「いくら飲んでも喉が渇く」症状はどんな病気が考えられる?医師が徹底解説!
いくら飲んでも喉が渇くのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
「いくら飲んでも喉が渇く」症状で考えられる病気と対処法
朝起きた時や運動で汗をかいた時など、身体が水分を欲している場合、喉の渇きとなって表れます。
しかし、特に喉が渇くことをしていないにも関わらず、頻繁に水分を摂りたくなったり、いくら飲んでも渇きが治まらなかったりする場合、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
以下に考えられる病気とその対処法について解説していきます。
いくら飲んでも喉が渇く症状で考えられる原因と対処法
いくら飲んでも喉が渇く症状によくある原因として、ストレスによる自律神経の乱れが考えられます。
人はストレスや緊張を感じると、交感神経の働きで唾液の分泌量が減るため、喉の渇きが起こりやすくなります。
その際、すぐに水分補給ができなかったりすると、さらにストレスが増してより喉の渇きにつながります。
対処法として、コップ1杯程度(150ml~250ml)の水分をこまめに摂る、リラックスに努める、などが挙げられます。
日常的にストレスや不安が強い場合は、心療内科・精神科の医師に相談してみてください。
風邪の時にいくら飲んでも喉が渇く症状で考えられる原因と対処法
風邪を引いた時の特徴的な症状に発熱があります。
発熱時は発汗により脱水状態になりやすく、多くの水分を必要とします。
また、鼻詰まりによる口呼吸や、市販薬に含まれる抗ヒスタミン剤の作用により、喉の渇きが強まることもあります。
こまめな水分補給は風邪の諸症状の緩和に有効です。
ただし、熱があるからと言って冷たい飲み物を飲むことはおすすめしません。
冷たい飲み物は内臓を冷やし、気持ち悪くなったり、下痢の原因になったりするので、常温か温めた飲み物で水分補給をしてください。
発熱時はミネラルも失われますので、経口補水液やスポーツドリンクも上手に活用してください。
病院にかかる際は内科を受診しましょう。
喉や鼻の症状が強く出ている場合は耳鼻咽喉科もおすすめです。
糖尿病で飲んでも喉が渇く症状で考えられる主な原因と対処法
糖尿病は、初期段階ではほぼ無症状です。
そのため、日常的に喉の渇きを覚えるようでしたら、既に血糖値がかなり高くなっている可能性があります。
糖尿病が進行すると全身に様々な合併症が出ますので、早めに医療機関を受診してください。受診する医療機関としては一般内科、糖尿病・内分泌内科をおすすめします。
生理中にいくら飲んでも喉が渇く症状で考えられる原因と対処法
生理中は女性ホルモンの働きが活発になり、子宮や乳腺といった場所に水分を蓄えようとするため、いつもより喉の渇きを感じやすくなります。
生理のほか、関連する女性特有の症状でも、女性ホルモンの減少に伴う自律神経の乱れから同様の喉の渇きが見られます。
具体的には更年期障害、月経前症候群(PMS)、妊娠中などです。
対処としてはこまめな水分補給となりますが、強い喉の渇きなど気になる症状がある場合は他の病気が潜んでいる可能性もありますので、一度婦人科または内科などに相談してみてください。
すぐに病院へ行くべき「いくら飲んでも喉が渇く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
手足の指先がしびれる場合は、糖尿病内科へ
血糖値が高い状態が続くと、代謝しきれないブドウ糖が神経細胞の働きを阻害し、手や足の末端のしびれを招きます。
加えて、高血糖は血管にもダメージを与え、血流が悪くなるため、神経細胞が機能するために必要な酸素や栄養が行き渡らなくなることも、神経障害の原因です。
放置すると日常生活に支障が出るだけではなく、足先の小さな傷が元で下肢の切断が必要となる場合もあります。
喉の渇きの他に手足の指先のしびれが出ているようでしたら、できるだけ早く内科(特に糖尿病・内分泌代謝内科)を受診してください。
受診・予防の目安となる「いくら飲んでも喉が渇く」ときのセルフチェック法
- いくら飲んでも喉が渇く以外に尿の量が多い場合
- いくら飲んでも喉が渇く以外に体がだるい場合
- いくら飲んでも喉が渇く以外に疲れやすい場合
- いくら飲んでも喉が渇く以外に目の渇きがある場合
- いくら飲んでも喉が渇く以外に関節痛がある場合
「いくら飲んでも喉が渇く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「いくら飲んでも喉が渇く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病
糖尿病はインスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと全身の血管が傷つき、心筋梗塞や失明、腎不全、足の壊疽といった重い病気を招きます。
糖尿病にはいくつかの分類があり、主なものとして、何らかの原因により膵臓でインスリンを作る細胞が壊れてしまうことによる1型糖尿病、生活習慣や遺伝的要因によりインスリンが出にくくなる、または効きにくくなることで起きる2型糖尿病があります。
その他、糖尿病以外の病気や薬の影響で起こる場合や、妊娠中に発症する妊娠糖尿病があります。日本人の糖尿病の95%は2型であり、糖尿病に対して一般的に抱くイメージはこの2型です。
糖尿病は初期の段階では自覚症状がなく、かなり血糖が高くならないと症状が現れないことから、気付いた時には進行してしまっていることも少なくありません。
高血糖の主な症状としては、喉が渇く、水をよく飲む、尿が多量に出る、体重が減る、疲れやすくなる、などがあります。
治療法として、1型ではインスリン注射と食事療法、2型では食事・運動療法、進行度によって飲み薬やインスリン注射が必要になります。
喉がよく渇く、何もしていないのに体重が減った、何だか疲れやすい、などの自覚があれば、速やかに内科(特に糖尿病・内分泌内科)を受診してください。
脱水症
脱水症とは、体内の水分が不足したことにより起きる病気です。
人間の身体は全体重のおよそ60%~70%が水分で占められていますが、この体液が水分の摂取不足、あるいは過剰排出によって不足した時、口の渇きに始まり、ひどくなると立ちくらみや発熱、吐き気や意識障害を招きます。
ちなみに「熱中症」は気温が高い環境で生じる健康障害を指し、こちらもめまいや立ちくらみ、けいれんや意識障害を起こします。
脱水症になると体熱を逃がす働きが弱くなり、重篤な熱中症につながりますので、暑い季節の作業などの際は特に気を付ける必要があります。
めまい、立ちくらみの段階であれば涼しい所に移動し、安静にして体を冷やし、スポーツドリンクや経口補水液で水分を補給してください。
それでも改善しない場合は内科を受診し、けいれんや意識障害などの緊急性がある場合はためらわずに救急車を呼んでください。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群とは、唾液や涙を作る臓器を中心に炎症を起こす全身性の自己免疫疾患であり、国の指定難病に該当します。
原因は不明であり、40代~60代の女性に発症しやすいことが知られています。
唾液や涙を作る臓器に炎症が起きるため、口の渇き、目の渇きが特徴的な症状として挙げられ、それ以外にも全身の倦怠感や関節痛などが生じることがあります。
これらの症状の一部は更年期障害と似ており、医療機関を受診せずに発見が遅れるケースもあります。
現在ではシェーグレン症候群の根本的な治療法はなく、口の渇きに対しては内服薬やうがい薬などの対症療法で症状の改善を目指します。
口や喉の渇き以外にも目の渇き、ほか全身のだるさや痛みなどを伴うようでしたら、リウマチ科や膠原病科を受診するようにしましょう。
「いくら飲んでも喉が渇く」の正しい対処法は?
これまで述べてきたように、いくら飲んでも喉が渇く原因は病気や治療の影響、薬の副作用、ストレス、アルコールや塩分の過剰摂取と様々です。
一般的な対処法としては、こまめな水分補給をする、水分の多い野菜や果物を摂取する、暖かい飲み物を飲む、空気が乾燥している場合は加湿器を使う等が挙げられます。
水分は喉が渇いた時に一気に飲むのではなく、コップ1杯程度の量をこまめに飲むようにしましょう。一気に冷たい水を飲むと胃腸の働きが低下する恐れがあるため、常温以上の温度が好ましいです。
また、アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、喉の渇きが強くなる可能性があるため、渇きの解消としてはおすすめしません。
スイカやメロン、キウイ、オレンジなどの果物、トマト、キュウリといった野菜も水分を豊富に含んでいます。ただし、過剰に摂取すると含有するカリウムによって水分の排出が進む場合があります。栄養の偏りがないように適量を摂取しましょう。
喉の渇きがストレスや乾燥である場合、市販薬の使用も選択肢の一つです。
トローチ、喉スプレー、うがい薬、漢方薬(麦門冬湯、白虎加人参湯)などがありますので、用法・用量を守って使用してみて下さい。
病気や薬の副作用によって起きている喉の渇きの場合は、市販薬の使用は逆効果になり得ますので、使いたい場合は医師に確認してください。
これらの対処法でも症状が治まらず、喉の渇きが長期間続く、思い当たる原因がない、といった場合は内科の受診をおすすめします。
「いくら飲んでも喉が渇く」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「いくら飲んでも喉が渇く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
いくら飲んでも喉が渇くのは病気ですか?
丸山 潤(医師)
ストレスや塩分の濃い食生活、アルコールの常飲などによる生活習慣からくるものと、糖尿病などの病気が原因のものがあります。ですので、一概に病気であるとは言えません。こまめな水分補給や食生活の改善、ストレスの軽減などで解消しない場合は一度医療機関を受診してみてください。
ストレスが原因でいくら飲んでも喉が渇くことはありますか?
丸山 潤(医師)
はい。ストレスを感じると交感神経が優位になり、唾液の分泌が減少するため、喉が渇きやすくなります。また、自律神経の乱れも喉の渇きにつながりますので、過労や睡眠不足、人間関係などによるストレスを軽減できるよう工夫してみてください。
いくら飲んでも喉が渇くときの対処法を教えてください。
丸山 潤(医師)
一気にではなくこまめに水分補給をする、温かい飲み物をゆっくり飲む、エアコンや季節による乾燥には加湿器などで対応する、などの対処法が考えられます。
病気による喉の渇きが疑われる場合は医療機関を受診してください。
まとめ いくら飲んでも喉が渇くのは糖尿病の可能性あり
「いくら飲んでも喉が渇く」という症状の多くは一時的な水分不足やストレスに由来しますが、中には放置してはいけない病気であるケースもあります。
特に、喉の渇き以外にも自覚症状がある場合、糖尿病などの早めの対処が必要な病気が潜んでいることも考えられますので、症状が続くようでしたら軽視せずに医療機関を受診してください。
「いくら飲んでも喉が渇く」症状で考えられる病気
「いくら飲んでも喉が渇く」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
婦人科系の病気
リウマチ科系の病気
腎臓内科系の病気
- 腎臓病
一口に「喉が渇く」と言っても、可能性として考えられる主な病気はこのように複数あります。喉の渇き以外の自覚症状がなくても、念のため一度は医療機関を受診してみることをおすすめします。
「いくら飲んでも喉が渇く」に似ている症状・関連する症状
「いくら飲んでも喉が渇く」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 目が渇く
- 鼻が渇く
- 肌が渇く
- 膣が渇く
- 頻尿
- 咳が出る
- 吐き気がする
「いくら飲んでも喉が渇く」以外にこれらの症状がある場合「シェーグレン症候群」「糖尿病」「尿崩症」「脱水症」「気管支炎」などの疾患の可能性が考えられます。咳、頻尿、吐き気などの症状を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。