これって五月病?やる気が出ないのは心と体の不調が原因!考えられる病気や原因を徹底解説
やる気が出ないとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?ここではMedical Doc監修医がやる気が起きない症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
別府 拓紀 医師(精神科医)
大学病院や市中病院で精神科の経験を積み、現在精神科医として市中病院勤務。大手企業の専属産業医経験あり。
病院や企業の嘱託産業医経験多数。
公認心理師、精神保健指定医、認知症サポート医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、メンタルヘルス運動指導士、日本医師会健康スポーツ医、産業医、日本DPAT先遣隊隊員。
「やる気が出ない」症状で考えられる病気と対処法
やる気が出ないと感じることは日常でよくある現象ですが、その中には重大な病気が隠れていることもあります。ここでは、やる気が出ないというありふれた感情に潜む病気について解説していきます。
やる気が起きず気分が落ち込む症状の原因と治し方
やる気が出ないと、気分も憂うつになります。無理に頑張りすぎず休養をとってみましょう。「特に理由がないのになんとなくやる気がでない」「気分が落ち込む」といった状態が2週間以上続く場合は、うつ病や躁うつ病といった気分障害の可能性があります。精神科の受診をお勧めします。
やる気が起きず寝てばかり、起きられない、ずっと眠い症状の原因と治し方
やる気が出なくて起きられない、日中ずっと眠い、という状態は、ほとんどが夜更かしや頑張りすぎが原因と考えられます。
生活リズムの見直しやストレス解消を心掛けてみてください。
日中の眠気には、睡眠時無呼吸症候群などの内科的疾患が隠れている場合があります。ストレスをなくし生活リズムを整えても症状が持続する場合は、内科の受診をお勧めします。
やる気が起きずイライラする症状の原因と治し方
やる気が起きない状態に加えイライラするとき、疲れがたまっていることが考えられます。まずは休養を心掛けましょう。
症状が持続する場合は気分障害の可能性や、年齢によっては更年期障害も考えられます。休養をとっても症状がなかなか改善しない場合は、心療内科・精神科の受診をお勧めします。
やる気が出ず頭痛がする症状の原因と治し方
やる気が起きないときに伴う頭痛が軽いものであれば、しっかりと休養をとることで症状が緩和する可能性が高いと考えます。頭痛が激しい、吐き気を伴う、休養でも症状が改善しない場合が長引くようであれば、内科受診をお勧めします。
すぐに病院へ行くべき「やる気・無気力」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
急な脱力、急に目がかすむ場合は、神経内科へ
急な疲労感、体が動かしにくい、力が入らない、目がかすむといった症状が出現した場合、重症筋無力症という病気が考えられます。
重症筋無力症は、自分の筋肉を壊す抗体(自己抗体)が何らかの原因で作られ、それが筋肉を攻撃することで倦怠感、筋力低下といった症状が出現します。症状が悪化した場合、呼吸ができず死亡することもあります。比較的まれな疾患ですが、上記のような症状が出現し、改善しない場合は神経内科に相談しましょう。
「やる気が出ない」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「やる気が出ない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
五月病
新生活が始まり約1ヶ月、ゴールデンウィークを挟んだ後から、やる気が出ない、気分が落ち込む、といった症状が出現することがあります。この時期は新生活の前後に抱えていたストレスが蓄積され最高潮に達し、緊張の糸が切れやすい時期でもあり、心や体の調子を非常に崩しやすく、「五月病」と言われています。
乗り越え方としては、適度な休養を取りつつ日々の生活に慣れていくことが大事です。
それでも症状が改善しない場合は、精神疾患が隠れている可能性もあるため、精神科への受診をお勧めします。五月病の症状は1-2ヶ月遅れ、5月以外に症状が出現する場合もあります。そういった場合は六月病と呼ばれることもあります。いずれも考えられる原因は同様ですので、まずは休養や生活習慣の見直しをしてみましょう。
アパシーシンドローム(無気力症候群)
アパシーシンドロームの原因は、強いストレスがかかることに対する反応としての逃避行動ともいわれております。五月病と同じ時期になることがあり、五月病とも重なる症状も多いです。基本的には休養や生活リズムを整え、心身を穏やかな状態にすることが必要です。できないことは無理することはせずに、この先どうするかを冷静に考えてみましょう。時間をかけ生活リズムを整えても状態が改善しない場合は、精神科受診をお勧めします。
甲状腺機能低下症
やる気が出ない、無気力といった症状に加え、寒がりになる、体がむくむ、体重が増えるといった症状が出現した場合は、甲状腺機能低下症が考えられます。
甲状腺機能低下症の原因は、甲状腺それ自体によるもの、甲状腺を壊す自己抗体、脳からの指令、薬などさまざまです。治療は原因により大きく異なります。放置すると傾眠や意識障害をきたす場合もあり、上記のような状態が続いているのであれば、内科受診をお勧めします。
貧血(ひんけつ)
やる気が出ない、無気力といった症状に加え、立ち眩み、息切れ、体がだるい、ふらつくといった症状が出現する場合は、貧血が考えられます。
貧血の原因は、血液細胞の病気であったり、体内のどこかの部位からの出血であったりさまざまあります。治療は原因により大きく異なります。症状が持続して改善しない場合は、内科受診をお勧めします。
気分障害(うつ病、躁うつ病)
やる気が出ない、無気力といった症状に加え、特に原因なく食欲低下、気分の落ち込みなどが持続し、体の病気が見つからない場合は、うつ病や躁うつ病といった気分障害が考えられます。うつ病の場合は、脳内でセロトニンという物質が必要な部分に足りていないことが原因として考えられ、セロトニンを補うような薬を使う場合があります。ただし、躁うつ病のうつ状態に同様の治療を行うとテンションが病的に上がりすぎる(躁転)場合があり、慎重な診断が必要なため、安易に抗うつ薬を使用しないことが大事です。精神科を受診しましょう。
適応障害
気分が落ち込み、やる気が出ない、無気力といった症状が出現し、それを引き起こした原因から離れることで症状が落ち着く場合は、適応障害が考えられます。適応障害の治療は、原因を取り除くことが必要ですが、うまく取り除けなかったり、症状が続いたりする場合は、精神科受診をお勧めします。
「やる気が出ない」ときに飲んでも良い市販薬は?
やる気を起こそうと、カフェイン飲料やサプリを飲む方がおられます。どちらも適量の摂取であれば害はない可能性が高いのですが、過剰摂取になると中毒症状を起こす可能性もあるため注意が必要です。
「やる気が出ない」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「やる気が出ない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
やる気が出ない五月病は病気ですか?乗り超え方や治療法などはありますか?
別府 拓紀 医師
五月病はそれ自体病気と言えない場合が多く、休養や生活リズムの構築が治療になります。
ただし、病気が隠れている場合もあり、症状が改善しない場合は病院受診を検討してください。
主婦でやる気が出ず何もしたくないのですが、更年期障害などとの関係はありますか?
別府 拓紀 医師
年齢や、頭痛やイライラといったほかの症状などから更年期障害の可能性もあります。症状が続く場合は婦人科への受診をお勧めします。
子供や赤ちゃんが無気力な場合は病院へ受診すべきですか?
別府 拓紀 医師
反応が鈍いなど、いつもと違う状態の場合は、小児科への受診を検討してください。
まとめ
やる気が出ない、無気力といった一見日常生活の中でも経験するありふれた症状の中に、思いがけない病気が隠れている場合もあります。症状が続く場合やひどくなる、それ以外に体の症状がある場合は病院受診を検討してください。
「やる気が出ない」で考えられる病気と特徴
婦人科の病気
やる気が出ない=気持ちの問題であると決めつけがちですが、その中に体の病気が関連している場合があります。中には重大な病気が隠れている可能性もあり注意が必要です。
「やる気が出ない」と関連のある症状
「やる気が出ない」症状の他に、これらの症状がある場合も「うつ病」「貧血」「更年期障害」「甲状腺機能低下症」「適応障害」などの疾患の可能性が考えられます。やる気が出ない他に心や体に他の症状が複数見られる場合は、早めに医療機関への相談をお勧めします。