から免疫力の低下を招き、さらなる疾患を招く可能性もありますので、軽く考えずにしっかりと対策を取りましょう。

倦怠感

倦怠感、平たく言えば身体のだるさですが、高温による発汗で体内のミネラルが失われ、電解質のバランスが崩れることで起こります。
また、外気温と冷房の効いた室内の温度差で自律神経系の不調が起こることも原因のひとつです。
適切な水分補給とともに、軽い運動を取り入れることで血流を促し、倦怠感の軽減を図ることも有効です。運動の際は涼しい環境で行うようにしてください。
不調が続くようであれば、内科の受診をおすすめします。

頭痛

夏バテの症状のひとつが頭痛です。
夏バテ由来の頭痛は、室内外の温度差、冷たい飲食物の摂り過ぎ、脱水症状や直射日光などが原因で起こります。
対策としては、安全で涼しいところへ移動する、日傘や帽子を使って直射日光を避ける、睡眠や水分の不足に気を付ける、などです。
頭痛とともにめまいや吐き気が起こることもあります。
意識が朦朧とするようでしたら、迷わず医療機関を受診してください。

下痢

下痢も夏バテの症状としてよく見られます。
自律神経のバランスを崩すことで胃腸の働きが低下するほか、暑さのために冷たいものを摂り過ぎたり、寝冷えをしたりすることで下痢を起こしやすくなります。
下痢を起こすと体内から水分が失われるため、常温の水、必要に応じてスポーツドリンクや経口補水液なども活用しましょう。
食欲があれば栄養補給のため、食事は通常通りとるようにしましょう。その際は消化が良く、刺激の少ないものを選んでください。
下痢が長く続く場合、食中毒など他の原因が考えられますので、内科や消化器内科を受診しましょう。

子どもの夏バテの症状

大人と同様に子どもにも夏バテはあります。
むしろ、大人よりも体内の水分量が多いため、発汗により脱水症状になりやすい点、自律神経系の調整機能が未発達な点、そして体調の変化を自覚しづらい点などから、大人以上に夏バテになりやすいと言えます。
体調が悪くても言葉でうまく伝えられない場合もありますので、周囲の大人は以下の症状に注意し、適切なケアを心掛けてください。

イライラ

暑さによる体調不良から、イライラや不機嫌といった情緒の乱れが現れることがあります。
怒りっぽくなる、泣き出すといった表現で子どもなりに不調を訴えている場合がありますので、水分補給や涼しい場所に移動するなどの対策を取ってください。

発熱

代謝機能が未発達な子供においては、体内の熱をうまく放出できずに発熱してしまうことがあります。
水分を適切に補給し、涼しい場所で安静にしてください。
また、38℃以上の高熱や、手や足、口に水ぶくれが出る、結膜炎が見られるなどの場合は、いわゆる夏かぜと言われる手足口病、プール熱、ヘルパンギーナといった病気の可能性もあります。
夏かぜは多くの場合、数日の期間を経て自然に回復しますが、まれに重篤な合併症の恐れもありますので、長引く場合には小児科を受診してください。

睡眠障害

暑さにより寝苦しくなり、十分な睡眠が取れないことで、日中の眠気や身体のだるさなどが見られるようになります。
睡眠不足はさらなる体力の低下を招き、体調不良が長く続くことにつながりますので、必要に応じて適切に冷房を使用したり、氷まくらを使ったりするなどして快適な睡眠環境を作るようにしてください。

夏バテの原因

夏バテの原因を一言で表すと「自律神経系の不調」ということになりますが、夏場に自律神経系が不調をきたす要因は様々です。以下にその原因をご紹介します。

栄養不足

自律神経系の不調の原因の一つに挙げられるのが栄養不足です。
暑い時期には冷たい麺類などを食べたくなりますが、炭水化物に偏るとビタミン不足になり、ストレスから回復する力が低下し、ホルモンバランスの乱れから夏バテへとつながります。

高温多湿

夏の高い気温と湿度は身体に大きな負担となります。
湿度の高い環境においては汗が蒸発しづらくなり、発汗による体温の調節がうまくいかず、自律神経系の不調の原因となります。

室内外の温度差

エアコンの効いた涼しい室内と、外の暑さの温度差が大きいと、体温を一定に保とうとして自律神経が過剰に働き、エネルギーの消耗が激しくなります。
これによって身体の疲れやだるさを招き、夏バテの症状が現れます。

夏バテになりやすい人の特徴

夏バテになりやすい人には生活習慣などにいくつかの特徴があります。
以下を参考にし、もしご自身が当てはまっているようでしたら気を付けてください。

肥満体型

脂肪は熱が伝わりにくいという特徴があるため、脂肪の多い肥満体形の人は身体の中で発生した熱が体内にこもりやすくなります。
そのため、肥満の方は夏バテになりやすいと言えます。

ストレスが多い

日常においてストレスを感じている人は、そうでない人に比べて夏バテのリスクも高いです。気温と日常のストレスのダブルパンチで、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、自律神経系のバランスを崩しやすいためです。

運動不足

運動不足の状態が長く続くと、筋肉や身体の各器官の働きが衰えてきます。
そうなると体力や自律神経のバランスを調整する力が弱くなり、疲れやすく回復しづらい身体となって夏バテの原因となります。

すぐに病院へ行くべき「夏バテの症状」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識が朦朧とする場合は、救急科へ

暑さによる夏バテの症状がひどい場合は、熱中症かもしれません。
意識が朦朧として自力で水分が補給できない状態であれば、迷わず救急車を呼んでください。
救急車が到着するまでの間は、涼しい場所に移動させて、衣服を緩めて寝かせ、うちわで仰ぐなどの対処を行ってください。

受診・予防の目安となる「夏バテ」のセルフチェック法

  • ・食欲がない場合
  • ・吐き気など気持ち悪い症状がある場合
  • ・夜中に何度も目が覚める場合

「夏バテの症状」に関する特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「夏バテの症状」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

熱中症

熱中症とは、高温多湿な環境に長い時間いることで、体温調節がうまくいかなくなり、身体の中に熱がこもった状態のことです。
室外のみならず、室内でも条件が揃うと熱中症のおそれがありますので、直射日光を避け、冷房の適切な使用、経口補水液での水分補給といった対策を取り、予防に努めましょう。
もし、意識障害やけいれん、高熱、激しい頭痛やめまい、嘔吐、下痢、強い倦怠感が見られる場合は救急車を呼びましょう。

熱射病

熱中症が重症化し、深部体温が40℃を超えて昏睡などの中枢神経障害が起きた状態を熱射病と呼びます。ほか、肝臓や腎臓の障害や血液凝固異常が見られる場合もあり、重篤な状態と言えます。
熱射病の疑いがある場合は、日陰の涼しい場所に移動した上で、衣服を緩めて頭を高くし、首筋、脇の下、足の付け根などを冷やしましょう。
意識がある場合は経口補水液で水分を補給し、早急に病院へ搬送する必要があります。

夏バテを疑う症状が現れた場合、どうしたらいい?

水分補給

適切な水分補給は重要な対策となります。
喉が渇いたと自覚した時はすでに体内から相当の水分が失われている状態です。
一般的に成人が1日に確保しておきたい水分量は1.5リットルです。しかし、汗をかくことが多い場合はそれより多い水分を何回かに分けてこまめに摂取することで脱水症状を予防できます。

休息を取る

高温多湿で体力が奪われた状態においては、夏バテのリスクが高まります。
体調を崩さないためにも、無理をせず十分な休息、睡眠を確保してください。

身体を冷やす

炎天下での活動などで身体が熱くなった場合、適切に冷やすことで夏バテ、熱中症を予防できます。
冷房の効いた室内で休む、太い血管の通っている首や脇の下を冷やすといった対策が有効です。

夏バテを予防する食べ物・食生活

ビタミンB1を含む食事

暑い時期は冷たいそうめんやうどんなど、のどごしの良い食事が好まれがちです。しかし、炭水化物に偏った食生活ですと、糖質が過多となり、全身の疲れやだるさを招きます。
ビタミンB1を多く含む食事を摂取することで、糖質をエネルギーに換えて疲労の回復が期待できます。
具体的な食品は豚肉、うなぎなどです。

ミネラルの補給

発汗では水分のほか、体内から多量のミネラルが失われます。
ナトリウム、カリウム、マグネシウムが含まれる飲食物を適切に補給しましょう。
経口補水液のほか、カリウムやマグネシウムを多く含むスイカ、キウイフルーツ、きゅうりなどの食品に少量の塩を加えて接種することで、経口補水液と同様の効果が期待できます。

朝食を摂る

一般的に、起床時にはすでに脱水症状であるとされています。
このため、朝食で必要な水分、塩分ほか必要な栄養素を摂取することは、夏バテの予防に有効です。
米は水分を多く含み、主成分のでんぷんは体内で水と二酸化炭素に分解されます。
また、みそ汁は塩分とミネラルを含みますので、これらの朝食を摂っておくことで日中に失われる栄養素をあらかじめ補うことができます。

夏バテの正しい対策・対処法

規則正しい生活

寝不足、昼夜逆転の生活、栄養バランスの乱れにより体調を崩し、自律神経の切り替えがうまくいかない原因となります。
体力の低下を防ぐためにも、十分な睡眠と休息、バランスの取れた食生活など、基本的な健康対策を普段から意識することで夏バテの予防に役立ちます。

ストレスを溜めない

これまでも記事内で触れてきましたが、ストレスは自律神経系のバランスを崩す重大な原因の一つです。
暑さそれ自身がストレスとなって夏バテを招いてしまうほか、日常的にストレスを感じることの多い現代では自律神経系のバランスが崩れやすくなっており、身体の調節機能が十分に働かないおそれがあります。
暑さを避けるとともに、ストレスとうまく付き合って行けるような気分転換の方法を見つけられれば、これも有効な夏バテ対策と言えます。

適度な運動

運動不足が夏バテを招くことはすでに紹介しました。
継続的な運動を行うことで体温の上昇に慣れ、暑さへの順応性が高まるほか、汗をかき慣れることで汗の分泌機能が高まり、発汗時にもミネラルが失われにくい、いわゆる良い汗をかきやすくなり、夏バテの予防につながります。

「夏バテの症状」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「夏バテの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

夏バテはどれくらいの期間で治りますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

夏バテの回復期間は個人差が大きく、症状の重さや対応策によって異なります。通常、軽度の夏バテであれば数日から1週間程度で回復することが多いですが、重度の場合や適切な対策が取られていない場合は、回復に数週間かかることもあります。

夏バテを疑うセルフチェック法について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

夏バテかどうかをチェックする目安としては、身体がだるく疲れが取れない、食欲がない、日中の眠気、集中力の低下、頭痛、めまい、消化不良や胃腸の不快感などがあります。これらの症状が長引いたり重篤化したりした場合は、医療機関へ相談してください。

夏バテを解消する飲み物はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

まずは通常の水や麦茶、疲労感の軽減にはクエン酸を含む飲み物、発汗などで失われた水分が多い場合はスポーツドリンクも有効です。
反対にアルコールやカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、また、糖分の多い飲料も水分の吸収が遅れるため、控えた方がよいでしょう。

まとめ 夏バテを食事・生活習慣の改善から予防しよう!

年々暑さを増す日本の夏においては、夏バテのリスクもますます高まっていると言えます。
本記事の対策や予防法を参考にしていただき、普段から夏バテ、熱中症になりにくい身体作りを心掛けてください。

「夏バテの症状」で考えられる病気

「夏バテの症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

夏バテの症状が長引いたり、重かったりする場合は上記のような病気の可能性も考え、適切な診療科を受診してください。

「夏バテの症状」に似ている症状・関連する症状

「夏バテの症状」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲れが抜けない
  • 食欲不振
  • 立ちくらみがある

夏バテの症状と思っていたら、違う疾患が隠れていたということも多いです。不調が続く、何だか気持ち悪い、といった場合は医療機関を受診してください。