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「胸がチクチクする」原因はご存知ですか?女性でチクチクする原因も医師が解説!

「胸がチクチクする」原因はご存知ですか?女性でチクチクする原因も医師が解説!

胸がチクチクする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「胸がチクチクする」原因と対処法

胸がチクチクすると表現されるような、刺すような痛みを感じる場合、いろいろな原因が考えられます。どのような原因が考えられるか、またその場合の対処方法について解説いたします。

胸がチクチクする原因と対処法

胸がチクチクする痛みがある場合、この痛みが表面に近い痛みか、内部からの痛みなのかを区別して考えます。表面に近い場所での痛みであれば、皮膚や神経、筋肉の痛みである可能性が高いです。これらの痛みで考えられる病気としては、肋間神経痛や帯状疱疹、筋肉などの損傷です。神経痛や筋肉の損傷であれば鎮痛剤を内服し、症状が強ければそれぞれ神経内科、整形外科を受診するのが良いでしょう。帯状疱疹は痛みに気がついたときにはまだ水疱がないこともあります。痛みの少し後に水疱がみられるのが特徴です。この場合には早めに皮膚科を受診して治療をしましょう。帯状疱疹後に神経痛が残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」がみられることがあります。なるべくPHNとならないためには、できるだけ早期に抗ウイルス薬を投与して皮膚の炎症を抑えることが大切と言われています。帯状疱疹を疑ったら、なるべく早期に治療を始めることが大切です。
内部の痛みが考えられる場合には、肺や心臓、食道や胃などの病気が考えられます。内部の痛みが強い場合や、長引く、繰り返す場合には内科の受診をお勧めします。

胸の左側がチクチクする原因と対処法

胸の左側がチクチクする場合、前述のような原因がまず考えられます。また、表面ではなく内部からの痛みの場合、肺の病気も考えられます。左の肺の胸膜炎や肺がんなどです。肺の内部には、神経がなく痛みが起こりにくいです。しかし、炎症やがんなどが広がり肺を覆っている胸膜まで炎症が及んだ場合には痛みが生じることがあります。
このほかに、心臓から起こっている痛みの可能性も考えられます。心臓は胸の真ん中から左にかけて位置しているため、狭心症や心筋梗塞の際にはこの部位で痛みが発生しやすいです。しかし、心臓の痛みは左胸の下の方だけではなく、左の肩や歯などにかけて痛みが放散することも少なくありません。
心臓や肺からの痛みの可能性が考えられる場合には、内科、呼吸器内科や循環器内科を受診しましょう。痛みが強く持続する場合には、救急外来を受診することも検討してください。

胸の右側がチクチクする原因と対処法

胸の右側がチクチクと痛む場合、前述の左胸の場合と同様にいろいろな病気の可能性が考えられます。肋間神経痛や帯状疱疹のほか、右の胸膜炎や肺がんなどの可能性もあります。また心臓の位置が左よりにあるため、右胸では少ないですが、狭心症や心筋梗塞などの放散痛の可能性も否定できません。いずれの場合にも強い痛みが生じたり、痛みが持続する場合には医療機関を受診しましょう。何が原因かわからずどの診療科が良いかわからない場合には、まず内科で相談するのが良いでしょう。

胸の真ん中がチクチクする原因と対処法

胸の真ん中がチクチクする場合には、前述したような原因も同様に考えられます。そのほかに、食道が胸の真ん中あたりに位置しているため、食道炎の痛みということも考えられます。胃食道逆流症では胸の真ん中の辺りが痛むことが多いです。また、胃炎や胃潰瘍の痛みが胸の辺りまで痛むことも考えられます。痛みの他に胸やけや嘔気、食欲不振などを伴う場合には、消化器内科を受診して相談をしましょう。

女性で胸がチクチクする原因と対処法

女性では、生理前や排卵期などのホルモンの変化で乳腺が張り、チクチクとした痛みを感じることも少なくありません。また、乳腺症や乳腺線維腫、乳腺炎なども考えられます。これらは良性の病気ですが、痛みが続く場合には乳腺外科で相談をしましょう。
一方、乳がんでは痛みを感じることは少ないと言われています。しかし、乳がんでも場合により痛みを伴うこともあります。胸の痛みが持続する場合には、乳腺外科で相談をしましょう。乳がん検診などを利用するのも良いでしょう。

生理前になると胸がチクチクする原因と対処法

生理前には女性ホルモンが変動します。これに従い、乳腺組織が増殖し、張って痛みが出ることがあります。このような場合の胸の痛みは、乳房全体が痛むことが多いです。生理などの周期により胸の痛みが出る場合には、ホルモンのバランスによる変化である可能性が高いです。経過をみても良いでしょう。しかし、部分的に痛みが出ている場合には乳房の病気の可能性も考えられます。乳腺外科で相談をしてみましょう。

ストレスで胸がチクチクする原因と対処法

ストレスで胸の痛みが起こる場合、肋間神経痛の可能性が考えられます。また、ストレスなどの原因で心臓の冠動脈にけいれんが起こる冠攣縮性狭心症という病気も考えられます。しかし、ストレスで胸の痛みの症状がおこっているのか、別の理由であるのかは区別がつきにくいです。胸の痛みが何度も出現したり、持続する場合、痛みが強い場合にはまず内科を受診して相談をしてみましょう。

すぐに病院へ行くべき「胸がチクチクする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

皮膚の水疱を伴う症状の場合は、皮膚科へ

胸がチクチクする症状の後に痛みに一致して皮膚の水疱がみられる場合には、帯状疱疹の可能性があります。帯状疱疹に伴う神経痛の場合には、神経痛の症状が後になっても残ることもすくなくありません。早めの治療が大切です。帯状疱疹が疑われた場合には、早めに皮膚科を受診して相談をしましょう。

受診・予防の目安となる「胸がチクチクする」のセルフチェック法

・皮膚の水疱を伴う症状がある場合
・強い胸の痛みの症状がある場合
・持続する胸の痛みの症状がある場合
・胸やけや呑酸の症状がある場合
以上のような症状がみられる場合には、帯状疱疹や胃食道逆流症、肺、心臓の病気の可能性が考えられます。医療機関を受診しましょう。

「胸がチクチクする」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胸がチクチクする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肋間神経痛

肋骨の間には肋骨に沿って肋間神経という神経が走っています。この肋間神経が痛む症状を肋間神経痛と呼びます。症状は原因により異なり、チクチクした痛みやズキンと急に電気が走るような痛みやズキズキ持続する痛みなどと表現されることがあります。変形性脊椎症や椎間板ヘルニア、脊椎腫瘍などが原因となる事もありますが、原因がわからないことも多いです。原因がわからない肋間神経痛の中にはストレスや体調などに伴う症状であることもあります。治療は、原因が分かっているものであれば原因を取り除く手術などを行うこともあります。軽症の場合や原因がわからない場合には鎮痛剤や神経ブロックなどを行います。

帯状疱疹

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による水痘を発症後に、このウイルスが後根神経節内に潜伏し、後に再活性化して発症したものが帯状疱疹です。過労や悪性腫瘍の合併などで免疫機能が低下している時に発症しやすいです。症状としては、神経の走行に沿って痛みと水疱が帯状に出現します。治療としては、抗ウイルス薬の投与を行います。また、帯状疱疹後に神経痛を残すことも少なくないため、注意が必要です。
帯状疱疹による神経障害を帯状疱疹後神経痛(PNH)と言います。帯状疱疹にかかった方のうち80歳以上で約3割、60歳〜65歳では2割でPNHを発症します。帯状疱疹にかかった方の15%は2年以上痛みが持続し、6%が4年後も痛みを訴えているとの報告もあります。痛みは日常生活にも支障が出ることもあり、PNHとならないために注意をしなければなりません。帯状疱疹にかかった後になるべく早期に抗ウイルス薬による治療を行うことが大切であると言われています。また、50歳以降では、帯状疱疹が発症しやすくなると言われており、予防のためのワクチン接種も有効です。

狭心症

心筋に血流を供給している冠動脈が生活習慣病などによる動脈硬化で細くなると、心筋への血液の供給が不足します。このように冠動脈が細くなった状態を狭心症と言います。また、閉塞した状態を心筋梗塞といい、このまま血流が途絶えた状態が持続すると心筋が壊死してしまいます。狭心症は、細くなっているものの血流が完全には途絶えていませんが運動をしたりして心筋の必要な酸素量が増えたときに、供給が間に合わず胸の圧迫感や痛みが生じます。数分〜15分程度と一時的で、安静にしていると症状が治まることが多いです。しかし、心筋梗塞へと移行することもあり胸痛が強い場合や、長く持続する場合には救急車を要請しましょう。

冠攣縮性狭心症

心臓の冠動脈に狭窄がないにも関わらず、発作的に血管のけいれんが起こり、一時的に狭窄することで狭心症と同様の胸痛がみられる病気です。症状としては、狭心症と同様の胸の痛みですが、狭心症と異なり安静時、特に夜間から早朝にかけて起こりやすいです。ストレスなどが影響している可能性も考えられます。通常、冠動脈に狭窄に狭窄が無ければ発作を予防するための内服治療が中心となります。何度も胸痛がみられる場合には、まず循環器内科で相談をしてみましょう。

胃食道逆流症

胃食道逆流症(GERD)は、胃の中の酸が食道へ逆流することで起こる病気です。症状は胸やけや、呑酸(すっぱいものが上がってくる感じ)などです。内視鏡検査では、食道の粘膜のただれがみられることがあります。胃食道逆流症は命にかかわるような病気ではありませんが、胸やけなどの症状で、食欲がなくなったり眠っているときに熟睡できないなどの症状がみられることもあります。このような症状がある場合には消化器内科で相談をしましょう。症状が強ければ、制酸薬などの治療を行うこともあります。食べ過ぎないようにすること、高脂肪食を避けること、就寝の3時間以内には食事を摂らないようにすることが大切です。生活習慣を見なおし、それでも症状が持続する場合には、医療機関を受診しましょう。

「胸がチクチクする」時の正しい対処法は?

胸がチクチクする場合、さまざまな病気の可能性が考えられます。そのため、病気により対処法が異なります。神経痛などの表面の痛みであれば、痛み止めなどをまず内服して様子を見ても良いでしょう。しかし、水疱を伴う場合には、帯状疱疹の可能性があるため早めの治療が必要です。皮膚科を受診しましょう。また、胃や心臓などの内部からの痛みが持続する場合や、強い痛みが起こっている場合には内科を受診しましょう。

「胸がチクチクする」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胸がチクチクする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胸がチクチクするのはがんという可能性はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

胸がチクチクするというだけでは、何の病気であるのかわかりません。しかし、肺がんが胸膜まで達して痛みが生じる事も考えられます。チクチクする痛みが持続する場合には、内科を受診して相談をしてみましょう。

胸がチクチクするのは自律神経が原因ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

自律神経とは、呼吸や心拍、体温、消化機能など生命を維持する上で必要な活動を自分の意思とは関係なく調整をしている神経です。このため、痛みと直接関係しているわけではありません。しかし、過労やストレスなどがかかることで、自律神経のバランスが崩れているときには、帯状疱疹が発症しやすくなったり、肋間神経痛が起こりやすくなると言われています。普段より、体調を整え、生活リズムを整えることが大切です。

まとめ 胸がチクチクするのは、肺や心臓の病気の可能性も

胸がチクチクする症状は、日常生活でよくおこります。しかし、原因によっては早めの治療が必要です。例えば、帯状疱疹では後遺症が残ることもあり、早めの治療をすることをお勧めします。また、肺や心臓から起こる痛みの場合には、精査が必要なこともあります。痛みが何度も生じたり、強い痛みが生じる場合には内科を受診しましょう。

「胸がチクチクする」で考えられる病気

「胸がチクチクする」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

呼吸器科の病気

皮膚科の病気

神経科の病気

胸のチクチクする症状は、さまざまです。上記の様な病気を含めいろいろな病気の可能性が考えられます。肺や心臓の病気では、治療を行う必要があることも少なくありません。また、帯状疱疹でも早急な治療が必要です。症状のみで区別をすることは難しく、医療機関で相談をするとよいでしょう。

「胸がチクチクする」に似ている症状・関連する症状

「胸がチクチクする」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 皮膚に水疱ができる
  • 咳が出る
  • 胸やけがする
  • 酸が上がってくる
  • 冷や汗が出る

胸がチクチクする症状に加え上記の様な症状がみられる場合には医療機関で原因を調べると良いでしょう。