「片膝が痛い」で考えられる病気は何かご存じですか?医師が解説!

片膝が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?メディカルドック監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
柏木 悠吾(医師)
目次 -INDEX-
「片膝が痛い」原因と対処法
膝が痛いという症状は、誰しもが経験することのある症状だと思います。同じ膝の痛みでもそこには様々な原因があります。膝の痛みの原因と、痛みが出た際の注意点や対処法について解説していきます。
片膝が痛い原因と対処法
転倒してぶつけたり、高いところから転落して膝をぶつけたりしたとき、骨折が疑われます。膝には、大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨があり、そのどれか一つでも骨折をしていると、膝の激しい痛みとともに、膝の腫れや赤みなどが現れてきます。
強くぶつけたあとにこのような症状が出た場合、まずは添え木などで固定して安静にし、足をつかないようにして、早めに整形外科を受診するようにしましょう。
10代で片膝が痛い原因と対処法
10代で膝の痛みがあるとき、特にスポーツをしている場合にはオスグッド病が疑われます。オスグッド病では、膝の皿(膝蓋骨)の少し下の骨の出っ張り部分の痛みが出てきます。押したときや、膝を曲げたときに痛みがひどくなります。進行すると歩くだけでも痛みが出ます。レントゲンやエコー(超音波)の検査で診断し、治療は安静やオスグッド病用のサポーターの使用、またリハビリテーションも行います。治療をしないと、成人してからも痛みを残す場合があります。
片膝の内側が痛い原因と対処法
膝の内側がいたいとき、特に中高年の方では、変形性膝関節症という病気が考えられます。変形性膝関節症は、膝の骨の軟骨がすり減るような変形をきたす病気です。立ち上がりの際の痛みや曲げ伸ばしが難しくなるという症状が見られ、多くは加齢に伴って進行します。
治療では、痛みの緩和がとても重要です。鎮痛薬の服用や、注射薬、リハビリテーションを行います。病状が進行している場合には、人工関節置換術という変形の進んだ部分を金属にかえてしまう手術を行うことが考慮されるなど、進行度により治療内容が大きく変わることがあります。
片膝の外側が痛い原因と対処法
膝の外側がいたいとき、腸脛靱帯炎という病気かもしれません。腸脛靱帯炎は、歩行で長距離を移動した際など、膝に対する多くの負荷がある場合に生じる病気です。運動不足の状態で、急にランニングなどを行うと発症してしまうこともあります。
症状は膝の外側に痛みが出て、特に曲げ伸ばしの際に痛みが生じるという特徴があります。安静にすることがまず行うべき治療です。そのうえで、消炎鎮痛薬の使用や冷却を行います。痛みが落ち着いた段階でストレッチを行うことも重要です。
階段を上ると片膝が痛い原因と対処法
階段を登ると膝が痛いとき、鵞足炎(がそくえん)かもしれません。鵞足とは、3つの筋肉が集まる部位のことで、膝の内側にあります。運動不足の状態や、運動後の筋肉へのケアが足りない場合、膝の使いすぎなどによって生じると言われています。学生の時期でスポーツの練習量が増えた時期にも起こりやすい病気の一つです。
膝の曲げ伸ばしによって痛みが出るので、階段を上る動作だけではなく立ち上がりの際にも痛みが出ることもあります。
痛みが強いはじめの段階では安静にすることが重要な治療法です。しかし、再発を防止するためにも、ストレッチなどが重要です。自分自身でコントロールすることが難しい病気なので、整形外科でリハビリテーション含めた治療を行うことが望まれます。
片膝を曲げると痛い原因と対処法
膝を曲げると痛いとき、膝蓋腱炎かもしれません。ジャンプ動作を繰り返すスポーツで起こしやすい病気であることから、ジャンパー膝とも呼ばれています。症状はオスグッド病と非常に似ており、膝の曲げ伸ばしや階段の上り下りなどで痛みが生じます。
治療に関しても同様であり、安静やリハビリテーションが重要です。スポーツを行いながらリハビリテーションでの治療が可能であることも多い病気と言われています。
すぐに病院へ行くべき「片膝が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
膝の激しい痛みと赤み、腫れがある場合は、整形外科へ
膝に激しい痛み、そして赤みや腫れがあるときはすぐに整形外科を受診しましょう。特に足をついて歩けない場合には骨折が強く疑われるため、急いで受診することが望ましいでしょう。
怪我をした直後は、まずは安静にし、アイシングをしましょう。それでも痛みが改善しない場合や悪くなってくる際はすぐに医療機関を受診することが望ましいでしょう。
受診・予防の目安となる「片膝が痛い」のセルフチェック法
・膝が痛くて歩けない場合
・膝の曲げ伸ばしが痛い、あるいはできない場合
・膝の痛みが1週間以上続いている場合
・階段の上り下りで痛みが強い場合
「片膝が痛い」際の特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「片膝が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
靭帯損傷
スポーツ中に膝を捻って強い痛みがあるとき、膝の靱帯損傷かもしれません。前十字靱帯や内側側副靱帯など大きな靱帯を損傷・断裂は膝を外から内側に押されるような方向でひねる場合に起こりやすいです。これらの靱帯を損傷した場合には強い痛みと、膝が腫れてくることが多いです。スポーツ中であれば、プレーを継続できないことが多く、そのような場合にはすぐに整形外科を受診しましょう。怪我をした直後は、安静、アイシングがやはり重要です。
鵞足炎(がぞくえん)
鵞足とは、3つの筋肉が集まる部位で、膝の内側にあります。鵞足炎(がそくえん)では、階段の上り下りや、膝の曲げ伸ばし、立ち上がりの際にも痛みが出る事が多いです。筋肉の柔軟性の低下や、運動後のケアが足りてない場合、また過度な負荷(膝の使いすぎ)により生じます。学生で練習量が増えた時期などにも起こりやすいです。治療は、痛みが強いはじめの段階では安静も重要ですが、再発を起こさないためにもストレッチなどが重要になります。一人では改善できないことも多いため、整形外科でリハビリテーション含めた治療を行うことが重要です。
変形性膝関節症
中高年の方で膝の痛みが続くとき、変形性膝関節症が原因のことが多いです。変形性膝関節症は、膝の骨の軟骨がすり減り、立ち上がりの際の痛みや曲げ伸ばしに支障が出てくる病気です。加齢により進行することが多いですが、膝の靱帯や半月板の損傷などで、若いうちに変形が進行する場合もあります。
治療は、まずは痛みを和らげることが重要で、痛み止めの飲み薬や、注射などを使用します。リハビリテーションなども効果的です。進行が著しい場合には人工関節置換術という変形の進んだ部分を金属にかえてしまう手術を行うことも多いです。進行度により治療内容が大きく変わりますので、整形外科でご相談ください。
腸脛靭帯炎
腸脛靱帯とは、膝の外側から股関節近くまでのびている靱帯を指します。腸脛靱帯炎は、ランニングやウォーキングで長い距離を移動したときや山登りなどで膝に多くの負荷が起こったときに生じてきます。腸脛靭帯炎では膝の外側に痛みが出て、特に曲げ伸ばしの際に痛みが生じます。普段運動をしない方が、急にランニング等をして起こすこともあります。治療は、まず安静が第一です。そのうえで、炎症止めの薬や、アイシング、痛みが落ち着いてきたらストレッチ等も重要です。膝の外側の痛みが安静にしても症状が改善しない場合には、整形外科で相談するようにしましょう。
膝蓋腱炎
膝蓋腱は、膝の皿とすねの骨をつなぐ、大きな靱帯です。膝を曲げると痛いとき、膝蓋腱炎かもしれません。バスケットボールや、バレーボールなどジャンプ動作を繰り返すスポーツで起こしやすいことから、ジャンパー膝ともいいます。症状は膝の曲げ伸ばしや階段などで痛みが生じる事が多いです。進行すと歩くだけでも痛みを伴ってきます。超音波検査やMRI検査で診断でき、治療は、安静やリハビリテーションが重要になります。スポーツと並行しながらのリハビリテーションで治療できることも多く、まずは整形外科でご相談下さい。
「片膝が痛い」時の正しい対処法は?
片膝がいたいとき、市販の痛み止めや湿布などを使用することは多くの場合問題ありません。用法用量を守って使用するようにしましょう。スポーツ中の怪我の場合は、冷却スプレーなどを使用するのも良いでしょう。
自然に痛くなったような痛みの場合はストレッチやマッサージが効果的なことも多いですが、転倒やスポーツなどで怪我をした直後はストレッチやマッサージで症状が悪化することもありますので控えるようにしましょう。まずは安静とアイシングをし、症状が改善しない場合にはすぐに整形外科を受診しましょう。
「片膝が痛い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「片膝が痛い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
片膝の痛みがどれくらい続くと、病院へ受診した方がいいですか?
柏木 悠吾 医師
1週間以上膝の痛みが続くような場合は、病院を受診することをおすすめします。
まとめ
膝の痛みを生じる原因をいくつか紹介しました。膝が痛くなる原因はさまざまで、早期治療で改善することも多いです。症状が気になる方は早めに医療機関を受診すると良いでしょう。
「片膝が痛い」で考えられる病気
「片膝が痛い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
特にきっかけがないにもかかわらず膝の痛みが出現した場合はストレッチやマッサージが効果的であることも多いのですが、怪我による膝の痛みである場合には、ストレッチやマッサージでむしろ病状が悪化することもあるため、控えた方が良いです。医療機関での検査を受けるのが良いでしょう。
「片膝が痛い」に似ている症状・関連する症状
「片膝が痛い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 膝が曲げられない
- 膝が伸びない
- 膝が腫れている
- 膝が赤く、熱をもっている
- 足をついて歩けない
上記のような症状を認めて改善しない場合には、早めに医療機関を受診して相談してください。




