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「大人の寝ている時の咳」は何が原因かご存知ですか?考えられる病気を医師が解説!

「大人の寝ている時の咳」は何が原因かご存知ですか?考えられる病気を医師が解説!

大人の寝ている時の咳で、身体はどんなサインを発している?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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「大人の寝ている時の咳」症状で考えられる病気と対処法

咳の症状は風邪をひいているときなどによくみられる症状です。しかし、昼間に比べて寝ている時に咳が出る場合、単なる風邪ではなく他の病気の可能性があります。今回の記事では、寝ている時の咳について詳しく解説いたします。

大人が寝ている時の咳で気づかない症状で考えられる原因と治し方

寝ているときに咳の症状が出ていても、咳の症状がそれほど強くない場合、本人は気づかず寝ていることもあります。寝ているときに、咳が出る場合、喘息や胃食道逆流症、副鼻腔炎などが考えられます。このような場合、寝ながら無意識に咳をしていることも少なくありません。喘息の症状であれば、病院を受診して吸入薬などの治療を開始することで改善するでしょう。胃食道逆流症であれば、寝る前3時間程度は食事をしないようにしたり、食事は八分目程度と多く食べ過ぎないことも大切です。副鼻腔炎に伴う咳の場合には、鼻汁がのどにたれこむことにより起こるため、耳鼻科を受診して相談をすると良いでしょう。

大人の寝ている時の咳が止まらない症状で考えられる原因と治し方

寝ているときに咳が止まらない症状がある場合、多くみられるのは気管支喘息です。喘息の発作は夜間から早朝にかけて悪化しやすく発作が起こりやすいことが知られています。発作が起こりやすい理由はいくつか考えられます。
・夜間は自律神経の中でリラックスしているときに優位となる副交感神経が強く働いています。副交感神経は気管を収縮させます。そのため、夜間は気道が狭くなりやすく、喘息発作がおこりやすくなるのです。
・明け方の冷え込みにより、冷気が気道を刺激し発作が起こりやすくなります。
・喘息発作の原因の一つであるダニ・ホコリ・ハウスダストなどが寝具に付着しているため、就寝中に吸い込みやすく発作の原因となります。
これらの原因が重なることで喘息の患者さんが夜間から早朝に発作が起きやすくなり、咳が止まらなくなります。

大人の寝ている時に咳が出て起きる症状で考えられる原因と治し方

寝ているときに咳が出て起きる場合、咳の症状が強いことが考えられます。この場合、いくつかの病気が考えられます。
・気管支喘息の発作:ヒューヒュー、ゼーゼーといった音が伴う場合、喘息の症状が考えられます。
・胃食道逆流症:胸やけを伴う咳の場合、胃液が食道に逆流することが刺激になり咳が出ていることが考えられます。横になると胃液が逆流しやすくなるため、就寝中に咳が出やすくなります。
・副鼻腔炎に伴う咳:鼻汁や副鼻腔からの膿がのど元に流れ込み、仰向けに寝ると気管が刺激され咳や痰が引き起こされます。
・心不全による咳:心不全が悪化すると横になると苦しくなり咳や息苦しさを起こすことがあります。心不全に伴い、下肢の浮腫などを伴うことも多いです。
これらの症状が強い場合には、夜中に起きるほどせき込むこともあります。夜中に激しい咳で起きてしまうほどであれば、呼吸器内科を受診しましょう。

乾燥していて寝ている時に咳が出る症状で考えられる原因と治し方

乾燥していて寝ているときに咳が出る場合、乾燥した冷たい空気が刺激になり、発作を起こす気管支喘息が考えられます。また、ゼーゼーする喘鳴はあまりなく、咳だけ続く咳喘息という病気も少なくありません。夜から早朝に咳や喘鳴が悪化しやすいです。
咳喘息は約3割が気管支喘息に移行します。両方の病気とも、治療は吸入ステロイド薬が基本ですが、アレルギーを抑える内服薬などを併用することもあります。気管支喘息は、大人になってからでも発症する方も少なくありません。咳や喘鳴が持続する場合には呼吸器内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「大人の寝ている時の咳」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

ゼーゼーして息苦しい症状の場合は、呼吸器内科へ

夜間から早朝にかけてゼーゼー、ヒューヒューするような喘鳴を伴う息苦しさがある咳がみられる場合には、気管支喘息の可能性があります。息苦しい症状がみられる場合、喘息発作が重度である可能性もあります。早急に呼吸器内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「大人の寝ている時の咳」ときのセルフチェック法

・強い息苦しさがある場合
・ヒューヒュー、ゼーゼーする喘鳴の症状がある場合
・横になって寝れない症状がある場合

「大人の寝ている時の咳」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「大人の寝ている時の咳」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

気管支 職業性喘息

気管支喘息は、空気の通り道に炎症が起きることでさまざまな刺激に敏感になり、発作的に気道が狭くなる発作を繰り返す病気です。原因はダニやハウスダスト、ペットのフケ、カビなどのアレルギーによるものが多いですが、原因がはっきりしないことも少なくありません。発作的に咳がでて、ゼーゼーした息遣いを伴い、息苦しくなります。喘息の発作は、夜間や早朝に出やすく、寝ているときに咳が出ることもあります。治療としては吸入ステロイド薬を中心に使用します。また、アレルギーの原因が分かっている場合にはアレルゲンを避けましょう。禁煙も勧められます。夜間や早朝の咳や、喘鳴がある場合には呼吸器内科を受診しましょう。

間質性肺炎

間質性肺炎は、肺胞の壁に炎症が起こり、壁が厚く、硬くなって(線維化)酸素を取り込みにくくなる病気です。原因は色々とありますが、原因がわからないこともあります。症状としては、初期は無症状のことが多いですが、病状が進行すると労作時の息切れや咳がみられるようになります。症状がさらに進行すると呼吸不全をきたし、酸素吸入が必要となることもあります。なるべく早期に発見し、治療を開始することが大切です。咳が持続するなど気になる症状がみられた場合には呼吸器内科を受診して相談をしましょう。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することにより発症します。小児や若い人の肺炎の原因として比較的多い病気の一つです。マイコプラズマ肺炎は一年を通してみられますが、秋冬に多い傾向があります。症状としては、発熱や全身の倦怠感、咳などです。咳は熱が下がった後も1か月近く続くことが特徴です。多くの人は肺炎マイコプラズマに感染しても気管支炎で済み、改善する事が多いですが、一部の人は肺炎となったり重症化することもあります。感染経路としては、感染した人の咳で唾液がしぶきとなって飛び散る際に吸い込んでしまう飛沫感染と、感染者との接触でうつる接触感染と言われています。潜伏期間は2~3週間程度です。高熱や長引く咳がみられた場合には、内科もしくは呼吸器内科を受診することをお勧めします。

気管支炎

上気道の急性炎症が、連続する気管から気管支へ及ぶことで気管支炎となります。気管支炎となると、咳や痰の症状がみられます。急性気管支炎の原因としては、ウイルスによるものが多いです。しかし、肺炎マイコプラズマや肺炎クラミドフィラなどの病原菌や細菌による二次感染が原因となることもあります。一般的には軽症で改善することが多いですが、発熱が長引き咳や痰などの症状が持続する場合には肺炎を合併している可能性もあり注意が必要です。ウイルスの場合、インフルエンザ以外には治療薬がなく、対症療法となりますが、細菌感染や肺炎マイコプラズマの場合などは治療薬の適応もあります。咳や痰などの症状が長引いたり、発熱を伴う場合には呼吸器内科で相談をしましょう。

百日咳

百日咳とは、特有の激しい咳発作がみられる感染症です。ワクチン接種が世界各国で実施されるようになり、発生数は減少しています。しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後に年数が経過すると百日咳の発症がみられるため注意が必要です。通常7~10日程度の潜伏期を経て、風邪のような症状で始まり、次第に咳がひどくなります。咳発作がひどいと、嘔吐することもあるため注意をしましょう。発熱はない、もしくは微熱程度であることが多いです。2~3週間程度激しい咳が持続し、次第に改善していきますが、回復するまで全体で2~3ケ月かかることもあります。ひどい咳の症状が持続する場合には、内科・呼吸器内科を受診しましょう。

「大人の寝ている時の咳」の正しい対処法は?

夜間に咳が出る場合、原因により対処法は異なります。乾燥による刺激が咳の原因の場合には、水分を少し取り、咳を落ち着かせるのも良いでしょう。また、部屋を加湿して乾燥しないようにすることで症状が改善することもあります。
喘息と診断され、発作の時に使用する吸入薬を処方されている場合には使用しましょう。咳や喘鳴、息苦しさが改善されるようであれば良いですが、息苦しさが持続する場合には救急外来の受診も検討しましょう。横になると苦しくなる場合には、クッションなどで上半身を少し上げて寝ることで咳や息苦しさが軽減することがありますので試してみてください。

「大人の寝ている時の咳」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大人の寝ている時の咳」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

大人で咳が出ない寝方などはありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

咳が出ない寝方は原因により異なります。心不全での咳では、上半身を少し起こして寝る事で咳や息苦しさが軽くなることがあります。また、胃食道逆流症に伴う咳の場合にも上半身を少し起こすことで咳込みが軽減する可能性があります。喘息による咳の場合には、冬場であれば室温を暖かくし、加湿をすることも大切です。寝る部屋の、環境を整えることから始めましょう。また、せき込みが強い時には上半身を少し起こして寝ることで咳が出にくくなります。

寝ている時に咳き込んでしまうのはなぜですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

寝ているときにせき込む原因は、さまざまです。寝ているときには、副交感神経が優位となり気道が狭くなります、このため喘息発作が起こりやすくなります。また、夜の寒い冷気や、寝具についているダニやハウスダストがアレルゲンとなり気道を刺激し咳が出ることもあります。別の原因として、胃の中の胃酸が横になることで逆流し、気道を刺激することも咳の原因です。心不全の場合には、横になることで肺うっ血をきたすためせき込みやすくなります。

寝ている時に咳が止まらなくなり起きてしまう時はどうしたらいいでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

寝ていると咳が止まらなくなり、起きてしまう時は少し上体を起こしてみましょう。また、のどが乾燥している場合には、少量水を飲むことで落ち着く場合もあります。

まとめ 寝ているときに咳が出るときは呼吸器内科を受診しよう

寝ているときに咳が出る場合、気管支喘息の可能性が高いです。気管支喘息は夜間から早朝にかけて咳や喘鳴などの発作が起こりやすいからです。しかし、そのほかにも胃食道逆流症や心不全などの病気により夜間の咳の症状が出ることもあります。いずれにしても、肺や心臓などの病気の可能性があり、治療により改善する可能性があります。そのまま放置せずに、内科、呼吸器科の外来を受診しましょう。

「大人の寝ている時の咳」症状で考えられる病気

「大人の寝ている時の咳」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

消化器系の病気

呼吸器科の病気

耳鼻科系の病気

寝ているときの咳の症状がある場合、一番考えられるものとしては気管支喘息です。しかし、そのほかの病気でも夜間に咳が出やすい場合があります。寝ているときに咳が持続する場合には、内科もしくは呼吸器内科を受診しましょう。

「大人の寝ている時の咳」に似ている症状・関連する症状

「大人の寝ている時の咳」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • ヒューヒュー、ゼーゼーする喘鳴
  • 胃酸が逆流する、すっぱいものが上がる感じがする
  • 足がむくむ

寝ているときの咳と関連する症状として上のようなものが挙げられます。咳の原因は調べてみないとわからないことが多いです。気になる症状がある場合には、内科・呼吸器内科を受診しましょう。