FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 骨・筋肉・関節・腱
  4. 「尾てい骨が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「尾てい骨が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

尾てい骨が痛む時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

塚原 聡 医師

監修医師
塚原 聡 医師

プロフィールをもっと見る
北里大学医学部卒業。弘前大学医学部整形外科で臨床研修し、東京大学医科学研究所でゲノム医科学の研究に従事。その後、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助手、准講師を歴任。2009年から湘南第一病院整形外科部長。2013年、同副院長に昇格。2019年、地域サービス部門担当役員に就任。日本専門医機構認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医、プライマリケア連合学会認定医・指導医。医学博士。

「尾てい骨が痛む」症状で考えられる病気と対処法

尾てい骨の痛みを感じたことがある方は、腰痛に比べるとかなり少ないでしょう。軽微な病態で痛むことが多い一方で、尾てい骨に直接的なエネルギーが加わって損傷したり、腫瘍などの病的なサインとして痛んだり、あるいは坐骨神経痛が原因となったりするものがあります。どんな場合に病院を受診する必要があるのか解説していきます。

尾てい骨が痛む症状で考えられる原因と治し方

尾てい骨が痛む症状は、椅子に座ると痛むという動作によって感じることが多いですが、痛みの性質はズキズキと痛む、焼けるように痛む、重く痛むなど様々です。特に夜間に痛む場合には腫瘍を疑います。また排便や放屁で改善する場合には、特発性肛門痛を疑います。ドーナツ型のクッションを敷いて座ると痛みが緩和されます。
実際の病態としては、骨盤周囲の靱帯など軟部組織の損傷、仙骨尾骨滑液包炎、仙骨尾骨骨折、脊椎脊髄腫瘍、腰椎椎間板ヘルニアによる末梢神経障害(いわゆる坐骨神経痛)、特発性肛門痛(肛門挙筋症候群)、肛門周囲の膿瘍、毛巣洞、痔、肛門周囲の単純ヘルペス、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが考えられます。
症状はシンプルですが、皮膚、靱帯、神経、骨、直腸、子宮など多くの種類の臓器に起因します。自身の性別、あるいは「何かに関係するのではないか?」と疑われる事象に合わせ、外科、産婦人科、整形外科などを受診することをお勧めします。

尾てい骨がいきなり痛む、座ると痛む症状で考えられる原因と治し方

ドスンと座ったあとなどに、押されるとズキズキと痛む症状をさします。あるいはイキんだ後に、ズキズキと痛みます。排便や放屁で和らぐときがあります。
押すと痛いことが多いです。直接患部が当たらないように座ると痛みが和らぎます。
また、座る動作をやめ、横になりましょう。下着に血がついていないか、便で汚れていないか確認しましょう。
実際の病態としては、骨盤周囲の靱帯など軟部組織の損傷、仙骨尾骨滑液包炎、仙骨尾骨骨折、裂肛(切れ痔)、特発性肛門痛などが考えられます。
外科、肛門科、整形外科を受診することをお勧めします。他に痛みに影響することがないか、医師に伝えられるように準備しましょう。

立ち上がるときに尾てい骨が痛い症状で考えられる原因と治し方

腰や脚にひびくような痛みが伴うことがあります。
ずっと座る姿勢をさけ、横になりましょう。
実際の病態としては、腰椎椎間板ヘルニアによる末梢神経障害(いわゆる坐骨神経痛)、脊椎脊髄腫瘍などが考えられます。
整形外科、外科、肛門科を受診することをお勧めします。他に痛みに影響することがないか、医師に伝えられるように準備しましょう。

妊娠中に尾てい骨が痛む症状で考えられる原因と治し方

妊娠後期、あるいは出産後に一時的に痛くなることがあります。
ずっと座る姿勢をさけ、横になりましょう。直接患部が当たらないように座りましょう。
実際の病態としては、骨盤周囲の靱帯など軟部組織の損傷、腰椎由来の末梢神経障害(いわゆる坐骨神経痛)などが考えられます。
緊急性は少ないことが多いですが、持続する場合にはかかりつけの産婦人科、または整形外科、外科、肛門科などを受診しましょう。他に痛みに影響することがないか、医師に伝えられるように準備しましょう。

生理中に尾てい骨が痛む症状で考えられる原因と治し方

下腹部痛のほか、腰や尾てい骨周辺が痛くなる場合があります。排便や性交で痛みが強くなる場合があります。
なるべく静かにしましょう。耐え難い痛みの場合には鎮痛剤を内服しましょう。
実際の病態としては、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが考えられます。
なるべく早めに産婦人科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「尾てい骨が痛む」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

出血を伴う症状の場合は、女性は産婦人科へ、男性は外科へ

尾てい骨の痛みがあり、かつ出血するあるいは下着の汚れに気がつくことがあります。
女性は子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、不正性器出血、裂肛。男性は裂肛、毛巣洞などが考えられます。
男性は外科または肛門科、女性は産婦人科または外科、肛門科をなるべく早めに受診しましょう。他に痛みに影響することがないか、医師に伝えられるように準備しましょう。

「尾てい骨が痛む」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「尾てい骨が痛む」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

仙骨脊索腫(せんこつせきさくしゅ)

仙骨に発生する悪性腫瘍のひとつです。ゆっくり増殖し、こぶが大きくなってからわかることが多いのが特徴です。遠隔転移は生じにくいと言われています。
手術的治療、放射線治療が適応になります。
腫瘤に気づいた時から、なるべく早めに骨軟部腫瘍外科、整形外科、脊椎脊髄外科、脳神経外科を受診することをお勧めします。

馬尾腫瘍(ばびしゅよう)

脊髄に発生する腫瘍のひとつで、仙骨や尾骨レベルに発症する腫瘍の総称です。神経鞘腫という良性腫瘍が多く、約8割を占めます。ごくまれに悪性神経原生腫瘍という病気があります。原因は不明です。
最初に痛みの治療を行います。痛みが持続したり神経症状が増悪したりしてきたら手術的治療という選択肢もあります。
診断することに大きな価値があります。痛みが持続する場合、夜間に痛みが強い場合には、なるべく早めに整形外科、脊椎脊髄外科を受診することをお勧めします。

特発性肛門痛

明確な原因は不明です。不安やストレスなどの精神心理的要因や肛門周囲の筋肉の痙攣で発症すると考えられています。
刺激の少ない生活や食事を意識しましょう。
痛みが強くて普段通りに日常生活が過ごせないときには外科、肛門科を受診しましょう。

「尾てい骨が痛む」ときの正しい対処法は?ストレッチは有効?

痛みが強い時には、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)を飲んでも良いでしょう。ただし受診するときには、効果の有無を医師に伝えられるようにしましょう。鎮痛薬を飲んではいけない症状は特にありませんが、坐薬、貼り薬、塗り薬(ボルタレンなど)、冷却スプレーなどは肛門や外陰部などの粘膜には刺激が強いため、控えましょう。
日常生活ではイキみ過ぎないように意識しましょう。座りっぱなしの時間を短くし、こまめに立ち上がる習慣をつけましょう。尾てい骨が座面に直接触れないようにクッションなどで工夫してください。15~30分ごとに立ち上がって姿勢を整えてください。応急処置を行なっても症状が改善しない場合には、病因は多岐にわたりますので、早めに受診しましょう。
医師と相談し診断を絞っていくことが早めの解決につながります。ストレッチやマッサージをしても良いのか、あるいは温めたり冷やしたりしても良いのかどうかは、焦らずにある程度の診断が確定してから、主治医に確認しましょう。

「尾てい骨が痛む」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尾てい骨が痛む」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

尾てい骨が痛いのですが、座りすぎが原因でしょうか?

塚原 聡 医師塚原 聡 医師

座りすぎが関係する特発性肛門痛などが考えられますが、時間や姿勢を工夫しても改善しない場合には他の影響も疑われます。

尾てい骨を押すと痛いのは何科の病院で相談できますか?

塚原 聡 医師塚原 聡 医師

はじめに整形外科、外科で相談してください。

中学生で尾てい骨が痛むとき、どんな原因が考えられますか?

塚原 聡 医師塚原 聡 医師

痛みのきっかけによりますが、部活動などで反復動作が多いときには骨盤周囲の靱帯など軟部組織の軽微な損傷、あるいは尾骨の疲労骨折をはじめに疑います。

産後に尾てい骨が痛い場合、治療できますか?

塚原 聡 医師塚原 聡 医師

一時的に痛み、徐々に軽快する場合が多いです。持続する場合にはコルセットや鎮痛剤などで治療することもあります。

まとめ

尾てい骨の痛みは、皮膚、靱帯、神経、骨、直腸、子宮など多くの臓器に起因します。疲労骨折だけではなく、骨盤周囲の靱帯など軟部組織の損傷、仙骨尾骨滑液包炎、脊椎脊髄腫瘍、腰椎椎間板ヘルニアによる末梢神経障害(いわゆる坐骨神経痛)、特発性肛門痛(肛門挙筋症候群)、肛門周囲の膿瘍、毛巣洞、痔、肛門周囲の単純ヘルペス、子宮内膜症、子宮筋腫などのさまざまな病態が考えられます。
軽微な病態、あるいは良性の病態が多いですが、痛みが強いまたは持続するときには、性別やきっかけに合わせ、専門科を受診することをお勧めします。

「尾てい骨が痛む」で考えられる病気と特徴

「尾てい骨が痛む」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

  • 骨盤周囲の靱帯など軟部組織の損傷
  • 仙骨尾骨滑液包炎
  • 仙骨尾骨骨折
  • 仙骨尾骨疲労骨折
  • 脊椎脊髄腫瘍
  • 仙骨脊索腫
  • 馬尾腫瘍

外科の病気

  • 特発性肛門痛(肛門挙筋症候群)
  • 肛門周囲の膿瘍
  • 毛巣洞
  • 肛門周囲の単純ヘルペス

ぶつけたなどのエピソードがない場合には内臓や神経系などの多彩な病気が隠れている可能性があります。

「尾てい骨が痛む」と関連のある症状

「尾てい骨が痛む」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「尾てい骨が痛む」症状の他に、これらの症状がある場合「肛門挙筋症候群」「裂肛」「子宮内膜症」「仙骨尾骨骨折」「馬尾腫瘍」「仙骨脊索腫」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が併発している場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。