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「耳の後ろにしこり」ができる原因をご存知ですか?医師が徹底解説!

「耳の後ろにしこり」ができる原因をご存知ですか?医師が徹底解説!

耳の後ろにしこりがある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

森崎 剛史 医師

監修医師
森崎 剛史 医師

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鳥取大学医学部卒業。医学博士。耳鼻咽喉科全般、声の疾患、甲状腺腫瘍を専門に診療にあたっている。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本内分泌外科学会認定内分泌外科専門医の資格を有する。

「耳の後ろのしこり」で考えられる病気と対処法

耳の後ろのしこりを医師が診察する時には、しこりの性状(性質と状態)、しこりに痛みが伴っているかどうかでどのような病気かを判断します。もちろん、診察を受けずに病気の自己判断をするのはいけませんが、医師の判断ポイントを知ることで、自分がどのような状態なのか想定することは、不安を和らげる助けになるのではないでしょうか。さまざまなタイプのしこりについてみていきましょう。

耳の後ろにしこりがあるが痛くない症状で考えられる原因と治し方

洗顔のときや何気ない瞬間に、耳の後ろに痛みのないしこりがあることに気がつく場合があります。痛みがないため、生活に支障があることはないでしょう。痛みがないことから、「炎症以外」の原因でのリンパ節の腫れが考えられます。ピアスやカミソリ負けなど皮膚への刺激による反応性リンパ節腫脹、耳下腺という唾液腺の中にできる良性腫瘍、リンパ節などリンパ系の臓器が腫れる悪性リンパ腫などが考えられます。緊急性はありませんが、1週間以内に耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

耳の後ろのしこりを押すと痛い症状で考えられる原因と治し方

耳の後ろのしこりの痛みがひどい場合は、何らかの炎症が起こっていることが原因である可能性があります。具体的には、乳様突起炎や急性リンパ節炎、帯状疱疹などが考えられます。

乳様突起炎(にゅうようとっきえん)

乳様突起炎とは、風邪などからくる中耳炎が進行した状態です。また、耳たぶや耳の付け根ならマスクひもの刺激による皮膚自体の炎症なども考えられます。急性リンパ節炎と帯状疱疹については、後で詳しく説明します。すぐにできる炎症を和らげられる対処法には、冷やすことや鎮痛薬を服用することが挙げられます。皮膚の見た目に明らかな異常があるようなら皮膚科へ受診しましょう。皮膚に特別変なことはなく、腫れがある場合には耳鼻咽喉科へ受診しましょう。炎症は進行すると重症となってしまうので、当日か翌日には受診しましょう。

耳の後ろにしこりがあり押すとかたい症状で考えられる原因と治し方

耳の後ろに石のようにかたいものが触れるけれども、痛みはないこともあります。
もともと耳の後ろには乳様突起という骨のでっぱりがありますが、しこりだと思ってもこの骨のでっぱりを触っているだけの可能性があります。もちろん、この場合は異常ありません。コリコリとして皮膚の下でよく動く、または周りにがっちり着いて動かないしこりがある場合には、リンパ節や耳下腺のできものかもしれません。石のように硬い場合には耳の中や口・のどの癌のリンパ節転移、硬いタイプの耳下腺腫瘍などを考えます。以前には気にならなかったものが出現したと感じる場合には、数日以内を目安に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「耳の後ろのしこり」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

新生児で耳の後ろが腫れていて不機嫌な場合は、耳鼻咽喉科へ

赤ちゃんや幼児は中耳炎になりやすく、乳様突起炎にも進行しやすいという特徴があります。小児の耳の後ろが腫れていて押すと痛いような反応のときには乳様突起炎や骨の周りに膿をためている可能性もあり、すぐに入院治療が必要になります。まずはすぐに小児科や耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

耳のうしろにしこりがあり、同じ側の表情筋の動きが鈍い場合は、耳鼻咽喉科へ

耳下腺の癌では耳下腺の中を通り抜けていく顔面神経へダメージを及ぼしていることがあります。顔面神経が麻痺すると片側の表情筋の動きが鈍くなり左右非対称の表情となります。
このような場合には、絶対に放置せずに早めに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

「耳の後ろにしこりができる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳の後ろのしこり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性リンパ節炎

耳の周囲にはリンパ節が多く存在します。原因はいまだ不明ですが、風邪などと同じようにウイルス感染などのイメージで、リンパ節に炎症が起こったものが急性リンパ節炎です。主な症状は痛みと発熱です。基本的には十分な休養をとり炎症が収まるのを待ちます。症状がつよい場合には解熱鎮痛剤を服用します。まれに、高熱が1ヶ月以上もつづく亜急性壊死性リンパ節炎や、特殊な治療でないと改善しない結核性リンパ節炎などが紛れていることがありますので、3日以上症状が改善の気配を見せない場合は病院に行くべきです。また、高熱のため食事や水分が十分摂れないときにも早急に耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染による神経痛や、その神経が関係する部位の皮膚に皮疹や水ぼうそうが出る病気です。過去に知らず知らずのうちに感染したウイルスが神経に潜伏しており、免疫力が下がったときに発症します。耳の周りで発症すると、主要な神経を麻痺させて、顔の半分が動かなくなったり、片耳が聞こえなくなったり、ひどいめまいがおこったりすることがあります。
治療にはウイルスを抑える薬を使用します。後遺症として神経の痛みが長期間残ることがありますので、痛み止めを服用していくこともあります。重症化させないためにも皮疹がでたら早期から病院で治療することが大切です。皮疹(赤みやブツブツなどの発疹)だけであれば皮膚科の受診を、顔の動きの低下やめまいがあるようなら耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

後頭神経痛

しこりというよりは肩こりによる筋の硬さがあるかもしれません。脊髄から枝分かれして頚椎同士の隙間から耳の後ろの皮膚へ伸びるのが後頭神経です。主に頚椎の隙間がせまくなる頚椎症などにより神経が圧迫されてピリピリとする痛みを耳の後ろに発症します。頚椎に負担のかかるような姿勢でのスマホの見すぎ、パソコン作業のしすぎを控えましょう。治療では神経痛に効く痛み止めを服用します。耳鼻咽喉科やペインクリニックへの受診がよいでしょう。

アテローム(粉瘤)

アテロームとは、皮膚の表面が小さく陥没したところに垢や皮脂がたまって皮膚の下側へと袋状に成長したものです。根本的に治すには袋ごと切除する必要があります。徐々に大きくなってくる、大きい、熱感(熱っぽさ)や痛みや膿が出る場合などには形成外科、皮膚科、耳鼻咽喉科などで相談しましょう。

「耳の後ろのしこり」ときの正しい対処法は?

つらい熱や痛みがあるときには、市販の鎮痛剤を使用することも検討しましょう。ロキソニン、イブ、バファリンなどが商品名についているものは、病院でもよく使うものが主成分となっています。診察のときに使用した市販薬の成分がわかる箱や説明書などを持参しましょう。
ただし、腫れを引かせるためだけに市販薬を飲むのは、診察のときに重症度を低くみられてしまう恐れがあるので、むやみな使用は控えてください。悪性腫瘍などの場合は、マッサージなどで強く揉むと腫瘍細胞を広げてしまう可能性もあるため、むやみに強く触らないほうが良いでしょう。表面に近い部位の炎症には冷やすことが効果的ですので、患部の冷却を行っても構いません。耳の後ろは物理的な接触刺激でしこりができることもあるので、マスク紐やメガネのつるは、なるべく患部に当たらないようにしましょう。耳の後ろのしこりの中には進行していく炎症や、腫瘍も潜んでいることがあるので、1週間以内など短期間で軽い症状のみで収まったもの以外は、とにかく自己判断で片付けずに、病院で診察を受けるようにしましょう。

「耳の後ろのしこり」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳の後ろのしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳の後ろのしこりを繰り返さないための予防法を教えてください。

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

炎症の原因となる皮膚への刺激を避けましょう。きつい・細いマスク紐、ひげ剃りや顔そりの深剃りなどは炎症の原因になります。

片方の耳の付け根にできたしこりに、治療法はありますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

状態にあわせて経過観察をしたり、薬や手術などで治療を行います。

耳たぶのうしろにしこりができて痛いのは何科に行くべきですか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

耳鼻咽喉科です。

耳の後ろのしこりが悪性リンパ腫ということは考えられますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

耳下腺という唾液をつくる臓器の中や、耳周囲にはリンパ節が多数ありますので、悪性リンパ腫であることも医師としてしばしば経験します。

まとめ

耳の後ろは鏡でもなかなか見えづらいところです。進行する炎症や良性・悪性を問わず腫瘍であれば、放置することで状況は悪くなっていきます。見えないし気にならないからと放置していると、知らず知らずのうちに治療が難しくなることもあります。気になったタイミングが病院受診の時だと心得て、面倒がらずに病院へ相談に行くようにしましょう。

「耳の後ろのしこり」で考えられる病気と特徴

「耳の後ろのしこり」から医師が考えられる病気は15個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻科の病気

  • 耳下腺腫瘍
  • 乳様突起炎
  • 耳下腺癌

皮膚科の病気

内科の病気

耳のうしろにある臓器は主に皮膚、骨、リンパ節、耳下腺であり、これらに由来する病気が考えられます。

「耳の後ろのしこり」と関連のある症状

「耳の後ろのしこり」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「耳の後ろのしこり」の他に、これらの症状が見られる際は、「急性リンパ節炎「乳様突起炎」「帯状疱疹」「耳下腺癌」「顔面神経麻痺」「アテローム」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。