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「体が勝手に動く」のはどんな病気が考えられる?医師が徹底解説!

「体が勝手に動く」のはどんな病気が考えられる?医師が徹底解説!

体が勝手に動くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「体が勝手に動く」症状で考えられる病気と対処法

お昼ご飯を食べた昼下がりなどに、眠くなって、ウトウトしているときに、ビクッと手や体が動いたことはありませんか?これは、ミオクローヌスと言って、健康な人でもおこる不随意運動の一つです。一方、病気によって体が勝手に動くこともあります。現代では、スマートフォンなどで容易にビデオ記録できるようになりました。可能であれば、ビデオを撮っておくと、病院受診の時に、非常に参考になります。
体が勝手に動くと一口に言ってもさまざまな種類があり、原因となる病気もたくさんあります。代表的なものを厳選して解説していきます。

体が勝手に動く症状で考えられる原因と対処法

手足や体、顔や口などが、実際に勝手に動く症状は、専門用語で不随意運動と言います。代表的なものは、前述のように、寝入りなどに起きる一瞬ビクッとするような不規則な動きで、ミオクローヌスと言います。その他に、素早い動きを引き起こすものには、手や足の指などが小さく動く振戦があります。また、手首や足首から先が不規則に動き、踊っているようにみえる舞踏運動、肩や股関節など大きな関節も動くバリスムなどもあります。言葉や声が伴い、同じような動きを繰り返すものはチックと言われます。
比較的ゆっくりとした動きは、手先や足先が中心のアテトーゼがあります。また、同じような姿勢を取り続け、体や顔にも症状がでるジストニアなどもあります。
また、けいれん発作では、手足がガクガクと動いたり、グーっと力が入ったりすることがあります。
手や足が小さく動く振戦の場合は、パーキンソン病や本態性振戦、甲状腺機能亢進症などが考えられます。また、精神科のお薬、特に抗うつ剤の副作用で体が震える症状が現れることが知られています。うつ病などのお薬の副作用として震えとともに、不安や熱などの症状がでるといったものです。どのような時に症状が出やすいかも参考になります。たとえば、じっとしているときに症状が出やすいときはパーキンソン病の可能性が高まります。逆に、動かそうとするときであれば、本態性振戦や甲状腺機能亢進症の可能性が高まるといった具合です。なかなかおさまらないときは病院を受診しましょう。精神科のお薬を飲んでおり、こうした症状が現れた場合は早めに主治医に相談してください。
次に、舞踏運動やバリスムが片側の手足に出る場合は、脳梗塞や脳腫瘍に伴うものの可能性があります。日常生活も制限されることが多いので、早めに病院を受診するようにしましょう。舞踏運動が両側に出る場合は、神経変性疾患という神経が変化したり、壊れたりする病気のなかの、いくつかの種類が考えられます。しっかりと調べる必要がありますので、病院を受診してください。
代表的なもののみ、かいつまんでお話ししました。次は、勝手に動く症状以外の症状も伴っている場合について、いくつか例を挙げて解説していきます。

体が勝手に動いて立ちくらみがする症状で考えられる原因と対処法

立ちくらみがするという症状は、立ち上がったときに、血圧が下がってしまうことで起こります。通常は自律神経がきちんと働いて、血圧を上げたり、脈を速くしたりしてくれるので、立ちくらみは起こりません。しかし、自律神経が何らかの原因で障害されると高頻度で起こってしまいます。自律神経が障害されると、立ちくらみ以外にも、ひどい便秘になったり、おしっこが出なくなったりすることがあります。
立ちくらみが起こりやすく、体が勝手に動く症状が、指などが小さく震える振戦の場合は、パーキンソン病が考えられます。また、パーキンソン病に似たような症状を引き起こしえる、レビー小体型認知症や多系統萎縮症も考えられます。しっかりと病院で調べる必要がありますので、受診しましょう。
ここで注意ですが、立ちくらみがして、意識が遠のいたときに、全身が震えることがあります。これは、血圧が下がってしまい、脳の血流が低下した時に伴う症状なので、あまり心配はいりません。

寝ている時に体が勝手に動く症状で考えられる原因と対処法

寝ている時に体が勝手に動くときには、2つほど原因が考えられます。
まず、一つ目は寝入りに、足や手などに虫が這っていく(はっていく)ような感覚がするなどの不快な感覚がして、足や手を動かしてしまう病気です。むずむず脚症候群と呼ばれます。原因がわからない場合もあるのですが、前述のパーキンソン病や鉄分不足でも起こることが知られています。原因が分かった場合は、その治療を行うことでよくなることがあります。原因不明の場合は、まずストレスや生活習慣(カフェイン・アルコールを控える、きちんと睡眠をとるなど)の改善を行います。それでも改善が乏しいときはお薬での治療を検討しましょう。
二つ目は、しっかり寝入ったあとに、叫んだり、体が動いたりする場合です。我々が寝ているときに夢を見るのは、睡眠サイクルのなかでもレム睡眠と言われる時間帯です。レム睡眠中は、脳は活発になり夢を見ますが、体は力が抜けた状態になっています。そのため、通常は夢を見ても動くことはありません。レム睡眠行動障害という病気は、体の力が抜けた状態をうまく作れず、夢の内容通りに体が動いてしまいます。叫んだり、壁などを叩いたりしてしまいます。この症状がみられるときは、寝る環境を調整して、周りに危険なものを置かない、一人で寝るなどの工夫が必要です。
レム睡眠行動障害は、将来的にパーキンソン病やレビー小体型認知症に先立って出てくることもあります。病院を受診して、検査を受けることをお勧めします。

ストレスで体が勝手に動く症状で考えられる原因と対処法

体が勝手に動く症状を引き起こす病気の多くは、ストレスとの関連が分かってきています。その中でも、ストレスとの関わりのある病気の代表格がチック症です。
チックは、体の早い動きで、声が出ることもあります。子どものころから起こることが多いのですが、成人でも発症しえます。子どものころの一時的なものであれば心配いりません。症状が1年以上続くときはトゥレット症と言われます。トゥレット症の原因ははっきりとはわかっていませんが、ストレスをはじめとした環境の問題と産まれもった体質とが関連しているのではと推測されています。チックが続くようなときは、年齢にあわせて小児科などを受診するほうが良いでしょう。

一瞬、体が勝手に動く症状で考えられる原因と対処法

症状が一瞬で済んでしまうような場合は、寝入りや疲れているときなどにミオクローヌスの可能性が高いです。多くの場合は心配はいりません。
一方で、小児や青年期から発症して、ミオクローヌスが出現する特殊なけいれん発作もあります。繰り返す場合や、意識を失ったり、ぼーっとしたりするようなことがある場合は、病院を受診しましょう。
また、高齢者では、手足の力が抜ける特殊な不随意運動も知られています。体を動かそうとすると一瞬力が抜けることで勝手に動いてしまいます。じっとしていると症状は出現しません。一時的な症状であることがほとんどですが、症状で困るようなら病院を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「体が勝手に動く」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急な症状で日常生活が制限される場合は、脳神経内科へ

まず、急に起こった症状であれば、注意が必要です。脳梗塞や脳腫瘍による症状、けいれんなどの緊急対応を要する病気が隠れている可能性があります。
また、震えが強く日常生活が制限される、意識状態が悪化しているなどの症状を伴っている場合も対処が必要です。
緊急での対応が必要になることもありますので、救急外来への受診をお勧めします。症状が落ち着いたあとであれば、脳神経内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「体が勝手に動く」症状のセルフチェック法

  • 体が勝手に動く症状が急激に現れた場合
  • 体が勝手に動く症状によって、日常生活が制限される場合
  • 体が勝手に動く以外に意識が悪いなどの症状がある場合

「体が勝手に動く」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「体が勝手に動く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

てんかん

てんかんとは、手足がガクガクと震えたり、グーっと力がはいったりするけいれんが起こりやすい状態をいいます。脳の一部分が異常に活動することが原因です。
対処法として、以前は舌をかまないように、口の中へものを詰め込むように言われていました。しかし、窒息したりするので今は推奨されていません。意識を失う場合は、支えてあげて頭を打たないようにして、周りに危ないものがない状態にしてください。それから、救急車を呼んで、病院を受診しましょう。特に発作が落ち着いた状態で受診するときは脳神経内科を受診してください。

パーキンソン病

本文中でもある程度述べていますが、体をスムーズに動かす部分が障害されることで、体がスムーズに動かしにくくなったり、手が細かく震えたりします。体の問題だけでなく、声が小さくなったり、表情が分かりにくくなったり、便秘になったりと症状も多彩です。症状は急には起こらず、ゆっくりと進みます。気になる症状がある方は、脳神経内科の外来を受診してください。

統合失調症

統合失調症は、幻覚や幻聴、被害妄想などの症状が出現します。また、感情の起伏がなくなったり、意欲や注意力も減ったりしまいます。はっきりとした原因はわかっていません。この病気の治療薬は、長期間内服すると、口や手足が勝手に動くジスキネジアや、首などが決まった方向を向いて固まってしまうジストニアなどを起こす可能性があります。薬の副作用の可能性がありますが、勝手に内服の中止はせず、必ずかかりつけの先生へご相談ください。

ジスキネジア

自らの意志とは関係なく、口や手足など体の一部が勝手に動く状態です。動きは不規則で、ねじれたり、よじれたりするような変な動きのことが多いです。口唇ジスキネジアは、高齢者などに起こり、口をモグモグと動かしたり、舌を動かしたりする動きが特徴です。老化のひとつではないかと言われています。そのほかには、薬の影響で生じることがあります。抗精神病薬や統合失調症、パーキンソン病に用いられる薬が原因としてよく知られています。このような症状が出たときは、必ずかかりつけの先生へ相談し、安易に薬をやめないようにしましょう。

脳梗塞

脳の血管が詰まって脳細胞が破壊されるのが脳梗塞です。脳梗塞でも、多くはありませんが、体が勝手に動く症状が出てきます。片側に舞踏運動やバリスムと言った動きが、突然出てきたときは、脳梗塞を起こしている可能性があります。そのほかには、一般的に脳梗塞のときの症状である、片側の手足の麻痺やしびれ、しゃべりにくさやろれつが回らない症状も出現しえます。日常生活も制限される動きが多いので、早急に病院を受診しましょう。

むずむず脚症候群

寝つきなどに、足や手などに虫が這っていく(はっていく)ような感覚がするなどの不快な感覚がする病気です。足や手を動かすと、症状が和らぐので、無意識のうちに動かしてしまう病気です。原因がわからない場合もあるのですが、パーキンソン病や鉄分不足でも起こることが知られています。原因が分かった場合は、その原因に応じた治療を行うことでよくなることがあります。原因不明の場合は、まずストレスや生活習慣(カフェイン・アルコールを控える、きちんと睡眠をとるなど)の改善を行います。それでも改善が乏しいときはお薬での治療を検討しましょう。

「体が勝手に動く」症状の正しい対処法は?

大半の体が勝手に動く症状は、自らの意志で止めようと思っても、ほとんどの場合は止められず、できても短時間にとどまります。一般の方が、症状が起こっているときにできる最も重要なことは、本人の安全を確保することです。危険なものはできるだけ動かして、けがをしないように安全な環境にしてください。症状を落ち着かせるような市販薬は、ほとんどありません。
症状が急に起こってきた、症状が強くて日常生活が制限される場合は緊急で病院を受診し、治療が必要になります。そうでない場合も、脳神経内科や小児科の外来を受診すると良いでしょう。
症状が落ち着いてきた場合は、できる限り体と心の休息をとるようにしましょう。睡眠不足を避け、睡眠をしっかりとりましょう。瞑想などもストレス軽減に役立ちます。心と体の回復に努めることは良い方向に働くでしょう。

「体が勝手に動く」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「体が勝手に動く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子供の体が勝手に動くのはどうしてですか?

神宮 隆臣医師神宮 隆臣(医師)

子どもの場合は、本文中で述べたチック症などに加えて、睡眠中に泣き叫んだり、動いたりすることがあります。それぞれ、睡眠時驚愕(きょうがく)症(別名、夜驚(やきょう)症)、睡眠時遊行症(別名、夢遊病)と言います。これら二つは成長とともに改善が見込めます。なかなか良くならないときは、小児科を受診しましょう。

体が勝手に動いて寝れない時はどうすればいいですか?

神宮 隆臣医師神宮 隆臣(医師)

この質問の症状からすると、むずむず脚症候群の可能性があります。寝付くときを中心に、虫が這うような感じがしたり、足の内側から不快感が出てきたりします。足を動かすと症状が和らぐので、症状が和らぐので、足を無意識のうちに動かしてしまいます。動きと不快感が相まって寝つきが悪くなります。寝つきが悪いと、日常生活も制限されますので、病院を受診するのが良いでしょう。

まとめ 体が勝手に動く症状は脳神経内科で相談

体が勝手に動く症状を引き起こす病気の多くは、脳神経内科の病気が中心です。症状のタイプも多く、その原因になる病気もたくさんあります。今回の記事ではできるだけ、わかりやすいように厳選してお伝えしましたが、十分ではない部分もあります。症状が急に起こったり、日常生活が制限されたりするようなら、早急に病院を受診してください。そうでない場合も、脳神経内科の外来を受診するようにしましょう。

「体が勝手に動く」症状で考えられる病気

「体が勝手に動く」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

  • 失神

脳神経系の病気

代謝内分泌内科の病気

小児科の病気

  • トゥレット症
  • 睡眠驚愕症
  • 睡眠遊行症

本文中でも述べていますが、体が勝手に動く症状は分類もたくさんあり、対応する病気も非常に多いです。今回の記事ではすべてに触れることはできませんが、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

「体が勝手に動く」に似ている症状・関連する症状

「体が勝手に動く」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足が震える
  • 口が勝手に動く
  • 言葉が勝手にでる

体が勝手に動く症状に似たような状態としては手足が震えたり、口が動いたりすることがあります。同時に言葉がでることもあります。体が勝手に動く症状と同様に、脳神経内科へご相談ください。

この記事の監修医師