「全身が突然かゆくなる」原因・考えられる病気はご存知ですか？医師が徹底解説！

全身が突然かゆくなるとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
森田 知世（医師）

「全身が突然かゆくなる」症状で考えられる病気と対処法

突然全身がかゆくなる、赤いぶつぶつができる、皮膚に何もできていないのにかゆい、などの症状はありませんか？体のかゆみには様々な原因があり、適切に対処することが肝心です。今回は全身が突然かゆくなる原因とその対処法について解説していきます。

全身が突然かゆくなる症状で考えられる原因と対処法

全身が突然かゆくなる症状で考えられるのは、皮脂欠乏症（乾皮症）です。皮脂欠乏症は皮膚の水分量の低下や皮膚バリア機能の破綻により、皮膚の乾燥が起こる疾患です。乾燥が進行すると強いかゆみを伴うことがあり、掻きむしることで皮膚の一部に炎症を伴が起こり、赤みやブツブツとなり皮脂欠乏性湿疹を発症します。特に高齢者のすねや腰、背中にできやすいと言われています。皮脂欠乏症の治療は保湿剤が基本となりますが、かゆみや赤み、ぶつぶつなどの症状がひどい場合には、かゆみ止めの飲み薬やステロイド外用剤が効果的です。保湿剤だけではなかなか治らない場合には皮膚科などの医療機関を受診してください。

全身が突然かゆくブツブツがある症状で考えられる原因と対処法

全身のかゆみとブツブツが出た場合に考えられるのは蕁麻疹です。蕁麻疹は、突然赤く膨らんだブツブツが皮膚に出て、しばらくすると跡かたなく消えていくのが特徴です。かゆみやチクチクした軽い痛みを感じることがあります。多くは数分から数時間以内に消えますが、長いと1日続くこともあります。蕁麻疹の原因は、食物などによるアレルギーや入浴、運動、精神的な緊張やストレスなど多岐にわたりますが、原因がはっきりしないことも多々あります。治療は抗ヒスタミン薬の内服が第一選択で、そのほか症状に応じて注射や塗り薬などの治療を行うこともあります。数時間で自然に消えた場合には自宅で様子をみても構いませんが、毎日のように蕁麻疹がでる場合や1日以上症状が続く場合には皮膚科などの医療機関で相談してください。

皮膚に何もできていないのに全身が突然かゆい症状で考えられる原因と対処法

皮膚に何もできていないのに全身が突然かゆくなる症状で考えられるのは、皮膚そう痒症です。皮膚そう痒症は、発疹がないにもかかわらず痒みがでる疾患です。全身に痒みがでる汎発性皮膚そう痒症は、腎臓や肝臓、血液などの基礎疾患がある方に起こることが多いと言われています。背中や陰部、肛門周囲などの限られた場所にのみ症状が出ることもあります。皮膚そう痒症でかゆみがおこるメカニズムは十分には解明されておらず、治療は対症療法が主体となります。かゆみ止めの一種である抗ヒスタミン薬は一定の効果がありますが、皮膚そう痒症の痒みはヒスタミン以外の物質も関与しているといわれており、かゆみが十分によくならないこともあります。肌の乾燥がある場合には、バリア機能の低下により外的な刺激に反応しやすくなるため、保湿剤を塗ることで改善する場合もあります。かゆみが長期に続く場合には精神的苦痛を伴うことも多い疾患であり、このような症状がある方は皮膚科などの医療機関で相談してください。

すぐに病院へ行くべき「全身が突然かゆくなる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

赤いブツブツやカサカサ症状の場合は、皮膚科へ

全身のかゆみ以外に赤いブツブツやかさかさがある場合には、蕁麻疹や皮脂欠乏性湿疹の可能性があります。保湿剤以外にステロイド外用薬やかゆみ止めの内服が必要な場合がありますので、皮膚科を受診してください。

受診・予防の目安となる「全身が突然かゆくなる」ときのセルフチェック法

• ・全身が突然かゆくなる以外に赤いぶつぶつ症状がある場合
• ・全身が突然かゆくなる以外に皮疹はないのにかゆみがひどい場合

「全身が突然かゆくなる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「全身が突然かゆくなる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

皮膚掻痒症

皮膚掻痒症は、発疹がないのにかゆみが起こる疾患です。全身がかゆくなる場合と外陰部や背中、頭部などが限局してかゆくなる場合があります。原因は肝臓や腎臓などの内臓疾患や糖尿病、薬剤、乾燥肌などがありますが、原因がはっきり分からないことも多々あります。治療は抗ヒスタミン薬の内服と保湿が基本となります。掻きむしることで二次性の湿疹を生じる場合は、ステロイド外用剤が必要な場合があります。

皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹は、皮膚の水分量や皮脂量が減って皮膚のバリア機能が低下することでおこります。最初は乾燥により角質がはがれ、皮膚の表面が白い粉をふいたようにガサガサになります。放っておくと痛みやかゆみがでて、かきむしることで皮膚の炎症を起こし湿疹となります。乾燥が気になる場合は、保湿剤などで皮膚を保護するようにしましょう。湿疹がひどくなった場合には、炎症を抑えるステロイド外用薬や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬の内服が必要な場合があります。

「全身が突然かゆくなる」の正しい対処法は？

皮膚が乾燥している場合には、まずはお風呂上りなどに市販の保湿剤を外用してみましょう。それでも改善しない時や掻きむしって赤い湿疹ができた場合には、ステロイド外用薬が効果的です。
赤く膨らんだようなブツブツが突然でる場合は、蕁麻疹の可能性があります。かゆみを落ち着かせるために氷などで冷やして経過を見ても良いでしょう。抗ヒスタミン薬など市販の内服薬も効果的です。それでもなかなか治まらず、1日以上続いたり連日症状がでる場合には、皮膚科などの医療機関を受診してください。
何も発疹が出ていないのにかゆみだけがある場合は、皮膚搔痒症が考えられます。軽症であれば市販のかゆみ止めの飲み薬や塗り薬で改善することがあります。かゆみの程度が強い場合や症状が長期間続いている場合には、皮膚科などの医療機関で相談してください。抗ヒスタミン薬などの飲み薬やステロイドの塗り薬での治療が効果的です。また基礎疾患がある方は、そちらの治療をしっかり行うことで改善する場合もあります。

まとめ 突然全身がかゆくなったら皮脂欠乏症、蕁麻疹、皮膚搔痒症などの可能性がある

今回は全身が突然かゆくなる原因と治療法について解説しました。初めはたいしたことないと思っていても、放置しておくと悪化して治りにくくなる場合もあります。かゆみ以外に赤いブツブツが出たり、発疹はでていないのにかゆみが続いたりする場合には医療機関で相談してください。

「全身が突然かゆくなる」症状で考えられる病気

「全身が突然かゆくなる」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

はじめは軽い痒みであっても、放っておくと悪化してしまうこともあり、適切な対処が重要です。

「全身が突然かゆくなる」に似ている症状・関連する症状

「全身が突然かゆくなる」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「全身が突然かゆくなる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「皮脂欠乏症」「乾皮症」「皮脂欠乏性湿疹」「指骨骨折」「蕁麻疹」「皮膚掻痒症」「肝不全」「腎不全」「血液疾患」などの疾患の可能性が考えられます。赤いぶつぶつがある場合やとにかくかゆみがひどい場合には、早めに医療機関を受診しましょう。