目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 耳・鼻・のど・肺
  4. 「鼻の中のできものが痛い」時の対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

「鼻の中のできものが痛い」時の対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

「鼻の中のできものが痛い」時の対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

鼻の中のできものが痛いのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「鼻の中のできものが痛い」症状で考えられる病気と対処法

鼻の中のできものが痛い場合には、細菌感染、アレルギー、物理的刺激、粘膜乾燥などによって鼻の中の粘膜が炎症を起こして過敏になっていることが考えられます。
今回、鼻の中や奥が痛い際には、どのような病気が想定されるのか、あるいはそれらの疾患に対する対処法を紹介していきます。

鼻の中のできものが痛い症状で考えられる原因と対処法

鼻の中のできものが痛い症状で考えられる原因疾患として、「鼻茸」が挙げられます。
鼻茸(鼻ポリープ)は、主に鼻の奥の、空気の通り道にできて、仮に中鼻道にできると鼻づまりの原因となりますし、嗅裂(鼻の奥の匂いを感知する場所)に病変があると、匂いがわかりにくいという症状を引き起こします。
鼻茸(鼻ポリープ)による症状を改善するために、鼻噴霧用(点鼻薬)や経口(飲み薬)のステロイド薬を使用することが見受けられますし、手術療法としては鼻茸(鼻ポリープ)を切除する治療があります。
鼻が痛くて症状が治りにくい場合には、内視鏡やCTといった専門の検査が必要なので、早めに耳鼻咽喉科専門の病院に行きましょう。

鼻の中が腫れてできものがあり痛い症状で考えられる原因と対処法

鼻の中が腫れてできものがあり、痛い症状で考えられる原因疾患として、「鼻せつ」が挙げられます。
鼻せつでは、鼻に炎症反応が生じて鼻が赤く腫れ上がり痛み症状が出現するだけでなく、膿を伴って排膿される、あるいは鼻せつで生じた細菌感染症がさらに鼻の奥深くまで進展して蜂窩織炎や海綿静脈洞血栓症などの病気が引き起こされることがあります。
鼻せつは主に黄色ブドウ球菌を原因として引き起こされるため、黄色ブドウ球菌に対して治療効果が期待できる抗生物質(軟膏や内服薬)を用いて治療します。
膿が多く蓄積している場合には、切開排膿を試みることもありますので、早期に対処したい際には耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

鼻の中のできものが痛く繰り返しできる症状で考えられる原因と対処法

鼻の中のできものが痛く繰り返しできる症状で考えられる原因疾患として、「好酸球性副鼻腔炎」が挙げられます。
本疾患では、匂いがわからない嗅覚障害が起こって、両側の鼻から粘稠な鼻汁が出て鼻閉感を引き起こします。
血液検査では、好酸球がたくさん血液中に現れて、鼻のCT画像検査を撮影すると目と目の間の所(篩骨洞)に陰影像が認められます。
はっきりした発症原因はわかっていませんが、主に気管支喘息の場合、あるいはアスピリンなどの解熱剤などで喘息発作を起こすアスピリン不耐症の方や薬物アレルギーの人に起こりやすいと考えられています。
汚い鼻汁が出ている場合には、まず抗菌薬を内服して、透明な鼻になっても嗅覚障害が続いて、鼻づまりが継続する場合には、ステロイド内服が実践されることが多いので、心配であれば耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「鼻の中のできものが痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

鼻づまり、匂いが分からない場合は、耳鼻咽喉科へ

鼻閉(鼻づまり)や匂いが分からないなど、続く鼻症状は治りにくい慢性副鼻腔炎など鼻疾患が隠れているかもしれません。
こうした症状が見られる場合は、早めに病院へ行って相談しましょう。

受診・予防の目安となる「鼻の中のできものが痛い」ときのセルフチェック法

  • ・鼻の中のできものが痛いい以外に鼻詰まりの症状がある場合
  • ・鼻の中のできものが痛い以外に匂いが分からない症状がある場合
  • ・鼻の中のできものが痛い以外に鼻出血症状がある場合

「鼻の中のできものが痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「鼻の中のできものが痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鼻せつ

鼻せつとは、鼻の入り口付近の皮膚に細菌感染が起こり、赤く腫れてしまう感染症のことを指していて、発症原因となる細菌は、ほとんどが黄色ブドウ球菌です。
鼻をいじる、鼻毛を抜くなどの動作によって皮膚に傷がついてしまい、傷の部分から黄色ブドウ球菌が感染を引き起こすことで、鼻が赤く腫れ上がります。
黄色ブドウ球菌が原因である鼻せつに対しては、基本的には抗生物質を用いた治療が可能ですが、抗生物質が効きにくい場合も存在しますので、症状が治りにくい場合には早めに最寄りの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

鼻茸

ポリープ状のできものが鼻の中にできる際には、鼻茸(鼻ポリープ)と呼んでおり、この疾患は、主に中鼻道や嗅裂という部位にできることがあり、特に嗅裂に鼻茸が形成されると匂いが感じづらい症状が出現します。
一般的に、慢性副鼻腔炎の患者例の10~20%程度(約20万人)に鼻茸(鼻ポリープ)が存在すると言われていますし、治りにくい慢性副鼻腔炎の鼻茸(鼻ポリープ)は鼻の両側にできやすいため、手術で取り除くことが必要となります。
鼻茸(鼻ポリープ)は、放置しておくと病変が大きくなり、鼻に関連する症状が悪化する可能性がありますので、早めに耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診して、検査と治療を受けることが重要なポイントです。

好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができて、手術治療を実施しても再発しやすい難治性の慢性副鼻腔炎として認識されています。
一般的な慢性副鼻腔炎は、抗菌薬と内視鏡手術によって治ることがありますが、このタイプの副鼻腔炎の場合は、手術をしても再発しやすく、ステロイドを内服すると軽快する特徴があって、好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis, ECRS)は厚生労働省の指定難病の診断基準から診断されることになります1)。
すなわち、ステロイドが最も有効な治療法であり、ステロイド内服を中止すると風邪などの感染を契機に鼻茸が再度大きくなり、症状が再燃する状態に悪化します。
常日頃から規則正しい生活を送り、帰宅後には必ず手洗いなど衛生対策を実施しましょう。

鼻前庭湿疹

鼻前庭湿疹とは、鼻前庭(鼻の鼻毛が生えている部分)の部位にできる湿疹です。
鼻の入口が荒れて、かさぶたができることにより、かゆみや刺激といった症状が現れますし、絶えず分泌物や鼻汁が出るため、鼻をかみすぎることなどが原因となります。
鼻をかむ回数が多い時や鼻の入り口部分をこすりすぎたりすると、患部に傷がつき、細菌の感染を起こして鼻前庭炎を合併することがあり、そうした際には抗生物質が含有したステロイド軟膏を使用して症状改善が期待できます。

「鼻の中のできものが痛い」の正しい対処法は?

鼻の中のできものが痛い場合には、まずは鼻の粘膜を刺激しないことが大切です。
鼻をなるべくかまないようにして、冬の寒い外出時や夏の冷房が効きすぎている部屋など、乾燥した環境ではマスク着用を心がけましょう。
鼻うがいなどを習慣に行っている人は、鼻の中に入れる液温を体温に近づけることが重要です。

基本的には、鼻の中が痛くなる原因に応じた対策が必要ですので、症状が継続或いは悪化すれば耳鼻咽喉科など医療機関を受診しましょう。
特に、慢性副鼻腔炎の場合には、放置症状をしていると悪化することが多いため、鼻の痛みや鼻水、鼻づまりなどの症状が続く場合には、迅速に耳鼻咽喉科を受診して適切な診断を受けると共に、副鼻腔にたまった鼻汁を除去して薬物治療や手術が必要となることもあります。
風邪などに伴って鼻の奥が痛い際には、市販の風邪薬や内服薬にて症状を緩和するように努めて、規則正しい生活を送り、栄養分を多く含む食品をしっかりと摂取して、十分な睡眠を確保しましょう。
鼻の症状を改善させる市販薬の一例として、パブロン鼻炎アタックJLがあり、ステロイドの優れた抗炎症作用と抗アレルギー作用により、つらい鼻の症状を改善できる可能性があります。
万が一、市販薬を数日使っても症状が改善しない場合には、市販薬の使用を中止して専門医師に相談してください。
なぜなら、詳細な検査をしないと病状が詳しく判明しないこともあり、使用する薬剤が間違っていた場合は症状を逆に悪化させてしまう懸念もあるからです。
鼻をかむときには、鼻を強くかみすぎないことを心掛けると共に、耳鼻咽喉科を受診すれば根本的に鼻水を抑える治療を受けられるメリットがあります。
早く治したい時や応急処置をしても症状が収まらない場合は、速やかに最寄りの耳鼻咽喉科に受診しましょう。

「鼻の中のできものが痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「鼻の中のできものが痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

鼻の中のできものが痛いのを放置するとどうなりますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

鼻の中のできものが痛い症状を放置すれば、細菌感染が合併する、鼻血が出現するなど様々な症状を悪化させることに繋がりますので、心配であれば耳鼻咽喉科を受診してください。

鼻が痛くて鼻の中にできものがあるのは何科で治療できますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

鼻が痛くて鼻の中に出来物がある場合には、鼻茸や副鼻腔炎などの病気が隠れている可能性がありますので、まずは最寄りの耳鼻咽喉科のクリニックや診療所を受診しましょう。

鼻の中のできものが痛いときに効く市販薬はありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

鼻の中の赤みや腫れ、炎症が気になるときにはステロイド点鼻液やステロイド軟膏などが効果的です。特に、鼻水で流れてしまう時には、クリーム剤よりも軟膏の方が患部にとどまりやすいので、念頭に置いておきましょう。

鼻の中のできものが痛いのはどれくらいで治りますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

市販薬でケアする場合には、およそ1週間程度で症状が改善することが見込まれます。セルフケア対策を行っても、鼻症状が10日以上続く場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診するのがよいでしょう。特に、鼻の中の痛みを伴う場合や膿を伴う場合など、どうしたらいいか判断に迷う時は受診しましょう。

まとめ

鼻という器官は、呼吸という生命維持に重要な機能を担っており、異物の侵入を防ぐ、体内に入る空気の温度や湿度の調整、においの感知といった様々な重要な役割を持っています。
鼻は外部環境の影響を受けやすくなっており、ちょっとしたことが契機となって鼻の中が痛くなることがあります。
今回解説してきたように、鼻が痛くなる原因もさまざまですので、鼻に関する症状で困った際には、セルフケア対策をしながら、耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。

「鼻の中のできものが痛い」症状で考えられる病気

「鼻の中のできものが痛い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

  • 鼻せつ
  • 好酸球性副鼻腔炎
  • 鼻前庭湿疹、鼻前庭炎

まずは耳鼻科を受診して検査をうけましょう。

「鼻の中のできものが痛い」に似ている症状・関連する症状

「鼻の中のできものが痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「鼻の中のできものが痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「鼻せつ」「鼻茸」「好酸球性副鼻腔炎」「鼻前庭湿疹、鼻前庭炎」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師