「膝の内側が痛む」原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!
膝の内側が痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
北村 亜以(医師)
「膝の内側の痛み」の症状で考えられる病気と対処法
「最近膝が痛い」「椅子から立ち上がる時にスムーズに動けない」などという時、動くのが億劫になってしまうし、なんとか痛みを起こさせないようにできないかと考えますね。いくつか原因が考えられますが、膝関節だけでなく、股関節が原因となっていることがあります。どうしたらいいのか、どういう場合に病院に行くべきかを解説していきます。
膝の内側の痛みの症状で考えられる原因と対処法
じっとしている時は痛くないのに、椅子や床から立ち上がる、正座など曲げる時にだけ内側が痛い場合は、内側半月板損傷の疑いがあります。まずは痛くない体勢をとり、生活の中で膝をひねらないように気を付けましょう。数日様子見ても痛みが取れない、動きにくい場合は整形外科を受診しましょう。半月板損傷の確定診断はMRI検査を行いますので、MRIを持っている整形外科を受診するか、近くのクリニックに受診してからMRIを持っている病院に検査を予約してもらいます。
膝の内側が曲げると痛い症状で考えられる原因と対処法
膝の内側の痛みに加えて、曲げると痛い、痛みで曲げられない、正座ができない場合は、変形性膝関節症の可能性があります。熱を持っていたら氷嚢などで冷やしましょう。冷えて痛い場合はサポーターで保護すると痛みが軽減することもあります。数日様子を見ても良くならない場合は受診してください。X線検査を行いますが、ほぼ全ての整形外科が撮影装置を持っていますので、お近くの整形外科を受診してください。
膝の内側が歩くと痛い症状で考えられる原因と対処法
ときどきの痛みだけでなく、歩くと痛い、特に歩き始めが痛い場合も、半月板損傷、変形性膝関節症の疑いがあります。今までに感じたことがない症状であれば、歩数を減らす、杖をつくなどで負担を減らしましょう。屋外を歩くことが難しいようであれば、数日以内に整形外科外来を受診しましょう。
膝の内側が伸ばすと痛い症状で考えられる原因と対処法
意外と思われるかもしれませんが、変形性股関節症でも膝関節の痛みが出ることがあります。股関節の軟骨がすり減り、動きが悪くなることで、足全体のバランスが崩れて膝に痛みが出ることがあります。股関節の変形でしっかり伸ばすことができず、膝頭が外を向いて内に入らない場合は膝の内側に痛みが出ます。体重増加や歩行量の増加で痛みが出てきますので、一旦歩行量を減らして整形外科を受診してください。緊急性は高くないので、時間に余裕があるときでかまいません。体重増加がある場合は減量しましょう。
膝の内側が押すと痛い症状で考えられる原因と対処法
内側を押すと痛い場合、半月板損傷のほかに脆弱性骨折の可能性もあります。痛みとともに熱を持っているようであれば、氷嚢などで冷やしましょう。半月板は膝の下側、脛骨という骨にくっついており、損傷すると付着部に痛みが出ます。また、骨粗鬆症のある人は、原因がなくても骨にダメージが出ることがあり、これが骨折につながることがあります。痛みが強くなるようなら整形外科を受診してください。
膝の内側が痛く腫れている症状で考えられる原因と対処法
膝の内側が痛いだけでなく、腫れている場合は鵞足炎(がそくえん)、ガングリオンの可能性もあります。ランニングやジャンプなどの動作をひかえてください。鵞足炎は膝の屈伸を繰り返す、長時間のランニングなどで骨と筋肉の付着部が炎症を起こす病気です。ガングリオンは関節近くにできる、ゼリー状の液体が入った袋状の腫瘤です。安静にしても痛みがひかない、繰り返す場合は近くの整形外科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「膝の内側の痛み」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
足がつけない、動かせない場合は、整形外科へ
膝の内側の痛みに加えて、痛くて体重をかけられない、曲げることも伸ばすことも痛い場合は、当日すぐか翌日に整形外科を受診してください。損傷された半月板が関節の中で嵌まり込む半月板ロッキングという状態の可能性があります。膝に処置を行うことが多いので、簡単に膝を出せる服装でおいでください。
受診・予防の目安となる「膝の内側の痛み」のセルフチェック法
- 膝の内側の痛み以外にもう片方の足より曲げ伸ばしが悪くなっている場合
- 膝の内側の痛み以外にじっとしていても痛い場合
- 膝の内側の痛み以外に腫れがある場合
「膝の内側の痛み」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「膝の内側の痛み」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
鵞足炎
鵞足炎(がそくえん)とは、膝を曲げる筋肉(ハムストリング)がすねの骨とつながっている鵞足といわれる隆起に炎症が起こっている状態です。ジャンプや長時間のランニングなど膝の屈伸を繰り返すことで痛みを生じます。変形性膝関節症、肥満、外反膝(X脚)の人には起こりやすいと言われています。運動をひかえて、熱を持っている場合は冷やしてください。痛みが落ち着いたら太もも裏のストレッチをしましょう。病院では痛み止めの内服や塗り薬を処方します。痛みがひかない、ストレッチが痛い、痛みを繰り返す場合は整形外科を受診してください。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は大腿骨と脛骨の端にある軟骨が傷んで、骨に変形が出始めている状態です。軟骨の老化、肥満、遺伝などが関係していると考えられますが、半月板損傷後も発症しやすいと言われています。ゆっくりと症状が進行するので、徐々に筋力低下と足の変形が起こります。冷やすと痛みが強くなるので、サポーターなどで保温して、正座を避けて体重を増やさないように気を付けてください。太ももの筋力強化も痛みに有効です。病院では筋力訓練指導、痛み止めの処方、関節注射の他、状態によって手術(関節鏡、骨切り術、人工関節)を行います。外出や階段が億劫なほど痛い場合は、ためらわずに整形外科で相談してください。
半月板損傷
半月板損傷とは、膝のクッションである半月板が傷んで一部断裂した状態です。半月板とは膝関節の太もも(大腿骨)とすね(脛骨)の骨の間にある三日月形の弾力のある組織で、クッションの役割があります。スポーツでよく損傷しますが、徐々に変性して大きいきっかけがなくても断裂を起こすこともあります。膝をねじるなどの痛い動作を控えて、膝を動かさずに周囲の筋肉を鍛えていきます。痛みが強い場合は、短期間の鎮痛剤を服用します。損傷の部位や程度によっては関節鏡手術を行うこともあります。痛みが数日しても取れない場合は整形外科を受診してください。
「膝の内側の痛み」の正しい対処法は?
痛みを感じた瞬間が分かる場合は、熱を持っていることが多いので、動かさずにアイスノンなどで冷やして安静にしてください。逆に慢性的に痛い場合は冷えているので、サポーターなどで保温・保護しましょう。正座やスポーツの後など、ある動作の後に痛みが出る場合は、その動作をしばらくひかえて様子をみましょう。いずれにしても、痛みが強い、ひかない時は整形外科を受診してください。
耐えられない痛みに対しては、すぐに手に入る市販の鎮痛剤を飲んでもらえば、我慢せずに済むので良いでしょう。飲んで少し落ち着いた後で病院を受診してください。塗り薬や湿布は、一度病院で診断を受けて運動療法や薬の治療を勧められた場合は使っても問題ないでしょう。冷却スプレーは表面を冷やすことはできますが、体の内部には届かないため、おすすめはしていません。痛みをマッサージなどですぐに改善することは難しいですが、膝蓋骨(膝の皿)の動きが悪くなっている方が多いので、動きが良くなるように温めて周りをマッサージすることで痛みが軽くなることがあります。
膝の痛みを早く治すには原因を知ってその治療を行うことが一番の近道です。数日様子を見ても痛みが変わらない場合は整形外科を受診しましょう。また、痛くて動かせない、足をつくこともできない場合は早めに整形外科を受診してください。
「膝の内側の痛み」の症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「膝の内側の痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膝の内側が痛いのですが自分でストレッチをしても問題ないでしょうか?
北村 亜衣(医師)
動作で痛みが出ないのであれば、ゆっくりストレッチをしてもらって構いません。痛い場合は中止して病院を受診してください。
膝の内側の痛みにサポーターやテーピングは効きますか?
北村 亜衣(医師)
変形性膝関節症の患者さんには、サポーターの使用は傷んでいる関節の負担軽減と保温の両方の効果があります。サポーターやテーピングを数日続けても痛みが取れない場合は病院を受診してください。
ランニングをすると膝の内側が痛くなるのはなぜですか?
北村 亜衣(医師)
ランニングの着地の際に、膝の内側に着地の衝撃が伝わるのが原因と考えられます。衝撃は靴を工夫することで軽減できます。理想は内外側に均等に荷重がかかることですが、足の形(O脚など)や走り方で偏りが出る場合があります。そのままでは軟骨のダメージを起こす可能性があるので、走り方を変える、クッション性の高い靴にするなどの工夫が必要です。
膝の内側に痛みがあるときは運動しない方がいいですか?
北村 亜衣(医師)
急激に痛みが出た場合は、運動せずに病院を受診してください。診断をつけてから運動内容を考えた方がいいですが、基本的にはすべての疾患で運動が推奨されています。筋力が低下すると関節の負担が増えて痛みが強くなると考えられています。ご自分で運動される場合は、痛みが少ないものを行い、膝を深く曲げる運動は控えてもらう方がいいと思います。
まとめ 膝の内側が痛いときは半月板損傷の可能性あり
膝の内側が痛い場合、ここまでお伝えしたように半月板損傷や変形性関節症などのほかにも原因がたくさん考えられます。なかにはロッキングや骨折のように緊急性の高い疾患もあるため、痛みが強い、続く場合は我慢せずに整形外科を受診しましょう。病院にかかることで、原因をみつけ、それに合わせた治療法を行うことが治療の近道ですので、我慢せずに早めに受診してください。膝については整形外科が専門ですので、整形外科のある病院を受診しましょう。
「膝の内側の痛み」症状で考えられる病気
「膝の内側の痛み」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
膝の内側の痛みから考えられる疾患は上記が挙げられます。専門的な診断が必要になるので、症状が続くときは整形外科を受診しましょう。
「膝の内側の痛み」に似ている症状・関連する症状
「膝の内側の痛み」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 膝の裏が痛い
- 膝が腫れている
- 正座ができない
- 階段昇降が痛い
- 膝の曲げ伸ばしができない
膝の内側の痛みをおこす原因はたくさんあり、上記のような症状が出ることもあります。おかしいと思ったら、ためらわずに整形外科で相談してください。