「変な夢ばかり見る」のは「心的外傷後ストレス障害」が原因?対処法も解説!
変な夢ばかり見るのはなぜ?対処法はある?Medical DOC監修医が考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
木村 眞樹子(医師)
総合内科専門医、循環器専門医、睡眠専門医、認定産業医の資格を持つ。
「変な夢ばかり見る」症状で考えられる病気と対処法
レム睡眠、ノンレム睡眠という言葉を耳にしたことがあるかたもおおいでしょう。夢をみるのはレム睡眠の間で、変な夢、悪い夢ばかりみるといった悪夢障害もレム睡眠の間に起こります。
変な夢ばかり見る症状で考えられる原因と対処法
いやな夢、悪夢を繰り返しみてしまい、起きたときに夢の内容を思い出すことができるという経験をしたことがある方も多いかもしれません。変な夢を繰り返しみてしまうことで、集中力や気力の低下など日中の生活にも支障を来してしまう場合には悪夢障害の可能性が考えられます。
悪夢障害
悪夢障害は子どもで多く、大人になるにつれ徐々に割合は減っていきますが、どの年代も通して罹患者がいる睡眠障害です。
大人でも悪夢障害で困っている方は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病といった精神疾患に伴うことが多いといわれています。
また、変な夢ばかりみる症状があるときには睡眠の質が下がることで変な夢を惹起している可能性もあります。睡眠スケジュールを整えることや寝る前にスマホなどの光刺激を避ける、寝る前は飲酒を避けるといったことに注意が必要です。
リラックスすることは睡眠の質をあげることにつながります。日中に散歩や軽い運動など行うことでリラックス効果、体を使うことで心地良い疲労を得ることで睡眠の質をあげる助けになるでしょう。
変な夢を繰り返し見てしまう、その影響で日中の生活に支障がでてしまうという場合には睡眠科、精神科の受診をおすすめします。
最近変な夢ばかり見る症状で考えられる原因と対処法
これまで見たこともなかった悪夢をみるようになったとき、精神的・身体的ダメージをうけたあとから、ということはないでしょうか。
強いストレスがかかるとそれをきっかけにして悪夢、変な夢をみるようになることがあります。ストレスが解消されることで変な夢をみないようになるかもしれません。
また、悪夢障害は睡眠時無呼吸症候群と関連しているといわれています。体重が増えていびきが増えてきた頃から悪夢、変な夢を見るようになったということであれば、睡眠時無呼吸症候群により悪夢障害を来している可能性があります。
ダイエットをすると同時に、CPAP(持続陽圧呼吸療法)など睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで変な夢をみにくくなるでしょう。
これまでに飲んでいた薬をやめたことが変な夢をみるきっかけになることもあります。うつ病の薬(三環系抗うつ薬)や睡眠薬(ベンゾジアゼピン系薬剤)といった薬はレム睡眠を抑制する薬です。これらの薬をやめようとしたときに離脱症状として悪夢が増加する可能性があるのです。
変な夢をみることが続くようであれば睡眠科、精神科を受診するようにしてください。
変な夢ばかり見て眠りが浅い・よく眠れない症状で考えられる原因と対処法
夢をよく見るということは睡眠が浅くなっている可能性があります。睡眠の質が悪くなることで眠りが浅くなっているのです。
寝る前に飲酒をしたり、睡眠スケジュールが不規則などにより睡眠の質は低下してしまいます。また、睡眠時無呼吸症候群は夜間の低呼吸や無呼吸により睡眠は浅く、悪夢も見やすくなるといわれています。
寝る90分前程度に40度程度の湯で入浴するのは入眠をスムーズにしたり睡眠の質をよくしてくれます。是非試してみてください。
症状が続く場合には睡眠科、精神科などの専門外来を受診することをお勧めします。
すぐに病院へ行くべき「変な夢ばかり見る」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
「殴る蹴るといった」症状の場合は、睡眠科へ
寝ている最中に大声をだしている、殴る蹴るといった行動があるときにはレム睡眠行動異常症という睡眠障害の可能性があります。
怖い夢をみていることも多く、夢の内容に連動して危険を避けようと大声をだしたり、殴る、蹴るといった動作をとるのです。タイミングが悪く、実際にパートナーへ被害が及んでしまうこともあるので早めに睡眠科を受診することをお勧めします。
レム睡眠行動異常症を疑う場合には睡眠科の受診をお勧めします。レム睡眠行動異常症がパーキンソン病やレビー小体型認知症、多系統萎縮症の前駆症状として現れることもあるため脳神経内科の受診となることもあります。
受診・予防の目安となる「変な夢ばかり見る」ときのセルフチェック法
- ・夜中に何度も目覚めてしまい、不快な夢の内容をはっきり思いだすことができる
- ・悲しみや怒り、不安、嫌悪感など夢は不快な感情を来す
- ・変な夢、悪夢で目覚めた後、寝付くのに時間がかかる
- ・悪夢をみるのは明け方
このような症状が1ヶ月以上続く場合には睡眠障害の可能性を考え睡眠科の受診を検討するようにしてください。
「変な夢ばかり見る」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「変な夢ばかり見る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
悪夢障害
悪夢を繰り返しみることで日中の集中力の低下や気力の低下を来す状態を悪夢障害といいます。うつ病やPTSDなどの症状のひとつとして悪夢障害を来すことがあります。
睡眠の質を改善することで症状が改善される場合もあるため、まずは睡眠のリズムを整える、睡眠前の入浴、日中の軽い運動など心がけてみてください。
症状の改善がみられず日常生活に支障を来す場合には睡眠科、精神科などを受診するようにしてください。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
PTSD(Post traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は悪夢、変な夢をみることのリスクとなります。PTSDは死の危険を意識するほどの体験をしたあと、自身の意志とは関係なく、体験の記憶がフラッシュバックされたり悪夢となり、緊張や不安が高まることです。
事故や犯罪被害、災害といった体験がPTSDのきっかけになりやすいといわれ、特に戦闘体験、性犯罪では過半数でPTSDを発症するといわれています。
怖くつらい経験をした直後はだれでも体験を想起しやすいものですが、1ヶ月以上たっても症状が続く、悪化する場合にはPTSDの可能性を考え、精神科を受診することをおすすめします。
「変な夢ばかり見る」時の正しい対処法は?
子どもで夜中に怖い夢、変な夢で起きてしまう時には、情緒の発達が関連しているため、親がなだめるといったことで症状が緩和されるかもしれません。
成人してからの変な夢ばかり見るのはストレスや睡眠の質が悪化しているなど。自分なりのストレス解消をまず試してみてください。
睡眠の質を高めるためには寝る前90分程度前に40度のお風呂に入浴するのも効果的。入浴自体にリラックス効果があるほか、深部体温をあげることで入眠に合わせて体温が下がることで入眠を得やすくなります。
また、生活に運動を取り入れると、頭も体もリフレッシュされ、リラックス効果が得られます。体の疲れから心地よい睡眠が得られることでしょう。
気をつけたいのはアルコール。ストレス発散のため飲酒をするかたもいるかもしれません。寝酒は睡眠の質を悪化させてしまうため、酔いは覚ましてから寝るようにしてください。
ぐっすり眠るために市販薬を使いたいというなという考えが浮かんだら、その前にまず睡眠科など専門外来を受診することをお勧めします。
「変な夢ばかり見る」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「変な夢ばかり見る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
夢見が悪く疲れが取れないのは何科の病院で相談できますか?
木村 眞樹子(医師)
夜間の睡眠に問題があり、日中の生活に支障を来している場合には睡眠障害の可能性を考えます。睡眠科や精神科を受診するようにしましょう。
ストレスが原因で変な夢ばかり見ることはありますか?
木村 眞樹子(医師)
ストレスは変な夢をみることの大きなきっかけのひとつです。ストレスを解消することで変な夢をみにくくなるかもしれません。
そもそもなぜ睡眠中に変な夢や悪夢を見るのでしょうか。
木村 眞樹子(医師)
ひとは寝ているときに脳で記憶を定着させたり情報を整理したりしています。レム睡眠の間に脳は活発に働き、情報の処理を行う中で夢をみて、それを起きたときに覚えていることがあるのです。どのような夢をみるかについてははっきりとわかっていませんが、子供では情緒の発達により、大人ではストレスなどにより変な夢や悪夢を見やすいことがわかっています。
変な夢ばかり見るのですが疲れているのでしょうか。
木村 眞樹子(医師)
身体的、精神的なダメージ、ストレスが夢の内容に影響してくることがあります。ストレス解消に努め、睡眠の質をあげることで良質な睡眠を得ることができ、疲労の回復にもつながるでしょう。
変な夢ばかり見るのは精神的な病気ですか?
木村 眞樹子(医師)
うつ病やPTSDといった精神的な病気がある方は変な夢ばかり見ることがあります。しかし、精神的な病気がない方でも強いストレスや睡眠の質の悪化により変な夢をみることはあります。変な夢を見続けることで精神的な病気になってしまうこともあるため、症状が続く場合には医療機関を受診してください。
まとめ
変な夢をみることで悩まされることもあるかと思いますが、繰り返し変な夢を見てしまい、さらには日中の生活に支障が出てしまう場合には早めに医療機関を受診するようにしてください。
強いストレスがきっかけになることもあり、ストレスと向き合うことが大切です。また、睡眠の質も夢の内容に影響してくるため、まずは日頃の睡眠習慣を見直すことをおすすめします。
「変な夢ばかり見る」症状で考えられる病気
「変な夢ばかり見る」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科系の病気
- うつ病
- 心的外傷性ストレス障害(PTSD)
睡眠科の病気
- レム睡眠行動異常症
- 悪夢障害
脳神経内科の病気
- パーキンソン病
- レビー小体型認知症
- 多系統萎縮症
脳神経系の病気による睡眠障害の症状で変な夢を見ることがあります。一時的であれば様子を見ても良いのですが、変な夢を頻繁に見たり、日中の生活に支障が出てしまったりする場合には医療機関で相談しましょう。
「変な夢ばかり見る」に似ている症状・関連する症状
「変な夢ばかり見る」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
「変な夢ばかり見る」症状の他にこれらの症状がある場合でも「うつ病」「心的外傷性ストレス障害(PTSD)」「レム睡眠行動異常症」「悪夢障害」「パーキンソン病」「レビー小体型認知症」「多系統萎縮症」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
・PTSD(厚生労働省)