「首を後ろに反らすと痛い」原因とは？右側・左側の場合や治し方も医師が解説！

首を後ろに反らすと痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・治し方などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
村上 友太 医師（東京予防クリニック）

「首を後ろに反らすと痛い」症状で考えられる病気と対処法

普段は何もないのに首を後ろに反らすと痛むことってよくありますよね。どうにかしたいと思うけど、生活に支障はないし忙しいから放置している人も多いと思います。その首の痛みはどのような病気が考えられるのか、どのように対応したらいいのかについて解説します。

首を後ろに反らすと痛い症状で考えられる原因と治し方

首を後ろに反らすと痛みがあり、首だけでなく肩甲骨や背中も痛くなるような症状を指します。このような場合、頸椎捻挫（むち打ち）や急性疼痛性頸部拘縮（寝違え）、ストレートネックなどの可能性があります。
首から肩にかけて痛みがあり、痛みで首が動かしにくくなることが主な症状で、首や肩の筋肉に強い負荷（交通事故などの外傷）や持続的な負荷（長時間のパソコン操作やスマホの長時間使用など）により発症します。湿布薬などの痛み止めを使用しつつ、ストレッチや痛みの原因となっている動作を避けることで症状の改善が期待できます。痛みが強い場合や悪化してくる場合には整形外科を受診しましょう。

首を後ろに反らすと急に痛くなった症状で考えられる原因と治し方

首を後ろに反らしたときに、急に首に痛みや手足のしびれなどが出現するような症状を指します。このような場合、頚髄硬膜外血腫や椎骨動脈解離などの可能性があります。交通事故などの外傷ではなく、上を向くなどの軽い刺激で痛みが出現し、一時的な意識消失や手足の麻痺・しびれなどが現れる場合には、硬膜外血腫や椎骨動脈解離の可能性があり、すぐに整形外科への受診が必要です。
飲み薬や湿布薬などの痛み止めで一定の痛みの改善が期待できますが、痛みの改善が不十分な場合や痛みの位置が移動する場合、手足のしびれなどの他の症状が出現する場合には、緊急で医療機関を受診してください。

首を後ろに反らすと左側・右側どちらかが痛い症状で考えられる原因と治し方

首を後ろに反らすと左右どちらかのみに痛みがあり、同じ側の手や足がしびれるような症状を指します。このような場合、頸椎ヘルニアや頚椎症性神経根症の可能性があります。これらの病気は、首の骨（頸椎）の骨どうしの間でクッションの役割をしている椎間板や椎骨によって、脊髄神経（頚髄など）から分岐する神経が圧迫されることで症状が出現します。
すぐできる対処法は、痛みやしびれの出る姿勢を控えて、ロキソニンなどの痛み止めを使用することです。姿勢を変えることで痛みやしびれが改善すれば緊急性はありませんが、不用意なストレッチは症状を悪化させることもあります。症状が強い場合や日常生活に支障がある場合には整形外科をはやめに受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「首を後ろに反らすと痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

首を後ろに反らすと痛くて、手足の痺れや筋力低下がある場合は、整形外科へ

首を後ろに反らすと痛みがあり、また痛みと同側の手や足にしびれを感じたり、力が入りにくくなったりする場合には、頚椎症性神経症や頸椎椎間板ヘルニアが疑われます。多くの場合には、交通事故などの強い外傷が原因となりますが、ストレートネックや後縦靭帯骨化症などの疾患がある場合などは軽い刺激が原因となることもあるため、注意が必要です。
首を反らすのをやめて症状が改善する場合には受診を急ぐ必要はありませんが、しびれが持続するなどの症状が残る場合には、すぐに整形外科へ受診しましょう。

「首を後ろに反らすと痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「首を後ろに反らすと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

寝違え

寝違えは、眠りから覚めた時に首の後ろや首から肩にかけて痛みがあるもので、一部の筋肉への血流の悪化や疲労によるけいれんなどが原因として考えられています。時間とともに症状が改善するため、安静や鎮痛薬での対応で問題ありませんが、手足のしびれなど痛み以外の症状がある場合や数日たっても症状が良くならない場合には、整形外科を受診してください。

ストレートネック

ストレートネックは、本来は前方に弯曲（前弯）をしている頸椎が、猫背やうつむきの姿勢を取り続けることで、前弯がなくなりまっすぐになってしまっている状態のことをいいます。ストレートネック自体は特に症状はありませんが、頸椎に負担がかかりやすいため、頸椎椎間板ヘルニアや頚椎症になりやすい状態です。
予防にはうつむきの姿勢となりやすいスマホやパソコンの操作を控えたり、適宜ストレッチをしたり、日常生活における姿勢の調整を行ったりすることが有用です。
ストレートネックのみで症状がない場合には医療機関への受診は不要ですが、手足のしびれや強い頚部の痛みなどが出た場合には頚椎症の合併などが疑われるため、整形外科を受診してください。

頚椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアは、椎間板が慢性的な負荷により後方に飛び出して頚髄を圧迫することで、手足にしびれや筋力低下が生じる病気です。
30歳～50歳に多く、パソコン業務など長時間悪い姿勢で居続けたり、スポーツによる突然の強い負荷がかかったりすることが発症の原因となります。休んでいるときでも症状が続く場合や、症状が悪化する場合には整形外科を受診してください。

頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症は、加齢変化による椎間板や椎骨の変形などによって、脊髄から分枝する神経根が圧迫されて、頚部の痛みとともに腕や手に痛みやしびれが出現する病気です。パソコンの使用などで長時間首を反らしていることが発症の一因となり、前述のストレートネックも発症の要因となります。首を後屈(上を見上げる姿勢)させると症状が悪化することが多く、対処法は症状が出ないように首を後屈しないように生活し、姿勢を正して首に負担をかけないことです。しびれや痛みが常時みられる場合には整形外科を受診してください。

「首を後ろに反らすと痛い」症状の正しい対処法は？

首を後ろに反らすと痛いときには、首を反らすことを控えて、できるだけ痛みが起きないように生活することが重要です。また、長時間のパソコンでの作業やスマホの使用を避け、首にかかる負担をできるだけ減らしましょう。ロキソニン®︎などの内服薬や、ロキソプロフェンテープ®︎などの湿布薬を使いながら、安静に過ごすことで多くの場合には数日～数か月で痛みが軽減します。
痛みがひどく、首を動かすこと自体が困難な場合には、頸椎カラーを使った首の固定などが有効な場合もあります。症状が強い場合や長く続く場合などには整形外科を受診しましょう。

「首を後ろに反らすと痛い」症状を和らげるストレッチ・予防するマッサージ法を紹介！

ストレートネックなどの一部の病気では、ストレッチやマッサージ有効な場合があります。交通事故後のむち打ちなど原因がはっきりしている場合や、ストレッチやマッサージを行った際に痛みやしびれの悪化がない場合には、ストレッチやマッサージを行っても問題はありませんが、症状の悪化やしびれなどの症状が新たに現れる場合には控えましょう。
ストレッチやマッサージでは首や肩の筋肉をほぐします。両手を肩に触れ、肘が円を描くようにぐるぐると回す運動や胸を突き出すように腕を左右に広げ、肘を90度に曲げた姿勢から両腕を上に挙げて伸び上がる姿勢(水泳のクロールをする際の両手を前に伸ばした姿勢)を交互に繰り返す運動、左手で頭を抱えて左側に倒す、右手で頭を抱えて右側に倒す姿勢を交互に繰り返す運動などがあります。
症状は数日～数か月で改善することが多いのですが、症状が改善しない場合には整形外科を受診してください。

まとめ

首を後ろに反らすと痛みがあり、反らすのをやめると症状が改善する場合には頚部の筋肉や頸椎・椎間板の異常であることがほとんどです。痛み止めを使用しつつ安静に過ごすことで症状が改善することも多いのですが、症状が良くならない場合やしびれなどの他の症状がある場合には整形外科に受診しましょう。一方で首を反らすなどの軽度の外傷でも発症のきっかけとなりうる椎骨動脈解離や頚髄硬膜外血腫などの緊急性の高い疾患もあるため、反らすのをやめても首の痛みが続き、しびれなどの症状も出てくる場合にはすぐに医療機関（整形外科や救急病院）に受診しましょう。

「首を後ろに反らすと痛い」で考えられる病気と特徴

「首を後ろに反らすと痛い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

日常生活の姿勢が影響している病気が原因として多いため、日頃から姿勢を良く過ごすことが重要です。症状がひどい場合には、早めに原因を探って対策をとりましょう。

「首を後ろに反らすと痛い」と関連のある症状

「首を後ろに反らすと痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「首を後ろに反らすと痛い」の他に、これらの症状が見られる際は、「ストレートネック」「椎骨動脈解離」「頸椎症性神経根症」「頸椎椎間板ヘルニア」などの病気の存在が疑われます。
強い症状が現れた場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。