「薬を飲んでも鼻水が止まらない」原因はご存知ですか?医師が監修!
花粉症や慢性鼻炎、風邪などが原因の鼻水が、薬を飲んでも解消されないと悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、薬を飲んでも鼻水が止まらない原因や考えられる病気、解消する方法を紹介します。薬を飲んでも鼻水が止まらない症状に悩まされたことのある方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
監修佐藤 留美
現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、
日本感染症学会感染症専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。
薬を飲んでも鼻水が止まらない原因は?
鼻水が薬を飲んでも止まらない場合、以下の原因が考えられます。
薬と体質の相性
一つ目の原因は、薬と体質の相性です。体質によっては、鼻水を止めるための薬と相性が悪く、症状が改善されないことがあります。かえって悪化することは少ないものの、薬を飲むことで体質上の不調がにつながる可能性も0ではありません。
薬の使用方法・用量に問題がある
二つ目の原因は、薬の使用方法・用量に問題がある場合です。薬を正しく使わないことで効果が期待できず、鼻水が改善されないことがあります。また、薬の使用期間を過ぎた状態で服用し続けても、症状が改善されないこともあるため注意してください。
アレルギー・花粉症
三つ目の原因は、鼻水の原因がアレルギー・花粉症によるものである場合です。薬が病気の根本的な原因に対処しておらず、鼻水が止まらないことがあります。鼻の粘膜がアレルギー反応によって炎症を起こしている場合、薬を飲んでも鼻水の量が減らないことも少なくありません。
そもそもなぜ鼻水が出るのか
鼻水は、鼻の粘膜が刺激を受けたり、ウイルスや細菌に感染したりした際に生じる自然な防御反応です。刺激やウイルスによって炎症が起こり、鼻の粘膜が過剰な粘液を分泌します。これによって異物や病原体を排除し、鼻腔内を清潔に保つのが鼻水の仕組みです。
鼻水が出る原因を把握したうえで、関連する病気や病気以外で鼻水が出る場合についても把握しておきましょう。
鼻水が出るときに考えられる病気
鼻水が出る原因として考えられる病気には、以下のようなものがあります。
風邪・インフルエンザ
ウイルス感染による上気道感染が、鼻水の主な原因として挙げられます。風邪やインフルエンザなどの感染症を発症すると、鼻の粘膜が刺激されて鼻水が増加します。風邪やインフルエンザによる鼻水は通常数日から1週間程度で自然に治りますが、症状が長引く場合は医師の診察が必要です。
花粉症
花粉症が原因で、鼻水が止まらなくなることもあります。スギ花粉が多くなる春先や、ブタクサなどの稲花粉が多くなる秋口と、花粉の多い季節は鼻水が出やすくなることを認識しておきましょう。普段花粉症に悩まされていなくても、突然発症することもあるため、注意が必要です。
アレルギー性鼻炎
アレルギーによって鼻の粘膜が過剰に反応し、炎症を起こして鼻水が増えます。ハウスダストアレルギーなどが、代表的な原因です。アレルギー性鼻炎は通年性のものと季節性のものがありますが、鼻水が頻繁に出る場合はアレルギーの可能性が高いでしょう。
鼻ポリープ
鼻の粘膜にできるポリープが、鼻水を増加させることがあります。鼻ポリープによる鼻水は長期間出続けることが多く、くしゃみや鼻づまりとあわせて症状が現れることもあるでしょう。
その他の病気
鼻水の原因には他にも、以下の病気が考えられます。
- アシドーシス
- 副腎皮質機能低下症
- 血液の病気
これらの疾患は比較的稀なものであるものの、鼻水が止まらない原因として考えられるため、不安な方は医師の診察を受け判断を仰ぎましょう。
病気以外で鼻水が出る場合
鼻水は病気だけでなく、さまざまな原因・環境で出ることもあります。
寒冷な環境
寒冷な環境や乾燥した空気にさらされることで、鼻の粘膜が刺激を受けると、鼻水が出ます。特に冬季やエアコンを使用する際に出やすくなるでしょう。
疲労
体の疲労も、鼻水の原因です。ストレスや疲れが鼻の免疫力を低下させ、鼻水を増加させることがあります。十分な睡眠などで、身体の調子を整えることが大切です。
鼻づまり解消のための薬の副作用
鼻づまりを解消するための薬の一部には、鼻水の増加が副作用として起こるものがあります。医師に症状を伝え、副作用の少ない薬を処方し直してもらいましょう。もしくは、副作用を抑える薬を追加で処方してもらう手法もおすすめです。
ホルモン変動
女性の場合、生理周期や妊娠などによるホルモンの変動が鼻水の量に影響を与えることもあるでしょう。特に妊娠中や月経周期の前後などに、ホルモンの変動により鼻水は増加しやすくなります。
食べ物や飲み物の刺激
辛い食べ物や刺激的な飲み物(アルコールやカフェインを含む飲み物)を摂取すると、一時的に鼻の粘膜が刺激されて鼻水が多くなります。また、過敏症がある場合も、鼻水の症状が表れることがあります。
薬を飲んでも鼻水が止まらない状態を解消する方法
薬を飲んでも鼻水が止まらない場合は、他の対策を検討する必要があります。ここでは、鼻水の症状を改善するためのおすすめの対策を紹介します。
薬を変える
薬を飲んでも鼻水が改善しない場合は、医師に相談したうえで別の薬への変更を検討しましょう。薬と個人の体質の相性によっては、効果が期待できないこともあります。そのため、医師に正しい薬を処方しなおしてもらい、症状の緩和につなげましょう。自己判断せず、医師の指示に従うことが何より大切です。
湿度に目を向ける
乾燥した環境では鼻の粘膜が刺激されやすくなり、鼻水が増加します。特に冬季やエアコンの使用が多い環境では、十分な湿度を維持することが重要です。ただし、過剰に湿度が高い状態は結露やカビの原因になることも把握しておかなければなりません。
鼻水を吸い取る
鼻水が鼻腔に溜まっている場合は、ティッシュや鼻水吸引器を使って鼻水を吸い取りましょう。鼻水を放置すると鼻づまりの原因にもなるため、定期的に鼻水を吸い取ることを意識してください。
鼻うがい
鼻うがいは、鼻の中の塩水を入れて洗浄する方法で、鼻水やアレルゲンを洗い流す効果があります。鼻うがいを行うことで、鼻の粘膜を清潔に保ち、鼻水の症状を軽減できます。
鼻を温める
鼻を温めることで、鼻の粘膜を保湿し鼻水の量を減らす効果が期待できます。温かいタオルを顔にあてる、暖房を使って室温を調整するなどの方法がおすすめです。ただし、温めすぎると逆効果になることもあるため、適切な温度・回数を心がけましょう。
まとめ
今回は、薬を飲んでも鼻水が止まらなくなる原因について解説しました。
薬を飲んでも鼻水が止まらない原因として、薬と体質との相性や薬の使用方法が挙げられます。また、アレルギー・花粉症に対し、適切なアプローチができていない可能性も原因として挙げられるでしょう。
アレルギーや花粉症などが鼻水の原因である場合は、医師の判断を受けたうえで適切な治療を受けることが大切です。薬を変える他にも、湿度を保つ・鼻水を吸い取る・鼻うがいを行う・鼻を温めるなどの対策が有効です。最終的には、医師の診断とアドバイスを仰ぎながら適切な対策を行う必要があるでしょう。