「寒気がする」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
寒気がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「寒気がする」症状で考えられる病気と対処法
寒気がするな、と感じたことは誰しもがあるでしょう。様子を見ていたら改善したこともあるでしょうし、風邪の症状の一つであったこともあるかと思います。
寒気がすると思うのは、体温が上がっている最中に感じることが大半です。つまり、寒気がした後に発熱することがありますので、この場合の多くは何らかの感染症が原因となっています。ただし、全ての原因が感染症ということではありませんので、いくつかのパターンを挙げながら、原因や対処法などについて解説していきたいと思います。
寒気がして熱がある症状で考えられる原因と治し方
外は暑いのにゾクゾクする、ぞわぞわするなどの寒気がして、体温が徐々に上昇する状態を指します。
熱が出る場合に考えられる主な原因には、何らかの感染症にかかっている可能性が考えられます。外から侵入したウイルスや細菌と戦うために体温を上昇させているのです。例えば、ウイルス感染による感冒があります。のど風邪、おなかの風邪をはじめ、インフルエンザや現在猛威をふるっているCOVID-19感染症もこれにあたります。ウイルス感染以外にも細菌感染があり、おしっこ経由で感染をおこせば尿路感染症、気管支や肺に感染を起こせば気管支炎や肺炎、胆道系に感染を起こせば胆のう炎や胆管炎など、箇所や菌によりさまざまです。原因疾患により対応や薬が異なりますが、発熱がある場合は内科を受診して、原因を探りましょう。
基本的に3日を超えて改善しない発熱は要注意です。長引く場合は必ず検査をしてください。
熱はないのに寒気がする症状で考えられる原因と治し方
熱がないのに寒気を感じることがあります。発熱をきたす何らかの感染症の場合でも、中に発熱しない場合もあり要注意です。採血検査で熱(炎症反応)に気づく場合があります。悪性腫瘍や膠原病は、偶発的に採血検査や健康診断で発見されることがあります。
例えば、悪性腫瘍の中でも膵臓がんは症状のでにくい疾患で有名です。主な診療科は内科です。
膠原病は自分の免疫が自分を攻撃してしまい炎症を誘発してしまう疾患であり、炎症を起こす箇所により多くの病気が挙げられます。代表的な膠原病は関節リウマチです。炎症が起き、体温が上昇する際に寒気を感じることがあります。主な診療科は膠原病内科であり、関節痛など伴う場合は受診を検討しましょう。
1回のみの寒気ならば様子観察でよいかもしれませんが、しつこく繰り返す寒気がある場合は、熱がない場合も精密検査をお勧めします。
暑いのに寒気がする症状で考えられる原因と治し方
実際に気温が高く暑いけど寒気がする、もしくは、体が熱く感じたと思えば次に寒気がするなどの場合を指します。この場合、更年期障害が考えられます。
更年期障害
更年期障害とは、女性特有のもので、閉経に伴いエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が急に低下することが原因で、体のさまざまな機能に影響を与えて症状を起こします。
のぼせやほてりなど体が熱く感じる代表的な症状から、イライラ、不安、疲れやすい、頭痛、動悸や息切れ、めまいなど多彩です。50歳前後の女性で、症状に当てはまる方は、一度婦人科や更年期外来、女性外来への受診をご検討ください。
お腹が痛く、寒気がする症状で考えられる原因と治し方
腹痛とともに、もしくは腹痛の前後に寒気を伴う状態を指します。
お腹の臓器(消化管、膵臓、胆のう、肝臓、腎臓など)のすべてが原因となり得ます。お腹が痛く、寒気がする場合は臓器が炎症を起こして発熱を伴う場合が大半です。後述の特徴的な病気・疾患の項目で、腎盂腎炎、胆のう炎に関してまとめているのでご参照下さい。
排便時の腹痛のように波のある腹痛ではなく、ずっと持続してお腹が痛い場合、また、いつもとちがう腹痛の場合は、要注意疾患が隠れている場合があります。悪化すると腹膜炎といい、お腹全体に炎症が広がり致命的になります。内科を受診しましょう。
夕方~夜になると寒気がする症状で考えられる原因と治し方
朝や日中はないのに夕方になると、もしくは夜になると寒気を感じる場合があります。
夕方~夜にかけて発熱をしている可能性が高く、それに伴い寒気を感じています。実は、健常時も体温の日内変動は起こっているのです。朝が一番体温が低く、徐々に上昇、夕方~夜間で一番体温が高くなります。そして寝る前から体温が低下していくのが一般的です。よって体内で感染が生じるなどして炎症がいつもより高い状態では、夕方~夜間にかけて平熱を超えてしまい寒気につながることがあります。そのため、考えられる疾患は発熱をきたす疾患全般であり多岐にわたります。
また、1日のうち、体温の差が1℃以上あり、高熱期と無熱期が交代で現れ、無熱期には正常近くに下降する熱型があります。間欠熱と言われています。海外渡航歴があればマラリアなどを疑い、腎盂腎炎や胆のう炎などでも生じることがあります。
3日以上続く場合や、腹痛を伴う場合などは内科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「寒気がする」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
悪寒戦慄(寒気と共に全身の震え)を伴う症状の場合は、内科へ
寒気と共に全身の震え(筋肉の収縮)を起こしている場合を指します。寒気を感じ、厚手の毛布などで体温上昇に努めても全身の震えが改善しないことがあります。
この場合、敗血症という病態となっている可能性が考えられます。敗血症とは、何らかの感染症にかかった後に、さまざまな臓器の機能が障害される病態を指します。腎盂腎炎、胆のう炎などの臓器感染症をはじめ、さまざまな感染症が重症化し敗血症となる場合があります。細菌感染が主な原因となります。通常の寒気ではなく、毛布にくるまっても改善しない震えを伴う寒気の場合は、要注意です。内科を受診して採血検査や血液培養での精密検査が必要となります。致死率は4人に1人とも言われていますので治療タイミングによっては生存率に関与します。早めの受診を心がけましょう。
「寒気がする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「寒気がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
自律神経失調症
体を動かす時に働く交感神経と、逆に休める時に働く副交感神経のことを自律神経といい、この2つがバランスをとりながら身体の状態を調節しています。不規則な生活やストレスにより、このバランスが崩れ、さまざまな症状が生じます。ホルモンバランスの乱れによる起こる更年期障害は、自律神経の乱れに繋がるため、同じような症状となります。のぼせやほてりなど体が熱く感じる、発汗、寒気、イライラ、不安、疲れやすい、頭が痛い、動悸や息切れ、めまいなどです。自律神経失調症と診断がつけば心療内科が主な診療科ですが、症状が多岐にわたるため、症状に合わせた診療科(動悸なら循環器内科、めまいなら耳鼻科や脳神経内科など)をまずは受診しましょう。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱へ行き、尿道を通って排尿されます。腎臓と尿管のつなぎ目を腎盂と呼びます。通常この過程は、無菌です。しかし、尿道から菌が入り、膀胱まで逆流すれば膀胱炎に、腎盂まで逆流すれば腎盂腎炎と呼びます。膀胱炎で発熱することはありませんが、腎盂腎炎まで進行すると発熱するため、寒気を感じることがあります。腰痛や背中の痛み、腹痛、排尿時痛を生じることもあり、悪寒戦慄があると敗血症を発症する可能性も出てきます。尿管結石や前立腺がん、前立腺肥大症などによる通過障害があると排尿できずに逆流するため原因となり得ます。女性は男性に比べ尿道が短く、膣や肛門と尿道が隣接しているため発症しやすいですし、糖尿病や抗がん剤加療中などの免疫状態が下がった方も発症しやすくなります。治療のメインは、原因菌を標的とした抗生剤加療です。脱水による尿量低下も原因となるため、点滴による脱水改善、尿量増加での加療も行うことがあります。寒気とともに腰痛や背中の痛み、腹痛、排尿時痛などの疼痛がある場合は、泌尿器科や腎臓内科への受診を検討しましょう。
胆嚢炎(たんのうえん)
肝臓で作られた胆汁という消化酵素は胆嚢という袋状の臓器に一度蓄えられ、胆管をとおって十二指腸へ流れます。胆嚢炎とは、胆嚢に炎症を起こした状態です。原因の多くは胆石です。胆石が詰まり、胆嚢から胆管への本来の胆汁の流れを遮断し、胆嚢炎を起こします。通常は食後に右上腹部あたりの疼痛が出現します。発熱し、全身状態が悪化する可能性もあります。治療は入院の上、絶食や抗生剤点滴による加療が行われます。胆石が残存し繰り返す場合は胆のう摘出術など外科的加療を検討していくことが必要でしょう。食後に寒気とともに右上腹部の痛みがある場合は、消化器内科でお腹の診察を一度受けてください。
「寒気がする」ときの正しい対処法
体が筋肉を収縮させて体温を上昇させようとしているため無理なく安静に過ごすことが大切です。
発熱による寒気を抑える主な市販薬は、ロキソニンSやラックル、タイレノールAなどの内服による解熱鎮痛薬です。ウイルス性の感冒などとは違い、細菌感染の場合は、抗生剤加療が必要となり、入院が必要となる場合もあります。市販では購入できませんし抗生剤にも色々あり適切な加療が必要です。3日以上発熱が続く場合や、いつもと違う腹痛など症状が強い場合は早期に内科を受診して下さい。
「寒気がする」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寒気がする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急にゾクゾクした悪寒がするのは風邪でしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
今後熱が上がり、寒気以外の症状が出てくる可能性があります。感冒かもしれませんし、それ以外の感染症かもしれません。発熱に注意し、症状により受診を検討してください。
ずっと寒気がするけど熱はない場合、何科を受診すべきですか?
マイマイテイリ イマム 医師
熱がない場合でも採血検査にて炎症反応が上がっている場合もあります。まずは内科を受診し、判断を仰ぎましょう。必要時は適切な専門科へ紹介となります。
寒気がする症状と更年期障害に相関関係はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
関係がある場合があります。更年期障害の症状は、のぼせやほてりなど体が熱く感じる、発汗、寒気、イライラ、不安、疲れやすい、頭痛、動悸や息切れ、めまいなど様々です。ほてりを感じ発汗後に寒気を感じることがあります。
寒気や体の冷え・ほてりを予防する方法はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
自律神経の乱れは、生活習慣の乱れから来ることがあります。規則正しい食事、睡眠、定期的な運動など生活習慣を見直すことから始めましょう。
なぜインフルエンザになると寒気がするのでしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
体内に侵入したウイルスと戦うために、体温を上昇させる必要があります。そのため寒気を感じ、全身の筋肉を収縮させているのです。
まとめ
寒気がする原因は、何らかの感染症による発熱の場合が多く、原因は多岐に渡り、緊急性のある疾患も含まれています。市販薬での一時的な治療は推奨できない場合があります。特に3日以上発熱が続く、毛布にくるまっても悪寒戦慄が改善しない、通常と違う腹痛を伴う場合などは注意してください。診断がつけば対応策、予防策をとることができます。病院受診の上、適切な治療を受けて下さい。
「寒気がする」で考えられる病気と特徴
「寒気がする」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
寒気がする場合に考えられる原因はたくさんあります。様子をみるだけで十分な場合も多いのですが、病気が隠れている場合もあります。
「寒気がする」と関連のある症状
「寒気がする」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「寒気がする」他に、これらの症状が見られる際は、「感冒」「敗血症」「胆のう炎」「腎盂腎炎」「悪性腫瘍」「更年期障害」「自律神経失調症」などの病気の存在が疑われます。なかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。