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「立ちくらみ」の原因はご存知ですか?医師が男女別に徹底解説!

立ちくらみ

立ちくらみがする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

マイマイテイリ イマム

監修医師
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)

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医師、医学博士。2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許取得。2014年10月に血液悪性腫瘍の研究を志して、神戸大学大学院に入学。2019年3月に医学博士号と日本医師免許を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院などを歴任後、2022年2月新宿アイランド内科クリニック院長に就任。内科全般の疾患を幅広く診療している。

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「立ちくらみ」で考えられる病気と対処法

突然の立ちくらみに襲われる経験は誰しもがあると思います。症状の原因はたくさんありますが、自律神経の機能低下や脳血流量の減少が原因となっているケースが多く見られます。どんな場合に医療機関を受診する必要があるか、解説していきます。

立ちくらみの症状で考えられる原因と治し方

立ち上がった際にめまいやふらつきを自覚するというのが、一般的な立ちくらみの症状となります。このような症状が出た際は、まず座る、もしくは横になってください。その後ゆっくり立ち上がると、多くの場合で症状の回復がみられます。
意識を失うほどではなくても、失神の一歩前の段階になった可能性があるため、健康な若年者であれば反射性失神が、高齢者の場合は起立性低血圧が考えられます。
反射性失神は一時的に副交感神経が過剰に緊張してしまい、心拍数の減少と血圧が低下することから、脳への血流が一時低下することで起こります。一方で起立性低血圧は、加齢や内服薬の影響で血圧調節機能が低下してしまい、一時的に脳血流が減少することで起こります。
多くの場合、不整脈がないか確認するために心電図検査を行います。意識を失っていなければ緊急性はないため、日中に循環器内科を受診するのが良いでしょう。

頻繫に立ちくらみが起きる症状で考えられる原因と治し方

1週間に数回の頻度で立ち上がった際にめまいやふらつきがあり、まっすぐ歩けない症状を指します。このような時は、転倒してしまう危険性がありますので、無理に歩くことはしないでください。このような場合、パーキンソン病などの神経変性疾患が考えられます。パーキンソン病は、ドパミンという神経伝達物質が減少することで起こる病気です。病状が進行すると姿勢反射障害といって転びやすい状態になるため、早めから治療を進めることが必要です。
特徴的な身体所見で診断されることが多いため、専門医を受診することが望ましいです。緊急性はありませんが、できるだけ早い日程で脳神経内科を受診しましょう。

女性の立ちくらみで考えられる原因と治し方

閉経前の女性が立ちくらみを頻繁に自覚した場合、貧血が最も頻度の高い原因として考えられます。女性は月経のたびに出血しており、男性と比較して貧血になりやすいためです。すぐにご自身で出来る予防法は、少量ずつでもいいので鉄を多く含んだ飲み物や食事を取ることです。
貧血の診断のためには血液検査が実施されます。鉄分や葉酸、ビタミンなど不足している栄養が判明した時は、それを補う治療が行われます。また月経のたびに貧血になる場合は、子宮内膜増殖症や子宮筋腫による過多月経が疑われます。
医療機関を受診される際は、月経周期を記録しておきましょう。もし倦怠感が強い、冷や汗をかく、意識がもうろうとするといった症状がみられた場合は、すぐに内科や婦人科を受診してください。

男性の立ちくらみで考えられる原因と治し方

男性が立ち上がった際にめまい・ふらつきを自覚することを指します。このような症状が頻繁に出た際は、まず座る、もしくは横になってください。男性の場合も貧血が原因として考えられます。原因となる病気は、大腸がんや胃がんなど消化器の悪性腫瘍が疑われます。大腸がんは喫煙、飲酒、肥満がリスクとなります。胃がんは喫煙、塩分の多い食事、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染がリスクとなります。血便(便の中に赤い血が混じっている状態)や黒色便(便の中に黒く変色した血が混じっている状態)がみられた際は、緊急性があり精密検査が必要となりますので、すぐに消化器内科を受診してください。

立ちくらみがして、視界が真っ暗になる症状で考えられる原因と治し方

立ち上がった際に、めまいと同時に目の前が急に暗くなる症状のことを指します。考えられる原因としては、自律神経の働きがうまくいかず急激な血圧低下起こること、もしくは不整脈によって脈拍が遅くなり、一時的に脳への血流が低下することで生じます。すぐに出来る対処法としては、足を少し高くして横になって休むことです。脳への血流を増やす効果があります。考えられる病気で緊急性が高いのは、徐脈性不整脈という脈拍が遅くなってしまう不整脈です。循環器内科のある病院を受診し、心電図検査や心エコー検査を受けることで診断されます。徐脈性不整脈は緊急性が高いので、視界が急に暗くなる症状を自覚したら、出来るだけ早く受診しましょう。

立ちくらみがして、頭痛・めまいがする症状で考えられる原因と治し方

立ち上がった時にふらつきと頭痛、めまいが起こることが当てはまります。すぐに出来る対処法は、横たわって安静になり、リラックス出来る環境を作ることです。頭痛が持続する場合、脳出血の可能性が疑われます。めまいも同時に持続していると、特に小脳出血の可能性が高くなります。小脳出血は、身体のバランス感覚を担当する小脳という部分で出血が起きた状態です。自分はまっすぐ立っているつもりでも前後左右に揺れてしまう、まっすぐ歩けない、物をつまむことができないといった症状が出現します。このような症状が急に出現した場合には、すぐに救急車で脳神経内科あるいは脳神経外科のある病院を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「立ちくらみ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

視界が真っ暗になり失神した場合は、内科・循環器内科へ

めまいや視界が真っ暗になるといった症状は、脳血流の減少によって起こりますが、意識を失ってしまう失神が起きてしまった場合は、より重度であると考えましょう。
高度な貧血や、重篤な不整脈が隠れている可能性がありますので、早急に内科や循環器内科で精密検査を受けるのが良いと思います。血液検査で貧血がないかの確認や、心電図検査で不整脈がないか調べる必要があります。

頭痛とめまいが続き、嘔吐する場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

立ちくらみに加えて、頭痛やめまいが持続して嘔吐してしまう場合は、小脳出血の可能性が否定できません。命に関わる緊急性の高い疾患ですので、夜間であっても医療機関を受診することを勧めます。頭部CT検査、MRI検査などの画像検査で、脳に異常がないか詳しく調べる必要があります。

「立ちくらみ」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「立ちくらみ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

パーキンソン病

パーキンソン病の特徴は、

  • ・運動が遅く少なく緩やかになる(無動)
  • ・止まって安静にしている時に、手足や顔、首が小刻みに揺れること(静止時振戦)
  • ・関節が歯車のように引っかかって、滑らかに動かなくなること(筋強剛)
  • ・安定した姿勢を保てず、すぐに倒れてしまう(姿勢保持障害)
  • ・足がすくんで滑らかに前に出ず、小刻みに、そして突進するように歩く(すくみ現象)
  • などが挙げられます。神経伝達物質である「ドパミン」という成分が減少することで起こりますが、「ドパミン」が減少する原因は解明されていません。
    生活習慣の改善などで治る疾患ではありませんので、脳神経内科の医師の診断・治療を受ける必要があります。よく転ぶようになった、とても動きが遅くなった、なぜか震えていると感じられたら、脳神経内科を受診しましょう。

    脳梗塞

    脳梗塞とは、脳の血管に血栓という血の塊が詰まってしまうことをさします。血流が流れなくなった脳組織は壊死(細胞が死んでしまう)してしまい、その脳組織が担当していた身体機能が失われます。主な症状は手足の麻痺(痺れる、力が入らない)です。また小脳という部分に起きた脳梗塞では、体のバランス感覚が麻痺するため、物を上手くつかめない、真っ直ぐ歩けない、呂律が回らないといった症状が出現することが多いです。
    脳梗塞の治療は、治療開始までの時間が重要です。上記の症状が出現したら、救急車を要請して脳神経内科・脳神経外科のある病院を受診してください。

    神経調節性失神

    神経調節性失神とは、一時的に副交感神経が過剰に緊張してしまうことによって、急激に心拍数が減少したり血圧が低下してしまい、脳への血流が低下することで起こる失神(意識を失うこと)です。長時間立っている状態や座っている状態で過ごすこと、不眠や疲労、恐怖といった精神的・肉体的ストレス、人混みや閉鎖空間などの環境が続いてしまうと、過度な緊張状態が生じます。これに身体が反応して、副交感神経が過剰に緊張してしまうことが原因です。健康な人でもなることがある病気です。対処法はストレス要因を出来るだけ解消し、十分な休養を取ることです。一度経験しただけでは病院受診の必要はありませんが、頻繁に繰り返す場合は一般内科や心療内科の受診を検討しましょう。

    起立性低血圧

    起立性低血圧とは、寝ている状態や座っている状態から立ち上がるときに、一時的に血圧が低下してしまう状態を指します。原因としては自律神経の働きが低下してしまっている場合と、普段内服している薬剤に原因がある場合があります。自律神経の働きは加齢によって起こるものではありますが、中には神経変性疾患が隠れている場合もあり、その場合は原因疾患の治療によって改善できる場合があります。薬剤が原因となる場合は、普段内服している利尿薬や降圧薬(血圧を下げる薬)の効果が強く出過ぎている可能性があります。
    もし普段からそういった内服薬を処方されている場合は、かかりつけの医療機関を受診してください。内服薬の調整をしても改善しない場合は再度相談し、場合によっては脳神経内科を受診することを検討しましょう。

    「立ちくらみ」の正しい対処法は?

    これを飲めば良くなるという市販薬はありません。「立ちくらみ」が出現してしまった際はとにかく安静にするのが一番です。予防策としては、立ち上がる時、起き上がる時、振り向く時に急に動かないことです。ゆっくり動けば身体はそれに対応して、脳血流を一定にするように働くので、立ちくらみを予防することができます。普段の内服薬で、血圧を下げる薬や利尿薬がある場合は注意が必要です。血圧や脈拍は1日中、常に変動しているため、高い時もあれば低い時もあります。そのため、普段の平均血圧に合わせて治療を行っていても、たまたま血圧が低いタイミングに薬の作用が重なって低血圧になってしまう場合があります。もしそうなった場合は、主治医に相談しましょう。
    30分程度安静にしていても、立ちくらみやめまいといった症状が治らない場合は、病院受診をお勧めします。

    「立ちくらみ」の正しい予防法は?

    立ちくらみの原因が何かによって予防法は異なるでしょう。貧血による立ちくらみが頻度は高いと思われますが、貧血が特に鉄欠乏性貧血の場合には鉄分不足を解消するべく、鉄分の補給が重要になります。肉や魚、卵といったタンパク質や、レバーや大豆など、あるいは野菜や果物といったビタミンBやC群が豊富に含まれる食べ物を摂取することで鉄の吸収力が上がると言われています。食事だけでは難しい場合には、ヘム鉄のサプリメントを飲むのも良いでしょう。ただし、サプリメントは場合によっては薬剤性肝障害を起こす可能性もあるので、過剰に摂取することは勧められません。自己判断ではなく、病院を受診して検査を受けて鉄分が不足していることを確認してからが無難でしょう。

    「立ちくらみ」についてよくある質問

    ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「立ちくらみ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

    立ち上がるとよく立ちくらみがするのは鉄分不足なのでしょうか?

    マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

    立ちくらみの原因が貧血からくるのであれば、鉄分不足の可能性もあります。しかし、鉄分不足以外でも、ビタミン不足や出血(過多月経や消化管の癌からの出血)などの原因でも貧血になってしまうことはありますので、医療機関で一度検査することをお勧めします。

    立ちくらみや貧血になりやすいのは、病院で治療できますか?

    マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

    立ちくらみや貧血を起こす原因は数多く存在します。中には加齢に伴って起こる老化現象であるため、根本的治療ができないものもあります。一方で多くは原因を突き止めることで、治療が出来るものも存在します。不整脈、貧血などが原因であれば、治療できる可能性はあります。

    お風呂で立ちくらみが起きてめまいがするのはなぜでしょうか?

    マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

    入浴して体を十分に温めると、末梢(手先、足先など)血管が拡張します。その結果、血圧が低下することで、脳への血流が一時的に低下してしまいます。そこから、立ちくらみやめまいといった症状が出現すると考えられます。

    視界が真っ暗になる立ちくらみと真っ白になる違いは何でしょうか?

    マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

    急に視界が真っ暗になる場合と、急に真っ白になる場合では医学的には差がありません。じわじわと視界が白く霞む、ぼんやり濁るなど、数週〜数ヶ月かけて出現した慢性的な症状であれば、白内障の可能性があります。眼科を受診しましょう。

    まとめ

    立ちくらみは、日常生活で全年齢の方が一度は経験する症状だと思います。自然に治ることが大半ですが、中には重篤な病気が隠れていることもあります。症状が頻繁に起こり、安静にしていても症状が改善しない場合は、無理せず医師に相談してください。

    「立ちくらみ」で考えられる病気と特徴

    「立ちくらみ」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
    各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    循環器科の病気

    内科の病気

    脳神経科の病気

    消化器科の病気

    婦人科の病気

    めまいやふらつきを自覚する症状であることから、神経系の病気を考えがちですが、実は貧血や循環器系(心臓や血圧・脈拍など)に関連する病気が原因となることも多いです。
    症状が繰り返す場合は、頭部だけでなく循環器の精査が必要です。

    「立ちくらみ」と関連のある症状

    「立ちくらみ」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
    各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    関連する症状

    「立ち上がった時にめまいやふらつきを自覚する」症状の他に、これらの症状がある場合も「起立性低血圧」「反射性失神」「徐脈性不整脈」「脳梗塞」「脳出血」「パーキンソン病」などの疾患の可能性が考えられます。複数の症状が併発している場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。