「鼻血が止まらない」時の対処法はご存知ですか?考えられる病気も解説!
鼻をかんだときやちょっとしたことで鼻血が出ることもあるため、「また鼻血が出ちゃった」と軽く考える人も多いでしょう。
原因が分かっていてすぐに止まれば特に心配はありませんが、ときにはいつまでたっても鼻血が止まらなくなったり、頻繁に鼻血が出たりすると不安に思うでしょう。
大人はもちろんのこと、お子様の鼻血が止まらなくなると不安になる保護者の方も多いかもしれません。
今回は鼻血が止まらないときの原因と対処法を紹介するので参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
鼻血が止まらない場合の原因は
なかなか鼻血が止まらないとき少しでも原因を知ることができると、どのように対処すればいいのか分かります。鼻血が止まらない原因はいくつかあります。鼻血が止まらない原因をそれぞれ詳しくみていくので、自分の鼻血の原因がどれに当てはまるかを確かめてみましょう。
鼻の外傷
鼻をちょっとぶつけたときやいじったときに、鼻血が出ることもあります。鼻血が出る原因のひとつに外傷によるものがあります。鼻の粘膜が傷ついて出血してしまうのです。外傷は何かにぶつかったとき・接触したとき・鼻をかみすぎて血管が破れることで鼻血が出ることもあります。鼻血が出る原因で最も多いものであると論文でも発表されています。鼻を無意識に触ってしまう癖のある方や小さなお子様などは、鼻の外傷が原因かもしれません。少し意識して鼻を触らないようにすると良いでしょう。
乾燥
意外かもしれませんが空気が乾燥することが原因で鼻血が出ることがあります。空気が乾燥すると鼻の中も乾燥して、粘膜が傷つきやすい状態になります。乾燥による鼻血は大人や高齢の方に多く見られるものなので、鼻の中を保湿することで防げるので上手に保湿剤を利用しましょう。乾燥が気になる方は、市販のものよりも病院で処方される保湿剤を活用してみてください。また乾燥する季節によく鼻血が止まらなくなるという方は、事前に専門医に相談して予防策を考えることも良いでしょう。
アレルギー性鼻炎
アレルギーを抱えている人は、アレルギー症状があるときに鼻の中が炎症を起こしているので鼻をよくかむ機会が多くなります。そうすると、鼻をかんだりくしゃみをしたりすることで粘膜が傷つきやすくなるのです。またアレルギー症状では鼻粘膜の血管が拡張している状態なので、血管が破れやすく鼻血が出やすい状況と考えられますので注意が必要です。アレルギー性鼻炎の疑いがある方は、専門医に相談すると良いでしょう。
飲んでいる薬の影響
病気を抱えている人で、薬を服用している人は薬の影響で血液がサラサラして、なかなか鼻血が止まらないといったこともあります。心臓の病気(狭心症や心筋梗塞)で血栓予防のための薬を服用することで、血液が固まりにくいという副作用から鼻血が出ると止まりにくいといった症状が出ます。心当たりのある方は、服用している薬の詳細を確認してください。主治医や薬剤師に鼻血が止まらないと相談してみると良いでしょう。
鼻血が止まらない場合の応急処置の方法は?
鼻血が止まらない場合には、慌ててしまい、どうすればいいか分からないという方もいるかもしれません。応急処置の方法をご紹介するので、参考にしてみてください。今は大丈夫という場合もいざというときのために目を通しておくと良いでしょう。
座った姿勢で安静にする
立っている場合に鼻血が出たときは、静かに椅子やソファに座りましょう。座って安静にすることで気持ちが落ち着きます。血が出るとどうしても慌てたり驚いたりします。そうすると血圧が上がって血が止まりにくくなってしまうのです。椅子やソファに座って深呼吸をすると落ち着きやすくなります。周りの方やお子様が鼻血を出したときは安静にできるように大人がサポートしてあげると良いでしょう。また鼻血が出た場合に、横の姿勢になると良いと考える方もいるでしょう。しかし鼻が心臓の高さより低くなれば、血流が増える可能性があります。その結果鼻血が止まりにくい状態になることもあります。なるべく楽な座った姿勢になれるように、意識すると良いでしょう。また座った後は鼻血が止まらない人や興奮や刺激するようなことはしないようにして、静かな環境で過ごせるよう環境を整えてください。
運動や入浴を控える
鼻血が出たら直後の運動や入浴は再度出血する原因となります。運動や入浴をすると血行がよくなり血管が拡張して鼻血が出やすくなるので、鼻血が止まり少し時間をおいてからにしましょう。そして、血行を良くすることとしては飲酒も同様ですので注意が必要です。鼻血が出て止まらない場合は、静かに過ごすようにしてみましょう。
危険な鼻血の見分け方は?
鼻血といっても鼻をいじって鼻血が出るというすぐに治まるようなケースでは、命に危険は少ないのであまり深刻に考えなくてもいいでしょう。しかし、鼻血が出る原因の中には、大きな病気が潜んでいることもあります。危険な鼻血とはどの様なものかをいうと、肝臓や腎臓の病気、白血病や血小板減少症といった血液に関する病気などが挙げられます。
その他にオスラー病という非常によく鼻血が出やすい病気があるのです。この病気は別名を「遺伝性末梢血管拡張症」といい、ちょっとしたことで血管が破れて鼻血が出やすくなるのです。この遺伝子を持っているからといって、必ずしも鼻血が出るとは限りません。ただ、オスラー病の人はストレス・睡眠不足・カフェインの摂取などの要因で鼻血がでることがあるので、頻繁に鼻血が出る人は要注意です。命にかかわる病気が原因で鼻血が出やすく鼻血が止まらない場合もあるので、鼻血を軽く考えないようにしましょう。危険な鼻血の見分け方とは、鼻のほかに口腔内で出血しやすいかどうか・体に青あざができていないか・それから頻繁に鼻血が出るかどうかです。このように出血が多いと大きな病気が隠れているかもしれないので、一度医療機関を受診するといいでしょう。
鼻血が止まらない場合の受診の目安は?
鼻血が止まらない場合、幾ら自分で止血法を試しても止まらない場合は医療機関を受診することをおすすめします。その際、どの様なタイミングで受診すればいいかというと、20分程の止血を数回ほど繰り返しても止まらなかったときです。そして、出血量が多い人や薬を服用している人は一刻も早く止血が必要です。医療機関ではまずはじめに、止血のためにガーゼやスポンジをいれて様子を見ます。しばらくしても血が止まりそうにないときは、バルーンカテーテルという止血法で処置します。その際に救急を利用してもいいのかと迷われる方もいるかもしれませんが、一刻の猶予も大事な状況では救急外来を利用するといいでしょう。特に血小板の機能障害といった病気の場合は、特に出血量に気をつけましょう。場合によっては救急車の利用もあるかもしれません。また慢性的な出血がある場合は、鉄欠乏性貧血となりさまざまな臓器で症状が現れます。鼻血といってもあなどらず、頻繁に出血するときは医療機関の受診も検討してみましょう。
すぐ病院に行ったほうが良い「鼻血が止まらない」の症状は?
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- 鼻血が出た際に下記の処置を行っても血が止まらない場合
- 鼻血を飲まないように、座って前屈みとなり、下を向きます。口から出る血は飲み込まずに吐き出します(血を飲むと気持ち悪くなるため)。
- 鼻の中に何も入れず、両側の鼻翼(いわゆる小鼻)全体を出来る限り深くつまみ圧迫止血します。
- 15−25分間程度、持続的に圧迫止血を試みます。
- 鼻血が出た際に下記の処置を行っても血が止まらない場合
- 吹き出すような出血、大量の出血がある場合
- 頭や顔を強くぶつけた後に、薄めの鼻血が出ている場合
- 立ちくらみがある、意識を無くしている場合
これらの場合には、すぐに病院受診しましょう。
行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、耳鼻科、脳神経外科、内科です。
問診、診察、血液検査、画像検査(レントゲン、CT、MRI)などを実施する可能性があります。
病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
いつから症状があるのか、きっかけになる思い当たるエピソードはあるか、他にも気になる症状があるのかなどを医師に伝えましょう。
治療をする場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
まとめ
鼻血を出す原因は外傷や乾燥といった防げるものから、大きな病気によって引き起こされるものとがあります。
大きな病気が潜んでいるかもしれない鼻血は、出血がなかなか止まらなかったり、鼻以外に歯ぐきからの出血や、青あざができたりといった症状が現れます。
しっかりと危険な鼻血を見極めて、必要な場合は医療機関を受診するようにしましょう。
また普段からつい鼻を触ってしまう癖のある方は、この機会に意識してみてください。特に小さなお子様の場合は、無意識に鼻をいじって血が出やすくなっているかもしれません。
頻繁に鼻血が止まらないのであれば、家族でお互いの癖に注意しあうと良いでしょう。
鼻血が止まらないときの適切な対処方法を頭に入れ、慌てずに対応してみてください。
参考文献