ふくらはぎがつる原因は何?病気の可能性は?医師が徹底解説!
こむら返りと呼ばれるふくらはぎがつる症状が続くと、心配になりますよね。ここでは、ふくらはぎがつる症状の特徴と原因、すぐに病院に行くべき症状についてMedicalDoc監修医が紹介します。
目次 -INDEX-
「ふくらはぎがつる・こむら返り」の症状で考えられる病気と対処法
ふくらはぎがつってしまう症状は、若い人から高齢者まで多くの方が経験していると思います。この症状が出現する原因としては病気ではないものから注意すべき病気まで色々と考えられます。今回は、どう対処するべきか、医療機関へ受診すべきかなどを含めて説明いたします。
ふくらはぎがつる症状の特徴と原因・対処法
何らかのきっかけがある場合もない場合もありますが、ふくらはぎがつってしまう状態のことを指します。このふくらはぎのつった状態のことを医学用語で有痛性筋痙攣といいます。
有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)とは
突然起きて短時間持続する、痛みを伴う筋肉の収縮のことです。腰椎椎間板ヘルニア、糖尿病、肝硬変、腎不全、動脈硬化、甲状腺異常などがあると起こしやすいとされていますが、健康な人でも運動しているときや夜間に起こることがあります。有痛性筋痙攣が起きた場合の対処法として、痙攣が起きた筋肉をストレッチすることで症状が緩和されることがあります。ふくらはぎがつった場合には足の指や足を上に持ち上げる(背屈させる)とよいでしょう。また、発症には脱水や電解質の異常が原因となっている場合があり、スポーツドリンクなどのミネラルを含んだ水分をとることも症状を早く治す(再発をさせない)ために効果的と言われています。
有痛性筋痙攣の要因と予防方法
よく経験される有痛性筋痙攣ですが、いくつかの要因が複合的に関与すると考えられており、明確な原因はわかっていません。関与している要因としては筋疲労、脱水、電解質異常、甲状腺ホルモンの異常、血流の悪さ、環境温、入眠時の姿勢などが考えられており、運動前後に十分なストレッチ/マッサージをすること、運動前から水分補給や電解質の補充を行うこと、急な環境温の変化に気をつけること、ベッドを柔らかくすることなどで予防できる可能性があります。
運動している時のみの起こる場合や、短期間に連続して起きることがなければ、様子を見ていても良いのですが、薬物療法で予防できることも多いため、繰り返し発症する場合には内科または整形外科を受診してください。
ふくらはぎがつった後に痛みが残る症状の特徴と原因・対処法
ふくらはぎがつった後に、つりが収まっても痛みが残ることもあります。
このような場合、筋肉トレーニング後の筋肉痛のような状態であることが考えられます。ふくらはぎがつった状態は、筋肉が強く収縮している状態であるため、過度なトレーニング後と同様に筋線維の一部が断裂するなどをして筋肉痛が残ります。ストレッチやマッサージなどを行うことで痛みが速く引きますが、痛みが強い時には市販の痛み止めを使いつつ安静にしてください。数日で痛みがなくなる場合には様子を見ていて良いと思われますが、痛みが続く場合やひどくなってくる場合には、整形外科を受診するのが良いでしょう。
寝ているときにふくらはぎがつる症状の特徴と原因・対処法
寝ているときにふくらはぎがつるのは、眠る姿勢が悪かったり、ストレスを抱えていたりする場合が多いといわれます。ふくらはぎがつってしまった場合には、痙攣が起きた筋肉をストレッチ(足関節の背屈など)することで、和らぐ可能性があります。原因として最も多いのは、日中の筋肉の使い過ぎで、その他、電解質の異常、脱水などが原因となります。寝る前に水分をとる、日常的にストレッチを行うなどが予防となります。もし繰り返す場合にはホルモン異常などが影響している場合もあるため、内科や整形外科を受診することをお勧めします。
スポーツをしていてふくらはぎがつる症状の特徴と原因・対処法
スポーツをしているときにふくらはぎがつってしまうことがあります。
このような場合、ふくらはぎに過度な負荷をかけていたか、運動中の水分やミネラルの補給が不十分であったことが原因として考えられます。起きてしまった場合には痙攣が起きた筋肉をストレッチ(足関節の背屈など)が有効なことがあります。筋疲労や脱水を防ぐために、安静やミネラルを含んだ水分摂取によって予防できる場合があります。
症状が落ち着けば、そのまま様子を見ていて良いでしょう。ただし、軽い運動でもふくらはぎがつってしまう場合や症状を繰り返す場合には、内科や整形外科への受診を検討しましょう。
すぐに病院へ行くべき「ふくらはぎがつる」症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ふくらはぎだけでなく全身の筋肉がつりやすい場合は、内科へ
安静にしているときや軽い運動でもふくらはぎがつる、それだけではなく、全身の筋肉がつってしまうという状態のことを指します。
このような筋痙攣を繰り返す場合、甲状腺機能低下症や脊椎疾患などの疾患、薬剤(降圧薬や経口避妊薬など)の副作用などの可能性が疑われます。前述したように、筋疲労や脱水などによっても起こる場合もありますが、様子を見ていても改善しない場合には異常と判断して、通院中の医療機関があればかかりつけ医を、なければ内科を受診することをお勧めします。
「ふくらはぎがつる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ふくらはぎがつる」症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足や喉、呼吸の筋肉が徐々に痩せて力がなくなっていく病気です。原因は明らかになっていませんが、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が障害を受けることで、脳からの手足を動かすことの指令が伝わらなくなり、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。初発症状として、飲み込みが悪くなったり喋りづらくなったりする人(球麻痺型)もいますが、歩きづらさやこむら返りが目立つ人(下肢型)もいます。脳神経内科で診断される病気ですが、内科や整形外科、脳神経外科などで診断が難しく、脳神経内科に紹介されてようやく診断されるまで1年以上かかることもあります。進行性の病気のため、一度この病気にかかった場合には症状が軽くなることはありません。しかし、進行を遅らせる作用の薬はあります。下肢型だけがALSではありませんが、こむら返りを何回も繰り返す場合には、一度疑って脳神経内科を受診することをお勧めします。
「ふくらはぎがつる・こむら返り」を予防するには?
予防法としては、ストレッチやマッサージ、適度なミネラルや水分の補給、無理な筋肉トレーニングをしない、ストレスをさけることが予防となります。ツボ押しが効果的であるという人もいます。しかし、それらの方法で筋痙攣がなくなることが実証されているわけではないため、明らかな予防効果があるとはいいきれません。
高齢の方では坂道を上るなど、一般の人には普通の運動でも筋肉には過重負荷となっている場合もあり、人によっては日常的な運動で筋力を維持することなども予防になるでしょう。
「ふくらはぎがつる」ときに飲んでも良い市販薬は?
ふくらはぎがつる場合に効果が期待される市販薬は、芍薬甘草湯エキス顆粒です。即効性があり、足がつりそうになった時に服用しても一定の効果が期待できる薬剤であり、医療機関でもふくらはぎのつり(有痛性筋痙攣)に対してよく処方されます。服用することで予防や対策になります。
ただし、頻回に繰り返す場合には基礎疾患や薬物的な副作用が影響している場合があるため、必ず内科を受診するようにしてください。
「ふくらはぎがつる」症状で考えられる病気と特徴
「ふくらはぎがつる」症状から医師が考えられる病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
疾患自体が症状に関連する疾患
- 甲状腺機能低下症
- 脊柱管狭窄症
- 脊髄損傷
症状を起こしやすい環境を作る疾患
- 糖尿病
- 腎機能障害
- 肝機能障害
- 悪性腫瘍
治療薬が症状に関連する疾患
- 心不全
- 喘息
- 脂質異常症
- 認知症
- 尿崩症
まとめ
いかがだったでしょうか。ふくらはぎがつる症状は、ほとんどの人が一度は経験したことがあって、健康な人でも起こるものです。多くの場合には一時的な体の状態による症状であり、精査や治療は不要です。しかし、何度も繰り返す場合には治療が必要な疾患が隠れている場合がありますので、医療機関の受診を検討しましょう。