「黄色いあざ」ができる原因はご存知ですか?医師が考えられる病気も解説!
黄色いあざで、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
「黄色いあざ」の症状で考えられる病気と対処法
身体に黄色いあざができる場合には、さまざまな病気が考えられます。
自然に治癒するタイプもあれば、命に関わる疾患まで様々あります。
今回は、黄色いあざの症状で考えられる病気とその対処法などについて解説していきます。
黄色いあざの症状で考えられる原因と治し方
黄色いあざの症状で考えられる原因疾患として、「打撲」が挙げられます。
スポーツなどによって打撲すると、特定の場所が痛み、内出血や黄色いあざが見られます。
痛みの程度に個人差はありますが、痛みが大きい場合は患部を動かすことが困難になります。打撲をした際には、安静にして打撲した部位を冷却すると良いでしょう。
患部を冷やすと楽になる場合や動かせる場合は打撲の可能性が高いですが、万が一痛みが続く、あるいは痺れや目まいなどがあれば、すみやかに整形外科など医療機関で診察を受けることが重要です。
黄色いあざがあるが痛くない症状で考えられる原因と治し方
黄色いあざがあるが痛くない症状で考えられる原因疾患として、「黄疸」が挙げられます。
黄疸自体はあまり自覚的な症状を引き起こしませんが、患者さん自身は黄疸に気付かずにしばしば家族や職場の同僚から黄色いあざができたなどと指摘されることもあります。
ビリルビンの血中濃度が高くなると、痛み症状はほぼありませんが、胆汁が分解されたときにできる物質が体内に蓄積することで、全身にかゆみが生じることがあります。
黄疸を引き起こす肝疾患など多くの病気は、他の症状や深刻な問題を引き起こして、嘔気、嘔吐、腹痛、くも状血管腫(皮膚にみられる小さなクモのような形をした血管)などの症状が合併することがあります。
心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。
ぶつけてないのに黄色いあざがある症状で考えられる原因と治し方
ぶつけていないのに黄色いあざがある症状で考えられる原因疾患として、「肝機能障害」が挙げられます。
肝機能障害は、肝細胞が何らかの原因で障害を受けて、肝機能が低下して血液を凝固させるたんぱく質の合成機能が低下する病気です。
発症原因には、B型肝炎やC型肝炎などウイルス感染、長期の過剰なアルコール摂取、脂肪肝の悪化、薬の副作用などさまざまです。
肝機能障害に伴って、自覚症状がほとんどないため、非常にわかりづらく、気づいたときは進行している場合もあります。
肝機能障害の代表的な症状として黄疸が現れることが知られており、外傷などぶつけた記憶がないにもかかわらず皮膚に黄色いあざが出現することがあります。
少しでも早く肝機能障害を発見できるように、定期的に健康診断を受けるなど対策を講じて、心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。
黄色いあざが消えない症状で考えられる原因と治し方
黄色いあざが1週間以上たっても消えない症状の場合は、「血管炎」という病気も検討されます。
血管炎は、血管が炎症を起こす病気で、腎臓や心臓、肺などの血管障害を起こすと腎不全や高血圧、肺炎など含めて多彩な症状が現れます。
ほとんどのタイプの血管炎に対して、自己免疫に関連した炎症所見を抑えるために、通常であればコルチコステロイドや免疫抑制剤を治療場面で使用します。
皮膚の黄色いあざだけでなく、発熱や倦怠感、体重減少などの症状が合併している場合は膠原病内科など専門医療機関を受診しましょう。
足や腕の黄色いあざの症状で考えられる原因と治し方
足や腕の黄色いあざの症状で考えられる原因疾患として、「老人性紫斑」が挙げられます。
老人性紫斑は、真皮組織が萎縮して血管が脆弱化した主に高齢の方に発生する病気であり、手や前腕の伸側に限局して濃紫色で斑状の出血やあざが現れる特徴があります。
老人性紫斑で見られるあざは、擦れた刺激だけで出現することもしばしばみられますが、時間経過とともに自然に消失することが期待できます。
老人性紫斑であることが判明した際には、内出血なので塗り薬は特に効果なく、特別な治療は実施せずに経過観察することになります。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。
胸の黄色いあざの症状で考えられる原因と治し方
胸の黄色いあざの症状がある場合は、「白血病」という病気も検討されます。
白血病は、血液のがんの一種で、正常な血液が作られなくなる病気であり、血液中にある止血作用のある血小板が減ることにより、出血しやすくなり痣ができたり消えなかったりする症状が認められることがあります。
白血病に対して適切な治療が行われないと、感染症や出血により命に関わる注意の必要な病気ですので、疑わしい症状があればすぐに血液内科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「黄色いあざ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
立ち眩みの症状がある場合は、血液内科へ
黄色いあざが出現する以外にも、立ちくらみがする、感染症に罹患しやすくなる、鼻や歯肉から出血しやすくなるなどの症状が認められる際には、急性白血病を発症している可能性があります。早急に血液内科など専門医療機関を受診して、適切に治療しないと生命に直結するリスクがありますので留意しておきましょう。
受診・予防の目安となる「黄色いあざ」があるときのセルフチェック法
- ・黄色いあざ以外に発熱症状がある場合
- ・黄色いあざ以外に立ちくらみ症状がある場合
- ・黄色いあざ以外に出血症状がある場合
「黄色いあざ」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「黄色いあざ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
打撲
打撲とは物に強く打ち付けて転倒するなどした場合に起こる怪我です。
打撲は「打ち身」とも呼ばれていて、大半の場合において患部を動かすことができて、傷口はなく内出血(あおたんや黄色いあざ)ができます。
打撲はスポーツが原因で起こることが多く、バスケットボールやサッカー、柔道など相手選手との衝突で打撲が起こるケースが多く見られます。
氷のうなどで患部を冷やすことで症状が落ち着くことがほとんどです。
なかなか痛みが治まらない、何となく体がしびれてきたと感じるようであれば、骨折などの疑いがありますので、できるだけ早く整形外科など専門医療機関を受診しましょう。
黄疸
黄疸とは目に見える皮膚の黄染の意味ですが、正確にはビリルビンという物質による皮膚の黄染と考えられます。
ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する過程の中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されて、血流によって肝臓に運ばれ、そこで胆汁(肝臓で作られる消化液)と結合します。
ビリルビンは胆管を通って消化管に移動して、大部分のビリルビンは便中に排泄されますが、少量は尿中に排泄されますが、万が一ビリルビンが肝臓や胆管を正常に通過できない場合にはビリルビンは血液中に蓄積して、皮膚に沈着して黄色いあざができることがあります。
また、多くの黄疸の患者では、便とともにビリルビンが排除されず、尿中に排泄されるビリルビンの量が増加することによって尿の色が濃くなり、便の色が薄くなると言われています。
心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
老人性紫斑
老人性紫斑は、加齢によって血管や周囲の組織がもろくなり、少しの外力をきっかけに手足や顔面などに内出血が生じる状態であり、加齢現象のひとつとして生じます1)。
加齢に伴って血管や血管を保護する周囲組織が脆弱になることによって発症し、主に手足や顔などの部位に紫色から黄色のあざが出現します。
周囲の正常な皮膚とあざの境界は比較的明瞭であり、複数の箇所にわたってあざが見られることもあります。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。
アレルギー性紫斑病
アレルギー性紫斑病は、小児に多い病気です。
発症機序としては、IgA免疫複合体が血管に沈着する血管炎であり、さまざまな感染症に伴って産出されたIgAの免疫複合体が、全身の毛細血管壁に付着することで発症します。
代表的な症状としては、左右対称で盛り上がった紫斑の様な発疹が認められ、他にも、腹痛や嘔吐、肉眼的血尿、関節炎などが挙げられます。
黄色いあざだけでなく、これらの症状が見られる場合には、アレルギー性紫斑病が疑われますので、小児科や膠原病内科、アレルギー専門外来などを受診しましょう。
肝機能障害
肝機能障害は、肝炎ウイルス感染、過剰なアルコール摂取、脂肪肝、薬剤副作用などを含めて、肝細胞が何らかの原因で障害を受けて、肝細胞の機能が低下する病気です。
初期の段階では、自覚症状がほとんどないため、非常にわかりづらいですが、病状が進行すると、典型的な症状としては眼球を含めて全身に黄疸が現れます。他にも、全身倦怠感や食欲低下、皮膚の掻痒感、腹水などが認められます。
早期に病気を発見するためには、定期的な健康診断による経過観察が重要です。
心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診してください。
血小板減少性紫斑病
血小板減少性紫斑病は、自己免疫異常にともなって、血球成分の一つである血小板が減少して、通常より出血しやすくなる病気です。
免疫異常が発生する機序はいまだに複雑であり、明確に判明していませんが、手足などを打撲していないのにもかかわらず、全身に黄色いあざが認められる、あるいは歯肉部位や鼻粘膜から出血サインがよくある場合には、血小板減少性紫斑病を疑いましょう。
症状が進行すると、出血傾向が助長して重症化するケースもあるため、心配であれば、早急に膠原病内科や血液内科など専門医療機関を受診してください。
血友病
血友病は、血液凝固因子と呼ばれるタンパク質の一部が不足欠乏している病気であり、先天性(遺伝が関係する生まれつき)のものと後天性(遺伝は関係せず発症する)のものに分類されます。
代表的な症状は、関節内の出血(膝・肘など外力がかかりやすい部分)であり、関節部に痛みや腫れが生じます。
また、出血症状や血が止まりにくい症状が認められ、全身に黄色いあざができやすいなどの特徴が挙げられます。
出血しやすい部位は先天性と後天性で異なり、先天性の場合は主に関節内や筋肉内に出血が見られる一方で、後天性で関節内出血が見られるケースはごく稀といわれています。
血友病は遺伝性のため、家族や親せきなどに血友病を罹患している患者さんが存在する場合には、自分自身も発症する可能性があります。
主な治療は、凝固因子を含む製剤投与が基本となりますので、心配であれば、血液内科など専門医療機関を通院受診しましょう。
カビ
胸などの部位に黄色いあざが認められる際には、真菌(カビ)が原因である場合が考えられます。
特に、皮膚にもともと常駐している癜風菌やマラセチアと呼ばれる真菌が夏場などにおいて、汗で蒸れて過剰に繁殖して発症し、あざのように見える斑点が増えて広がってから異常に気付く場合もあります。
適切に処置しないと、再発することもあるため、普段からシャワーで汗を流して、保湿剤などを用いてスキンケアするように配慮しておきましょう。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診するように心がけましょう。
扁平母斑
扁平母斑は、あざができる病気でほとんど生まれつきにあるものですが、場合によっては、思春期になってから発生する例もあります。
生まれつきのものも思春期になってから発症したものも、ほとんど悪性化することは考えられませんので、大きな心配は不要です。
治療は特に必要がありませんが、見た目や外見を気にする場合には、レーザー治療が検討されます。心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診するとよいでしょう。
脂腺母斑
脂腺母斑は、先天的(幼少時など)に黄色いあざができる病気であり、主な発生部位としては、顔面や頭部が多いといわれています。
注意点としては、時間経過とともに、病変部が悪性化する恐れもあるので、日々患部の大きさや形状が変化しないか観察する必要があります。
専門的治療を積極的に希望されるケースが多く、低年齢の段階で切除することがよく認められます。
心配であれば、皮膚科や形成外科など専門医療機関を受診しましょう。
遅発性扁平母斑
遅発性扁平母斑は、思春期前後に発生する病気であり、周囲の皮膚より茶色っぽく見えるあざが出現します。
あざ自体を触ってみると、表面はザラザラである一方で、境界ラインはギザギザしているという特徴的な所見を示しています。
命に直接的に関わる病気ではありませんが、外見が気になる方が多いため、治療方法としては、レーザー治療が使用されます。
前向きに切除治療したい場合には、皮膚科や形成外科など専門病院を受診してください。
「黄色いあざ」の正しい対処法は?
あざの症状や合併症の有無などによって治癒期間も様々です。
ただし、年齢によって回復力には差があって、若い人の方が年配の方に比べて自然治癒力が高く、あざが出来ても早く正常の状態に戻りやすいです。
打撲の場合には、外力を受けて、受傷した直後は痛めた患部が炎症を起こして腫れが強く出ている場合がありますので、まずは患部を冷却してアイシングするように努めましょう。
打撲や外傷の際には、患部が熱感を持った状態で湯船に浸かって温めると、炎症を起こしている部位に余計に血流が増加してあざが引かない場合があるので注意しましょう。
内出血や黄色いあざは、基本的には時間が経てば治りますが、少しでも早く治したい時には医師の指示のもと処方されるヘパリン類似物質を用いることもあります。
ヘパリン類似物質には、「保湿」「血行促進」「抗炎症作用」の3つの働きがあります。
ヘパリン類似物質は、脆弱な皮膚の保湿力やバリア機能を取り戻して、新陳代謝を促す成分が含有されていて、血液の凝固を阻止する働きがあるため内出血のあざを早期的に治癒させる効果を期待することができます。
常日頃から十分なビタミンを取ることも重要であり、凝固因子の働きをサポートするビタミンKや血管の組織を丈夫にするビタミンCを十分に摂取することで、些細な衝撃で内出血をできにくい体質に変化させることができます。
偏った食生活は出来る限り回避して、栄養バランスの優れた食事メニューを摂取するように意識しましょう。
また、運動時などにはなるべく肌の露出を控えて、気付かないうちに打撲や怪我をして内出血を作らないように心がけましょう。
加齢に伴って、代謝機能や免疫機能が低下するため、保湿クリームやボディクリームなどで日常的にお肌のケアをして、皮膚の潤いと弾力を保持できるように努めましょう。
セルフケアを実施しても症状が改善しない場合には、できるだけはやく専門医療機関を受診しましょう。
「黄色いあざ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「黄色いあざ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
黄色いあざを早く治す方法はありますか?
甲斐沼 孟(医師)
黄色いあざの対処方法としては、安静にすることが第一であり、より早い回復を目指して、ヘパリン類似物質などの市販薬を用いると効果的に働く場合もあります。
体にできた黄色いアザは通常どのくらいの期間で治りますか?
甲斐沼 孟(医師)
打撲などが原因で身体に黄色いあざが出現している場合には、早ければ1週間~数週間程度であざは自然に吸収されていくでしょう。
黄疸とはどんな症状ですか?黄色っぽい痣ができるのも黄疸ですか?
甲斐沼 孟(医師)
黄色っぽいあざが出来る際にも黄疸の可能性があります。黄疸では、血中にビリルビン(黄色の色素)が過剰になって高ビリルビン血症を発症することで、一般的に皮膚や眼球粘膜が黄色くなる症状が現れます。
ぶつけていないのに黄色いあざがあるのですが白血病なのでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
ぶつけた記憶がないのに、身体に黄色いあざが認められる際には、白血病も検討する必要があります。白血病は、血液を作り出す造血幹細胞に異常が生じ、正常な血液を作る細胞が作られなくなる病気ですので、心配であれば専門病院で検査を受けましょう。
まとめ 黄色いあざが気になったら専門医療機関を受診しましょう
黄色いあざが出来る原因は、何かに体をぶつけて打撲するなどの外部からの衝撃が体内に入ることによって、皮膚や皮下組織を壊してしまい、出血が体の中にとどまることで起きます。
また、高齢者は老人性紫斑など弱い外力でも内出血を起こしてしまいますし、肝臓が悪い方の場合には黄疸が出現して身体の皮膚などに黄色いあざ所見が認められることがあります。
心配であれば、整形外科や皮膚科、消化器内科、血液内科、膠原病内科など専門医療機関を受診して相談するように努めましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
「黄色いあざ」症状で考えられる病気
「黄色いあざ」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 老人性紫斑
整形外科の病気
消化器内科の病気
- 黄疸
- 肝機能障害
膠原病内科の病気
血液内科の病気
何かに体をぶつけて打撲するなどの外部からの衝撃を受けると、皮膚や皮下組織を壊れて出血することが原因で黄色いあざは起こりえます。そのようなケガのエピソードがない場合には、何らかの病気が潜んでいることがあります。
「黄色いあざ」に似ている症状・関連する症状
「黄色いあざ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 発熱する
- 立ち眩みがする
- 鼻出血が起こる
- 歯茎から出血する
- 倦怠感がある
- 痣が消えない
- ぶつけてないのにあざができる
「黄色いあざ」症状の他にこれらの症状がある場合でも「老人性紫斑」「打撲」「黄疸」「肝機能障害」「血管炎」「白血病」などの疾患の可能性が考えられます。発熱や立ち眩み、出血症状がある場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。