「ぶつけてないのにあざができる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
ぶつけてないのにあざができる時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「ぶつけてないのにあざができる」ときに考えられる病気と対処法
ぶつけた覚えがないのに「あざ」ができる病気にはいくつか原因があります。放っておいても問題がないものから、すぐに治療をしなくてはいけないものまでさまざまです。考えられる病気と対処法、治療法を解説していきましょう。
ぶつけてないのにあざができる症状で考えられる原因と治し方
まず、「あざ」といっても、色の違いにより赤あざ、青あざ、茶あざなどがあります。生まれつきか生後間もなく色の変化がある場合には、小児科や皮膚科で相談しましょう。
打ち身による内出血をあざと呼ぶこともあります。時期によって赤から紫、緑、黄色と変化します。わずかな外傷で出血する場合には出血しやすい素因があるかもしれません。若いのにあざを繰り返す、あざ以外にも歯肉から出血しやすい、鼻血がでやすいなどの場合には内科や血液内科にご相談ください。
ぶつけてないのに手にあざができる症状で考えられる原因と治し方
皮膚や皮下組織が弱い高齢者では、ぶつけた自覚がなく皮膚が擦れただけでも、皮下出血を起こしあざになることがあります。このようなあざは老人性紫斑(しはん)といい、特別な治療は要りません。老人性紫斑は手の甲や腕にできやすいですが、放置しても問題ありません。
ぶつけてないのに膝や足にあざができる症状で考えられる原因と治し方
膝も老人性紫斑が起こりやすい場所です。ただし、膝の腫れや痛みがある場合には注意が必要です。血友病 (けつゆうびょう)では膝関節などの関節内や皮下、筋肉内に出血を起こします。発症年齢が20−30歳と60−70歳にピークがありますので、若い人にも見られた場合には、注意しましょう。緊急性が高いので病院を受診してください。
ぶつけてないのに顔にあざができる症状で考えられる原因と治し方
ぶつけた自覚がなくても顔にできる青あざには太田母斑(おおたぼはん)があります。真皮のメラノサイトが増えるため青っぽいあざになります。後天性真皮メラノサイトーシスでは頬や鼻の近くに両側性に灰褐色のあざができます。肝斑(かんぱん)やシミとの鑑別が必要なこともあります。太田母斑も後天性真皮メラノサイトーシスも放置しても問題ありませんが、消すためにはレーザー治療が有効です。
ぶつけてないのに青あざができる症状で考えられる原因と治し方
肩にできる青あざは伊藤母斑といいます。蒙古斑(もうこはん)は生まれたばかりの赤ちゃんのおしりにあることが多く、年齢とともに消退します。お尻以外にできるものを異所性蒙古斑といいます。これらは放置しても悪性化することは少ないのですが、消したい場合はレーザー治療を行います。
ぶつけてないのに茶色のあざができる症状で考えられる原因と治し方
茶あざにはカフェオレ斑、扁平母斑、ベッカー母斑があります。
カフェオレ斑は生まれた時からあり、2-3歳までにはっきりした茶あざとしてわかるようになります。単発であれば扁平母斑とも呼ばれます。多発する場合には、神経線維腫症1型などの遺伝性疾患の合併を疑います。皮膚科や内科にご相談ください。ベッカー母斑は斑状の淡い褐色のあざと、その後の多毛が特徴的です。治療はレーザー治療や皮膚凍結療法などになります。
ぶつけてないのに赤色のあざができる症状で考えられる原因と治し方
赤いあざは赤血球の色で赤くみえる血管腫が原因です。イチゴ状血管腫は生後半年から1年ほどで増大しますが、その後多くは自然に消失します。一部で残って瘢痕化するため、7歳以降に残存している場合や、巨大なもの、耳や鼻、口周りにできて機能的な問題がある場合には治療が必要です。小児科、皮膚科、形成外科にご相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき「ぶつけてないのにあざができる」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
発するあざや鼻血、歯肉からの出血など、易出血性がある場合は、内科・血液内科科へ
あざがさまざまな場所にできている場合や、皮下出血以外の場所に出血傾向を認めた場合は危険です。原因として血小板減少、出血時間の延長、凝固異常などを起こす白血病、血小板減少症、血友病、凝固異常症などが考えられます。すぐに内科に相談しましょう。
「ぶつけてないのにあざができる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ぶつけてないのにあざができる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
白血病
白血病は血液のがんで、がん細胞が増えるために本来骨髄で作られる赤血球、白血球、血小板が作られずに低下し、さまざまな症状がでます。息切れ、動悸、鼻血や歯ぐきからの易出血性、発熱などが起こります。緊急性が高い病気です。上記の症状から白血病が疑われる場合には、すぐに内科(血液内科)の受診が必要です。
血友病
血友病は血液を固まらせる凝固因子の欠乏のため止血できずにさまざまな場所に出血を起こす病気です。大きなあざや皮下出血ができることが多く、筋肉内や関節内にも出血することがあります。貧血に陥りやすく、すぐに治療が必要です。すぐに内科(できれば血液内科)を受診しましょう。
クッシング病
クッシング病は副腎皮質ステロイドホルモンが過剰に分泌される病気です。ステロイドの影響で皮膚が薄くなり出血しやすいため、あざができやすくなります。皮膚以外にも高血圧、糖尿病、免疫不全などを合併するため、すぐに治療が必要です。疑わしい症状がある場合には内科を受診しましょう。
紫斑病
紫斑病は微小な血管炎によりおこる病気です。代表的なものとして、Henoch-Schonlein紫斑病という血管炎があります。皮膚の細かい血管が障害されて、紫斑、紅斑などを起こします。皮膚症状以外にも関節痛や腹痛、腎症状、神経症状を合併することが多いとされています。緊急性が高い病気です。疑った場合には、すぐに内科(子供では小児科)を受診しましょう。
血小板減少性紫斑病
出血した時に止血作用をする血小板という血液成分が低下することで起こります。子供の場合は麻疹や風疹などのウイルス感染症の後に、大人の場合は誘因なく起こることもあります。血小板値が減少して手足(特にすねの部分)に点状出血や紫斑がでる病気です。診断がつけば、治療はステロイドで治療可能です。
「ぶつけてないのにあざができる」ときの正しい対処法は?
老人性紫斑、太田母斑、伊藤母斑、後天性メラノサイトーシスは放置しても悪性化しないため問題ありません。ただし、自然に消失もしません。市販の塗り薬やセルフケアでは改善せず、市販のシミ治療薬は無効です。
見た目の改善のために治療を行うのであれば、レーザー治療が有効です。
「ぶつけてないのにあざができる」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ぶつけてないのにあざができる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
打ち身の覚えがないのにあざがあるのは何科を受診すべきですか?
マイマイテイリ イマム 医師
まずは内科・血液内科で血液の異常(血小板値、凝固因子、出血時間など)による易出血性(出血しやすく血が止まりづらい状態)がないかどうかを確認しましょう。
ぶつけてないのにあざができるのはストレスと関係はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
ストレスであざが増えることはありません。
ぶつけてないのに体に痣ができて痛くないのは放置して大丈夫ですか?
マイマイテイリ イマム 医師
危険な皮下出血によるあざでも痛みがでないこともあります。あざが複数ある場合や繰り返す場合には一度内科を受診しましょう。
身に覚えのないアザができやすいのは病院で治療できますか?
マイマイテイリ イマム 医師
診断がつけば治療可能です。
いつの間にかできたあざが気になるのですが皮膚科で消せますか?
マイマイテイリ イマム 医師
原因によって消せるあざもあります。まずは、病院で相談しましょう。
まとめ
ぶつけていないのにあざができる場合、体が出血しやすい状態になっているのかもしれません。小さなあざや前からあるあざが長い間変化しない場合には、危険性は低いです。逆にあざが大きい場合や多発している場合、何度も繰り返す場合には一度病院で検査しましょう。
「ぶつけてないのにあざができる」で考えられる病気と特徴
「ぶつけてないのにあざができる」から医師が考えられる病気は21個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 老人性紫斑
- 太田母斑
- 伊藤母斑
- 蒙古斑・異所性蒙古斑
- 後天性真皮メラノサイトーシス
- カフェオレ斑
- 扁平母斑
- ベッカー母斑
- 貧血母斑
- イチゴ状血管腫
その他(カフェオレ斑が多発する遺伝性疾患)の病気
- 神経線維腫症1型
- マッキューン・オルブライト症候群(McCune-Alblight症候群)
- レギウス症候群(Legius症候群)
- 鼻出血
放っておいても問題ないことも多く自然に消えていけば問題ありませんが、あざがなかなか消えない場合には、軽く考えずに早めに受診して相談したほうが良いでしょう。
「ぶつけてないのにあざができる」と関連のある症状
「ぶつけてないのにあざができる」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「ぶつけてないのにあざができる」の他に、これらの症状が見られる際は、「血友病」「白血病」「血小板減少性紫斑病」などの疾患の可能性が考えられます。発熱や倦怠感がある場合やあざが増えている場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。