「食後に眠気」を感じる原因・予防法はご存知ですか?医師が徹底解説!
食後に眠気を感じるのはなぜ?食事の後に眠くなる現象でMedical DOC監修医が考えられる原因や病気・日常でできる予防法や対処法などを解説します。ひどい眠気など気になる症状は迷わず病院に相談してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「食後の眠気」の原因と対処法
食後に眠気が生じる、こんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。単に食事の影響で眠いだけかもしれませんが、実は病気が潜んでいる可能性もあります。どういった症状の時は病院受診をするべきか、受診する際は何科を受診するべきか、などを解説していきます。
食後の眠気で考えられる原因と対処法
食後の眠気の主な原因として、血糖値スパイクという現象が関係しています。
血糖値スパイク・食後過血糖
血糖値スパイクとは、血中の血糖値の急激な上昇や降下のことを指します。
食事で糖質(ブドウ糖)をとると、一時的に高血糖になります。しかし、高血糖が続くと体に様々な悪影響が及ぼされるため、体内でインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンの働きにより血糖は正常化されるわけですが、急にインスリンが放出されると血糖が下がりすぎることがあります。このように血糖が急上昇したり、急降下したりすることを血糖値スパイクと呼びます。
血糖値スパイクを防ぐためには、血糖値の急激な上昇を抑えることが重要となります。具体的な対策としては、3食を規則正しく食べる、野菜から食べて炭水化物はなるべく最後にする、よく噛んで食べるなどです。
食後の眠気と倦怠感で考えられる原因と対処法
食後に眠気や倦怠感を感じる場合、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
ナルコレプシー(居眠り病)
ナルコレプシーは、寝てはいけないと分かっている状況でも寝てしまう病気です。10代~20代前半と比較的若い方がなりやすいのが特徴です。脳の覚醒をつかさどるオレキシンを産生する細胞の異常が原因と言われていますが、まだ原因ははっきりしていません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道(空気の通り道)が狭くなることで、十分な酸素が届かず、良質な睡眠がとれていない状態です。いびきをよくかく人は要注意です。原因は肥満や顎が小さいことが影響しています。診断には睡眠ポリグラフ検査というものがあり、睡眠中の酸素濃度を計測することで睡眠の質を評価します。対処法は肥満の改善、つまり痩せること以外に、「マウスピース」を用いられたり、「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)」という療法が行われたりします。内科や耳鼻科などを受診して相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき「食後の眠気」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
食後に急激でひどい眠気を頻繁に起こし、自分ではどうしようもできない場合は内科へ
頻繁に食後の眠気を感じる場合には、血糖値スパイクを起こしているために、動脈硬化が進んでいる可能性があります。また、血糖の代謝異常である糖尿病にかかっている可能性もあります。また、いびきや無呼吸以外にも日中の眠気が代表的な症状である睡眠時無呼吸症候群は、放置しておくと心疾患を発症しやすくなることが指摘されています。このようにいろいろな病気が潜んでいる可能性があるため、内科を受診し相談すると良いでしょう。
「食後の眠気」に関する症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「食後の眠気」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
血糖値スパイク(過血糖)
血糖値スパイクとは、食事によって多量の糖質を摂取すると、食後の短時間に血糖値が急上昇する(高血糖)状態のことを言います。
血糖値は、食後数時間経過すると正常値に戻るため、血糖値スパイクを一般的な血液検査では発見することが難しいのが現状です。自覚症状も少し眠気が起こりやすいことくらいで、それ以外にわかりやすい症状はありません。このため異変に気付かないまま放置することが多くなります。この食後の血糖値スパイクを繰り返すと血管が傷つくことが問題です。徐々に動脈硬化が起こって、脳梗塞や心筋梗塞につながる危険性が指摘されています。
自分でできる対処法として、食後血糖を上げない食習慣や運動習慣を日頃から行うことが重要となります。具体的な対策は、食事は野菜から食べて炭水化物(糖質)はなるべく最後にすること、糖質の摂取量を控えめにすること、定期的な運動を行うことなどが挙げられます。疑問に思うことがあれば、内科を受診して相談することをお勧めします。
糖尿病
糖尿病は血中のインスリンという血糖を下げるホルモンの作用不足により、高血糖状態が続くことが原因です。放置すると目が見えなくなったり、足先が腐ったり、様々な症状が現れます。一般的に肥満の人になりやすいイメージがあるかもしれませんが、痩せている人もなる可能性があります。健診で高血糖を指摘された場合は、糖尿病内科やお近くの内科を受診するようにしましょう。
「食後の眠気」の正しい対処法は?
食後の眠気が血糖値スパイクである場合には、食事の内容や食べ方について見直すことが必要です。詳しくは次の段落で説明します。
ナルコレプシーのような日中の突然の眠気を起こすような病気がある場合には、食事の問題だけでは解決できないため、睡眠専門の医療機関で早めに対処することが重要です。
「食後の眠気」を改善する食事法は?
食後の眠気の原因である血糖値スパイクの出現を減らすためには、野菜などから食べ炭水化物は最後に食べることが重要です。よく噛んで食べることで早食いをしないことも重要です。食べてはいけない食品はありませんが、ラーメンやご飯、パンなどの炭水化物(糖質)に偏った食事を行うことは血糖値を上昇させやすいため、野菜や肉・魚を多めに摂ることを意識するようにしましょう。
「食後の眠気」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食後の眠気」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食後に強烈に眠くなり、倒れるように寝てしまうのは病気ですか?
マイマイテイリ イマム 医師
寝ないでおこうとしても寝てしまう場合は、ナレコレプシーの可能性もあります。日常生活に支障がでるのであれば、精神科や心療内科を受診してください。
食後の眠気がある場合、仮眠をとっても良いのでしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
眠気を改善するためには効果的です。日中に仮眠をとりすぎると夜眠れなくなったり、倦怠感が出たりすることもあるので15分程度を目安に休みましょう。
昼食後に眠くならない方法や健康的な眠気対策はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
個人差がありますが、コーヒーを飲む、少し体を動かす、室温を下げるなどがあります。
食後のひどい眠気や体の倦怠感は何科で治療できますか?
マイマイテイリ イマム 医師
症状によりますが、まずは内科で何か身体的な病気が隠れていないか調べてもらいましょう。
まとめ
食後の眠気といっても誰もが感じるものもあれば、実は病気が隠れている可能性もあります。糖尿病などは早めの治療が重要になりますので、気になった際はお近くの内科などで一度調べてもらうのがよいのではないでしょうか。
「食後の眠気」で考えられる病気と特徴
「食後の眠気」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
自分で気をつけても食後に眠気があって困っている場合には、一度医療機関で相談することをお勧めします。
「食後の眠気」と関連のある症状
「食後の眠気」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「食後の眠気」の他に、これらの症状が見られる際は、「ナルコレプシー」「睡眠時無呼吸症候群」「糖尿病」などの疾患の可能性が考えられます。痛みがひどい場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。