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「太ももの掻いたところが内出血」する原因とは?考えられる病気も医師が解説!

「太ももの掻いたところが内出血」する原因とは?考えられる病気も医師が解説!

太ももの掻いたところが内出血する時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が原因・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

鎌田 百合

監修医師
鎌田 百合(医師)

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千葉大学医学部卒業。血液内科を専門とし、貧血から血液悪性腫瘍まで幅広く診療。大学病院をはじめとした県内数多くの病院で多数の研修を積んだ経験を活かし、現在は医療法人鎗田病院に勤務。プライマリケアに注力し、内科・血液内科医として地域に根ざした医療を行っている。血液内科専門医、内科認定医。

「太ももの掻いたところが内出血」する原因と対処法

太ももを掻いただけで内出血ができたらびっくりしますね。放置して良いのか、病院を受診したら良いのか悩んでしまいます。このような場合、考えられる原因と対処法について解説します。

太ももの掻いたところが内出血する原因と対処法

太ももの掻いたところが内出血する場合、掻きすぎの可能性があります。強く何度も掻いていると肌が傷つけられ、内出血する場合があります。この場合は心配する必要はありません。しかし、大きい内出血ができてしまった、強く掻いていないのに内出血してしまったなど、おかしいと思う症状がみられる場合もあるでしょう。この場合、実は内出血しやすい病気が隠れているかもしれません。血管がやぶれて出血したとき、まず血小板が傷口に集まります。次に血小板の隙間を埋めるために凝固因子が働き、糊のような役割を果たします。このため、内出血しやすい原因には、血小板の異常、凝固因子の異常、血管の異常などがあります。おもな病気は以下のようなものがありますが、いずれも「掻く」といった弱い外力で内出血を起こす原因となります。

  • 血小板の異常の病気:特発性血小板減少性紫斑病、急性白血病
  • 凝固因子の異常の病気:肝機能障害、血友病、壊血病
  • 血管の異常の病気:老人性紫斑、アレルギー性紫斑病

内出血が大きい場合や、立ちくらみなどの貧血症状がある場合は、内科を受診し医師に相談しましょう。

太ももの掻いたところが内出血してブツブツがある原因と対処法

ブツブツとした内出血になっている場合、血小板や血管の異常が疑われます。たとえば、アレルギー性紫斑病という病気は原因不明のアレルギー反応によって全身の毛細血管で炎症が起こり、弱くなった毛細血管が破れて出血する病気です。上気道炎など、なんらかの感染症の1~3週間後に発症し、関節痛、腹痛や吐き気などを起こします。
アレルギー性紫斑病は小児に起こりやすい病気とされています。そのほかにも、特発性血小板減少性紫斑病などの病気で、血小板数が低下するとブツブツとした内出血になります。
このような症状が疑われる場合は、内科を受診しましょう。

「太ももの掻いたところが内出血」の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「太ももの掻いたところが内出血」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

紫斑病特発性血小板減少性紫斑病

傷口をふさいで出血を止める血小板の数が少ない場合、内出血が起こりやすくなります。特発性血小板減少性紫斑病は、免疫の異常によって、自己免疫が自身の健常な血小板を攻撃する病気です。血小板が破壊され、血小板数が減少します。そのため、太ももを掻くなど、ちょっとした刺激で出血が起こりやすくなります。特発性血小板減少性紫斑病には急性型と慢性型があります。急性型は小児に多く、数ヶ月で治癒しますが、慢性型は症状が6ヶ月以上持続します。
症状が軽度の場合は出血が起こらない場合もありますが、血小板の低下が進行した場合は治療で血小板数を増やす必要があります。

老人性紫斑病気・疾患

老人性紫斑とは、加齢によって血管や周囲の組織がもろくなり、出血が起こりやすくなる状態です。掻くなどのちょっとした外力で容易に内出血が出現します。加齢現象の一つである、ある意味生理的な状態ともいえます。手の甲や前腕に起こりやすいですが、太ももなど全身あらゆる場所に発生します。老人性紫斑は繰り返すことはありますが重篤な症状を起こすことはありません。しかし、内出血が老人性紫斑によるものかほかの疾患によるものか、他の病気が潜んでいないか調べることが大切です。

血友病病気・疾患

血友病は、凝固因子の働きが十分でないために、出血が止まりにくくなる病気です。凝固因子は第Ⅰ~ⅩⅢの12種類(第Ⅵ因子は欠番)があり、順々に連鎖反応を起こして血小板の結合を強固にし、出血を止めます。そのため、凝固因子が不足していると血が止まりにくくなります。

血友病には、以下の2種類があります。

  • 血友病A:第Ⅷ因子の不足、または働きが弱い
  • 血友病B:第Ⅸ因子の不足、または働きが弱い

血友病AとBで症状に違いはありません。
血友病は、ぶつけていないのにあざができやすく、太ももを掻くなどの刺激で内出血ができることがあります。また、関節内出血を起こしやすいことが特徴で、関節内出血を繰り返すと拘縮を起こして関節の動きが悪くなることがあります。血友病を疑った場合、凝固因子の活性値を測定し、どの凝固因子が低下しているかを調べます。出血リスクが高い場合は、凝固因子を注射で補充します。

肝機能障害病気・疾患

凝固因子の一部は肝臓で生成されます。このため、肝炎、肝硬変など、肝臓の機能が著しく低下すると凝固因子が作られなくなり、出血しやすく、血が止まりにくくなります。ただし、凝固因子が作られなくなるほどの肝機能障害は重症である場合が多く、腹水、横断、意識障害などの肝機能悪化によるほかの症状を起こしている場合が多いでしょう。

抗凝固薬の使用病気・疾患

抗凝固薬は、凝固因子の働きを阻害し、血液の凝固を防ぐ役割があります。そのため、抗凝固薬を使用すると出血しやすく、血が止まりにくくなります。抗凝固薬は、静脈血栓塞栓症、心房細動、肺塞栓症などの治療や予防に使用されます。抗凝固薬には、ワルファリン、ヘパリン、低分子ヘパリン、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンなどがあります。これらの薬を使用すると、太ももを掻いただけで内出血する場合があります。
薬を内服している場合は、薬を処方してもらっている病院を受診し相談するようにしましょう。

「太ももの掻いたところが内出血」する時の正しい対処法は?

太ももを掻いて内出血を起こした場合、まずは患部を冷やしましょう。毛細血管が収縮するため出血を抑えられます。氷や冷たいタオルなどを使用すると良いでしょう。患部を圧迫すると、腫れを抑えることができます。しかし、圧迫しすぎるとかえって内出血が悪化するため注意が必要です。
また、内出血ができた部分を心臓より高い位置に上げると内出血が広がるのを抑えることができます。太ももの場合難しいですが、横になるとなるべく心臓と同じ高さにすることができます。

「太ももの掻いたところが内出血」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「太ももの掻いたところが内出血」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

太ももの掻いたところが内出血しているのですが、放置していても問題ないでしょうか?

鎌田 百合医師鎌田 百合(医師)

強く太ももを掻いた場合は、内出血を起こすことは珍しくありません。小さな内出血なら放置しても自然に小さくなるでしょう。しかし内出血が大きい場合や、強く掻いていないのに内出血ができたなど、異常を感じた場合は放置せずに内科を受診するようにしてください。

ぶつけていないのに太ももが内出血する原因について教えてください。

鎌田 百合医師鎌田 百合(医師)

ぶつけていないのに太ももに内出血を起こした場合は、血小板の数が少ない、凝固因子が少ないなどの異常があるかもしれません。この記事で紹介したような病気が隠れていることもあるため、病院を受診するのが良いでしょう。

まとめ

太ももを掻いて内出血が起こった場合に考えられる病気や対処法についてまとめました。強く掻いたあとの小さな出血であれば放置しても問題ない場合が多いですが、大きな内出血など、異常を感じた場合は病院を受診しましょう。

「太ももの掻いたところが内出血」で考えられる病気

「太ももの掻いたところが内出血」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液系の病気

  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 急性白血病
  • 播種性血管内凝固
  • フォン・ヴィレブランド病

消化器系の病気

免疫系の病気

  • アレルギー性紫斑病

上記に挙げたような内出血しやすい病気が原因となっていることもあります。

「太ももの掻いたところが内出血」に似ている症状・関連する症状

「太ももの掻いたところが内出血」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 何もしていないのにあざができた
  • 何もしていないのに出血した
  • 太ももの掻いたところが荒れている

強く掻いたり掻きすぎたりした後にできた小さな出血であれば、様子を見ていても問題ない場合が多いのですが、大きな内出血など、異常を感じた場合には医療機関を早めに受診しましょう。

この記事の監修医師