「背中のかゆみ」は「ダニ」や「腎臓病」が原因?医師が徹底解説!
背中がかゆいとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
福永 有希(鎌倉かまりんヒフクリニック)
「背中のかゆみ」で考えられる病気と対処法
背中でかゆみが起こると、手が届きにくく、かきたくてもかけないなどとてもストレスがたまりますよね。このような背中のかゆみが起こった時に考えられる病気、対処法について解説いたします。
背中のかゆみで考えられる原因と対処法
背中のかゆみの原因は以下のような原因が考えられます。
- 皮膚の乾燥
- アレルギー反応
- にきびや毛のう炎(毛穴の炎症)
- その他の原因(肝臓病、腎臓病など全身疾患に伴うものなど)
皮膚が粉をふいたようになり、乾燥が考えられれば、まず保湿剤を塗り様子を見ても良いでしょう。しかし、それでもかゆみが続く場合には自分で原因を区別することは難しいです。皮膚科を受診しましょう。
皮膚科を受診するまでの間に、掻きむしらないことも大切です。かくことで、皮膚のバリア機能にダメージが与えられ、さらにかゆみが出るという悪循環が起こります。また、掻き壊すと患部の炎症が悪化します。かゆい時の対処法は、かゆい部分を冷やすことです。濡れたタオルや、保冷剤をタオルでくるんであてるなどすると、かゆみが一時的に薄れます。患部を冷やしてかかないようにしましょう。
背中がかゆくてブツブツしている症状で考えられる原因と対処法
背中のかゆいブツブツは、さまざまな病気が考えられます。粉瘤やにきび、毛のう炎などです。粉瘤は皮膚の内側に表皮細胞が入り込み袋を作り、皮膚の老廃物が溜まることで大きくなります。ここに細菌感染を起こすと痛みが起こります。にきびは皮脂や角質が毛穴に詰まりアクネ菌が増殖して炎症を起こすことで発症する病気です。また、毛穴の炎症は皮膚の常在菌のマラセチア菌という真菌(カビ)によっても起こります。この真菌が過剰に増えて毛穴の炎症が起きたものがマラセチア毛包炎です。また、アトピー性皮膚炎がある方では、黄色ブドウ球菌が毛包炎の原因となることもあります。皮脂腺の発達した顔面のにきびではニキビダニが原因となることもあります。それぞれの病気は、見た目で区別がつきにくいこともあり、皮膚科を受診して適切な治療をしてもらうことが大切です。
背中がかゆくて湿疹がある症状で考えられる原因と対処法
かゆみを伴う背中の湿疹の原因は一つではありません。例えば、皮膚の乾燥によりかゆみを伴い湿疹が生じる皮脂欠乏性湿疹や、金属や化粧品、衣類などに触れた刺激でかぶれてしまい起こる接触皮膚炎などが考えられます。また、アトピー性皮膚炎がある方では、背中にもかゆみを伴う湿疹が起こります。原因を突き止め、治療することが大切です。このため、かゆみを伴う湿疹が続く場合には皮膚科を受診しましょう。正しい治療を行わず、かきむしって慢性化すると皮膚に黒ずみが残ったり、患部の皮膚が厚くなってきます。早めに対処しましょう。
妊娠中に背中がかゆい症状で考えられる原因と対処法
妊娠中にかゆみがみられることは多いです。これは、妊娠に伴うホルモンのバランスの変化や肝臓での胆汁の流れが悪くなることによる肝機能の低下、ビタミンBの不足などが原因と言われています。かゆみがひどくなっても、かきむしらないようにしましょう。かいた部分が傷となり、感染を起こすこともあります。かゆい時の対処法は、濡れタオルなどで冷やしてかゆみをやわらげ、保湿をこまめに行うことです。また、妊娠中にも内服できるかゆみ止めもあります。婦人科もしくは皮膚科で相談しましょう。
お風呂上りに背中がかゆい症状で考えられる原因と対処法
風呂上りには、お湯の熱い刺激や肌の乾燥がおこることでかゆみが出やすくなります。特に、乾燥肌の方は、入浴後にかゆみが起こりやすいです。風呂上がりにかゆみが出る方は、お風呂の入り方に気をつけましょう。
- お風呂のお湯はぬるめに、短時間(20分以内程度)で
- 刺激が少ない石鹸を使う(固形石鹸や敏感肌用のボディーソープが良いでしょう)
- 体を洗う時にこすらない。
以上に気をつけて入浴しましょう。また入浴後には皮脂が少なくなりバリア機能が低下するため、乾燥が進みます。入浴後はなるべく早くに保湿剤を塗りましょう。保湿剤にはいろいろなタイプがあります。クリーム状のものやローション、スプレータイプなどがあり、塗る範囲を考え、使いやすいものを選び毎日継続することが大切です。
背中がかゆくて水疱がある症状で考えられる原因と対処法
背中にかゆい水疱がある場合には、かぶれや虫刺され、とびひ、水疱症などが考えられます。それぞれ原因が異なるため、皮膚科を受診し、原因を調べ、治療をしてもらいましょう。かきむしってしまうと、皮膚の症状が悪化します。また、自己判断で市販薬を使用して症状がひどくなることもあります。皮膚の症状が悪化する前に皮膚科を受診することが必要です。
また、痛みを伴う水疱である場合、帯状疱疹の可能性もあります。早めに治療を開始しないと、痛みが残ってしまったり、場所によっては重症化する場合もあります。皮膚科を早急に受診することが大切です。
背中がかゆくて蕁麻疹がある症状で考えられる原因と対処法
蕁麻疹とは、皮膚の一部が急に赤くなって盛り上がり、しばらくすると消えてしまうことが特徴です。背中がかゆい場合にも蕁麻疹の可能性が考えられます。数十分から数時間以内に消えるものが多いです。しかし、中には半日から一日消えないものもあります。蕁麻疹の原因は、アレルギーが関係している場合と物理的刺激(圧迫、寒冷、日光など)や運動、疲れ、ストレスなどアレルギーが関係していない場合があります。蕁麻疹の原因、誘因はさまざまで、なかなか原因がわからないことも多いです。原因が分かれば、それを避けることが大切です。また、蕁麻疹に対する一般的な治療として抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬を用います。一部はアレルギーや蕁麻疹用の市販薬として売られています。一時的に使用しても良いでしょう。しかし、長引く場合には皮膚科で相談をしましょう。
すぐに病院へ行くべき「背中のかゆみ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
持続するかゆみ、湿疹がある場合は、皮膚科へ
かゆみが持続している際に、かきむしると皮膚の状態が悪化します。かゆみが一時的ではなく、長く続く場合には、皮膚科を受診したほうが良いでしょう。また、湿疹、水疱、ブツブツを伴う場合には、早めに正しい治療を行わないと悪化し跡形を残すことがあります。皮膚科を受診して早めの治療をすることが大切です。
受診・予防の目安となる「背中がかゆい」症状のセルフチェック法
- 背中のかゆみ以外にぶつぶつがある場合
- 背中のかゆみ以外に水疱がある場合
- 背中のかゆみ以外に湿疹がある場合
- 背中のかゆみ以外に、痛みを伴った水疱がある場合
「背中がかゆい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「背中のかゆみ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
アレルギー性接触皮膚炎
何らかの刺激物質やアレルギーを起こす化学物質が皮膚に接触して発症する湿疹性の反応(かぶれ)を接触皮膚炎といいます。この中で、アレルギー反応によって起こるかぶれがアレルギー性接触皮膚炎です。原因となる物質は、アクセサリーや日焼け止めクリーム、化粧品、湿布剤などさまざまです。アレルギー性接触皮膚炎は、原因物質に触れてすぐなる場合と、24時間から数日経過してから症状が起こることもあり、一定の量を超えると反応したり、ごく少量であっても反応する場合があります。悪化すると症状の範囲が広がり、全身にまで影響が出ます。これを治療するためには、原因となる物質を突き止めて触れないようにすることが大切です。また、かぶれが出たときに、触ったり、ひっかいたりせず皮膚科で相談をしましょう。
皮脂欠乏性湿疹
皮膚が乾燥によって、カサカサになり、かゆみを伴い、白い粉がついたようになった状態を皮脂欠乏症といいます。これを放置し、搔き続けると炎症を伴う湿疹ができます。これが「皮脂欠乏性湿疹」です。高齢者の多くで皮膚の乾燥がみられます。また、糖尿病や慢性腎不全、抗がん剤の投与によっても皮脂欠乏症が引き起こされます。まずは、風呂上りなどに保湿剤を用いて皮膚の保湿を行うことが大切です。しかし、かゆみが強く、掻きむしって湿疹ができた場合は皮膚科を受診しましょう。
真菌感染症
背中に起こる真菌(カビ)感染症の原因として、マラセチア菌が挙げられます。日常からマラセチア菌は皮膚に存在しますが、異常に増殖し、発症したものがマラセチア毛包炎です。かゆみを伴う赤いぶつぶつができます。カビによる感染症のため、抗真菌薬を外用したり、内服治療を行い治療します。にきびと似ていますが、治療が異なるため、なかなか治らない背中のぶつぶつがある場合には、皮膚科を受診しましょう。
肝臓病
慢性肝炎や肝硬変などの肝臓病では、全身のかゆみを伴いやすいです。肝臓病に伴うかゆみは、皮膚の見た目は問題ないことが多いです。胆汁の流れが悪くなることが原因の一つと考えられています。また、肝臓病の治療薬(C型肝炎の治療薬のマヴィレット)でかゆみが起こることもあります。このかゆみは、一般的なかゆみ止めが効かないことが多いです。かゆみを伴う場合には、肝臓病で通院している主治医もしくは、皮膚科で相談しましょう。
腎臓病
腎臓が悪くなると老廃物が体にたまります。この老廃物が皮膚のかゆみ受容体を刺激することがかゆみの原因です。この反応は、腎機能が悪くなるほど多くみられ、透析をしている方の半数程度が強いかゆみを感じています。また、腎臓が悪い方では皮膚の乾燥も起こりやすく、保湿をしっかりとすることも大切です。保湿をしてもかゆみが続く場合には腎臓内科の主治医へ相談するか、皮膚科を受診しましょう。
「背中がかゆい」症状の正しい対処法は?
背中のかゆみが起こった場合、かゆい場所の皮膚の状態を見てみましょう。背中がかさついているようであれば、皮膚の乾燥によってかゆみが起こっている可能性があります。この場合には、市販の保湿剤を塗ってみましょう。これだけで改善するようであれば、普段から保湿をしっかり行い様子を見ても良いです。しかし、かゆみが強くなるようであれば皮膚科を受診しましょう。
また、そのほかのぶつぶつや赤みのある状態、湿疹、蕁麻疹など症状が持続する場合には、原因により対処法が違います。このため、掻きすぎないようにして、早めに専門の皮膚科で適切な治療をうけることが大切です。
「背中がかゆい」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「背中のかゆみ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
夜になると背中がかゆくなるのはどうしてですか?
福永 有希医師
入浴後は皮膚が乾燥し、かゆくなることがあります。入浴後は早めに保湿剤を塗ることもかゆみを悪化させないコツです。また、入浴や飲酒、布団に入り体が温まると血行が良くなりかゆみが悪化しやすくなります。適度に体を冷やし、かゆみが強いところは冷やしたタオルをあてることでかゆみが改善しやすくなります。試してみてください。
日焼けしたあと背中がかゆいのですがどうすれば良いですか?
福永 有希医師
日焼けした後は、皮膚が赤くなり炎症を起こしています。ヒリヒリ痛くなったり、少しの刺激でもかゆみが出ることもあります。赤くなるほど日焼けした場合には、まず冷やして様子を見ましょう。冷たいシャワーをかけたり、濡れたタオルを患部に当てて冷やしてみてください。皮膚が炎症を起こし乾燥した状態なので、保湿剤を塗るのも効果的です。冷やしても痛みが抜けず、水膨れができた場合には皮膚科を受診することをお勧めします。
まとめ
背中のかゆみの原因はさまざまです。かゆみが持続したり、赤み、湿疹など皮膚の症状が長引く場合には皮膚科を受診しましょう。それぞれの病気により対処法や治療が異なります。原因を調べてもらい、皮膚の炎症を長引かせないようにしましょう。
「背中がかゆい」症状で考えられる病気
「背中のかゆみ」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腎・泌尿器系の病気
消化器系の病気
産婦人科系の病気
- 妊娠
背中のかゆみといっても色々な病気が考えられます。全身疾患に伴うものもあれば、皮膚の疾患もあります。なかなか鑑別しづらいため、かゆみが長引く時には皮膚科を受診して原因を調べ、治療することが大切です。
「背中のかゆみ」に似ている症状・関連する症状
「背中のかゆみ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 背中の水疱が痛い
- 背中の赤み
- 背中にブツブツがある
- 背中が粉をふく
- 背中に湿疹がある
特に背中の水疱が痛みを伴う場合には帯状疱疹の可能性があります。帯状疱疹は早めの治療が必要です。皮膚科を早急に受診しましょう。そのほかの皮膚の症状を伴うかゆみがある場合でも、皮膚科を受診し、早めに治療を受けることをお勧めします。