「首の後ろにしこり」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
首の後ろのしこりで、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
川島 峻(新宿アイランド内科クリニック)
「首の後ろのしこり」症状で考えられる病気と対処法
首の後ろは触ることはできますが、自分の目で見ることはできません。そんな首の後ろにしこりができてしまった場合、不安に感じてしまうこともあるでしょう。この記事ではそんな首の後ろのしこりに関して紹介します。
首の後ろにしこりがあり痛い症状で考えられる原因と対処法
首の後ろにしこりがあり痛い場合、考えられるものの中でもっとも頻度が高いのは炎症性粉瘤です。粉瘤は皮膚の中に袋ができてその中に垢が溜まったもののことを指します。通常溜まっただけであれば痛みは感じませんが、炎症が起こると痛みを感じます。治療は溜まった垢をまず出すことが必要なため、皮膚科を受診し処置をしてもらいましょう。ただしそれだけですと、また垢が溜まってしまうため根本的に治すためには手術で袋ごと摘出する必要があります。
痛くないが首の後ろにしこりがある症状で考えられる原因と対処法
痛くないが首の後ろにしこりがある場合、炎症が起こっていない粉瘤や脂肪腫、石灰化上皮種などの皮膚腫瘍や皮下腫瘍を考えます。
良性であることが多いですが、中には悪性のものもあります。診断には画像検査や病理検査が必要です。まずはお近くの皮膚科を受診してください。
首の後ろにしこりがあり頭痛がする症状で考えられる原因と対処法
首の後ろにしこりがあり頭痛がする場合、もっとも考えられるのは風邪や扁桃炎に伴う反応性のリンパ節腫大やリンパ節炎です。人の体は感染が起こると免疫細胞が活性化されるため、それに伴ってリンパ節が腫れます。また、リンパ節そのものに感染が起こってもリンパ節が腫れてしまいます。感染症を発症すると倦怠感や頭痛を認めやすいため、両方の症状が現れることが多いです。
血液検査で炎症反応などの確認が必要なことがありますので、一度内科を受診してください。
首の後ろにしこりがあり肩こりがする症状で考えられる原因と対処法
首の後ろにしこりがあり肩もこる場合、頭痛を伴っている時と同様に風邪や扁桃炎に付随するリンパ節腫大やリンパ節炎を考えます。
肩がこってしまう原因はリンパ節が腫れて血液やリンパの流れが悪くなってしまうことが考えられます。
一度内科を受診しましょう。
首の後ろにしこりがありかゆい症状で考えられる原因と対処法
首の後ろにしこりがあり、かゆい場合結節性痒疹などを疑います。結節性痒疹とは強い炎症が皮膚に起こることで周りより少し皮膚が盛り上がってできるものです。治療はステロイド外用や、ステロイドの局所注射などを行います。
皮膚科を受診してみてください。
首の後ろにしこりが複数ある症状で考えられる原因と対処法
首の後ろにしこりが複数ある場合は、ウイルス感染に伴うリンパ節炎を考えます。ウイルス感染の場合には、左右のリンパ節の両方が腫れることが特徴です。リンパ節が腫れることで痛みを伴うこともあり、長引く症状の場合には血液検査や超音波検査などの精密検査が必要となるケースもあります。一度内科を受診しましょう。
子どもで首の後ろにしこりがる症状で考えられる主な原因と対処法
子供の首の後ろにしこりを触れる場合、多くがリンパ節です。子供は免疫の発達段階にあるため健康な状態でも皮膚の上から触ったときにリンパ節を触れることがあります。
しかし、1つだけ触れたり、押して痛がるなどがあれば感染症などの可能性があるため小児科の受診を検討してください。
すぐに病院へ行くべき「首の後ろのしこり」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
押しても痛くなく、やや柔らかく弾性がある場合は、内科へ
首の後ろにしこりがあって、押しても痛くなく触るとやや柔らかく弾力がある場合は悪性リンパ腫の可能性があります。これ以外に発熱や倦怠感、寝汗の増加や体重減少などの症状を伴うことが多いですが、それらがないこともあります。
放置すると最悪の場合は命に危険が及ぶため、疑った場合はまず内科を受診してください。
受診・予防の目安となる「首の後ろにしこり」があるときのセルフチェック法
- ・首の後ろのしこり以外にかゆみがある場合
- ・首の後ろのしこり以外に圧痛がある場合
- ・首の後ろのしこり以外に発熱やだるさがある場合
「首の後ろのしこり」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「首の後ろのしこり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪腫
脂肪腫とは皮膚の下に脂肪の塊ができたものです。体のどこにでもできる可能性がある良性の腫瘍です。触ると柔らかく皮膚や皮膚の下床との癒着はありません。自然と消えることはないため、気になる場合は手術での切除が必要です。皮膚科や形成外科を受診しましょう。
耳下腺腫瘍
耳下腺とは唾液腺の一種で、文字通り唾液を分泌する臓器です。左右の耳の付け根に存在しています。耳下腺腫瘍は様々な種類があり、良性腫瘍から悪性腫瘍まであります。
診断には画像検査や血液検査、針を刺して細胞を顕微鏡で見る検査を行う必要があります。
治療は原則手術での摘出となります。
専門は耳鼻科となるため、一度耳鼻科を受診しましょう。
リンパ節炎・リンパの腫れ
リンパの腫れやリンパ節炎は細菌やウイルスなどの感染症が原因で起こることが多いです。首の場合は風邪や扁桃炎、虫歯や皮膚の感染症が原因となります。それ以外に結核が原因になることもまれにあります。
原因となっているおおもとの感染症を治療すればリンパ節腫大も改善します。リンパ節炎の場合も原因菌に対する抗生剤の加療で改善します。
リンパ節炎の1つに亜急性壊死性リンパ節炎という病気があります。こちらは原因不明の疾患で若い女性に多く発症します。感染症ではなく、症状が長く続くことが特徴です、画像検査などで診断をつけるため、疑った場合は一度内科を受診しましょう。
「首の後ろのしこり」の正しい対処法は?
首の後ろにしこりがあった場合、数日間様子を見て自然になくなっていくようであれば、問題ないと思われます。打撲などによってできた皮下出血であればそのような経過になると思います。
しこりがあることで痛みを感じる場合には、一時的な対応策として痛み止めを服用することは良いでしょう。ロキソニンSなどの市販薬でも効果は期待できると思います。しかし、市販薬を連日使うようであれば、相当な痛みがある状況と思われますので、一度医療機関を受診することをお勧めします。
首の後ろは自分自身で確認することが難しいため、早く治したい場合にはしこりに気がついた時点で早めに受診することをお勧めします。
「首の後ろのしこり」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「首の後ろのしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
首の後ろにしこりがあるのですが何科に行けばいいですか?
川島 峻 医師
まずは内科で一度外見を確認してもらうのが良いかと思います。内科の医師の判断で皮膚科や耳鼻科に紹介されることもあります。
うなじにできるしこりはリンパが腫れているのでしょうか?
川島 峻 医師
うなじにもリンパ節が存在しているため、可能性は十分にあります。しかし、そこに皮下腫瘍があるという可能性もあります。
首の後ろの髪の生え際にできたしこりが押すと痛いのは危険ですか?
川島 峻 医師
押すと痛い場合、感染症を第一に考えます。命を脅かすほど危険になることはあまりないですが、診断をつけるためにも病院の受診を検討ください。
首の後ろのしこりは癌なのでしょうか。
川島 峻 医師
もちろん癌である可能性もあります。しかし多くの場合は反応性のリンパ節腫大や良性腫瘍です。かといって放置すると癌は進行してしまうため、疑う場合は病院を受診しましょう。
首の後ろにできる悪性のしこりの特徴を教えてください。
川島 峻 医師
悪性リンパ腫の場合は、押しても痛くなく触るとやや柔らかい弾性のしこりであることが特徴です。癌のリンパ節転移である場合は、押しても痛くなく触ると硬いことが特徴です。
まとめ
首の後ろのしこりに関して紹介しました。大半が良性のものですが、悪性のものを放置するとどんどん進行します。気になる場合は一度病院を受診してください。
「首の後ろのしこり」症状で考えられる病気
「首の後ろのしこり」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻科系の病気
- 頚部リンパ節炎
皮膚科系の病気
- 結節性痒疹
血液内科系の病気
大半が良性の病変ですが自分自身で見えづらい部位ですので、一度受診して診断を受けることをお勧めします。
「首の後ろのしこり」に似ている症状・関連する症状
「首の後ろのしこり」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「首の後ろのしこり」症状の他にこれらの症状がある場合でも「頚部リンパ節炎」「結節性痒疹」「悪性リンパ腫」などの疾患の可能性が考えられます。かゆみや圧痛、発熱、倦怠感などがある場合には、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
・あたらしい皮膚科学 第3版