「気分の浮き沈みが激しい」症状の原因をご存知ですか?医師が徹底解説!
気分の浮き沈みが激しい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
別府 拓紀 医師(精神科医)
大学病院や市中病院で精神科の経験を積み、現在精神科医として市中病院勤務。大手企業の専属産業医経験あり。
病院や企業の嘱託産業医経験多数。
公認心理師、精神保健指定医、認知症サポート医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、メンタルヘルス運動指導士、日本医師会健康スポーツ医、産業医、日本DPAT先遣隊隊員。
「気分の浮き沈みが激しい」症状で考えられる病気と対処法
気分の浮き沈みにはさまざまな原因があり、なかには治療をしないといけないものもあります。今回は、その症状に対する病気や対処法について記載していきます。
気分の浮き沈みが激しい症状で考えられる原因と治し方
日常生活の中で、人間の感情は常に揺れ動いています。嬉しいことがあれば嬉しいし、嫌なことがあれば悲しい。そういった中でテンションのムラが生じるのは当然なことです。しかし、日によって、あるいは、1日のうちでという変動ではなく、常時いつもの自分よりも極端に感情が高まったり、落ち込みすぎたりすることが続いた場合、病気が隠れていることがあります。
病気は精神的なものから内科、婦人科的なものまでさまざまですが、まずは心の問題について精神科を受診することをお勧めします。受診の際、いつから、どういった状態になったか、きっかけがあるか、といった経過についてまとめたものがあるとスムーズに伝わり。正確な診断へ繋がるでしょう。
女性で気分の浮き沈みが激しい症状で考えられる原因と治し方
女性の場合、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)などの月経周期によるものや、更年期障害といったものが原因でホルモンのバランスが乱れた際、気分の浮き沈みが激しくなることがあります。月経に関連する症状であれば、産婦人科受診をお勧めします。
また、女性の方で多いのが、何らかの原因で抗NMDA受容体抗体というものが産生され、それが脳を攻撃することで脳炎が生じ、気分の激しい浮き沈みや興奮、幻覚、けいれんといった症状が出現することがあります。精神科的な病気が隠れていることがあるため、気になることがあれば内科や精神科へ相談しましょう。
男性で気分の浮き沈みが激しい症状で考えられる原因と治し方
男性の場合も激しい気分の浮き沈みが見られることがあります。
女性と同様に、場にそぐわない感情の浮き沈みには精神科的な病気が隠れていることがありますので、気になることがあれば内科や精神科へ相談しましょう。
中学生や高校生で気分の浮き沈みが激しい症状で考えられる原因と治し方
中学生や高校生の時は、何となく気分が優れなかったり、イライラしたり落ち込んだりと感情の起伏が激しくなります。これは、思春期特有の心性(心のあり方、メンタリティー)であり、多くの場合は成長とともになくなっていくものですが、人によってはかなり激しく感情が揺れ動くことがあります。自分自身で抑えきれないような感情の起伏が続くようであれば、まずは学校や家族へ相談してみましょう。それでも対処が難しい場合は、精神科受診を検討することをお勧め致します。
すぐに病院へ行くべき「気分の浮き沈みが激しい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
気分の浮き沈みが激しく、生活が困難な症状の場合は、精神科へ
生活に困難さを伴うほど気分の浮き沈みが激しい場合、躁うつ病という病気が考えられます。躁うつ病は、血のつながった家族の方に躁うつ病の人がいる、アルコールを日常的に飲んでいる、過去に自殺をしようとしたことがある、などが発症リスクになります。生活が困難なほどの気分の波や、上記のようなリスクがある場合は、すぐに精神科を受診してください。
気分の浮き沈みの他に、興奮やけいれんが急に出現した場合は、精神科へ
何らかの原因で抗NMDA受容体抗体というものが体の中で作られ、それが脳を攻撃することで気分の激しい浮き沈み、興奮、けいれんといった症状をきたすことがあります。主に若い女性に多いのですが、症状は急激に出現するため、周囲の人はかなり戸惑うでしょう。また、本人は症状の動きに自覚が持てなくなっている可能性もありますので、可能であれば家族に本人を連れて精神科を受診するよう伝えてください。
「気分の浮き沈みが激しい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「気分の浮き沈みが激しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
非定型うつ病
20-30代の女性に多いと言われている、新しいうつ病の概念に非定型うつ病というものがあります。気分の落ち込みが続くものの、楽しいときは楽しいと感じることができます。激しい感情の起伏や、体重増加や過眠、対人関係の過敏性、体が動かない、といった症状が出現した場合は非定型うつ病の可能性があります。治療はうつ病に準じた治療となります。気になる症状があれば精神科へ相談することをお勧め致します。
自律神経失調症
感情の起伏に体がだるい、イライラするといった症状が重なる場合は、自律神経失調症の可能性があります。気になる症状があれば精神科受診をお勧め致します。
双極性障害
感情の起伏により生活が困難となる状態となった場合は、双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。自分自身では気づきにくいため、家族が付き添いの上で精神科受診をする必要があります。
「気分の浮き沈みが激しい」ときの正しい対処法は?
生活リズムの構築と質の良い睡眠を担保することが大事です。サプリなどは、薬が必要になった場合、薬と相互作用をきたす可能性もあり使用しないことをお勧めします。例えば、リラックス効果を謳うサプリなどで、セイヨウオトギリソウが含まれているものがあります。セイヨウオトギリソウは、体が薬を分解する機能を強く亢進する(高める)効果効果があり、薬の効果が弱まり適切な効果が得られないことがあります。病院を受診し薬をもらう際は、必ず今飲んでいるサプリなどの情報を持参しましょう。
「気分の浮き沈みの激しさ」を安定させるには?医師が薦める対策
メンタルコントロールの考え方として、必要以上に気にしないことが大事です。今あなたが送っているのは、まぎれもなくあなた自身の人生。自分らしく、主体的に生きることを意識しましょう。また、日常生活では生活リズムの構築、睡眠の質の担保が重要です。また、自律神経の調節には、ぬるめのお湯に入浴することもよいと言われています。
「気分の浮き沈みが激しい」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「気分の浮き沈みが激しい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
気分の浮き沈みが激しい症状を防ぐために日常生活で気をつけることはありますか?
別府 拓紀 医師
生活リズムの構築が重要です。また、何かあれば相談できる場所や人をつくるのもよいでしょう。
日によって気持ちの浮き沈みが激しいのは低気圧も影響しますか?
別府 拓紀 医師
気圧の変化も多少なりとも影響するかもしれません。低気圧の時は調子が悪くなるから活動をできるだけセーブしよう、など自分自身の気分の傾向を知ることで自己調整もしやすくなります。
1日の中で感情の落差が激しくて辛く、躁うつ病なのではと心配です。
別府 拓紀 医師
躁うつ病を含め病気が隠れている可能性もありますので、気になることがあれば、精神科受診をお勧め致します。
気分の浮き沈みが激しいのは性格と関係がありますか?
別府 拓紀 医師
性格も関係ありますが、自分で自分の傾向を知り、コントロールを行うことも大事かと思います。それが困難な際は、精神科受診を検討してみてください。
テンションにムラがあり疲れてしまうのはコントロールできますか?
別府 拓紀 医師
自分はこういう性格だ、と理解できると、コントロールしやすくなります。しかし、度が過ぎてしまうとコントロールできない可能性もありますので、そういった際は精神科受診をお勧め致します。
まとめ
気分の浮き沈みが激しい状態は、人間である以上誰もが経験することだと思います。基本的には一時的なもので、気づかないうちに改善していることが多いですが、その度が過ぎる、長期間続く、他の症状が重なるといったことがあれば、病院受診をお勧め致します。
「気分の浮き沈みが激しい」で考えられる病気と特徴
「気分の浮き沈みが激しい」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科を受診する際には、本人だけではなく家族とともに受診することで診断と治療が円滑に進む可能性があります。
「気分の浮き沈みが激しい」と関連のある症状
「気分の浮き沈みが激しい」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「気分の浮き沈みが激しい」の他に、これらの症状が見られる際は、「躁うつ病」「情緒不安定型パーソナリティ障害」「月経前症候群」「更年期障害」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
・双極性障害(日本うつ病学会治療ガイドライン)